深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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不運な幸運

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「そういや、そうだな…
じゃあ、何なんだ?」

「そんなもの知らねぇよ。
さ、そろそろ行こうぜ!
……リッキー?」

リッキーの気配がないためチャールスが振り向くと、今まさにリッキーが門を乗り越え、向こう側へと降り立とうとしている所だった。



「リ、リッキー!!
何やってんだ!
みつかったら、取引が停止になっちまうかもしれないぞ!
戻れ!早く!!」

「大丈夫だって!
ちょっとのぞいたらすぐに戻ってくるさ。」

「こ、こらっ!リッキー!!」

チャールスの制止に耳を貸さず、リッキーは紋章の描かれた建物に近寄り、その扉を開けた。



「おっ…チャールス、鍵がかかってないぞ!」

「やめろ!リッキー!!」

「もしかしたら倉庫か何かなのかもしれないな。
鍵もかかってないんじゃ、たいしたものが置いてあるはずもない。
すぐに戻ってくるよ。」

「リッキー!!」

周りを気にしながら、声をひそめ必死にリッキーを呼ぶチャールスだったが、リッキーは耳を貸すことなく扉の中へ消えて行った。



(馬鹿野郎!!
取引停止になったら、責任取ってもらうからな!!)

チャールスは、心の中でリッキーに悪態を吐いた。







(なんだ、ここ?)

薄暗いその中には、何もなく奥に祭壇のようなものがあるだけだった。
リッキーの足音だけが、不気味に響く…



(それにしても、何もない部屋だなぁ…あれは祭壇か…
…え?……も、もしかしたら、ここは死んだリュタンの葬式を挙げるような場所なのか…?)

何か面白いものがあるのではないかというリッキーの期待は一瞬で恐怖に変わった。
ひき返そうとした時、リッキーの頭に何かがぶつかり、リッキーは反射的に短い叫び声をあげた。



「だ、だ、誰か、いるのか?!」

しかし、その問いに返事は返ってこなかった。
その事が、余計にリッキーの恐怖心をあおった。
あわてて出口へ向かおうとするリッキーは、足元に転がる黒い石に気が付き、咄嗟にその石を手に取った。



(さっき、俺の頭に当たったのはこれだな?
どこかで誰かが見てたのか?
それとも……ま、まさか、リュタンの幽霊…!?)

そう思うとリッキーの恐怖心はさらに膨れ上がり、そのまま外へ飛び出してしまった。



「リッキー、早く!!
今なら誰にも見られてない!
早く、ここから離れようぜ!」

「あ…あぁ…!!」

リッキーは門を飛び越え、二人は一目散にそこから駆け出した。

 
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