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077 : 咆哮の獅子
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「そうなんだ。
なんでも、血液の悪い病気だそうで、もういくらも生きられないと医者に宣告されてたらしいんだ。
そんな時に、フランクさんは陽炎の化石のことを知り、藁にもすがる想いでここまで来たってことらしい。
だが、陽炎の化石は一向にみつからない…
内心じゃ、フランクさん達もそんなものはないかもしれないと思ってたらしい。
でも、それしか頼れる物がないから必死になって探してた。
なんとしてでもユベールを救いたかったんだろうな…
そんな時、マルタンが陽炎の化石をフランクさんに手渡した。
マルタンに気が変わらないうちに早く持って行ってくれと言われて、フランクさんは言われた通りにあの石を持ち帰り、すぐにユベールに飲ませたらしい。
そのうち、ユベールは嘘のように元気になっていった。
医者も奇蹟だと言っていたらしい。
すでに、あの子の身体の中では作られなくなっていた血液が、また正常に作られるようになってたらしいんだ。
そんなことは普通はありえないことらしい。」
「そんな…確かにユベールはとても具合が悪そうだったけど、そんな酷い病気だったなんて…
それじゃあ、今までに血を吐いたようなこともあったのかしら?」
「あぁ、あったよ。
この町の手前でもユベールは血を吐いたんだ。
あん時は本当にびっくりしたよ!」
「そんなこと、あなた、言わなかったじゃないの!」
「そうだったかな…あの時はいろいろなことがあって舞いあがってたからかもしれないな。」
クロワは何かを考えるように、じっと一点をみつめ、やがてゆっくりと口を開いた。
「……違うわ。私も、自分のことで精一杯でユベールのことをいいかげんに考えてたのかもしれないわ。
全く酷い話ね…」
「それで、あんたとマルタンはなんで陽炎の化石を探してたんだ?!
フランクさんも、ユベールが元気になっていくのは嬉しいものの、あの石はマルタンが誰かのために探してたんだろうにって、すごく気にしてたぜ。」
「そうだったの…
マルタンさんは、ご自分で陽炎の石をみつけてフランクさんにあの石を…」
「なんだ?!じゃあ、あの石はユベールのために探してたのか?」
「そうじゃないのよ。
あの石は……そう、あの石は私の昔の知り合いのために探してたの。
昔の知り合いが、悪い病気にかかってあと一年の命だと言われて…」
「なんだって?それで、マルタンにも探すのを頼んだのか…
それならなんで俺にも言ってくれなかったんだよ!」
なんでも、血液の悪い病気だそうで、もういくらも生きられないと医者に宣告されてたらしいんだ。
そんな時に、フランクさんは陽炎の化石のことを知り、藁にもすがる想いでここまで来たってことらしい。
だが、陽炎の化石は一向にみつからない…
内心じゃ、フランクさん達もそんなものはないかもしれないと思ってたらしい。
でも、それしか頼れる物がないから必死になって探してた。
なんとしてでもユベールを救いたかったんだろうな…
そんな時、マルタンが陽炎の化石をフランクさんに手渡した。
マルタンに気が変わらないうちに早く持って行ってくれと言われて、フランクさんは言われた通りにあの石を持ち帰り、すぐにユベールに飲ませたらしい。
そのうち、ユベールは嘘のように元気になっていった。
医者も奇蹟だと言っていたらしい。
すでに、あの子の身体の中では作られなくなっていた血液が、また正常に作られるようになってたらしいんだ。
そんなことは普通はありえないことらしい。」
「そんな…確かにユベールはとても具合が悪そうだったけど、そんな酷い病気だったなんて…
それじゃあ、今までに血を吐いたようなこともあったのかしら?」
「あぁ、あったよ。
この町の手前でもユベールは血を吐いたんだ。
あん時は本当にびっくりしたよ!」
「そんなこと、あなた、言わなかったじゃないの!」
「そうだったかな…あの時はいろいろなことがあって舞いあがってたからかもしれないな。」
クロワは何かを考えるように、じっと一点をみつめ、やがてゆっくりと口を開いた。
「……違うわ。私も、自分のことで精一杯でユベールのことをいいかげんに考えてたのかもしれないわ。
全く酷い話ね…」
「それで、あんたとマルタンはなんで陽炎の化石を探してたんだ?!
フランクさんも、ユベールが元気になっていくのは嬉しいものの、あの石はマルタンが誰かのために探してたんだろうにって、すごく気にしてたぜ。」
「そうだったの…
マルタンさんは、ご自分で陽炎の石をみつけてフランクさんにあの石を…」
「なんだ?!じゃあ、あの石はユベールのために探してたのか?」
「そうじゃないのよ。
あの石は……そう、あの石は私の昔の知り合いのために探してたの。
昔の知り合いが、悪い病気にかかってあと一年の命だと言われて…」
「なんだって?それで、マルタンにも探すのを頼んだのか…
それならなんで俺にも言ってくれなかったんだよ!」
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