24 / 78
07 知らない場所の生活
4
しおりを挟む
「おい…なんでこんなに真っ暗なんだ?!」
『周りになにもないからじゃないですか?』
「なにもって…民家もないのか?」
『そのようですね…』
ギャブリエは人差し指で宙を丸くなぞる。
その瞬間、ほのかな灯かりを放つ光の玉が現れた。
「では、今夜はどこかで野宿ということになるのか?」
『そういうことになるでしょうね。』
事も無げに答える瑠璃石に、ギャブリエは軽く舌打ちをして眉をひそめた。
『ギャブリエ様、そんな品のないことはおやめ下さい。
あなたほどの地位の方には似合いませんよ。』
「うるさい!
今の私はただの魔法使いの女だ!
何をしようと私の勝手だ!」
『またそんなことを…
野宿くらいでキレてどうなさるんです。
あなたはこれからもディディエ様の安全を…』
「もとはといえば、すべてあの者が悪いのだ!
あいつは天界にいる時から私に迷惑をかけてばかりだったが、挙句の果てにこんなことになろうとは…」
ギャブリエは、がっくりと肩を落とした。
『ギャブリエ様、そんなに落ちこんでどうするんです。
あ、あそこに大きな木があります。
今夜はあの木の根元でお休みになられてはいかがですか?』
ギャブリエはその言葉に答えもせず、黙って木の方へ歩き出した。
*
『ギャブリエ様、おはようございます!
昨夜はよく眠られましたか?』
「眠れるわけがなかろう…」
その言葉が嘘でないことは、ギャブリエの目の下のクマが物語っていた。
『そ、そうだ!
ギャブリエ様!ここからは浮遊の術で進まれてはいかがです?
歩いて行くより早く着くのではありませんか?』
「それもそうだな。
ではそうしよう!」
ギャブリエの声に少し元気が感じられた。
ギャブリエが深呼吸をすると、その身体が静かに地上から30cmほどの高さに浮かび上がった。
「今夜は、絶対宿で泊まるぞ!」
その言葉と同時に、ギャブリエの身体は滑るように前へ進み出した。
ギャブリエは、街道を進み続けた。
太陽が真上にあがり、そしてそれが海の向こうに姿を消しても、ギャブリエは止まろうとはしなかった。
*
『ギャブリエ様!』
ギャブリエの身体が急によろめいたかと思うと、一瞬でバランスを崩し、そのままばったりと倒れて動かなくなった。
『周りになにもないからじゃないですか?』
「なにもって…民家もないのか?」
『そのようですね…』
ギャブリエは人差し指で宙を丸くなぞる。
その瞬間、ほのかな灯かりを放つ光の玉が現れた。
「では、今夜はどこかで野宿ということになるのか?」
『そういうことになるでしょうね。』
事も無げに答える瑠璃石に、ギャブリエは軽く舌打ちをして眉をひそめた。
『ギャブリエ様、そんな品のないことはおやめ下さい。
あなたほどの地位の方には似合いませんよ。』
「うるさい!
今の私はただの魔法使いの女だ!
何をしようと私の勝手だ!」
『またそんなことを…
野宿くらいでキレてどうなさるんです。
あなたはこれからもディディエ様の安全を…』
「もとはといえば、すべてあの者が悪いのだ!
あいつは天界にいる時から私に迷惑をかけてばかりだったが、挙句の果てにこんなことになろうとは…」
ギャブリエは、がっくりと肩を落とした。
『ギャブリエ様、そんなに落ちこんでどうするんです。
あ、あそこに大きな木があります。
今夜はあの木の根元でお休みになられてはいかがですか?』
ギャブリエはその言葉に答えもせず、黙って木の方へ歩き出した。
*
『ギャブリエ様、おはようございます!
昨夜はよく眠られましたか?』
「眠れるわけがなかろう…」
その言葉が嘘でないことは、ギャブリエの目の下のクマが物語っていた。
『そ、そうだ!
ギャブリエ様!ここからは浮遊の術で進まれてはいかがです?
歩いて行くより早く着くのではありませんか?』
「それもそうだな。
ではそうしよう!」
ギャブリエの声に少し元気が感じられた。
ギャブリエが深呼吸をすると、その身体が静かに地上から30cmほどの高さに浮かび上がった。
「今夜は、絶対宿で泊まるぞ!」
その言葉と同時に、ギャブリエの身体は滑るように前へ進み出した。
ギャブリエは、街道を進み続けた。
太陽が真上にあがり、そしてそれが海の向こうに姿を消しても、ギャブリエは止まろうとはしなかった。
*
『ギャブリエ様!』
ギャブリエの身体が急によろめいたかと思うと、一瞬でバランスを崩し、そのままばったりと倒れて動かなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる