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ラゴメラ村、愛しき証と尊き日々編
12.ただ触れるだけでも1
しおりを挟む※すみません思った以上に長くなっちゃったので切ります…(;´Д`)
えちは区切りの都合上次が本番です…。すみません_| ̄|○
クロウもやっぱり、色々思う所があるんだよな。
そりゃまあ、そうだよな。クロウは頑張って我慢してるんだ。だったら、俺の我儘で連れ回して歩いてる以上は、少しでもクロウにも良い思いをさせてやらないと。
ブラックが良いって言ってるんだし、少し……少し、体を触らせるくらいは……。
……う、うう……やっぱ駄目だ、俺が言うと自惚れてるみたいにしか思えなくて、こんなのとてもじゃないが恥ずかしくてたまらない。
何なんだよ「触らせてやる」って。俺の体にそこまで価値ないだろっていう。
そら“玉のようなお肌”って奴の美少年なら、一触れするだけで凄い金が動くかもしれないが、俺は普通の男だ。この世界じゃ舐められまくってメス扱いされているが、それはいわゆる「異世界補正」でしかない。
物珍しいから二割増しで見られているだけで、転生してもいない俺に価値が上乗せされた訳ではないのだ。
つまり俺自体のお値段は元の世界のまま変わってはいないのである。
そんなエロ猿男子高校生のままの俺が、他人に対して「触れさせてやろう」って。大泥棒を手玉に取る絶世の美女みたいに、供給側目線な感じの事言っちゃうって。
アカン、考えれば考えるほど自分が恥ずかしくなってきたぞ。
駄目だ、オッサン二人があまりにも俺を過大評価するから、俺も段々と自分の価値を見誤りかけているじゃないか。
だ、だめだ。ここはちゃんとした認識を保っておかないと……。
「ツカサ、どうした?」
いつの間にか抱っこされてしまっている俺に、クロウが首を傾げる。
熊耳がぱたぱた動いているが、その「オッサンに生えている」という事実をも無効にさせる可愛さに流されてはいけない。
この際、抱っこされたままなのは良いとしても、こういう価値観の違いはハッキリ言っておかねば……。そうじゃないと、まともな感性の人に出会った時に「え……お前、その容姿でイキッてんの……?」って言われて恥ずかしい思いをする事になってしまう……! そんなのはいやだー! 慢心したくなーい!!
チクショー、言うぞ、言うからな!
腹を決めると、俺をお姫様抱っこして家路へ急ぐクロウを見上げた。
「あ、あのさクロウ」
「なんだツカサ」
「あの……するのは、イイんだけど……美味しいとか、なんか……褒めるような事は少し控えてくれると助かるんだが……」
そう言うと、クロウは眉間に皺を寄せた。
「何故だ。事実なのに。ツカサは美味しくて可愛いぞ」
「じっ……だ、だから、あの……クロウやブラックがそう思ってくれるのは嬉しいんだけど、俺はやっぱり一般的にはそうでもないと思う訳で、その感覚を失いたくない訳よ。だから、あ……あんまり、褒めると……駄目っていうか……」
こういうお願いは却下だろうかと見上げると、クロウは不思議そうに目を丸くしていたが……何か納得したのか、ふむふむと頷きながら俺を少し抱き直した。
「なるほど。ツカサは抱かれる時には、本当の事で褒められるよりも、エッチな事を言われて虐められる方が良いのだな」
「は!?」
待て待て待て俺そんな事一言も言ってないんだけど、言ってないんだけど!
慌てて否定しようとするが、クロウは勘違いしたまま「照れるな、オレはツカサのしたいようにしてやるぞ」とかなんとか言って、ずんずん進んでしまう。
何故そうなるのかと暴れるが、もう家が見えて来て警備をしている兵士の人の姿がうっすらと見えてくる。流石にこの格好はヤバい。
誤解を解く前に降ろして貰わなければ……っ。
「くっ、クロウ! 降ろして、こっからは自分で歩くから!!」
「ム……? ツカサ、もしかしてオレに抱かれるのは嫌なのか……?」
「いや、あの、そうじゃなくて……」
「違うのか。…………ああ、そう言う事か。解ったぞ」
えっ。解ったぞって……なに?
