お題小説

ルカ(聖夜月ルカ)

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019 : 人魚の恋

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§§§§§



俺は、その日、小舟に乗って釣りをしていた。
どうしたことか、その日は馬鹿みたいによく釣れた。

俺は、面白いように釣れる魚にすっかり夢中になって、天候が悪くなっていることにも全く気が付かなかった。

気が付いた時には、空はすでに真っ暗になっていた。
俺は焦った!
早く、陸に戻らなければ…!と。

そう思った時、空から大粒の雨がぽつりと頬に落ちてきた。
 空を見上げると、いきなりバケツをひっくり返したような土砂降りになっていた。

俺はますます焦り舟を漕いで戻ろうとしたが、焦っていたせいなのか雨のせいか手が滑り、大切な櫂が流されてしまった。



「あ…!!」

 流された櫂を拾おうとして身を乗り出した時、バランスを崩して小舟はひっくり返り、俺は海に投げ出されてしまった。

俺は必死で小舟にしがみつこうとしたが、俺の身体は波に流され小舟との距離はどんどんと離れていく。

泳げないわけではなかったが、けっこう沖まで出ていたためとてもじゃないが、陸までは泳ぎきれない。
なんとしてでも、小舟に辿りつかなければ…!
そう思いながら、必死で手足を動かしたが、無情にも俺は小舟にたどり着く事は出来ず、そのうち小舟はその姿さえ見えなくなってしまった…

小舟が見えなくなったことで、俺の絶望感は一気に大きくなった。
それと同時にものすごい疲労感を感じた。
 身体が鉛のように重い…

何度も顔が沈み、その度に塩辛い水を飲んでしまった。
 息が苦しい…
身体を動かすのももう限界に来ているようだ…



(…俺は…死ぬんだな…)

そう思うと全身の力が抜け、やがて、何も考えられなくなった…







「うぅぅ…」



不意に俺は目を覚ました。 
 波の音が聞こえる…
気分が悪い…

しばらくして顔の下にあるのが濡れた砂だと気が付いた。

 砂……?

俺はどこにいるんだ?
どうしたんだ?

……そうだ!!
俺は海に落ちて……

……ってことは、ここはあの世なのか?!

首だけを動かして、海を見た。
海の中に長い髪の女がいた…!
目が合った瞬間、女は水飛沫をあげて海の中へ潜っていった。

 今、目の端にちらっと見えたのは……銀色の鱗…?





……そうか…俺は夢を見てるんだ…


 
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