異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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首都ラッタディア、変人達のから騒ぎ編

  起動

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 足が、痛む。
 まさか、自分が人をかばうなんて思わなかった。

 自嘲にも似た思いを抱きつつ、ブラックは痛みに呑まれそうになる思考を必死で保ち、叫ばないように歯を喰いしばっていた。

(は……はは……まいったね、どうも)

 別に助けようなんて思ったわけじゃない。
 なのに、何故か体が勝手に動いていた。そうして無意識にセインを助けて、自分は今こうして無様に転がっているのだ。
 それは、ブラックには驚くべき事だった。

 他者が戦闘で命を落とすなんて、当たり前すぎて最早憐憫すら湧かない。
 冒険者なら、それまでの命だったなと祈りを捧げてやるくらいが精々だ。
 ブラックも長くそうして来た。なのに、何故、今回だけ。

 じりじりと迫る敵の影に目を細めて、ブラックは解りきった答えに嗤った。

(ツカサ君が、泣くから……)

 そう。全ては、ツカサの為だった。
 ツカサは人が傷つくのを嫌う。仲良くなった者であるなら、その度合いはもっと強くなった。なにせ、巨大な化け物すら助けようとする程のお人好しなのだ。ここでセインが死ねば、きっとツカサは酷く塞ぎ込んでしまうだろう。
 ブラックはそんなツカサを見たくは無かった。

 ツカサの心を独占するような相手は、無残に散った死人であっても許せない。
 だから、助けたのだ。

 別に善意で助けたかったわけじゃない。
 仲間意識が有った訳じゃない。

 死ぬのなら、勝手に死ねばいい。
 だけど、ツカサの前でだけは死なせたくなかった。ただ、それだけだったのだ。

(それで自分が手負いになってちゃ、世話ないけどね……っ)

 痛みで声すら出ない。
 手で触れた足の患部は思っていた以上に深く抉られていて、血が止めどなく溢れ出ていた。

(……ああ、こんな所を…………見せて、しまったら……)

 あの子が。
 一番愛しいひとが――――泣いてしまう。

 痛みに慣れた理性が体を動かし、必死に頭を動かした。
 最早、時間は無いかも知れない。迫る影は自分にとどめを刺そうとしている。
 自分の為に泣くツカサを想像すればこの上ない高揚感に満たされたが、そんな事に酔っている場合では無かった。

 自分は、ツカサを守らねばならないのだ。
 守って、ずっと一緒にいたい。だから、ここで死ぬ訳には行かなかった。
 だけど。

(クソッ……体が、動かない……ッ)

 
 風を切る音が聞こえる。その音は頭上に迫っていた。
 かわせないかと、やけに脳が早く思考を巡らせる。だが体は頭よりもずっと愚鈍で、指一本動かす事すら満足に出来なかった。

 影が近付き、視界の端に石の剣という凶器が映る。

 しかしその視界の真っただ中に――
 涙を流し叫びながら自分に手を伸ばす、ツカサが見えた。

(ツカサ、く、ん)

 時間が止まったかのように、長い間、その光景が目に焼き付く。

 ああ、これが自分が見た最後の光景とは、上出来じゃないだろうか。

 僅かにそんな思いが頭を掠め、ブラックは死を覚悟した。
 その、刹那。

「――――――ッ!!」

 叫び、自分に手を伸ばしたツカサが、止まった。

「――……!?」

 いや、止まったのではない。気を失ったのだ。
 弛緩した首は反り返り、頭は天を向く。そのまま後ろに倒れそうになる姿を見て、思わずブラックは体を起こそうとし――――やっと、異変に気付いた。

「…………剣が、止まっている……?」

 いつまで経っても、頭を割られる感触はやってこない。
 痛みに鈍る体を必死に動かして見上げた頭上には、確かに剣が有った。
 だが、その剣はまるで何かに止められているかのように一分たりとも動かない。振り下ろそうと力の入る剣先は震えるだけで、ブラックに到達する事はなかった。

「馬鹿な……これは、一体……」
「ブラックさん!! はっ、はや、くっ」

 エリーが恐怖に強張る体を必死に動かして、ブラックを剣の間合いから引きずり出す。血溜りがずるりと動いて足が付いて来た。どうやら、切断までは行っていなかったらしい。急にどっと噴き出した汗に視界を取られつつも、命がまだ繋がっていた事に安堵した。
 だが、そんな場合ではない。