どういう事だろうかと思いながら頭の上にハテナマークを浮かべていると、クロウは急に道を逸れて、草原を横切りながら家の裏へと俺を連れて行く。
何が解ってこんな行動をしているのだろうかと思っていると――クロウは家の柵をひょいと乗り越えて、壁の前でやっと俺を降ろした。
…………なんか、嫌な予感が……。
「クロウ……?」
恐る恐る呼ぶと、クロウは陽を遮るかのように俺の目の前に立って目を細めた。
その姿は、なんだか……ちょっと、怖くて……。
「ツカサ、家に帰る前にオレに食事をさせたかったんだろう?」
「え……」
「家にはブラックがいるだろうからな。ツカサは恥ずかしがりだから、ブラックに面と向かって『食事をさせて来る』とは言えんのだろう? だから、今ここでオレにたっぷり食べさせてやる為に、そのまま帰ろうとしなかったと。そう言う事だな」
えええぇ……そ、そんな事思ってないのにとんでもない事に……。
だけど、言われてみれば確かにブラックに「今から一発行ってくらぁ!」とは言えないし、絶対怪しい感じになっちゃうだろうし……。でも、ブラックは隠し事をするなって言ってたから、だったら今ここでやっちゃうのは……。
「あ、あの、クロウ、やっぱちゃんと言いたい……かも……だから、その……」
少し待ってくれないだろうか、と言おうとしすると……クロウが俺の口を指で軽く抑え込み、悲しそうに顔を歪めた。
「……また、我慢か?」
「う…………」
そう言いながら耳を伏せる相手に、言葉が引っ込んで何も言えなくなる。
思わず眉根を寄せた俺に、クロウは切なそうな声で懇願するように言った。
「ツカサ、お前がオレのために遠慮してくれているのは解る。だが、オレはお前の体に触れられるのなら、半殺しにされる事だって別に構わない。それぐらい、オレはお前に触れたいんだ。……だから、オレの事を思うのなら……オレのするがままを受け入れてくれ……」
「クロウ……」
指に閉じられた口を動かすと、クロウは俺の髪を梳くように前髪をさらりと撫で、それから……俺の首筋に、口付けた。
「んっ……!」
「ツカサ……今ここで、お前が欲しい……」
「っ、ぁ……!」
耳のすぐそばで、低い声で囁かれて、体がぞわりと粟立つ。
無意識に硬直したが、クロウはそんな事など構わずに俺の首筋に舌を這わせてちろちろとなぞると、シャツの中に手を入れて来た。
「ぅ、あ」
大きくて熱い、少しかさついた手が、腹から上がってくる。
その感触が体の奥の熱を疼かせるみたいで、何だか恥ずかしい。耐え切れずに身を捩ると、クロウは軽く笑ってシャツをわざとたくし上げるように腕をぐっと入れる。
そうして、俺の胸を掌で包んできた。
「触れただけで感じるのか? ツカサは本当に男好きのする体だな……」
「や……そんな、こと……言うな……っ」
家にブラックが居るかもしれないと思うと、声が小さくなってしまう。
そんな俺をあざ笑うかのように、クロウは俺の胸をゆっくりと揉み始めた。
「何故否定する? こんな柔らかい胸で誘って来るなんて、男に犯されたがっているようなものだろう」
「っ、や……っ」
くっ、クロウ、何言って…………アッ、ま、まさか……さっきの「えっちな言葉で虐めて云々」とか言うのを実行してんのか!?
おいおいちょっと待ってくれよ、俺そんなつもりじゃないんだって!
