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side 優一
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家具屋を出た僕は、さっきの雑貨屋に向かった。
店の中は、可愛らしいというのとは少し違う…落ち着いた年齢の女性の好みそうな雑貨が並んでいた。
僕はそれらを見ながら、奥のエプロンが下げられてる所へ進んだ。
柄はほとんどがおとなしい小花柄で、色も優しくて自然な風合いのものが多かった。
(あ……これ、良いな……)
僕は薄い赤紫色の丸い花びらをした可憐な花のエプロンを手に取った。
決して華やかではないけれど、どこか可愛らしいその花は、なんだか篠宮さんに似ているように思えた。
(これにしよう……)
ほとんど一目惚れだった。
気に入ったエプロンがみつかり、僕の胸は弾んだ。
レジに持っていこうとした時に、ふと棚にあった湯呑が目についた。
エプロンにあった花の模様のものが何種類もあった。
もちろん、篠宮さんのために買った花と同じものも……
(そうだ…みんなの分を買って行こう!)
湯呑なんて家にはたくさんあるのに……
そう思いつつも、僕の手は湯呑に伸び、四つのものを選んでいた。
ひまわりのような花の湯呑はなっちゃんに……
僕と小太郎は、桜のような柄のもの。
そして、篠宮さんはさっきと同じ柄のもの。
僕はそれらをレジに運んだ。
「ご自宅用ですか?」
「はい…あ、すみません。
これだけは、簡単で良いので包装して下さい。」
「かしこまりました。
少々お待ち下さいね。」
エプロンを包装しながら、店員さんが話してくれた。
このエプロンと湯呑の作家さんは同じ人だそうで、花をメインにいろんな雑貨を作られてるんだとか、このエプロンは草木染めなんだとか……
「ところで、この花は何の花なんですか?」
「これはツリバナですね。」
「ツリバナ……」
訊いたことのない名前だった。
帰ったら図鑑で調べようと思いながら、僕はケーキ屋へ向かった。
店の中は、可愛らしいというのとは少し違う…落ち着いた年齢の女性の好みそうな雑貨が並んでいた。
僕はそれらを見ながら、奥のエプロンが下げられてる所へ進んだ。
柄はほとんどがおとなしい小花柄で、色も優しくて自然な風合いのものが多かった。
(あ……これ、良いな……)
僕は薄い赤紫色の丸い花びらをした可憐な花のエプロンを手に取った。
決して華やかではないけれど、どこか可愛らしいその花は、なんだか篠宮さんに似ているように思えた。
(これにしよう……)
ほとんど一目惚れだった。
気に入ったエプロンがみつかり、僕の胸は弾んだ。
レジに持っていこうとした時に、ふと棚にあった湯呑が目についた。
エプロンにあった花の模様のものが何種類もあった。
もちろん、篠宮さんのために買った花と同じものも……
(そうだ…みんなの分を買って行こう!)
湯呑なんて家にはたくさんあるのに……
そう思いつつも、僕の手は湯呑に伸び、四つのものを選んでいた。
ひまわりのような花の湯呑はなっちゃんに……
僕と小太郎は、桜のような柄のもの。
そして、篠宮さんはさっきと同じ柄のもの。
僕はそれらをレジに運んだ。
「ご自宅用ですか?」
「はい…あ、すみません。
これだけは、簡単で良いので包装して下さい。」
「かしこまりました。
少々お待ち下さいね。」
エプロンを包装しながら、店員さんが話してくれた。
このエプロンと湯呑の作家さんは同じ人だそうで、花をメインにいろんな雑貨を作られてるんだとか、このエプロンは草木染めなんだとか……
「ところで、この花は何の花なんですか?」
「これはツリバナですね。」
「ツリバナ……」
訊いたことのない名前だった。
帰ったら図鑑で調べようと思いながら、僕はケーキ屋へ向かった。
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