【第一章完】四国?五国で良いんじゃね?

阿弥陀乃トンマージ

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第一章

第12話(3)フンミの本気

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「ぎ、技量特化だと……」

「ああ、そうだ」

「と、飛んでいるのはどういうわけだ?」

「極めれば、空も飛べるはず……」

「いや、その理屈はおかしいだろう!」

「だって飛べるんだから仕方ねえだろう!」

「まるで子どものケンカね……」

 カンナが呆れ気味で軽く額を抑える。タイヘイが立ち上がる。

「まあいいさ、かまいたちで切り裂くまでだ!」

「ふん!」

「なっ⁉」

 タイヘイが右手を振るって斬撃を飛ばすが、フンミは軽やかにそれをかわしてみせる。

「へっ!」

「むっ!」

「そらっ!」

「ぐはっ!」

 懐に飛び込んできたフンミの蹴りを食らい、タイヘイは後退する。

「ふふっ……」

「な、なんでだ……スピード自体はさっきより落ちているはず……」

 タイヘイは蹴られた胸のあたりを抑えながら呟く。

「……技量特化だと言っただろう? この型ならばお前の放つ斬撃をかわすことくらいわけないのさ」

 フンミが両手を広げて肩をすくめる。

「それならば!」

「おっ!」

「連続の斬撃はどうだ!」

 タイヘイが両手を素早く振り回す。

「ふふん!」

 フンミが連続して向かってくる斬撃をこれまたかわす。タイヘイは驚く。

「な、なんだと⁉」

「隙あり!」

「しまっ……!」

「おらおらっ!」

「がはっ!」

 再び懐に入り込んだフンミの蹴りを連続で食らい、タイヘイは後方に倒れ込む。フンミが笑みを浮かべる。

「連撃のお返しだ……」

「く、くそ……」

 タイヘイが半身を起こす。フンミが納得したように頷きながら呟く。

「なるほど、そのタフさが超人としての流れを汲んでいるってわけか……」

「な、なんで……」

「あん?」

「なんで斬撃を簡単にかわせるんだ……?」

「……お前の腕の角度などから軌道がある程度予測出来るからだよ」

「! そ、そんなことが……」

「出来るんだよ、技量特化……つまり、今の俺は達人の領域にいるからな」

「腕の角度か……いいことを聞いたぜ」

「ん?」

「それならば、これならどうだ!」

 ガバッと立ち上がったタイヘイが両手をめちゃくちゃに振り回す。

「うぜえな!」

「ぐはあっ……」

 フンミがタイヘイの後方に回り、斜め下から脇腹を蹴り上げる。タイヘイがよろめいた後、膝をつく。フンミが淡々と告げる。

「言っても無駄だろうが、一応言っておく。お前の場合、ベースが人間のそれみたいだからな、腕の可動域にはどうしても限界がある。その死角に回りこめばいいだけのことだ……」

「ぐ、ぐっ……」

「さらに付け加えるなら、お前は斬撃を放った後、けっして小さくはない隙が出来る。そこを突けばいい……」

「ご、ご指導ありがとうございます……って言うべきか?」

「そんなの要らねえよ、金ならもらうが」

「あいにく持ち合わせがねえ……」

「まるでいつもはあるみたいなこと言うなよ」

「ふっ……」

 タイヘイが笑う。フンミが両手を大げさに広げる。

「特別だ。サービスしてやるよ」

「それはありがてえ……なっ!」

「!」

 タイヘイが足を刃に変えて、斬撃を放つ。フンミがそれを飛んでかわす。

「当然、飛んで避けるよな!」

「‼」

「な、なんだと⁉」

 タイヘイが空中に向かって斬撃を放つが、フンミは天井ぎりぎりまで上昇する。斬撃はそこまでは届かなかった。フンミはタイヘイを文字通り見下ろしながら呟く。

「……この場所がアホみたいに天井の高い玉座の間で良かったぜ。お前の斬撃にも射程ってもんがあるようだ……」

「くそっ……」

「もしかしたら射程をもっと伸ばせるのかもしれねえが……鍛錬不足ってやつだな」

「まあ、そういうのはこれで補えるから……な!」

「なにっ⁉」

 フンミが驚く。タイヘイが足の裏から強風を噴き出し、空に飛んできたからである。

「おらあっ!」

「ごはあっ⁉」

 タイヘイがパンチをフンミの腹に叩き込む。フンミの体がくの字に曲がる。

「もう一丁!」

「くっ!」

 フンミがタイヘイから離れる。

「遅えよ!」

「ぶはあっ⁉」

 タイヘイが素早く回り込み、フンミに強烈な回し蹴りを食らわせる。フンミが地面に激しく叩きつけられる。今度はタイヘイがフンミを見下ろしながら呟く。

「まあ、斬撃の射程を伸ばすってのは、良い考えだ。試してみるわ……」

「そ、そんなことより!」

「うん?」

「な、なんだそれは⁉」

 半身を起こしたフンミがタイヘイの足裏を指差す。タイヘイが腕を組んで答える。

「ロケットブースターだ」

「はあ⁉ てめえ、『機』の流れも汲んでやがるのか⁉ 聞いてねえぞ!」

「言ってねえからな……」

 タイヘイがゆっくりと地面に下りる。フンミが指折り確認する。

「『人』、『獣』、『妖』、『機』のクオーターってことか……そんなやべえ奴がいるとは」

「やべえだろ、降参するなら今だぜ」

 タイヘイが腰に手を当てて胸を張る。立ち上がったフンミがひょうたんを飲む。

「ふん……ひっく」

「まだ飲むのか? ひょっとしてあれか? ヤケ酒ってやつ……か⁉」

 フンミの引き裂くような攻撃をタイヘイは食らって吹っ飛ぶ。

「……攻撃力特化の『白虎の型』……遊びは終わりだ」

 フンミが虎の姿を模した構えを取る。
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