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海洞ダンジョン、真砂に揺らぐは沙羅の夢編
3.それだけ、すき※
しおりを挟む「チッ、どこもかしこもザコばっかりで落ち着かないなぁ」
俺を抱えたまま砂煙の中を闊歩するブラックは、右に行こうとしては立ち止まり、左に方向転換しようとすれば別方向へと歩きだしって感じで、なんだか何かを避けて歩いているように思える。
とっくに砂煙を避ける術の範囲内から外れているというのに、もしや周囲の状況を的確に把握出来ているとでも言うのだろうか。
今更だけど、ブラックの力は本当に計り知れない。
とはいえ、今はそんなことに関心を抱いている場合ではない。このままどこかへと連れていかれたら、どう考えてもヤバい事をさせられそうな気がする。
俺は何度も経験しているから解るんだ。これは絶対にヤバいやつだ。
しかし、だからといってブラックの謎の腕力に逆らえるはずもない。どうすべきかと考えている内に、あっというまに砂煙を抜けた場所についてしまった。
「えっ、え?」
目の前に、咳を誘発する黄土色の霧が無い。鈍色の岩壁が有るだけだ。
慌ててうしろを振り返ると、そこには壁のように横一線に広がる砂煙が……って、なんかこれおかしくないか。まるで広場だけが透明なボックスに入ってるみたいだ。
しかも、この砂煙とダンジョンの壁との狭間のわずかなスペースには、コープスが居る気配も無い。右左と確認してみるが、人姿すら見えなかった。
いや、壁の一か所に開いている穴……恐らくは下層へと続く階段があるのだろうが……その穴以外は何の変哲もない岩壁が見えるだけだ。
鈍色の壁はこの階層を囲っているらしく、左右どちらにも遠くに壁の角がみえる。でもおかしいな。広場が見える小高い丘に居た時は、壁なんて見えなかったぞ。
それどころか、先すら見えなかったのに……砂煙で見えなかったのかな?
にしてもなんだか妙だ。上を見ても壁は空に吸い込まれるように徐々に薄くなっていってるみたいだし……ホントにこの空間ってなんなんだろう。
ダンジョンって不思議な場所だけど、ここは輪を掛けてヘンな感じだ。
ブラックの動きに揺さぶられつつ上空を見ていた俺だったが、不意に背中に岩壁をくっつけられて、下へと降ろされた。気が付けば、壁の角に来ている。
おう、なんだってこんな端の方に来たんだよ。
問いかけようと顔を上げたところで、目の前が一気に肌色に埋め尽くされた。
「んぐっ!?」
何が起こったか解らず硬直する俺の口に、生温い何かがぶつかってくる。
至近距離で顔に息を吹きつけられて、俺はようやくブラックにキスをされているんだと気が付いた。が、もう遅い。
「んぅっ、んんんっ……んっ、む……んう゛っ、ぅう……っ!」
荒い息を吹きかけられながら、何度も何度も角度を変えて口付けられる。
いつもより性急で、口を合せたと思ったら、ぬめる舌がブラックの口から這い出て来て、俺の唇をまんべんなく舐め回してくる。
「ふっ……ん……んっぅ……うぅう……っ」
粘着音にも似た音と共に口の合わせを擽るように舐められ、唇全体を柔く食まれて軽く引っ張られる。ブラックに湿らされた唇は妙に敏感になってしまい、僅かに舌を差し込まれただけで鼻から強い息が漏れてしまう。
興奮しているみたいで、恥ずかしい。
いつ誰が砂煙の中から出て来るかも判らない場所なのに、興奮するとかバカじゃないのか。俺がそんなだから、ブラックを調子に乗らせるのに。
そうは思っても、気を強く持つ暇なんてないくらいに何度もキスされて、口の中に舌を入れられて、頭がぼやけてしまうくらい口の中を掻き回されてしまうと、もう。
「っ、っぐ……っん゛っ、ん゛ん゛、ぅ……っ、は……はぁっ、は、ぁ……あ……」
「ツカサ君……ツカサ君、可愛い……可愛いよ……」
背中をごつごつした壁に押し付けられて、痛みを感じる。
