276 / 506
047 : 猫の目
8
しおりを挟む
「……大丈夫ですか?」
「ええ…大丈夫です。」
私の問いかけに、彼女は気丈に顔を上げ、そう答えた。
「当時は私も多感な年頃でしたから、とにかく大きなショックを受けてしまって……
悲しさや悔しさをぶつけるように両親を責め続け、それに対して両親はただ謝るばかりで、私にはそれがまた腹立たしくて……
そんなわけですから、私と両親の間には大きな亀裂が入って…いえ、私がかんしゃくを起こしていただけなんですが、とにかく家の雰囲気も最悪になり、毎日泣いたりわめいたりしながら何年も過ごしました。
……死んでしまおうと思ったことさえ、何度かありました。
でも……そのうちに、気持ちが変わったんです。
だって、私のこの痣は、私のせいではありません。
そりゃあ、両親には酷い事をしてしまいましたが、それ以外では、私は今まで誰かに後ろ指をさされるようなことをして生きて来たわけでもありません。
なのに、どうしてこんな風にこそこそ隠れるようにして生きていかなきゃならないのかって……
そのことがとても悔しく感じられたんです。
ですから、私は家を出て一人で暮らしたいと両親に話しました。
もちろん、両親は大反対です。
ここがいやなら、もっと違う場所に三人で移ろうと言ってくれましたが、そういうことではなく、私は人目を避けて生きていくのがいやだったんです。
ですが、その想いをわかってはもらえず、両親は反対するばかりでした。
……いえ、本当はわかってるんです。
両親が私のことを思って、反対したことは……
でも、私はやっぱりいやだった……世間に負けたままでいるのがいやだった……
だから、私はある晩、思い切って家を飛び出したのです。」
「ええ…大丈夫です。」
私の問いかけに、彼女は気丈に顔を上げ、そう答えた。
「当時は私も多感な年頃でしたから、とにかく大きなショックを受けてしまって……
悲しさや悔しさをぶつけるように両親を責め続け、それに対して両親はただ謝るばかりで、私にはそれがまた腹立たしくて……
そんなわけですから、私と両親の間には大きな亀裂が入って…いえ、私がかんしゃくを起こしていただけなんですが、とにかく家の雰囲気も最悪になり、毎日泣いたりわめいたりしながら何年も過ごしました。
……死んでしまおうと思ったことさえ、何度かありました。
でも……そのうちに、気持ちが変わったんです。
だって、私のこの痣は、私のせいではありません。
そりゃあ、両親には酷い事をしてしまいましたが、それ以外では、私は今まで誰かに後ろ指をさされるようなことをして生きて来たわけでもありません。
なのに、どうしてこんな風にこそこそ隠れるようにして生きていかなきゃならないのかって……
そのことがとても悔しく感じられたんです。
ですから、私は家を出て一人で暮らしたいと両親に話しました。
もちろん、両親は大反対です。
ここがいやなら、もっと違う場所に三人で移ろうと言ってくれましたが、そういうことではなく、私は人目を避けて生きていくのがいやだったんです。
ですが、その想いをわかってはもらえず、両親は反対するばかりでした。
……いえ、本当はわかってるんです。
両親が私のことを思って、反対したことは……
でも、私はやっぱりいやだった……世間に負けたままでいるのがいやだった……
だから、私はある晩、思い切って家を飛び出したのです。」
0
あなたにおすすめの小説
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
【完結】 嘘と後悔、そして愛
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢ソニアは15歳。親に勝手に決められて、一度も会ったことのない10歳離れた侯爵リカルドに嫁ぐために辺境の地に一人でやってきた。新婚初夜、ソニアは夫に「夜のお務めが怖いのです」と言って涙をこぼす。その言葉を信じたリカルドは妻の気持ちを尊重し、寝室を別にすることを提案する。しかしソニアのその言葉には「嘘」が隠れていた……
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
2月31日 ~少しずれている世界~
希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった
4年に一度やってくる2月29日の誕生日。
日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。
でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。
私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。
翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
『 ゆりかご 』
設楽理沙
ライト文芸
- - - - - 非公開予定でしたがもうしばらく公開します。- - - -
◉2025.7.2~……本文を少し見直ししています。
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
――――
「静かな夜のあとに」― 大人の再生を描く愛の物語
『静寂の夜を越えて、彼女はもう一度、愛を信じた――』
過去の痛み(不倫・別離)を“夜”として象徴し、
そのあとに芽吹く新しい愛を暗示。
[大人の再生と静かな愛]
“嵐のような過去を静かに受け入れて、その先にある光を見つめる”
読後に“しっとりとした再生”を感じていただければ――――。
――――
・・・・・・・・・・
芹 あさみ 36歳 専業主婦 娘: ゆみ 中学2年生 13才
芹 裕輔 39歳 会社経営 息子: 拓哉 小学2年生 8才
早乙女京平 28歳 会社員
(家庭の事情があり、ホストクラブでアルバイト)
浅野エリカ 35歳 看護師
浅野マイケル 40歳 会社員
❧イラストはAI生成画像自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる