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ルカ(聖夜月ルカ)

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095 : 修道院

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(決まったな…ヴィクトルの勝ちだな…)







次の日、私は、フィリップに呼び出され彼の家に向かった。
そこには、苦い顔をしたパトリスもいた。



「おめでとう、ヴィクトル!
あんたの勝ちだな!」

「なんのことだ?」

「なんだよ、なんで隠すんだよ。
俺、見たんだぜ!
ついにあの女を落としたんだな。
おめでとう!」

「それは…」

「さぁ、パトリス!
約束通り、ヴィクトルの靴を舐めてもらおうか!」

「……もう、そのことなら良い。」

「なんだ?あんたらしくないことを言うじゃないか。
これは約束だからな!
ちゃんとやってもらわないと示しがつかねぇ!
さぁ、パトリス、早くやってくれ!」

フィリップにせっつかれ、パトリスは渋々私の前に跪くと、長い舌で私の靴を舐めた。

フィリップはその光景に腹を抱えて笑い、パトリスは、怒りに満ちた瞳で私達を睨みつけるとそのまま部屋を出て行った。



「あぁ、良い気味だ!
あんたが勝ってくれて本当に良かったぜ!
あいつには、昔、女を寝取られたことがあってな。」

フィリップは笑いの発作がおさまらないようだった。
今までの私なら、きっとフィリップと同様に腹を抱えて笑い転げたことだろう。
しかし、そうではなかった。
ゲームに勝っても、残ったのは後味の悪さだけだったのだ。



「じゃあ、私も帰るよ。」

「なんでだよ、ヴィクトル!
今から祝杯をあげようぜ!」

「悪いが、私はすこし用がある。
この金で好きなだけ飲んでくれ。」



私はフィリップに金を渡し、彼の家を後にした。
そのまま、家には帰らず、私は馬車を呼んだ。
もう一度自分の気持ちを見つめなおしてみたかったのだ。
マリアにも声をかけず、私は、数日、町を離れた。
森の中の静かな別荘で、マリアとの出会い、そして今までのことを一つずつ思い出し、自分の気持ちと向き合った。
自分の愛情が本物かどうかを自問自答し続けた。
そして、私は、これからの人生を彼女と生きていくことを決意した。
父親からも離れ、自分で働いて得た金で彼女と暮らしていくことを…
今までのくだらない人生をすべてやり直すことを…


 
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