だけど、ブラックに舐められて、口を離されるたびに下唇を軽く食まれると、それだけで体がゾクゾクしてお腹の奥が熱くなって、ぎゅうっとなってしまう。
その感覚が余計に羞恥を招くのがイヤで、覚えのあるむらむらとした熱が下腹部に染み込んでくるような気がして、俺は首を振ろうとした。
だけど、ブラックはそれを知っていたかのように、俺が動く前に後頭部を掴んで体を密着させると、あろうことか俺の腹に硬い物をぐっと押し付けてきやがった。
それが何かなんて、男である俺が一番よく知っている。
だけど予想以上に質量が増している熱いソレに、体が無意識に強張ってしまった。
怖いとかそういうんじゃなくて、その……説明したくないような衝動が込み上げてくるような気がして、理性が無意識に反応しているのかも知れない。
実際、そうなったら困る。
そんな困っている俺を、ブラックは一度顔を離してじっくりと見つめて来た。
「僕の恋人……ツカサ君も、僕の恋人だってちゃんと言ってくれたんだよね? 他の奴に、ちゃんと“僕が恋人だ”って……好きな人が、いるって……」
「っ……~~~~~っ」
笑いながら言うな、バカにされてるみたいだろ。
そう思って怒ろうとするけど……心底嬉しそうに笑うだらしない顔が、すぐそこに、数十センチ離れた先にあると突きつけられると、怒りよりも恥ずかしさが湧いて来て、腰から下のわだかまった嫌な熱の居た堪れなさに体を竦めてしまう。
なにより、ブラックの顔が真正面から見れなかった。
……だって、いやなんだ。恥ずかしくて、たまらないんだよ。
そりゃ……す、好き、だよ。だから、アンタのメスになるって言ったんだ。首から胸に下げてる指輪も、貰ったんだ。
アンタを守りたいから、修行してる。隣で戦いたいから、頑張ってるんだ。
自分が一番理解しているけど、でも、それを知られるのは何故か凄く嫌だった。
だって、恥ずかしい。どうしたらいいか分からなくなるんだ。
自分の気持ちを理解されてしまうと考えると、逃げ出したくなってしまう。
……そんな事で、ブラックは俺から引かないって知ってる。
気持ちは同じだって、俺がブラックみたいに明け透けに自分の思いを伝えるようになっても、ブラックは絶対に俺を突き放したりしないって、解ってる。
でも、人に感情を話したり理解されるのが、泣きたくなるくらい恥ずかしくてどうしようもない。自分の気持ちを、ブラックを好きだという気持ちを誰かに不意に知られてしまうのが、俺には堪らなかった。
なのに、ブラックは俺の事を知ったように微笑んで、頬に触れて来る。
「嬉しいよ、ツカサ君……あはっ……つ、ツカサ君が頑張ってくれたおかげで……こ、こんなになっちゃった……っ」
「っや……ば、か……っ」
お腹にぐりぐりと膨らんだズボンの合せ目を押し付けてくる相手に、みじろぐ。
だけど、ブラックは構わずにズボンの合わせだけを開いて、中身をボロンと目の前に出してきやがった。
「ほら……ツカサ君が僕の恋人宣言しちゃったから、嬉し過ぎて僕のペニスがこんなに大きくなっちゃった……。ツカサ君のせいだよ? 責任とってよぉ」
「ばっ……なっ、なに出して……っ」
「そりゃナニだよ」
「アホなことを言っとる場合か! こ、ここ、人が沢山いるんだぞ出すなよバカ!」
既に湿り気を帯びている赤黒デカブツから体を逃そうとするが、既に俺はブラックの体に覆われていて、背中も岩壁に接しているので逃げられない。
それを良い事に、ブラックは俺の体にソレを擦りつけて来ようと腰を動かす。
どう見ても変態みたいな動きなのに、ソレをどこかに擦り付けられるかも知れないと思うと、笑ったり怒ったりする余裕が持てない。
それどころか、血管が浮きあがった太い竿や鈴口から透明な液体を膨らませる凶悪なソレをチラチラと見るたびに、体の変な感覚がより強くなるような気がして。
「ねぇツカサ君……セックスしようよぉ……僕もう我慢できないよ、今日までずっと我慢して修行に付き合ってたんだから、ちょっとくらい良いでしょ? ね……。ねっ……?」
「ここ、人いるって……っ。やだっ、やだってば……!」
逃げようとするけど、ブラックの手と足の間に囚われていて動けない。
そうこうしている内に肩を抑えられて、とうとう逃げられなくされた。
「僕のマントで見えなくしてあげるから……ね……? ここなら、声を出したって他の奴に気付かれる事なんてないよ……だからさぁ……ねぇ……」
片方の手が、ゆっくりと下の方へ降りてくる。
嫌だと言っているのに、ズボンを留めているベルトに手が伸びて来て。
「やっ、だ……ばかっ、やだってっ、こんなとこで……っ!」
「はぁあ……ツカサ君のその顔、久しぶりだぁ……」
両手でブラックの手を阻止しようとするけど、ゴツい大きな手は俺の手なんて少しも気にしないで、ベルトを解いてしまう。
そうして、合わせ目を開いて、俺のズボンと下着を一気に引き下げてしまった。
「ばかっ、やらないっここでしないってば!」
「んもうそんなに怒らないでよ、僕もズボンずりさげるからさぁ」
「そういう問題じゃねーよスットコドッコイ!! わーばかっ近付けるなぁ!」
ブラックの体を両手で押し戻そうとするけど、どんどん近付いて来る。
血管が浮いて反り返った凶悪なものが、閉じた両足に触れそうになる。思わず腰を引いたけど、でも、ブラックの手が強引に足の合せ目に入って来て隙間を押し広げてしまって。股を開いた恥ずかしいポーズにされてしまった事に喉が締まるが、相手は俺の態度など気にする事も無く、息を荒げながらブツをそこに突き入れて来た。
「ああっ……ツカサ君のこどもおちんちんだって、ヒクヒクして半勃ちじゃないか……ほら、下から可愛い陰嚢と一緒に揺さぶったら反応してるよ?」
「っうう……! ば、かっ、やだばかっ、ばかあ!」
どれだけ硬いのか、ブラックは俺の陰嚢の裏から先端で全体をゆるゆる突き上げて来て、急所を刺激してきやがる。
ぬるぬると熱い感覚が共に一気に強く伝わり、俺はたまらず声を絞った。
そんな情けなくて妙に高くなったかすれ声に、ブラックは下品な笑いを漏らす。
ぜんぜん格好良くない、盗賊みたいな笑い方。欲望を隠しもしない、低い声。
「ツカサ君……っ、はぁっ、はぁあ……僕のペニスが突き上げるたんびに、どんどん可愛いおちんちんが勃ってくね……! ここもつんつんしたら、恋人専用のツカサ君のナカも気持ち良いかな……?」
ぬるりと硬くて熱い物が移動して、何も無いはずの場所に伝って来る。
会陰の辺りにその感触を認めたと同時、ブラックは先端を執拗にそこに擦り付けてトツントツンと小刻みに押し、ぬめりを移すように前後に動かして来た。
「やっ、ぁ……やぁあ……! そ、っ、な……ことっ」
「あれぇ? 陰嚢のとこツンツンした時より反応いいねぇ……もしかして、ツカサ君たらメスらしくお腹の中キュンキュンしちゃってるぅ? あはっ、あははぁ……っ」
「やだっ、も……やだってば……!!」
……正直、答えることが出来なかった。
だって、ほんとに押し付けられるとお腹の奥が熱くなって、触られても居ない所が勝手に収縮して、一番感じる部分だったはずの前だって抑えられなくなっていく。
ブラックのが尻の方へと少し大きめに動くと、それだけで足が閉じそうになる。
体がだんだんと震えて来て、我慢が出来なくなって、足が落ちそうになって。
いやだと思うのに、こんな、動かされている程度なのに……。
「ツカサ君……あぁ……ツカサ君、ねぇ、セックスしよ……恋人セックスしよ……? ね……僕ツカサ君のナカに入りたい、いっぱい気持ち良くなりたいよぉ……」
「っ、ん……んん……っ!」
声が泣き声みたいになってて、何も喋れない。
顎を引いて目を閉じようとするけど、ブラックにキスをされてそれも封じられた。
恥ずかしさと、腹の中の疼きと、自分の浅ましい欲望がごちゃまぜになって、そのどれもが俺には耐え切れなくて、逃げるようにキスに意識が向いてしまう。
苦しくて、体の中が熱くなって、何も考えられなくなる。
ブラックのこと以外、もう何もわからなくなる。
「んっ……はぁっ……ぁ、あは……ツカサ君のおちんちん、ひくひくしてるよ……。でもツカサ君が好きなのは、こっちだよね……? 今から解してあげるね……」
「ぅむ゛ッ、ぅう!? んん゛――――……!」
尻にぼたぼたと何かが垂れて来る。
何が起こってるのか解らない。口を再び塞がれて、ブラックの肌の色と、無精髭のむず痒い痛みと、ちらちらと光る赤い色しかみえない。
息苦しさに頭がぼやけてるのに、急に――――俺のナカに何かが入って来て、体が強く緊張した。これ、ゆびだ。指が……っ。
「んん゛ん゛っ……! んっ、んぐっ、んん゛ぅ……!」
指一本でも俺にとってはキツイ。逆流してくるような感覚に呻くけど、更にナカが広げられてしまい俺は急すぎる衝撃に痙攣した。何をされているのか解ってるのに、体が言う事を聞かない。奥まで入って来て、腸壁を無遠慮に触られるだけで体が跳ねて我慢が出来なかった。それなのに、ブラックはわざとらしく指で音を立てながら、俺の触れて欲しくない場所に執拗に指を這わせて弄繰り回してきて。
「っ、はっ、ぅぐっんぐぅうっ! んんん~~~ッ! う゛ぐぅうっうっ、うぅうう……!」
なんでこんな変な機能あるんだろう。そう嘆きたくなるほど、刺激が強い。
つらい。お腹だけじゃなくて、前も苦しくなる。出しちゃいけないのに、前立腺を二つの指で壁越しに捏ねられると腰がビクビク動いてしまって、それが耐えられず、俺は首を振ってブラックに「やめろ」と訴えた。
すると、指が抜けて――――
「――――!!」
ブラックの顔が、俺に目にしっかりと映る。
「ツカサくぅん……ぃ……良いよね……僕のペニス、もういれて良いよね……っ? 大丈夫、ツカサ君の可愛い姿は絶対誰にも見せない、外套で隠すから……!」
涎を垂らして、目を見開いて、とてもじゃないけど格好いいと言えない顔。
まるで獣みたいなその顔を、突きつけられて。
「はっ……っ…………っ、ぅ……」
頷いて、しまっていた。
「あぁ……可愛い……可愛い、可愛いよ、可愛いよぉツカサ君……僕のツカサ君、僕の、僕だけの恋人……僕だけのツカサ君だ……!」
眦を舐められる。
それから、腰を前に出されて、片足を限界まで高く上げられて。
あつい、なにかが、疼く場所にひたりと当てられた。
「ぶ、ら……っ、く……」
「はぁっ、は……はぁ……ツカサ君……ツカサ君……!!」
ブラックが、覆い被さって来る。
苦しい体勢なのに、構わずブラックは抱き締めて来る。
もう、何も見えない。大きな体とマントに遮られて、ブラックの体の温かさと荒い呼吸の音だけが俺を包み込んでくる。ブラックの大人の匂いと、頭をくらくらさせる雄のにおいがして――
耐え切れるはずも無い、何度も俺の体を穿った衝撃が、来た。
「あ゛……――――――!! ぃ゛ぎ……ぃ…………!!」
声が、凄まじい圧迫感と衝撃に押されて出てこない。
喉を開いているのに、ナカで俺の体を限界まで押し開く熱いモノが動くたびに、体がギリギリと軋んで勝手に喉が絞まった。
くるしい。
だけど、ブラックが動くたびに体が「嬉しい」という気持ちに包まれる。
そんなこと思うのなんて変なのに。へん、なのに。
「ツカサく……っ、あはっ、あはははっ……! ツカサ君っ、っふ……つっ、つかさくんっ、つかさくん……!」
ブラックの声が聞こえる。ブラックのにおいが、おとが、ブラックだけが。
「ぶら……っ、ぅ……っ」
「っ、ぐぅ……ッ……! ツカサ、くん……ッ!」
一瞬、意識が真っ白になって。
ブラックの声と同時に――――熱が、体の中に吐き出されて、出て行った。
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