「ツカサ、くん……」

 遠くから、ツカサを呼ぶコータス博士の声がする。
 そうだ。ツカサが気を失って倒れたのだ。ここに居させては危ない。
 早く彼を連れ戻すように言わねば、と、ブラックはツカサを見て……瞠目した。

「これ、は…………」

 一体、何が起こっているんだ。
 誰かにそう問いかけずにはいられない光景が、目の前で展開されていた。

「あ、あれ、どうなってんの、ツカサちゃん一体どうしちゃったのさ……!?」

 エリーがブラックの頭上で震えた声を出す。
 だが、誰もその問いに答える事は出来ない。
 ブラックもただ息を呑む事しか出来なかった。何故なら。

 ツカサは、誰かに支えられるようにして――空に浮いていたのだから。

「いや、あれは……」

 ただ浮いているだけではない。
 気を失ったツカサを包むように、透明な球体が光を発している。
 その真下には最上級曜術を使った時の様に、光の輪が発現していた。

 だが、その光の輪は、普通の状態ではない。
 ブラックですら今まで見た事も無かった色を発していた。

 黒、赤、金、紫、自分が視認できる限りの色が次々に光輪から噴き出す。
 その様は混乱するこの場の状態を表すかのように忙しなく噴き上がり、光のたまに守られたツカサを淡く照らしていた。

(なんだ…………なにが、起こって……るんだ……?)

 ツカサは、大丈夫なのか。
 エリーの手を離れ、ブラックは痛みに顔を歪めながらツカサに手を伸ばす。
 その手に、反応したのか。

「…………――」
「ツカサ、君」

 ツカサの頭がゆっくりと仰向けから戻され、こちらを向く。
 そうして、固く閉じていた瞼が、緩く開いた。

(え……)

 瞳の色は、琥珀。
 そう確信していたブラックに見せた瞳の色は、全く違っていた。
 いや、色の定めがない。周囲を取り囲む光輪に煽られ、そのうつろな瞳は炎のように揺らめき、色を際限なく変化させていた。

(いつものツカサ君じゃ……ない……)

 ブラックは思わず言葉を失った。
 その動揺する姿を見たのか、ツカサは薄く唇を開く。

『支配者の権限により、意思を摂行せっこうする』

 喋っていない。直接脳内に響く平坦な声に、ブラックは瞠目した。
 違う、これは、ツカサの声ではない。ツカサの声を借りているが、別の人間の……いや、別の「意思」の声だ。
 思わず青ざめ、ブラックは無理矢理に立とうと体に力を入れた。

(ダメだ、これは違う。ツカサ君じゃない。違う、これは……これでは、ツカサ君じゃなくなる……!!)

 何故か、強くそう思った。
 だが片足が動かない。
 がくんと膝を付き、それでも歩を進めるブラックに、うつろな表情をしたツカサは緩慢な動作で人差し指を突き付けて来た。

『ブラック・バイオレット・アーテル・ブックスに、制限的摂行を行う』

 ツカサがまだ知らない、自分の、真名まな
 それを、この「意思」は知っている。
 目の前で感情のない表情を浮かべている相手を見て、ブラックは息を呑んだ。

「何故、お前は僕の名を……」
『逸脱者の称号により、支配者の権限を感知。誅罰ちゅうばつとして、制限的摂行の効果を執行者の意思の範囲内を限度とし更に低減する』

 何を言っているのか理解できない。
 目を見開いたままのブラックに、ツカサは指を向けたまま僅かに口を動かした。
 刹那、ツカサを包んでいた光の球体に迷路図のような緑光が走り、光輪が一気にその光の強さを増す。強い光が部屋を照らし、寸時、ブラックに向かって光輪から一筋の緑光が放出された。

「ッ!?」

 無意識に目を庇って腕で顔を隠したが、再び光が襲って来る気配は無い。すぐに腕を解いて、ブラックはツカサを見上げた。

 何をされたのかは判らないが、しかし、だからと言って引く意思はない。
 ブラックの脳内に声を送って来る相手が何者か解らない以上、ツカサをあのままにして置く訳にはいかなかった。
 せめて、剣を支えに立ち上がれまいか。
 ブラックは剣を杖代わりにし、満身の力を籠めて体を浮かせた。

「ツカサ、く……」

 体がすんなりと、起き上がる。
 やけに軽い自分の体に、違和感を覚えた。

「ブラック、さん……足……」

 呆気にとられたかのような声を漏らすエリーにつられて、ブラックは酷い怪我をしたはずの自分の足を見る。
 恐らく骨が見えているだろう、血にまみれた患部。
 歩ければ良いのだがと思って今一度確認したその場所には……怪我がなかった。

