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イスタ火山、絶弦を成すは王の牙編
13.果てしない執着*
しおりを挟む「ツカサく~ん、ねえねえ、機嫌直してよぉ」
「…………」
「ね~……。あっ、そうだほら、果実水あるよ! ツカサ君甘いの好きでしょ?」
「……」
「美味しいよ~、寝る前に飲もうよぉ。ね~?」
「ええいうるさいな! いらん、飲んだらまた歯磨きしなきゃならんだろうが!」
それに今話しかけるな。俺は怒ってるんだぞ。怒ってるんだからな。
椅子に座ってそっぽを向いている俺に、ブラックがくるくる纏わりついて来る。
だけどどうしても顔を見る気にはなれなくて、目の前に来られるたびに俺は必死で顔を背けてブラックを意地でも見まいと努めた。
……だって。だってこいつ、ら、ラスター達の前であんな恥ずかしいこと……!!
そりゃクロウの前だったら何度かやってる事だし、アドニスの前でも似たような事しちゃったけどさ、でもアレは部屋の中だったし二人いっぺんに見られたりとかしてないし、何より俺達よりまともなラスターにあ、あんな、あんな事してたのを見られたと思うと……。
と、とにかく、嫌だったんだよ!!
こここ恋人だからってやって良い事と悪い事が有るんだっ、そういうのはちゃんとしなきゃ駄目だって何か聞いた事が有るから、今度の今度は怒らないと駄目なんだ!
イヤな事はちゃんとイヤって言わないと伝わらないんだし、ブラックの場合過剰なくらい嫌がらないと解ってくれないから……って、俺ってばなんでそんな面倒な奴と付き合ってるんだろうか……。いやまあ、今そんな事を言っても仕方ないけど……。
とにかく、今度と言う今度は腹に据えかねたぞ。
慌てて飛び出したから何か興奮してる内にブラックの部屋に来ちゃったけど、まあそれは約束してたから仕方ないから良いとして……いや、良くないかも知れないんだけど、それでも怒っている事は示さねばならない。
明日から調査だし、本当はこんな事をしてる場合じゃないんだが、しかしこう言う事は恋人だろうがなんだろうがダメなもんは駄目なんだ。
見せつけられたラスターやアドニスも迷惑しただろうし、クロウだって片棒を担がされたし、なにより俺が恥ずかしくて死にそうだったんだから、そこは何としてでも理解して貰わないと。いくらブラックが自己中だと言っても、それは今までちゃんと怒る人が居なかっただけだろうし、言い聞かせれば解ってくれるはず。
でもその前に、こいつ全然反省してねええんだよこの野郎ぉおおお。
「ごめんってばー。だって、あのクソ眼鏡が僕に“ツカサ君を悦ばせることをさせろ”とか生意気な事言うからムカついたんだもん……。僕とツカサ君は恋人だし、お互いの好きな事とかも理解してるってのにさあ」
「む……」
「それなのに、僕達の事なんてちょっとも知らない外野からあんなコトを言われたんだもん。イラッとしちゃってさあ……。だから、ツカサ君の事は僕がいっちばん良く知ってるってあいつらに思い知らせたかったんだよ」
そんな世迷言を言いながら、ブラックは俺に纏わりついて来る。
だけど、俺はと言うとしょうもない事を言われたってのに、何故だかちょっと心臓がギュッとしてしまっていて。
今の発言のどこにキュンとしたんだと自分に突っ込みたくなるが……悔しいけど、その、正直……一番よく知ってるって言われると、なんか……勝手に心臓が……。
「ふふふ、ツカサ君つーかまえたっ」
思わず胸元を抑えて動機を抑えている隙に、ついにブラックに捕えられてしまう。
そうして、両手で俺の顔を掴んで自分の方へと向かせた。
……最初からそうしてりゃあ良かっただろうに、そんな事もしないで俺が首を振るのに付き合っていたのか。そう思うと悔しい気持ちもあったが、でも目の前で涎でも出そうな蕩けた笑顔を向けられると、怒鳴るに怒鳴れない。
こんなんじゃブラックにちゃんと怒れないじゃないか。俺も俺でおかしいのでは。
でも、なんていうか、こんな間近で笑われたら誰だって言い淀むっていうか……。
つーか、怒らなきゃ駄目だよな、変な事をして人様に迷惑をかけたんだから、俺がちゃんとしないと。注意だけは……。
そう思って、間近に居るブラックにお説教を喰らわせようと睨むが、当の本人は俺と目が合っただけで余計に顔を緩ませて、キスをして来やがる。
そんな雰囲気じゃないってのにいいい。
「ツカサ君、好きだよ……」
「んっ……! やっ、ちょっと、ダメだって……!」
「またまたそんな~。僕と話してるだけで顔が赤くなってたのに、ダメな訳無いでしょ? ふふっ、つ、ツカサ君は怒ってる顔も凄く可愛いくて困るなぁ……」
ちゅっとわざとらしいリップ音を立てて、ブラックが何度も俺の口を啄んでくる。
止めさせたくて必死に相手の肩を押し戻そうとするのに、力量差が有り過ぎて俺の体はどんどん引き寄せられてしまった。
「んんん……っ! んぅう!!」
こんな場合じゃないのに。二度とあんな事をさせないように、ちゃんと怒らなきゃいけないのに。なのに、何度も角度を変えられてキスをされると、どんなに一生懸命頑張っても体から力が抜けて行く。
息が出来なくて、酸素が足りなくなる。
もう座っても居られなくて崩れ落ちそうになる俺を、ブラックが抱えた。
「はっ、はぁ……は……」
「ツカサ君……可愛い……。僕だけのツカサ君……」
「ぁう、う」
頭がぼやけてるのに、強引に揺らされて体を抱え上げられる。
そのままベッドに降ろされてしまったけど、俺は肩で息をするのが精一杯で、まだ動く事が出来なかった。このままじゃ駄目だって理性が言っているのに、体も意識もちゃんと動いてくれない。手を動かしても力が入らなかった。
そんな俺をブラックは幸せそうな顔で組み敷いて、またキスをして来る。
「ん、っう」
頬を撫でて、ちくちくする無精ひげだらけの顔を擦りつけ、口を塞ぐ。
圧し掛かって来た体が近付いて、俺の下腹部に硬い物がぐっと当たって来た。
「っ、ぅ゛っ、んん」
熱い。お腹の肉を弾力のある硬い物でぐいぐいと押されて、体が反応する。
それが何か薄ら理解しているのに、体は拒否をするどころか熱さを思い出してまた変な所がむずむずしてきて……。
「や、ぁ……だめ……だめだって……」
怒らなきゃ。ちゃんとしなきゃ。
俺は嫌だったんだぞって、人に迷惑をかけるなって、おこらなきゃ。
そうは思うのに。
「はっ、はぁっ、はぁあ……え、えっちだよ、つ、ツカサ君……っ。ふっ……ふへ、ふへへ、そんなに僕のペニスが欲しいの……? こんなにとろとろの顔して……」
意識が完全に復活する前に、ズボンと下着を剥ぎ取られる。
風呂に入ったばかりの体はいつも以上に熱を持っていて、ブラックの掌で掴まれた太腿も、今は相手の熱に鈍くなってしまっていた。
だけど、そんな事なんてお構いなしにブラックは俺をくるりと俯せにして、ケツを強引に高く上げさせる。そこに何をするのかと思ったら……たらりと滴るなにかが、上から尻の谷間に落ちて来た。
「ひぐっ……!?」
それだけじゃない、な、なんか、尻にぬめる物体も擦りつけられてる。
上からの液体とぬるぬるした物体のせいで、そこだけがまた濡れてしまう。さっき風呂に入ったばっかりなのに、こんな……っていうかこれって、も、もしかして。
「ぶっ、ブラック!? お、お前まさか」
「ふはっ、つ、ツカサ君、僕のペニス欲しいよね? だって濡らしただけでこんなに穴がぱくぱく開いてちょうだいちょうだいって言ってるもんねえ! さ、さっき悪いことしたお詫びに、今日は寝ながらたっぷり気持ちよくしてあげるから……!」
「ちっ、ちがっ、俺はお前のこと怒らなきゃ……っ! やめろってば!」
熱くてデカいものを尻の谷間に執拗に擦りつけて来るブラックに、慌てて怒鳴る。
やっと意識がちゃんとしてきた俺は背後に振り向くが、相手は目を見開いてゲスい敵役みたいな顔をして笑っていて、完全にキマッてしまっていた。
お、おい、やめるんだブラック。明日は俺も付いて行くんだってば。
こうなると、もう……いや、諦めるんじゃない俺。頑張るんだ。
ほんとにヤバいぞこれは。本腰入れて怒らないと……!
