深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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運命の出会い

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「……つまり、おまえが探しているのは時を司る力だということだな…」

ジェロームは片手に持ったグラスを傾けながら呟いた。



「その通りだ。」

「元の世界に戻りたいというわけか…」

「戻りたいというわけではないのだが…
礼をしてやらねばならん悪魔や人間達がいるのでな…」

「ずいぶんと執念深いことだな。」

ジェロームは、ベルナールを見て小さく笑った。



「執念深い?…私は、ただ几帳面なだけだ。
してもらったことには礼をする…几帳面なせいかそうしないとどうも落ち着かなくてな。」

「几帳面か…ものは言いようだな。
おまえが帰ったら、その者達はさぞかし驚くことだろうな…
実は……一人だけ心当たりがある…」

「本当か!?」

ベルナールは感情を抑えきれず、その身を乗り出した。



ジェロームは、ボーランジェという貴族の屋敷には、昔から「時の奈落」と呼ばれるものがあるということを話した。
しかし、その名から時にまつわる何かだということは推測出来るものの、ジェローム自身も詳しいことは知らないとのことだった。
ボーランジェの家の者達は「時の奈落」については、一様に口を閉ざすのだとジェロームは笑った。



「それで、あなたはその貴族と親交はあるのか?」

「残念ながらほとんどないな。
時の奈落には多少の関心はあったが、ボーランジェは堅物で私のようなタイプの人間は嫌いらしくてな。
話す機会さえなかった。
それに、奴の家には娘しかおらんのだ。
美しい男でもいれば、私ももう少し執着したかもしれんがな…」

ジェロームの緩やかな視線がベルナールの顔に停まり、満足げに微笑む。



「なるほど…
それで、ボーランジェと接触することは出来るだろうか?」

「パーティにでも潜りこめばいくらでも出来るだろう。」

「では、どうか私をパーティに連れて行って、ボーランジェに紹介してもらえないだろうか?」

「馬鹿だな…私と一緒に行けば、おまえも私同様に疎まれてしまうぞ。
それに、私とおまえの関係もバレてしまうしな。」

「では、何か別の手はないか?」 
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