「な……っ……バカな……!?」

 いや、傷は有る。今しがた塞いだかのような生々しい痕が有り、血も消え去る事は無くべっとりとズボンに染み付いていた。地面だって、赤く染まっている。
 動けるようになったとは言っても、ブラックの足はまだ上手くは動かなかった。
 自分は確かに重傷を負ったのだ。

 なら、何故。
 どうして、傷が塞がってしまったのか。

が……やったのか……」

 信じられない心地でツカサ……いや、ツカサの体を借りている「相手」を見やると、「相手」は相変わらず表情を変えないままゆっくりと瞬きをした。

『第一の意思、最重要とされた、ブラック・バイオレット・アーテル・ブックスの生存を確認』

 人の話を聞いていない。
 いや、聞いていないのでは無く、聞く能力がないのか……?

 あまりの事態に思考が混乱し始め、ブラックは思わず杖代わりにした剣に寄りかかった。そんなブラックをじっと見て、それからツカサは興味を失くしたかのように腕を降ろし、今度は石の兵士の方を向く。

 兵士は未だに静止していて、少しも動かない。
 ツカサはその木偶人形のような姿に目を細め、力の入っていない弛緩した片腕を再び振り上げた。

 途端、兵士は急に動きだし、勢いよく剣を振り下ろす。標的を失った剣は地面に突き刺さり、地を割る鈍い音が響いた。その鋭い音に、その場にいた全員がびくりと肩を竦ませる。だが、ツカサは動じることもなく。

『第二の意思、オートマタ・ゴーレムの排除を摂行せっこうする』

 ツカサを包む光の球体に、再び複雑な迷路図が刻まれる。だがそれは緑の光では無く、青く輝く光に変化していた。

 驚くブラックを余所に、ツカサは振り上げた手を石の兵士に向け目を細める。
 刹那、光輪から再び一閃が走りゴーレムへと突き刺さった。

 だが相手はそれを受け切って、よろめきながらも体勢を戻す。
 その姿は、確かに何らかの攻撃を受けた証拠だ。兵士は、ツカサの攻撃に対して対処していた。ブラックには、その一瞬の光景が見えていたのだ。

(ツカサ君が放った光線に、ゴーレムは一瞬あの緑の光を発した……あれは、曜術封じを発動した時に出したものだ)

 と言うことは、ツカサの周囲に発動していた光輪は、曜術の光なのか。
 しかしこの場には曜気を発するものは何もない。

 ブラックが炎の曜術を発動出来たのは、『あるもの』を所持していたからだ。
 水の術にしろ木の術にしろ、彼が扱える曜気は無かったはず……
 そこまで考えて、ブラックは青ざめた。

(……そうか……あれは、黒曜の使者の力……!)

 曜気を創造し、無尽蔵の力を発動する異能力。
 ツカサは今、自分の意思がないままにその能力を発動しているのだ。

 と、いう事は。
 これは、ツカサが一番恐れていた……【能力の暴走】という事に、なるのでは。

『感知。耐衝撃、オムニス・アーフェルト、黒籠石こくろうせきの消滅を優先』

 ツカサの体が大きく動き、両手を頭上に上げた。
 その両手は剣の柄を握るように空で組まれる。そして、その行動に呼応するように黒い光が周囲に巻き上がった。

 どの属性の光とも異なる、夜闇の暗さに似た、不可思議な光が。

「これは……!!」

 この光を、ブラックは知っている。

 目を見開いたブラックを横目に、ツカサは勢いよく空の剣を振り下ろした。
 刹那、ゴーレムに向かって剣のような巨大な光が一直線に走る。

「アッ……!!」
「うわあぁっ!」
 
 ゴッ、と耳を舐める轟音の風が部屋を満たす。
 それぞれに悲鳴を上げる周囲に耳も貸さず、ブラックは震える息を吐いた。

「ツカサ、君……」

 これは黒曜の使者の力なのか、それとも。
 あまりの事に動けないブラック達を余所に、ツカサは光の球の中で姿勢を戻す。最早戦いは終わったとでも言う様な姿に、思わず石の兵士をみやった。

 兵士はツカサに剣を向けていたが、しかし唐突にがくがくと痙攣し始め……糸が切れたかのように、その場に倒れ込む。それから、二度と動かなかった。
 あの屈強な兵士が、一撃で動けなくなったと言うのか。

