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策略
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「あれよ。」
扉の向こう側にあったのは、ごくありきたりな井戸だった。
(これが、時の奈落…)
ランプの灯かりをかざしてもは井戸の中は暗くてなにも見えない。
ベルナールは、袖のボタンをひきちぎり、井戸に投げ捨てた。
しかし、その後、小さな物音ひとつ立たなかった。
「ね?わかったでしょう?この井戸は底がないのよ。
もう良いでしょう?
帰りましょうよ、私、なんだかここは怖いわ…」
「そうかな…僕はここにいると…妙に欲情してしまう…
誰もいない地下の隠し部屋なんて、なんだかわくわくしないかい?
ねぇ、シャルロット…」
ベルナールは、シャルロットに口付けた。
いつもよりもずっと激しく…
「ベルナール…」
シャルロットの頬が染まり、瞳を潤ませながらベルナールにしなだれかかる。
「シャルロット、その前に葡萄酒を選んで来てくれないかな?
ここには良い葡萄酒がたくさんありそうだね…
僕が昨夜よりもっとワイルドになれそうな葡萄酒を選んで来ておくれ…」
そう言って、ベルナールは悪戯っぽい顔で目くばせをする。
「ベルナールったら…
待っててね、すぐに戻ってくるわ…」
シャルロットがベルナールに口付け、部屋を出ていくと、ベルナールはすぐに靴を脱いだ。
自分のいた時代が何年後のことなのかははっきりとはわからない…
だが、それを知る術もないのだ。
失敗すれば、困ったことになる。
いや、最悪の場合は時の奈落とやらに飛ばされて命を落とすことになるかもしれない…
しかし、それでもやるしかない…!
ベルナールの心は決まった。
今一度、井戸の中をのぞきこみ、ベルナールは井戸の縁に足をかけた。
(どうか、あの時代へ…
もう一度、ケイトとオルジェの息子に乗り移り、今度こそ奴らを酷い目にあわせてやる!!あの人間共に、そしてリュタン達と…アズラエルに…自ら死にたくなるほどの制裁を加えてやる!
どうか…どうか、あの時代へ…!!)
ベルナールは、噴き出しそうな熱い想いを胸に、真っ暗な井戸の中へ飛び込んだ。
扉の向こう側にあったのは、ごくありきたりな井戸だった。
(これが、時の奈落…)
ランプの灯かりをかざしてもは井戸の中は暗くてなにも見えない。
ベルナールは、袖のボタンをひきちぎり、井戸に投げ捨てた。
しかし、その後、小さな物音ひとつ立たなかった。
「ね?わかったでしょう?この井戸は底がないのよ。
もう良いでしょう?
帰りましょうよ、私、なんだかここは怖いわ…」
「そうかな…僕はここにいると…妙に欲情してしまう…
誰もいない地下の隠し部屋なんて、なんだかわくわくしないかい?
ねぇ、シャルロット…」
ベルナールは、シャルロットに口付けた。
いつもよりもずっと激しく…
「ベルナール…」
シャルロットの頬が染まり、瞳を潤ませながらベルナールにしなだれかかる。
「シャルロット、その前に葡萄酒を選んで来てくれないかな?
ここには良い葡萄酒がたくさんありそうだね…
僕が昨夜よりもっとワイルドになれそうな葡萄酒を選んで来ておくれ…」
そう言って、ベルナールは悪戯っぽい顔で目くばせをする。
「ベルナールったら…
待っててね、すぐに戻ってくるわ…」
シャルロットがベルナールに口付け、部屋を出ていくと、ベルナールはすぐに靴を脱いだ。
自分のいた時代が何年後のことなのかははっきりとはわからない…
だが、それを知る術もないのだ。
失敗すれば、困ったことになる。
いや、最悪の場合は時の奈落とやらに飛ばされて命を落とすことになるかもしれない…
しかし、それでもやるしかない…!
ベルナールの心は決まった。
今一度、井戸の中をのぞきこみ、ベルナールは井戸の縁に足をかけた。
(どうか、あの時代へ…
もう一度、ケイトとオルジェの息子に乗り移り、今度こそ奴らを酷い目にあわせてやる!!あの人間共に、そしてリュタン達と…アズラエルに…自ら死にたくなるほどの制裁を加えてやる!
どうか…どうか、あの時代へ…!!)
ベルナールは、噴き出しそうな熱い想いを胸に、真っ暗な井戸の中へ飛び込んだ。
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