異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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祭町ラフターシュカ、雪華の王に赤衣編

15.地雷ワードは人それぞれ*

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 その後、ある程度の見切りをつけて裁縫を終え、レナータさんと後片付けをした俺は、クロウやギルベインさんと一緒に子供達を寝床に連れて行った。
 ここ最近はずっとそうしていたからか、子供達も素直に付いて来てくれる。

 そうして寝かせ、全員が目をつぶったのを確認してから、俺達も自分達が休む部屋へと向かった。……数日前までは礼拝堂で寝てたんだけど、あそこじゃ流石に寒いだろうとギルベインさんとレナータさんが使ってない部屋を掃除して、寝袋を敷くように言ってくれたのだ。
 正直、礼拝堂は広くて隙間風が通るので寒かったし、ほんとありがたいよ。

 ちなみに、さっきまで部屋で一緒だったブラックは先にその寝部屋へ行ってしまっている。あいつはよー本当よー、なんであんなに子供嫌いなの。一人二人なら平気みたいだけど、三人以上になると逃げるって何アイツ。スライムなの。経験値倍のスライムか何かなの。

「では、私も休ませて頂きますね」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ、なさい」

 寝室へ戻るギルベインさんに二人で頭を下げて、俺達も寝部屋へと向かう。
 そこまで広くない教会だけど、それでもそこそこ廊下は長い。昔はわりと信徒や修道士がいたのか、使ってない部屋が一階にも二三室あったし……。
 でもそれらの部屋は壊れたガラクタが詰め込まれてたり、窓板が割れてて吹きっさらしだったから、子供達も使えなかったんだよなあ。

 畑で野菜が定期的に収穫出来るようになって、ギルベインさんがしっかり回復薬を作れるようになれば、窓板くらいは買えるようになると思うんだが……回復薬の供給と売買は今後問題ないとしても、畑の方が心配だな。

 今の畑は種や苗を植えれば驚異的な速度で野菜が育つし、そのお蔭で食糧問題も解決して、子供達も顔がふっくらとしてきたけど……なんせ「黒曜の使者の御業で土地再生!」だなんて初めての事なので、いつ効果が切れるか全く予想出来ない。

 クロウが言うには「ここまで無茶な事をして野菜を育てる事が出来るのだから、曜気が途切れるとは思えない」って感じらしいけど……この能力に持続性があるかどうかは全く考えてなかったからなあ……。

 そう思いながら隣を歩くクロウを見上げると、俺の視線に気づいたのかクロウはすぐ俺に顔を向けて来た。

「どうしたツカサ」
「ん、いや……畑大丈夫かなって思って」
「……ツカサはオレの曜術が信用できないのか?」

 俺の言わんとする所が分かったのか、クロウはしょぼーんと耳を垂れる。
 ううっ、ちょっと、そう言うあざといのやめてってば。

「ち、違うよ! そうじゃなくて……クロウの力は信じてるけど、将来どうなるか解らないだろ? 俺の力なんてまだ細かい所は解らないんだし……」
「そうか? オレはツカサの力は凄いと知っているし、信じられるが……」
「うーん、そう言って貰えるのは嬉しいけど……こればっかりはなあ」

 自分でも良く解んない力なんだから、やっぱ不安なんだよなあ。
 そんな事を思っていると、不意に肩を掴まれた。

「おっ?」

 そうしてそのまま引きずられて、またもや壁に背中を押し当てられる。
 ちょっと待てよと思ったが、クロウがまさかこんな場所でハァハァするとは思えないので、俺は自分の疑り深さを反省してクロウを見上げた。

「どした?」
「ツカサがオレの言う事を信じてくれないから、おしおきする」
「えっ!?」

 おいおいおい何言ってんのアンタ、そういうのはブラックの役目だろ!?
 つーか何で!? 俺なんか変な事言った!?

 いきなりどうしたと相手の肩を掴んで離れようとするが、しかしクロウは力持ちな熊さんだ。俺の抵抗なんて有ってないような物で、その内どんどん距離を詰められて鼻がくっつく程に顔を近付けられてしまった。

「う、うぅ……」

 橙色の綺麗な瞳が、目の前にある。その宝石みたいな瞳に薄らと変な顔をしている自分が見えて、俺は目を泳がせた。
 そんな俺に、クロウは息がかかる程近付いて呟く。

「仲間なんだから、信じてくれても良いだろう」
「そ、それはそうだけど……でも、そこで安心しきって油断しちまって、後々変な事が起こったらと思うと……。俺、クロウやブラックに迷惑かけたくないんだよ。だから不安なんだ」

 安心しきっていたら、事態が急変した。なんて展開はごまんとある。
 俺はブラックやクロウに迷惑を掛けたりするのは嫌だし、何よりギルベインさんや子供達にぬか喜びさせるのが嫌なんだよ。
 クロウの力は解ってるけど、でも、未来の事は誰にも解らない。
 だから、今のうちに悩んでおきたいんだ。

 解って欲しいと言う思いを込めて相手を見返すが、しかしクロウは一歩も引かずに軽く眉をしかめる。その表情は、俺を諫める大人そのものだった。

「確かに、不安なのは解る。だが、オレ達は仲間だ。迷惑をかけてもいい存在なんだぞ。オレとて今ツカサに迷惑をかけている。オレの父親探しなんて、本来ツカサ達には関係ないのに……ツカサは付き合ってくれているじゃないか」
「それは……だって、家族が消息不明だなんて誰だって不安だし……仲間の大事な家族なんだから、俺達が捜索に付き合うのは当然だろ?」
「だったら、オレだって迷惑を掛けられてもかまわない」
「う……」
「これは、同じ事だろう? なのに、ツカサは違うという。そんなのワガママだ」

 橙色の瞳が、俺の視線を捕える。
 唇すら触れそうな程の距離で真っ直ぐな目を向けられた俺は、ただ硬直した。

「ツカサ。お前がそこまでオレを信じられないと言うのなら……」

 クロウがそう言った刹那、俺の下の方からカチャカチャと音が聞こえた。

「ぅえっ?!」

 ずるっと音がして急に足が冷たくなる。こ、これってまさか。
 恐る恐る、目だけを動かして下を見てみると……そこには、ズボンを降ろされて下着一丁になっているしょうもない俺の下半身が!
 ってバカ! なにやってんだよクロウ!!

「なんで俺のズボン降ろしてんだよ!」
「それはお仕置だからに決まっている」
「決まってるって、お、おいここ廊下だぞ、誰かに見られたら……」
「壁の向こうに聞こえないように、声を押さえていたほうがいいな」
「はっ……」

 何を言う、と怒鳴ろうとした途端に目の前からクロウの顔が消える。
 一瞬どこに行ったのかと探してしまったが、その頭が下の方に降りているのを知って、俺は今度こそ本格的に慌てだした。
 だってクロウが顔を近付けたのは、俺の……。

「やっ、やだっクロウ……っ!」
「声を出したら、気付かれる」

 頭を掴んで押しのけようとした俺に構わず、クロウはそのまま股間に顔を近付けて……下着の上から、俺のモノを唇でんだ。

「んん……!!」

 指や掌で包まれるよりもつたなく、柔らかい感覚。
 薄い布程度では防ぎきれずしっかりとその独特の感触が解ってしまい、俺は体を震わせて思わず足を閉じようと内股になった。けど、それはクロウの頭を固定する事にしかならなくて。思わず顔を熱くした俺を上目遣いで見て、クロウは薄らと笑った。

「積極的だな」
「ち、ちがっ……」
「違わない。ツカサのココは俺が食むだけで、もうひくりと反応したぞ」

 どこか楽しそうな声でそう言い、クロウはその柔らかい唇で俺のモノの竿の部分を根元から先端まではむはむと挟み熱い息をかけてくる。
 ソコを他人に弄られる快感はもうブラックにさんざん教え込まれてしまっていて、俺は久しぶりの愛撫に反応してしまった。

「ひぅっ! やっ、あっあぅうっ……だ、だめっ、それやだぁ……っ!」
「ハァッ……ハッ……嫌だ? 本当か……? もうこんなに膨らんで、ココは濡れているのに……?」
「んぅうっ!!」

 そう言って先端の所を舌で軽く突いたクロウに、俺は大きく体をビクつかせる。
 ソコを触られるとどうしても我慢出来なくて、俺は顔を歪めて首を振った。

「だめっ、そこ、突かないで……っ」
「ダメな事をしないとにならないだろう」
「そんな……っ、ひぁっ、や、やぅうっ、ん、んぅう……っ!」

 クロウの舌が、べろんと濡れた所を舐める。
 一度目はまだ然程さほど舌の熱や濡れた感触を感じなかったが、二度目はたっぷりと唾液だえきを絡めて舌で先端を押し上げるように舐め上げられ、俺はクロウの頭を足でぎゅっと挟み前かがみになって腰を震わせた。

 いやだ。クロウの熱が、挟んだ頬が熱くて、嫌でも相手を感じてしまう。
 少し硬い髪の感触や吐息、なにより唾液によって完全に濡れてしまった下着は、空気の冷たさによって冷えて俺の熱くなっている陰部に張り付いて、更にクロウの舌の感触をしっかりと感じてしまい、俺は涙目になって掴んだクロウの頭にすがった。

「この濡れようは俺の唾液のせいだけではないようだが」
「や、らっ……だめっ……ぅあっ、はっ……はぁっ、あぅう……っも、や、ぁあ……」
「可愛い声が出てるぞ……っ、ああ……ツカサのいやらしい汁のせいで、下着がすっかり濡れて、透けてしまってるな……」

 そう言いながらまた下着越しに俺のモノを舐めるクロウに、俺は首を振った。

「やっ……やだぁっ、そんな……も、もう舐めちゃ……っ!」
「声が段々大きくなってきてるな」
「おねがっ、も、あやまっ、あぁっ、謝るから……!」
「オレの言う事を信じるか?」

 先端をグリグリと舌で弄られて、俺は腰をビクビクと震わせながら必死に頷く。
 こんな、廊下で、人が来るかもしれない場所でこんな事をされていたら、誰かに見られてしまう。それが怖くて素直に謝ろうとした俺に、クロウは舌をやっと引っ込めると……そのまま立ち上がった。

「ふあっ……!?」

 そして、べとべとになったままの俺の下着をそのままにして、ズボンを引き上げてしまう。何をされているのか理解出来ず唖然あぜんとする俺に、クロウは相変わらずの眠たそうな目をしょぼしょぼと瞬かせながら、しっかりとベルトを締めてくれた。

「解ってくれたなら良いんだ。さあ、戻って寝よう。明日も色々あるからな」

 そう言いつつ己の口の周りを名残惜しそうにぺろりと舐めて、クロウは俺の肩を抱き再び歩き出す。強引に体を引き摺られて、俺は転ばないようにと反射的に足を踏み出したが、しかし、今まで下半身をいじられていた俺は上手く足を動かす事が出来ず、ガクガクと膝を震わせてしまう。

「っ……うぅ……」

 だけど、クロウは停まってくれない。
 まだ濡れたままの下着は、固いズボンの感触を膨らんだ俺のモノにダイレクトに伝えて来て、敏感になっている俺の体は情けない事にズボンに触れただけでも軽く反応してしまった。

「ぅ……ん……」
「どうしたツカサ」
「な……なんでも……ない……」

 そう言って、俺はクロウのするがままに足を運ぶ。

 本当は何か一言くらい抗議してやりたかったが、どこでクロウの地雷を踏んで、相手に丸め込まれてまた「おしおき」されたらたまらない。
 もうこんな恥ずかしいお仕置きはごめんだ。
 ただでさえブラックにやられる事でも恥ずかしくて死にそうなのに!!

「うぅ……」

 股間が冷たくて悲しい。しかし……ほんと参るよなあ……。
 クロウは普段はぬぼっとしていて何を考えているか解らない無表情だし、それに俺には優しくて無茶な事なんて言って来ないけど……でも、怒ると怖い。

 って言うか、この寸止め行為をすんなりやってのけたのを考えると……クロウのほうが、よっぽど厄介なのかも知れない……。

 だけど、今更その事に気付いたって遅いわけで。
 俺は自分の迂闊うかつさと、クロウの思わぬ策士っぷりに深くダメージを受けながらも、とにかく平静さを取り戻そうと努めた。

 下着が濡れているのは気持ちが悪いが、きっとすぐ乾く。寝袋に入ってしまえばこっちのものだ。その中で脱いで寝ればいい。体を曲げればズボンに張り付く事はないし、それに放っておけば熱なんてすぐに冷める。
 冬なんだから、すぐに、すぐにムスコも沈静化するはず!!
 頑張れ俺の理性、負けるな俺の理性!

 とりあえず萎える案件を考えつつ、俺はなるべく濡れた下着をズボンにつけないような姿勢になりながら、寝部屋へと戻った。
 ……さあ、ここからが本番だぞ……気合を入れろ俺。

 顔に熱がないか確認し、クロウから体を離して貰うと意を決して扉を開けた。

「ああ、遅かったね」

 ほんの少しだけ開いた途端に聞こえてくる、ブラックの声。
 ああこんちくしょう、そんな素早く反応されるとビクッてするじゃないかもう!

 内心悶えたが俺はなるべく平常心を装って扉を開き、クロウと共に中に入った。
 少し手狭な部屋の中央には、俺達の寝袋や荷物が適当に並べられており、すみに元々部屋を占領していたガラクタが積まれている。
 窓を閉め切る為の窓板は割れかけているが、辛うじて雨風を防いでいるようだ。

 礼拝堂と比べたら、男三人で寝れば随分と暖かくなりそうな部屋である。

「ツカサ君、どうかした?」
「あ、い、いや……」

 部屋の中で座って荷物を整理していたブラックは、三つ並んだ寝袋の真ん中に陣取じんどっている。その意図は丸わかりだが、あえて何も言わないでおこう。
 っていうか今の俺には変な事は突っ込めません。

 バレませんようにと思いながら近付くと、クロウはふわぁとあくびをしてから何事もなく寝袋へと向かった。

「オレは疲れたからもうねるぞ」
「誰も聞いてないけどおやすみ」

 辛辣な事を言いながらも挨拶はきちんとしてあげるあたり、ブラックとクロウの友情ゲージはちょっと上がっているらしい。
 俺が居る場所からは聞こえなかったが、一言二言言葉を交わす程度には仲良くなっているようなので、この分ならもう血で血を洗う惨劇にはならなそうだな。

 その事には少々安堵しつつ、俺はクロウが引きつけてくれる間にさっさと寝袋に入ってしまおうと思いソロソロと残った寝袋へ近づこうとしたのだが――
 運が悪い事に、ブラックに近付いた所で会話が終わってしまった。

 ……あ。やばい。

「ところでツカサ君、明日の事なんだけど…………」
「ひっ」

 ブラックが、至近距離で俺を見る。
 菫色の目は最初こそ俺の顔を見上げていたが、直感で何かおかしい事に気付いてしまったのか、一度俺を上から下まで見て……ある場所に目を止めた。

「…………ツカサ君、ズボン……なんか濡れてない?」
「えっ……そ、そう、かな? 水でもひっかけたかな……?」

 白々しくそう言いながら股間を見ると……ああ何たることか、ズボンの中央部にアカン染みが小さくぽつっと浮き出てしまっていた。

 い、いやでも待て落ちつけ。この年でそんな事は言いたくないが、残尿とか振りが甘かったとか色々逃れる手はある! 落ち着くんだ俺!

 脳内で必死に自分を落ち着かせながら、俺は精一杯の笑顔でブラックに笑う。

「ちょ、ちょっと見るなよもー! 恥ずかしいだろー!」

 行けっ、やるんだ俺! 残尿だと思わせろ!!
 友達に指摘されて恥ずかしいみたいな感じを出すんだ!

 自分を鼓舞しながら俺は必死に「トイレでやっちまいました」感をよそおってみたのだが、良く考えたらその程度のアホみたいな嘘で騙せる奴なら、俺はこんなにも焦って弁解などしなくても良かった訳で……。

「ツカサ君…………正直に言って欲しいんだけどなあ……?」

 あ……ああ…………。
 目が笑ってないですね、ブラックさん…………。

「しょ、正直に……って……」
「まず、ズボンを脱いでもらおうか。……尿なら、色くらいついてるよね?」

 明るくそう言って、顔に陰を作りながらにっこりと笑うオッサン。
 その背後に阿修羅の影が見えたような気がしたが、俺はブラックの顔が怖くて、それを確認する余裕も見失っていた。

 ああ、これか。やっとわかった……。
 クロウの言うお仕置って、アレだけじゃなかったんだね……。

 やっぱりクロウも怒らせると怖いや……ハハ……。
 ……俺さあ、もうこの中年どもと別れたくなってきたなあホント……。












※次回変態プレイやるのでご注意ください(:´・ω・`)マタデススミマセ…
 
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