深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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運命の出会い

19

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「こ、こ、こ、これは…!!」

 部屋の中の惨状に、ロクシーは立つことも出来ず、がたがたと震えた。



「この髪を見てわからないか?
…おまえの知り合いのアレクシス様だよ。」

ベルナールは血のこびりついた黒髪をロクシーの目の前に差し出した。



「ひ、ひぃっ!
だ、だ、誰がこんなことを…!!」

「さぁ…知らんな…」

「ま、まさか、おまえ……」

ベルナールの靴の固い爪先が、立ち上ろうとしたロクシーの腹に重く入った。
腹を押さえうずくまるロクシーの身体に、ベルナールのさらに激しい制裁が始まった。



「おまえは私をアレクシスに売ったのだな…」

汗で湿った髪を整えながら、ベルナールが呟いた。



「す…すまねぇ…
アレクシス様は…ジェロームと同じく美しい男が好みで…
そ、それで、そういう男をアレクシス様に紹介したら…金や宝石をくれた…そ、それで……許してくれ…」

「この外道が…」

再び、ベルナールの制裁が始まった。
汗にまみれ、血に染まりながら、ベルナールはロクシーを執拗に痛めつける。
ロクシーの顔や頭からはおびただしい血が流れ、その場にはロクシーのすすり泣きと許しを乞う声が哀しげに響いた。



「た…頼む…ゆ、許して、くれ…」

「そんなに命が惜しいのか…
ならば、これからは私の手足となって働くと誓うか?」

「誓う…誓う…
これからはあんたの…」

ベルナールの拳が、ロクシーの頬を殴った。



「愚か者めが!
私が主人だということがまだわからんのか!」

「も…申し訳ありません…
ベルナール様…誓います。
あなたのために…命をかけて働きます…だから…」

それだけ言うと、ロクシーは気を失った。
ベルナールは、部屋の隅から葡萄酒の瓶を持って来て、ロクシーの頭からそれをぶちまけた。



「うっ…」

「気が付いたか…
寝てる暇はない…帰るぞ。」

「べ…ベルナール様…
俺の足が…折れてるみたいで…」

ロクシーはそう言うと、痛みのために顔を歪ませた。



「それがどうした?
私は帰ると言ったのだぞ。
……それとも、おまえもアレクシスのようになりたいのか?」

「い…いえ…か、帰ります…」

ロクシーは、足をひきずり顔をゆがめながら、必死でベルナールの後を追った。








「大変だ、ジョナサン!
さっき、そこで妙な奴らに囲まれて、僕をかばってロクシーさんが大変なことに…」

ベルナールはロクシーに肩を貸しながら、御者のジョナサンに声をかけた。



「おぉ、これはなんと…酷いことを!
早くお屋敷へ戻らなければ…!」

 二人を乗せ、馬車は屋敷を目指して走り出した。
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