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side 優一
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「あ……」
「これ……」
僕と篠宮さんは、ある家具の前で立ち止まった。
鎌倉彫りの和茶箪笥だ。
牡丹のような大ぶりの花が彫られている。
「これ、良いですよね!」
「うん、良いです!」
僕の心は、すっかりその茶箪笥に引きつけられてしまった。
そんなものを買う予定ではなかったけれど、これはもう買うしかないと思ってしまった。
「あ、堤さん!あれ!」
篠宮さんが指さした先にあったのは、茶箪笥と同じ材質、同じ柄の鎌倉彫りの飾り棚だった。
「最高だ!
……すみません!これを下さい。」
僕は思わず、店員さんに声をかけていた。
話を聞くと、明日から和もの家具を少し展示することになったそうで、しかも、僕が選んだ二つの家具はついさっき届いたばかりだということだった。
よほど縁があるのだろうと店主は笑って、二割ほど値段を下げてくれた。
それでもけっこう高い買い物だった。
なっちゃんに何と言って言い訳しようと頭を悩ませながらも、内心では、なっちゃんもきっと喜んでくれるだろうと思ってた。
「あ、すみません、篠宮さん……
小太郎が疲れてるみたいなんで……ほら、さっき、ケーキ屋さんがあったでしょう?
小太郎が食べたいって言ってたあの……」
「はいはい、入口に犬のキャラクターが立ってるあのお店ですね?」
「あ、そうです。そこです。
あそこ、奥が喫茶になってたみたいですから、あそこでケーキでも食べながら待っててもらえませんか?
配達先を書いたり、他にもちょっと見たいものがありますので……」
「はい、わかりました。
では、ケーキ屋さんでお待ちしてますね。」
篠宮さんは小太郎を連れて先に店を出て行った。
「これ……」
僕と篠宮さんは、ある家具の前で立ち止まった。
鎌倉彫りの和茶箪笥だ。
牡丹のような大ぶりの花が彫られている。
「これ、良いですよね!」
「うん、良いです!」
僕の心は、すっかりその茶箪笥に引きつけられてしまった。
そんなものを買う予定ではなかったけれど、これはもう買うしかないと思ってしまった。
「あ、堤さん!あれ!」
篠宮さんが指さした先にあったのは、茶箪笥と同じ材質、同じ柄の鎌倉彫りの飾り棚だった。
「最高だ!
……すみません!これを下さい。」
僕は思わず、店員さんに声をかけていた。
話を聞くと、明日から和もの家具を少し展示することになったそうで、しかも、僕が選んだ二つの家具はついさっき届いたばかりだということだった。
よほど縁があるのだろうと店主は笑って、二割ほど値段を下げてくれた。
それでもけっこう高い買い物だった。
なっちゃんに何と言って言い訳しようと頭を悩ませながらも、内心では、なっちゃんもきっと喜んでくれるだろうと思ってた。
「あ、すみません、篠宮さん……
小太郎が疲れてるみたいなんで……ほら、さっき、ケーキ屋さんがあったでしょう?
小太郎が食べたいって言ってたあの……」
「はいはい、入口に犬のキャラクターが立ってるあのお店ですね?」
「あ、そうです。そこです。
あそこ、奥が喫茶になってたみたいですから、あそこでケーキでも食べながら待っててもらえませんか?
配達先を書いたり、他にもちょっと見たいものがありますので……」
「はい、わかりました。
では、ケーキ屋さんでお待ちしてますね。」
篠宮さんは小太郎を連れて先に店を出て行った。
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