異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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神域島ピルグリム、最後に望む願いごと編

  悪意

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「っ、ふぅ~~……あ~スッキリしたぁ……」

 さすがに立て続けに三度も出すと己の欲望も冷静になって来るようで、今日はこのくらいで止めておこうかと理性が提案して来る。

 本当なら、あと三度ほど軽めに射精して気持ち良くなっておきたかったのだが、そうなると、ツカサの体にも大きく負担がかかる。
 今だって、気絶したツカサの腰を持って無理矢理浮かせ、弛緩と収縮を程良く繰り返す肉穴を思う存分に付き上げているのだ。このまま続けると、明日は動けないかも知れない。そうなると怒られるのはこちらだ。

(もっとセックスしたいけど、我慢我慢。この先あのクソ男が出て来たら、ツカサ君が簡単に攫われかねないもんね……)

 再びペニスを押し込みたくなる衝動をぐっと堪えて、ブラックは腰を引く。
 裸の上半身を寝転んだ熊公の腹の上に預けていたツカサは、そんなナカの感覚に「ん゛ん……」と小さく声を漏らした。それと同時に、引き抜くはじから白濁した液体がいたる所から溢れて来る。

 その光景を見て、ブラックは思わずほくそ笑んだ。

(ふ、ふふ……このまま掻き出してあげたいけど……そうしたらまたツカサ君のナカでイきたくなっちゃうから我慢しなきゃね……)

 白濁を滴らせながらずるずると引き抜くと、ブラックの陰茎の形に開いた尻穴から引き摺られて付いて来た濃い精液が流れ落ちる。
 小さな腰と張りのある丸々とした幼い尻をしているツカサが、犯された事を如実に示すほどに尻穴を開いたまま弛緩させている様は、なんとも倒錯的でいやらしい。

 そんな犯されきった尻も、下品な水音を立てて幼い陰茎を啜られると、びくんびくんと小刻みに反応した。ツカサが気絶してからと言うもの、我慢出来なくなった駄熊が下に潜り込み、事あるごとにツカサのモノに吸い付いていたのだ。

 いくら体がメスとして完成しているからとは言え、局部の快楽には抗えない。
 だがその敏感さは、今まで自分が散々仕込んだからだろう。
 そう思えば、ブラックは満足感に胸が透いた。

「もう終わりか……」

 物惜しげに「ぢゅうっ」とわざとらしい音を立てながら、ツカサの股間の下から熊公が喋りかけて来る。せっかく気分が良かった所に無粋な声が聞こえてしまい、大いに気分が萎えてしまったが、今回の事を思えば怒るわけにも行かずブラックはシーツに残滓を垂らしながらふぅと息を吐いた。

「五六回かそんくらい、充分に啜っただろうが。これ以上やったら、ツカサ君が後から本気で怒るからダメだっての」
「ムゥ……」

 下で明らかに不満げな声を漏らしつつ、寝転んでいた大きな図体が動く。ずりずりと動いたと思ったら、何かに気付いてもぞもぞとやりだした。

「…………おい、ツカサ君の体落とすぞ」
「ヌゥ……母乳が出ればもっと腹いっぱい食べられるのに……」

 そんなふざけた呟きが聞こえて来て、またもや何かを吸う音が聞こえてくる。
 これは恐らくツカサの乳首を吸っているのだろう。自分がマトモだとは言わないが、それでもこの駄熊の行動を見ていると薄ら寒い物が有る。

 すっかり萎えてしまった陰茎をシーツで拭いながら、ブラックは溜息を吐いた。

「どうでも良いからツカサ君から離れろよ。これから綺麗にするんだから」
「せっかちだな」

 どことなく不満そうな声を出したが、ツカサの下で蠢いていた駄熊は緩慢な動きでツカサの下から這い出て彼の体をベッドに預けた。
 最早支えを失ったツカサの体は、そこで力なくへたりこむ。

 自分達と比べると、本当に頼りなく柔らかそうな体だ。
 呼吸で小さく動く肩も頼りなく、その滑らかな背は見ているだけで辿りたくなった。

 しかし、今は彼の裸を愛でている場合ではない。
 風邪を招かぬように早く処理をしてやらねばと思い、ブラックは置けに水を汲みに行くため、一度服を整えて外に出たのだった。



 ――――それから、ブラックは簡単にツカサの体を清めた。

 とは言え、それを面倒臭いと思った事は一回も無い。
 自分に力無くしなだれかかるツカサは人形のようで可愛らしかったし、触れる肌はいつ指を置いても瑞々しくて気持ちが良い。自分達の愛し合った後を確認しながら体を拭くのも観察しているようで楽しく、何よりツカサのナカから自分だけの精液が流れ出て来るのを見つめるのが、一番楽しい光景だった。

(それに、ツカサ君は軽いから別に膝の上に乗せててもちっとも疲れないしなあ)

 ツカサはいつも「俺は平均的身長体重だ!」などとのたまっているが、実際のところ彼の身長も体重もこの世界では未成熟な少年そのものだ。
 男らしく成長する前に止まってしまった、幼さを色濃く残す柔らかい体。その小さな陰茎も、普通に娼姫を探しただけでは絶対に触れる事すら出来なかっただろう。

 ……というか、未成年の子供は“まとも”な方法では犯せない。それを考えれば、今ツカサを好きなように扱っている自分は、何と幸福な存在なのだろうと胸が透く。
 こんな稀有で可愛らしい恋人を婚約者に出来た事は、間違いなく僥倖だ。

 それを思うとこの後始末の時間すら愛おしくて、ブラックはツカサの体を綺麗に拭きながらも、その滑らかな肌にキスをして痕を付けずには居られなかった。

「……ツカサが風邪をひくぞ」
「うるさいなあ殺すぞ駄熊。……チッ、人がいたんじゃゆっくり愛でる事も出来ない」

 駄熊が舐めた頬もしっかりとお湯を含んだ布で拭いてやり、服を着せる。
 面倒だったのでシーツは糸も残さずに焼いてしまったが、まあ備品室に替えは幾らでも有ったので、ここが立ち直る事が有ればどうにかするだろう。

 服を着せて、真新しいシーツの上に寝かせると、圧布を掛けてやる。
 湿った空気だが、そんな場だからこそ体が冷えれば体調を崩しやすくなるものだ。
 すやすやと静かに眠るツカサの愛らしい寝顔を見て、それから……胸の上で少しだけ膨らんで主張しているモノを見つけ、ブラックはニンマリと笑んだ。

(……なんだかんだ、ツカサ君も婚約指輪を大事に持っててくれてるんだよなぁ)

 それに、二度と失くしたくないと言う思いが強いのか、ツカサは「絶対に壊れない鎖を作って」と頼んできたのだ。

 恥ずかしがり屋だから普段は「好き」と言ってくれないが、時折無意識に胸に触れる指輪に手をやったり、気にしてこっそり中を覗いたりしている様を見れば、それだけでブラックは嬉しさが込み上げて来て堪らなかった。
 ツカサは、それほどブラックとの絆が大事で、ブラックが好きなのだと。

(へへ……ツカサ君、本当に可愛い……)

 抱擁やセックスをする事で極上の曜気を与え、溢れるほどの愛を与えてくれる。
 不器用だが、純粋で真っ直ぐで偽りのない愛。
 それを感じる度に、ブラックは昂奮でつい彼を押し倒してしまいそうになるのだ。
 ……しかしそれも、衆人環視の場では出来ないわけで。

「ところでブラック、アレは大丈夫なのか」

 そう言えば後ろにお邪魔虫が居たなと心中で舌打ちをしつつ、ブラックはツカサの額に軽く口付けをしてから振り返った。
 腰に手を当てて我ながら面倒だと示すような格好だが、駄熊はいつもの無表情でジッとこちらを見て来る。何の話だと片眉を上げると、相手は続けた。

「あのマグナという男だ。アレが、来ていたんだろう。部屋の前に」

 そう言いながら、熊はドアの方を指さす。
 褐色の指の先を見るが、そのドアはしっかりと締まっていて外の闇に染まった廊下を完全に遮断していた。今は、明るい室内しかここに無い。
 しかし、この熊が言っているのは「いま」の話ではないのだ。

 それを理解していたブラックは、呆れたように溜息を吐いて肩を竦めた。

「やだなあ、だから思い知らせてやったんじゃないか。あのクソガキが、分不相応にもツカサ君に恋心なんぞ抱いてたから、僕が恋人だって解らせるために」
「それでセックスを見せつける為にオレを一度除けたのは解るが、実際に効果は有るのか? 交尾を見せたで発情期の男は止まるような物ではないと思うが」

