【第一章完】四国?五国で良いんじゃね?

阿弥陀乃トンマージ

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第一章

第2話(4)黒き翼のモリコ

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「……はっ!」

 モリコが目を覚ます。

「モリコさん!」

「シロー……」

「良かった……」

「ジロー……」

「目を覚まさないかと……」

「サブロー……」

 横たわっているモリコを三兄弟たちが取り囲む。

「……ほんのちょっとで目を覚ますとは、さすがだな」

「あ、あなた⁉」

 モリコはガバっと半身を起こしてタイヘイのことを睨みつける。タイヘイが笑いながら肩をすくめる。

「はっ、闘争心も失っていないってわけか……」

「ええ、むしろ燃えてきたわ……くっ!」

 モリコが自分の胸を抑える。

「だ、大丈夫ですか⁉」

 シローが心配そうに尋ねる。

「だ、大丈夫よ……」

「やっぱりもうちょっと休んでいた方が……」

「へ、平気だから……」

 モリコがジローに応える。

「いつも抱いて眠っているぬいぐるみ持ってきますか⁉」

「そ、それには及ばないわ……って、な、なんでそんなこと知っているのよ⁉」

 サブローの提案にモリコが驚く。

「マジで元気そうだな……」

 タイヘイが感心する。

「そ、そうよ、これで勝ったと思わないでくれる?」

「……モリコ」

「よ、呼び捨て⁉」

「お前よりは良いだろうが」

「ま、まあ、そうね……そうかしら?」

 モリコが首を傾げる。

「モリコはあれか? その黒い翼……」

「ふっ、なかなか鋭いわね、そうよ……」

「カラスの人鳥か」

「ち、違うわよ!」

「違うのか?」

「コウモリよ!」

「コウモリ⁉」

 タイヘイが驚く。

「そんなに驚くことじゃないでしょう⁉」

「まったく予想だにしなかった……」

「逆さまで木の枝にぶら下がっている時点で分かるでしょう!」

「そ、そうか、コウモリか……」

「そうよ、この島の空の支配者よ」

「支配者とは大きく出たな」

「いいじゃないのよ!」

「そうだ、モリコさんは偉大なんだぞ!」

「良いこというじゃない、シロー……」

「その翼の美しさは他の追随を許さない!」

「照れるわね、ジロー……」

「この鳥なき島の女王だ!」

「ちょ、ちょっと待ちなさい、サブロ―!」

「え?」

「え?じゃないわよ。『鳥なき島の蝙蝠』って言いたいわけ?」

「は、はい……」

「それって、見下している言い方じゃないのよ!」

「ええっ⁉ そうなんですか⁉」

「そうなのよ!」

「ヤバい……」

「……なにがヤバいのよ?」

「いや、かっこいいと思って、あちこちで言いふらしていたんですけど……」

「あちこちってどこよ⁉」

「えっと、この辺一帯に……」

「一帯に⁉」

「あ、俺も……」

「シロー⁉」

「お、俺もです……」

「ジローまで⁉」

「す、すみません!」

 サブローが頭を下げる。モリコが頭を抱える。

「私のリーダー的存在の威厳が……」

「まあ良いじゃねえか、そんなことは」

「良くないわよ!」

 モリコがタイヘイに向かって声を上げる。タイヘイが頭を下げる。

「わ、悪い……」

「素直に謝るのね……なんだか調子が狂うわ。大体、あなたは何なの?」

「ん? 俺はタイヘイだ」

「名前を聞いているんじゃないの? 超人だと思ったらむちゃくちゃ怪力だし、空は飛ぶし、おまけに風の斬撃まで操るときた……どういうことよ?」

「俺は……人と獣のハーフと妖と機のハーフの間に生まれたようだ……」

「ええっ⁉」

「なんて言えばいいのか……妖の、かまいたちのクオーターとも言えるのかな」

 タイヘイが腕を組んで、首を傾げる。モリコが呟く。

「そ、そんな存在が実在するというの……?」

「ここにいるだろう」

 タイヘイが自らの胸を右手の親指で指差す。モリコが絶句する。

「し、信じられない……」

「まあ、そんなことはいい……それよりもモリコ」

「な、なによ……」

「俺の仲間になれ」

「仲間?」

「ああ、リーダー的存在のモリコが仲間になってくれれば、この辺の腕の立つ連中が皆、俺に協力してくれるようになるだろう?」

「な、何をするつもりなの……?」

「俺はこの四国という島に、もう一つ国を造る。はみだし者たちの国をな」

「⁉」

「どうだ?」

「さっき胸がチクっとしたのは痛みじゃなくて高鳴りだった……?」

「モリコさん?」

「闘争心ではなく、違う心に火が点いたということ……?」

「何をぶつぶつ言っているんです?」

「……この『黒き翼のモリコ』、タイヘイ殿に喜んで協力させて頂きます」

「モ、モリコさん⁉」

 モリコが三つ指をついてタイヘイに頭を下げる。サブローたちが驚く。

「決まりだな」

 タイヘイが笑みを浮かべる。
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