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さらなる復讐
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「……おまえに何がわかる…
私がこれまでにどんな経験をしてきたか、おまえは知ってるというのか…?
父親が人間だということ…そして、皮肉にも周りの者達よりほんの少し美しく生まれてしまったことで私が子供の頃からどんな仕打ちを受けてきたか…おまえは知ってるというのか…」
オルジェスに背を向けて語るベルナールのその声は震えているようだった。
「ベルナール…まさか…」
「……オルジェス…私とて最初から強かったわけではない。
思い出したくない記憶…血を分けたおまえにも話したくない過去の経験が、私をこんな風にしたのだ…」
「ベルナール…!」
オルジェスは、ベルナールの名を呼んだきり、後は言葉にならなかった。
込み上げる嗚咽だけが、静かな部屋に響く…
(ふっ…なんと、甘い男だ。
父親が人間だとこうも腑抜けになるものなのか…
エルスールの息子なら少しは見込みがあると思ったが、男にいたぶられたくらいでここまで深く傷付くとはな…
これからの調教が思いやられるな…)
ベルナールは、わざと大袈裟に涙を拭う振りをすると、ゆっくりとオルジェスに向き直った。
「すまなかった、オルジェス…
おまえの気持ちをわかってやれずに…
おまえにとっては初めてのことだものな、傷付くのも当然だ。
本当にすまなかった…
おまえが動けるようになったら、すぐにここから出よう。
もう上級悪魔を狙う事は諦めて、何か別の策を考えよう…」
ベルナールは、オルジェスの涙を優しく指で拭う。
「……べ…ベルナール…
お…俺なら…だ、大丈夫だ…」
子供のようにしゃくりあげながらも、オルジェスは気丈にそう言った。
「無理をするな。
もう良い…良いんだ、
おまえにこれ以上、辛い思いはさせられない。
私が味わった苦痛を、おまえには味わわせたくはない!」
ベルナールは、オルジェスに頬を寄せ、彼の身体を抱き締めた。
「ベルナール…俺なら…ほ、本当に大丈夫だ!」
ベルナールはオルジェスの瞳の中に硬い決意の炎を見た。
「……オルジェス…
おまえは勇敢だ…
おまえのような弟が持てたことを、私は誇りに思う…オルジェス!」
私がこれまでにどんな経験をしてきたか、おまえは知ってるというのか…?
父親が人間だということ…そして、皮肉にも周りの者達よりほんの少し美しく生まれてしまったことで私が子供の頃からどんな仕打ちを受けてきたか…おまえは知ってるというのか…」
オルジェスに背を向けて語るベルナールのその声は震えているようだった。
「ベルナール…まさか…」
「……オルジェス…私とて最初から強かったわけではない。
思い出したくない記憶…血を分けたおまえにも話したくない過去の経験が、私をこんな風にしたのだ…」
「ベルナール…!」
オルジェスは、ベルナールの名を呼んだきり、後は言葉にならなかった。
込み上げる嗚咽だけが、静かな部屋に響く…
(ふっ…なんと、甘い男だ。
父親が人間だとこうも腑抜けになるものなのか…
エルスールの息子なら少しは見込みがあると思ったが、男にいたぶられたくらいでここまで深く傷付くとはな…
これからの調教が思いやられるな…)
ベルナールは、わざと大袈裟に涙を拭う振りをすると、ゆっくりとオルジェスに向き直った。
「すまなかった、オルジェス…
おまえの気持ちをわかってやれずに…
おまえにとっては初めてのことだものな、傷付くのも当然だ。
本当にすまなかった…
おまえが動けるようになったら、すぐにここから出よう。
もう上級悪魔を狙う事は諦めて、何か別の策を考えよう…」
ベルナールは、オルジェスの涙を優しく指で拭う。
「……べ…ベルナール…
お…俺なら…だ、大丈夫だ…」
子供のようにしゃくりあげながらも、オルジェスは気丈にそう言った。
「無理をするな。
もう良い…良いんだ、
おまえにこれ以上、辛い思いはさせられない。
私が味わった苦痛を、おまえには味わわせたくはない!」
ベルナールは、オルジェスに頬を寄せ、彼の身体を抱き締めた。
「ベルナール…俺なら…ほ、本当に大丈夫だ!」
ベルナールはオルジェスの瞳の中に硬い決意の炎を見た。
「……オルジェス…
おまえは勇敢だ…
おまえのような弟が持てたことを、私は誇りに思う…オルジェス!」
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