183 / 641
019 : 人魚の恋
1
しおりを挟む
§§§§§
俺は、その日、小舟に乗って釣りをしていた。
どうしたことか、その日は馬鹿みたいによく釣れた。
俺は、面白いように釣れる魚にすっかり夢中になって、天候が悪くなっていることにも全く気が付かなかった。
気が付いた時には、空はすでに真っ暗になっていた。
俺は焦った!
早く、陸に戻らなければ…!と。
そう思った時、空から大粒の雨がぽつりと頬に落ちてきた。
空を見上げると、いきなりバケツをひっくり返したような土砂降りになっていた。
俺はますます焦り舟を漕いで戻ろうとしたが、焦っていたせいなのか雨のせいか手が滑り、大切な櫂が流されてしまった。
「あ…!!」
流された櫂を拾おうとして身を乗り出した時、バランスを崩して小舟はひっくり返り、俺は海に投げ出されてしまった。
俺は必死で小舟にしがみつこうとしたが、俺の身体は波に流され小舟との距離はどんどんと離れていく。
泳げないわけではなかったが、けっこう沖まで出ていたためとてもじゃないが、陸までは泳ぎきれない。
なんとしてでも、小舟に辿りつかなければ…!
そう思いながら、必死で手足を動かしたが、無情にも俺は小舟にたどり着く事は出来ず、そのうち小舟はその姿さえ見えなくなってしまった…
小舟が見えなくなったことで、俺の絶望感は一気に大きくなった。
それと同時にものすごい疲労感を感じた。
身体が鉛のように重い…
何度も顔が沈み、その度に塩辛い水を飲んでしまった。
息が苦しい…
身体を動かすのももう限界に来ているようだ…
(…俺は…死ぬんだな…)
そう思うと全身の力が抜け、やがて、何も考えられなくなった…
*
「うぅぅ…」
不意に俺は目を覚ました。
波の音が聞こえる…
気分が悪い…
しばらくして顔の下にあるのが濡れた砂だと気が付いた。
砂……?
俺はどこにいるんだ?
どうしたんだ?
……そうだ!!
俺は海に落ちて……
……ってことは、ここはあの世なのか?!
首だけを動かして、海を見た。
海の中に長い髪の女がいた…!
目が合った瞬間、女は水飛沫をあげて海の中へ潜っていった。
今、目の端にちらっと見えたのは……銀色の鱗…?
……そうか…俺は夢を見てるんだ…
俺は、その日、小舟に乗って釣りをしていた。
どうしたことか、その日は馬鹿みたいによく釣れた。
俺は、面白いように釣れる魚にすっかり夢中になって、天候が悪くなっていることにも全く気が付かなかった。
気が付いた時には、空はすでに真っ暗になっていた。
俺は焦った!
早く、陸に戻らなければ…!と。
そう思った時、空から大粒の雨がぽつりと頬に落ちてきた。
空を見上げると、いきなりバケツをひっくり返したような土砂降りになっていた。
俺はますます焦り舟を漕いで戻ろうとしたが、焦っていたせいなのか雨のせいか手が滑り、大切な櫂が流されてしまった。
「あ…!!」
流された櫂を拾おうとして身を乗り出した時、バランスを崩して小舟はひっくり返り、俺は海に投げ出されてしまった。
俺は必死で小舟にしがみつこうとしたが、俺の身体は波に流され小舟との距離はどんどんと離れていく。
泳げないわけではなかったが、けっこう沖まで出ていたためとてもじゃないが、陸までは泳ぎきれない。
なんとしてでも、小舟に辿りつかなければ…!
そう思いながら、必死で手足を動かしたが、無情にも俺は小舟にたどり着く事は出来ず、そのうち小舟はその姿さえ見えなくなってしまった…
小舟が見えなくなったことで、俺の絶望感は一気に大きくなった。
それと同時にものすごい疲労感を感じた。
身体が鉛のように重い…
何度も顔が沈み、その度に塩辛い水を飲んでしまった。
息が苦しい…
身体を動かすのももう限界に来ているようだ…
(…俺は…死ぬんだな…)
そう思うと全身の力が抜け、やがて、何も考えられなくなった…
*
「うぅぅ…」
不意に俺は目を覚ました。
波の音が聞こえる…
気分が悪い…
しばらくして顔の下にあるのが濡れた砂だと気が付いた。
砂……?
俺はどこにいるんだ?
どうしたんだ?
……そうだ!!
俺は海に落ちて……
……ってことは、ここはあの世なのか?!
首だけを動かして、海を見た。
海の中に長い髪の女がいた…!
目が合った瞬間、女は水飛沫をあげて海の中へ潜っていった。
今、目の端にちらっと見えたのは……銀色の鱗…?
……そうか…俺は夢を見てるんだ…
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の寵愛ランキング最下位ですが、何か問題でも?
希羽
キャラ文芸
数合わせで皇帝の後宮に送り込まれた田舎貴族の娘である主人公。そこでは妃たちが皇帝の「寵愛ランク」で格付けされ、生活の全てが決められる超格差社会だった。しかし、皇帝に全く興味がない主人公の目的は、後宮の隅にある大図書館で知識を得ることだけ。当然、彼女のランクは常に最下位。
他の妃たちが寵愛を競い合う中、主人公は実家で培った農業や醸造、経理の知識を活かし、同じく不遇な下級妃や女官たちと協力して、後宮内で「家庭菜園」「石鹸工房」「簿記教室」などを次々と立ち上げる。それはやがて後宮内の経済を潤し、女官たちの労働環境まで改善する一大ビジネスに発展。
ある日、皇帝は自分の知らないうちに後宮内に巨大な経済圏と女性コミュニティを作り上げ、誰よりも生き生きと暮らす「ランク最下位」の妃の存在に気づく。「一体何者なんだ、君は…?」と皇帝が興味本位で近づいてきても、主人公にとっては「仕事の邪魔」でしかなく…。
※本作は小説投稿サイト「小説家になろう」でも投稿しています。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる