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運命の出会い

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ジェロームは、グラスの葡萄酒を飲み干した。

「……簡単なことだ。
おまえを適当な誰かの養子にすれば良い。」

「あてはあるのか?」

「あぁ、金を出せばなんとでもなる奴もいれば、弱みを握っている奴もいる。
そんなことは容易い事だ。
……それでどうするつもりだ?
ボーランジェに近付いてその後は…」

「それは……」

ジェロームは言いよどむベルナールの隣に席を移す。



「……奴の娘をたぶらかすつもりか?」

「まだ、先のことはわからない…状況次第だ。」

「おまえなら、ボーランジェの娘もイチコロだろうな…」

「まだ娘をたぶらかすと決まったわけじゃない…」

「……私が妬くと思ったのか?」

「そうではない…
もしも、そんなことになったとしても、それはただ利用するだけのことだからな。
私が愛してるのは、ジェローム、あなただけなのだから。」

「そうか…
ならば、その気持ちに応えてやらねばな…」

ジェロームの両手が、ベルナールのブラウスを乱暴に引き裂いた。



「そう急ぐこともないだろうに…」

ベルナールがくすりと笑う。



「おまえと愛し合う時間は、1分1秒とて無駄にはしたくないのでな…」

ジェロームとベルナールの熱い視線が絡み合う…









それから一週間が経った頃…
ジェロームとベルナールは、馬車に乗って屋敷を旅立った。
馬車の旅は、約十日程続き、二人が行きついた先はある貴族の屋敷だった。



「この方が、ベルナール様ですか…
これはまたお美しい…
このようにお美しいお方を、なぜ、私共に…?」

「余計な詮索は無用だ。
クシュネル、これは約束のものだ。」

手渡された包みの中身をのぞき見て、クシュネルは頬を上気させ深深と頭を下げた。



「ベルナール様は大切にお預かりさせていただきます。」

「よろしく頼んだぞ。
それと、今夜はここに泊めていただく。」

「はい、どうぞどうぞ。
ヨーゼフ、伯爵とベルナール様をお部屋へご案内しろ。」

「ははっ。」
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