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077 : 咆哮の獅子
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「チッ!」
リュックは軽い舌打ちをして、そのまま階段を降り、宿屋の主人にマルタンのことを尋ねたが、あいにくさっきまで厨房の方にいたので何も見ていないということだった。
リュックは、町の中に飛び出し、立ち並ぶ店の中をのぞき見ながら町はずれまでマルタンを探して歩いたが、そのどこにもマルタンの姿をみつけることは出来なかった。
(どこに行ったんだ…
何があったんだよ、マルタン…)
マルタンがこの町を出たのは間違いない。
おそらく、クロワとの間に何かがあったのだろうと推測はされるが詳しいことは何もわからない。
当のクロワも今夜は部屋から出て来る気配はない。
リュックは、一人で酒場に行くと、もやもやした気分を晴らそうかとするかのように夜更けまで飲み明かした。
しかし、どんなに飲んでも気が晴れるどころか不安は増すばかり…
宿に戻っても眠ることさえ出来なかった。
次の朝、クロワに昨日のことを聞きたい気持ちは強かったが、リュックは彼女が部屋から出て来るのを辛抱強く待ち続けた。
まずは、なによりもクロワの気持ちが落ち着くのを待たないことには、話もできないだろうと考えたからだ。
クロワは、昼過ぎになってやっと部屋から出て来た。
ドアノブの回るそのかすかな音を聞き逃すことなく、リュックは部屋の外に飛び出した。
「クロワさん!!待ってたんだ!
話を聞かせてくれ!
昨日、なにがあったんだ?」
クロワは何も言わず、黙って部屋の中に入って来た。
「マルタンさんは、昨夜から帰ってないのね?」
「そうなんだ。
一体、なにがあったんだ?
あんたと何かあったのか?」
クロワは口を閉ざし、下を向く。
「じゃあ、そのことは後で良い。
その代わり、教えてくれ!
あんた達は誰のために陽炎の化石を探してたんだ?」
「リュック、どうしてそのことを…!?」
「フランクさんに聞いた…」
リュックは、昨日、フランクから聞き出した話をすべてクロワに打ち明けた。
「な、なんですって!
それじゃあ、ユベールは不治の病だったっていうの?」
リュックは軽い舌打ちをして、そのまま階段を降り、宿屋の主人にマルタンのことを尋ねたが、あいにくさっきまで厨房の方にいたので何も見ていないということだった。
リュックは、町の中に飛び出し、立ち並ぶ店の中をのぞき見ながら町はずれまでマルタンを探して歩いたが、そのどこにもマルタンの姿をみつけることは出来なかった。
(どこに行ったんだ…
何があったんだよ、マルタン…)
マルタンがこの町を出たのは間違いない。
おそらく、クロワとの間に何かがあったのだろうと推測はされるが詳しいことは何もわからない。
当のクロワも今夜は部屋から出て来る気配はない。
リュックは、一人で酒場に行くと、もやもやした気分を晴らそうかとするかのように夜更けまで飲み明かした。
しかし、どんなに飲んでも気が晴れるどころか不安は増すばかり…
宿に戻っても眠ることさえ出来なかった。
次の朝、クロワに昨日のことを聞きたい気持ちは強かったが、リュックは彼女が部屋から出て来るのを辛抱強く待ち続けた。
まずは、なによりもクロワの気持ちが落ち着くのを待たないことには、話もできないだろうと考えたからだ。
クロワは、昼過ぎになってやっと部屋から出て来た。
ドアノブの回るそのかすかな音を聞き逃すことなく、リュックは部屋の外に飛び出した。
「クロワさん!!待ってたんだ!
話を聞かせてくれ!
昨日、なにがあったんだ?」
クロワは何も言わず、黙って部屋の中に入って来た。
「マルタンさんは、昨夜から帰ってないのね?」
「そうなんだ。
一体、なにがあったんだ?
あんたと何かあったのか?」
クロワは口を閉ざし、下を向く。
「じゃあ、そのことは後で良い。
その代わり、教えてくれ!
あんた達は誰のために陽炎の化石を探してたんだ?」
「リュック、どうしてそのことを…!?」
「フランクさんに聞いた…」
リュックは、昨日、フランクから聞き出した話をすべてクロワに打ち明けた。
「な、なんですって!
それじゃあ、ユベールは不治の病だったっていうの?」
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