深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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復讐の連鎖

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 「やれやれ、ここまで来たらもうじきだな。
 馬車っていうのもけっこう楽じゃないもんだな。
 身体のあちこちが痛くなった。」

トレルはそう言って自分の腰のあたりをさする。



 「そうはいっても徒歩よりはずっと早いのだ。
 多少のことは我慢しなくてはな。」

 「わかってるって。
……それにしてもいい年をした男三人がこうして膝を付き合わせて旅をするっていうのも…なんだな……」

トレルはそこまで話すと、俯いて失笑した。



 「……仕方ないだろ。
 事情が事情なんだから。
そもそもあんたが瞬間移動出来りゃあ、こんなまどろっこしいことしなくてすんだんだぜ。」

 「その代わり、馬車賃は俺が出したから良いじゃないか…」

 「そいつを言われちゃ、なにも言えなくなるけどな…」

 狭い馬車の中に男達の低い笑い声が響いた。



 「それはそうと、急にこんなこと言い出してすまないんだが、ちょっとだけユフィルによって良いか?」

 「ユフィル…?あぁ、あんたの故郷だったな。」


 「あんまり良い思い出はないのに、おかしなもんだな…
ユフィルが近付いて来るのを感じるにつけ、戻りたいって衝動が強くなって来たんだ。
……今じゃ、俺を待ってる人もいないのにな…」

そう呟いたトレルの表情に暗い影が差した。
トレルの思考が移ったかのように、アズラエルとランディの脳裏には今はもうこの世にはいないイアン、オルジェ、ケイト、そしてアリアの顔が映し出される。
なにもなければ、彼らはのどかないなか町で今もなお平凡な暮らしを送っていたのかもしれない。



 (ルシファーにさえ、関わらなければ……)

アズラエルの頭の中で、ルシファーの狂気地味た笑い声がこだまする…



「ちょっとくらいより道しても良いじゃないか。
そういえば、そこにはオルジェやケイトの両親の墓もあるんだろう?
ルークのことをお願いさせてもらうよ。」

トレルは黙って頷いた。

 馬車がユフィルに近付くにつれ、窓から流れ行く風景は、畑や山が増えていった。



 「なんだ?この分じゃユフィルっていうのはサーリックと変わらないような場所だな。」

 「いや、サーリックよりはユフィルの方がまだ都会だ!
 雑貨屋だってあるし、教会もけっこう立派だぜ。」

ランディとトレルがつまらない言い争いをしているうちに、馬車はようやくユフィルに着いた。

 
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