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策略
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「おはよう、シャルロット…」
「ベルナール…」
シャルロットが目を開くと、そこには優しい微笑みを浮かべたベルナールの顔があった。
「……大丈夫?」
「え……ええ。」
昨夜のことを思い出すと気恥ずかししくてベルナールの顔をまっすぐに見られない。
シャルロットは、シーツを引き上げ彼に背を向けた。
「どうしたの?昨夜のこと、やっぱり怒ってるの?」
「違うわ…
ただ…恥ずかしくて…」
「何言ってるんだい。
僕達はもうすぐ夫婦になるのに…
シャルロット、こっちを向いて…」
シャルロットは、ベルナールのその言葉にまるで術にかけられたようにゆっくりと振り向く。
「愛してるよ…シャルロット…
昨夜の君は最高だった…」
ベルナールの唇が、シャルロットの唇に優しく重なる。
「ベルナール…私…とても幸せよ…」
そう呟いたシャルロットは、ベルナールの首に腕を回し、今度は自分から彼の唇を求めた。
(……ジェロームとは比べ物にならないな…
あんなもの、前戯にもなりはしない…
それなのにあんなに悦ぶとはな…)
シャルロットの身体を抱き締めるベルナールの口許に不敵な笑みが浮かんだ。
*
「ベルナール、ここよ、この先に時の奈落があるの…」
シャルロットが、地下に通じる階段の前でそう言った。
「だけど、時の奈落の手前には扉があって、その扉の鍵は代々当主だけが使う事を許されてるの。」
「そうか…じゃあ、時の奈落は見られないってことなんだな…」
「……でも、私…実は、鍵のありかを知ってるのよ。
お父様が持ち出す所を見たことがあるの。」
そう言って、シャルロットはポケットから鍵を出して笑った。
「悪い娘だな…」
二人が地下への階段を下り、葡萄酒の蔵を通り過ぎると、その突き当たりにひっそりと隠されたような小さな扉があった。
シャルロットは先程の鍵をさし込み、扉を押し開ける。
扉は少し軋んだ音を立てながら、ゆっくりと開いていく…
「ベルナール…」
シャルロットが目を開くと、そこには優しい微笑みを浮かべたベルナールの顔があった。
「……大丈夫?」
「え……ええ。」
昨夜のことを思い出すと気恥ずかししくてベルナールの顔をまっすぐに見られない。
シャルロットは、シーツを引き上げ彼に背を向けた。
「どうしたの?昨夜のこと、やっぱり怒ってるの?」
「違うわ…
ただ…恥ずかしくて…」
「何言ってるんだい。
僕達はもうすぐ夫婦になるのに…
シャルロット、こっちを向いて…」
シャルロットは、ベルナールのその言葉にまるで術にかけられたようにゆっくりと振り向く。
「愛してるよ…シャルロット…
昨夜の君は最高だった…」
ベルナールの唇が、シャルロットの唇に優しく重なる。
「ベルナール…私…とても幸せよ…」
そう呟いたシャルロットは、ベルナールの首に腕を回し、今度は自分から彼の唇を求めた。
(……ジェロームとは比べ物にならないな…
あんなもの、前戯にもなりはしない…
それなのにあんなに悦ぶとはな…)
シャルロットの身体を抱き締めるベルナールの口許に不敵な笑みが浮かんだ。
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「だけど、時の奈落の手前には扉があって、その扉の鍵は代々当主だけが使う事を許されてるの。」
「そうか…じゃあ、時の奈落は見られないってことなんだな…」
「……でも、私…実は、鍵のありかを知ってるのよ。
お父様が持ち出す所を見たことがあるの。」
そう言って、シャルロットはポケットから鍵を出して笑った。
「悪い娘だな…」
二人が地下への階段を下り、葡萄酒の蔵を通り過ぎると、その突き当たりにひっそりと隠されたような小さな扉があった。
シャルロットは先程の鍵をさし込み、扉を押し開ける。
扉は少し軋んだ音を立てながら、ゆっくりと開いていく…
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