「ブラック! だから俺はなっ、ラスター達の前であんな恥ずかしい事をして、二人に迷惑かけたのがなあ!」
「ん、迷惑? あ、そっかぁ。ツカサ君は見えてないから知らないんだよね。ははっ、ははは、大丈夫大丈夫! あのクズどもはさ、怒るどころか今頃はツカサ君の痴態を思い返して自慰でもやってるよ」
「ばっ……そ、そんなこと」
あるか、と、言おうとして……ブラックの目がもう笑っていない事に気付いた。
見開かれて瞳が収縮した目は、明らかに先程とは違う。
明らかに……普通じゃない、表情だった。
「ぶ……ぶらっく……」
呼びかけるけど、ブラックはその顔のまま、口の端を笑うように歪めて。
「あるよ? だってあの二人、ツカサ君の事が好きじゃない。クソ熊も、あの自己中貴族も、クソ眼鏡も好きじゃないかツカサ君の事……。そんな連中に謝ることなんて何もないよ? だって僕のツカサ君に色目を使ってるんだもの。僕のツカサ君を、僕から取ろうとしてるんだもの。だったら、ツカサ君は僕の恋人だって、僕の物だって見せつけても仕方ないよね? ツカサ君は……もう二度と、永遠にお前らのモノにはならないって!!」
そう、言った瞬間。
「ひっ、ぅ゛……――――ッ!?」
ナカに指を突き立てられて、息が詰まった。
「だっ、大丈夫だよ、ははっ、ツカサ君が気に病む事じゃないよっ。どうせあいつらだって明日は気まずい顔しかしないから!」
「い゛っ、ぁ、あぁあ゛あ゛……! ひ、ぐ、ぃ、ぅう゛う゛……!!」
「あぁ……ツカサ君のこの声も、顔も、僕だけのものだ……恋人の、唯一ツカサ君が頼りにしてくれる僕だけの……!!」
ナカを指で探られて、苦しい。
悲鳴が漏れるけど、それでもブラックは指を抜いて、挿れて、俺の声を楽しむように笑いながら指を増やしていく。
ブラックの温かい体が覆い被さって来て、指で広げられたナカに――――
「ぃ、ぎ……っ!! う゛っぐぅ、ぅ……――――ッ……!!」
体を引き裂かれそうな程に大きい、熱い、中をぎちぎちに満たすもの。
思わず苦しい声が出てしまうが、ブラックは構わずに俺のナカに押し入ってきた。
繋がって、抱き締めて来て、俺をしばって良いようにゆさぶって。
「ツカサ君っ、はっ、はぁっ、ツカサ君っ、ツカサ君……っ」
「ひぐっ、ぅ、うぁあっ、ぁ、やっやらっもっそぇっ、えぁっあぁあやぁあぁ……っ!」
「可愛い声……僕だけが引き出せるツカサ君の一番可愛い声……っ。僕がツカサ君の一番だ、ツカサ君のっ、ツカサくんの……っ!」
おこらなきゃ、おこら、なきゃ。
わかってるのに、ブラックに抱き締められると、たくさん、たくさんナカを満たされると、どうしようもなくなって。気持ち良くて、からだがぞくぞくして、もう何もかもどうでも良くなってしまって…………。
「ツカサ君の傍には、僕だけがいればいい……ッ!!」
低く欲情した声が、吐き捨てる。
その声にすら、俺はもう、何かを言う事すら出来なかった。
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