 何を言っている、と思わず言いそうになったが、この男は獣人族だ。
 人族とは少し異なる習慣で暮らしている種族なのだから、考え方もそのようなものになるのだろう。それについては理解出来たので、ブラックは片眉を上げた。

「人族は、普通なら一夫一妻だって事を忘れたのか? ああいう童貞臭い手合いは一度セックスを見せつければ勝手に傷付いて逃げるもんなんだよ」

 無意識に手が胸のポケットを探りそうになって、降ろす。
 どうにもイライラし始めている。もしかして、煙草を探しているのか。
 自分の行動に内心焦るが、目の前の駄熊はブラックのそんな言動に気付きもせずに、憤慨したように鼻息を荒く漏らした。

「なんだそれは、オスの風上にも置けん。オスなら戦うのが普通だぞ」
「いーんだよ戦わなくて! 童貞なんて言う自分で自分のケツも拭けないクソガキに、ツカサ君は勿体なさすぎるだろ。それに恋人は僕だ! お前は二番目のオスなんだろう? だったらあの小僧が入る隙なんて無い。群れを守るべきじゃないか」
「……確かにそうだな。これ以上群れにオスが増えても困る。ツカサを孕ませるオスは少ない方が回転率が上がって良い」

 回転率、とは。
 まさかツカサを何度も孕ませるつもりなのだろうか。

 だがそれを考える前に、少し遠くの部屋から何か音が聞こえてブラックは壁の方を向いた。どうやら熊も感じ取っていたようで、耳をぴんと立てて探っている。
 何事かと思っていると、不規則にドン、ドン、と妙な音が壁を伝わって来た。

「…………これは……壁や床になにか叩きつけている音、か?」

 不思議そうに首を傾げる駄熊。
 その意味が解らなかったようだが、ブラックは察しがついて口元が歪んだ。

(ああ……なるほどね……。ハハッ。本っ当、ガキって面倒くさ…………)

 自分の思い通りにならないからと暴れて泣き喚いて、どうせそのうちに逆恨みでもして怒鳴り込んでくるのだろう。精神が未熟な人間に有りがちな行動だった。

 うんざりするぐらい、何度も何度もそんな面倒な感情を押し付けられてきた。
 だが、今は何故か面白くて仕方が無かった。

 あの冷静な面の皮を被っている小僧が、純粋ぶっている相手が、ツカサと自分のセックスを見て童貞臭い嫉妬で暴れ回っている。
 それは、ブラックとツカサを恋人同士だと暗に認めているからだ。

 それをまざまざと見せつけられたあの小僧の感情がどう沸き立ったかなんて、想像するに難くない。自分の意中の相手が、自分より年上の男にしなだれかかって激しく犯される姿を見れば、どんな男だろうが心は激しく揺さぶられるだろう。
 なんてことはない、何度も遭遇した事だ。嫉妬のあまり自分を殺そうとして来た哀れなオスなんて、掃いて捨てるほど対峙した。

(だけど……何でかな…………ははっ、今、凄く気持ちが良いや……っ)

 自然と笑みが湧いてくる。
 ツカサに「友達だ」と言われて、それだけで距離を詰めて懐かれていた男が、自分達の関係を見せつけられ発狂しているのだ。越える事の出来ない関係を、見せつけられて。しかもそれはこちらの非ではない。完全にあの小僧の失態だ。

 あちらが、勝手に「鍵のかかっていないドア」を開けて、自分の意志で「ドアを開き部屋を覗き込んで」きた。ツカサの甘い声に誘われて禁断の扉を開けてしまったのは、あの哀れな小僧の意志に他ならない。ブラックは、ただ「今日に限って鍵を締めなかった」だけだ。

「ははっ……ははははっ……!」
「……ブラック、お前性格が悪いぞ……」

 隣にいる駄熊にそう言われたが、今は否定するような怒りも湧いてこない。
 ただ、ツカサの事を奪おうとしていた男がこれで一人潰れたのだと思うと、笑いが止まらなかった。












※今日も遅れてしまいました、申し訳ないです…!(´;ω;`)
 
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