 戸惑うブラックに、ツカサは再び顔を向けた。

『ブラック・バイオレット・アーテル・ブックス』

 抑揚のない無機質な口調で名を呼ばれ、ブラックはツカサと……いや、ツカサの体を借りているだろう「相手」と視線をかち合せる。
 は、睨むように見つめるブラックをじっと見返していたが――――
 今度は、確かにツカサの口を使って、ブラックに呟いた。

「道具として使うか、世界の為に殺すか。
 お前に、全てがゆだねられた」

 感情のこもっていない、ツカサらしくない、声。
 ブラックの驚愕を合図にするかのように、ツカサの周囲に吹き上がっていた光輪が消えた。光の珠が、上部から消え去っていく。

 不可思議な目は再び閉じられ、ツカサの体が弛緩する。
 その光景を見て、ブラックは無意識に走り出していた。まだ痛みを訴えもつれる足を必死に動かし、宙に浮く細い身体に手を伸ばす。
 その体は突き放されたかのように、外の世界へ解放された。

 だが、落としはしない。ブラックは彼が地面に倒れる前に辿り着き、しっかりとその軽い身体を受け止めた。

「つ、つかさ……っ」

 体は温かい。息を確認すれば、安らかな吐息が聞こえた。
 死んだわけじゃない。ちゃんと、ここに居る。ツカサは戻って来てくれた。
 まだ意識を取り戻したわけでもないのに確信して、ブラックはその頼りなげな体を思いきり強く抱きしめた。

「ツカサ君……ツカサ君……っ!!」
「…………ん……」

 幼い声が聞こえる。
 無感情ではない、眠っていても「生きている物」だと主張する声が、ブラックの耳に届いた。この体も、声も、今まで自分が愛してきたものだ。
 偽物ではない。
 ツカサは、この腕の中に帰って来たのだ。

「ああ……良かった……っ」

 思わず、目から雫が落ちる。
 その雫がツカサの頬に落ちて、彼はゆるゆると目を開けた。

「…………、ら、っく……?」

 舌っ足らずな、幼さを感じる甘い声。
 重い瞼の間から見える瞳は、深く濃密な琥珀の色をしていた。
 そして。

「ブラック……」
「ツカサ君」
「ブラック……!!」

 目を見張った後、すぐに泣き出したツカサはブラックに抱き着いた。
 それは、どんなに幸せなことだったろうか。
 ブラックはツカサの体を抱き締め返しながら、小さな肩に顔を埋めた。

「ばかっ、バカ……! ドジっ、心配させんなぁ……!!」
「うん……。ごめんね……ごめんね、ツカサ君……」

 これ程までに自分を心配し、涙を流してくれる人がいただろうか。
 今までの人生を振り返ってみても、そんな人間は記憶にない。自分の業を知って受け入れてくれる者など今まで存在しなかった。

 ツカサだけが、こんな自分を心配して、強く思って、素直に泣いてくれる。
 死んでほしくなかったのだと、抱き締めてくれる。

 ブラックを失う事への恐怖で震える体は、ブラックにとっては愛しい以外の何物でもなかった。
 あやすように背中を撫でてやりながら、ツカサの柔らかい頬に自分の格好のつかない頬を摺り寄せる。自分の為に真っ赤にして熱くなった頬は、冷たい自分の肌に心地よかった。

「ツカサ君が僕の為に泣いてくれるなんて……嬉しいよ……」
「うっぐ……ばかっ、ばか、ちくしょうっ、お前はいつも、そんな……っ」
「あはは、ごめん。でもね、嬉しいんだ。ごめんね……」

 泣き止めば、ツカサはまた「恥ずかしい」と怒り出すのだろう。
 だがそれがまた可愛らしい所なのだと思って、ブラックは己の堪え性のない感情に苦笑した。まったく、先程は死線の上に居たと言うのに、自分も相当救えない。だが、それを恥じる気は無かった。
 それすらも、ツカサは受け入れてくれているのだから。

(…………しかし、あの“相手”は……いったい……)


 ――道具とするか、殺すか。それは、お前に委ねられた。


 ツカサの体と力を借りた何者かは、確かに自分にそう言った。
 それは、どういう意味の言葉だったのだろうか。

(何にせよ、また一つ謎が増えちゃったね……)

 この事は、ツカサには言わない方が良いだろう。
 ブラックの背筋を僅かに走る悪寒が、それは正しい事だと告げていた。











 
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