つーか生真面目に言わなくていいんだってばクロウ!
「クロウ、違……そ、そう言うえっちな事を言って欲しいわけじゃ……っ」
「胸を軽く揉んだだけでもう顔が真っ赤だな……では、ここはどうだ?」
制止しようとした矢先に、クロウは俺の声を強引に遮って指の腹で乳首の所を撫で回して来る。それだけでも俺を黙らせるには十分だったのに、指はまだ立ち上がっていない先端の所まできゅっと押して擦ってきて。
そんな事されたって、ほんとは、ほんとは感じる事なんてないのに、俺は。
「っんぅう……!」
「ほら、すぐに声が上がる……まるで女の肉芽のような感度だな。優しく乳首を弄られた程度で喘ぐなんて、娼婦でもそうはいまい。ツカサ、お前は本当に淫乱だな」
「ちっ、ちがっぁ、やだっ、や……だめ、つ、突いたらだめだってぇ……!」
「野外でいやらしい言葉をかけられて興奮したか。まったく……乳首がもう固くなってきたぞ? 本当にツカサはいやらしい言葉が好きだな……」
違う、そんなの絶対に違う。
だって変なんだ、俺、ブラックとクロウに触られた時だけはこんなになって、自分じゃどうにも出来ないくらい、体が熱くなっちまうんだよ。
こんなの、俺のせいじゃない。二人が変な風に弄るから。
俺にずっとイタズラして来たから、俺の体が条件反射でもうこんな風になるんだ。だから、違う。興奮なんかしてない。二人がたくさん、えっちなことするから……!
「ん? 不満そうだな。ではやめるか?」
そう言いながらすぐに手を引っ込めたクロウに――
「あっ……」
思わず、声が出てしまう。
「……………………」
……あ……?
あって、なんだ。何だよ「あっ」てえええええ!!
わあああバカバカバカなに不満そうな声出してんだ俺のアホおおおお!!
ぎゃーっ、いやだこっち見んな、そんな顔でこっち見ないでクロウぅうう!
「ふふ……可愛いな、ツカサ……。いやらしい言葉がそんなに気に入ったのか」
「だっ、だから、違うってば……!」
「まあそれも当然か。ブラックがいつも淫らな言葉でツカサをいじめているからな。こんな事を言われて、興奮してしまうのも仕方がないと思うぞ、ツカサ」
「うぅうううう……」
なんでそんな事言うんだよ、馬鹿、違うのに、そういうんじゃないのに。
俺は変な事言われて興奮するなんて……っ。
「嬉しいんだろう? ツカサ」
そう言いながら、クロウはシャツの上から俺の胸をまた触って来る。
軽く撫でられてるだけなのに、でも、それでも俺は大きな手に触られる感触にぞくぞくしてしまって、顔が凄く熱くて涙目になってしまっていて。
違うって思ってるのに、股間の辺りが熱くなるのが自分でも解ってしまい、それが更に俺を追い詰めるようで、勝手に涙が出てくる。
「う……」
こんな事で泣くなんて恥ずかしいって解ってるのに、でも、いつもとは違う感じでクロウが俺を攻めて来るから、だから、何だか余計に……。
責められているみたいで、胸が詰まってしまって。
「っ!? つ、ツカサ、なんだ、何故泣く!?」
うあ、や、ヤバイ。勢い余って泣いてしまったのか。
慌てて顔を拭おうとするが、しかしクロウは俺の手を取って心配そうに顔を近付けて来る。その態度は、先程までのらしくない意地悪な態度じゃなくて、いつもの……こういう時だけ、表情豊かな……クロウの顔で。
「す、すまんツカサ、加減が解らなかった……なんだ、何が嫌だったんだ?」
「あ……あの、えっと……ごめん、そうじゃ、なくて……」
「ン……?」
心配そうに俺を見つめて来るクロウに、なんだかホッとしてしまって。
俺は、思っていた事をつい口にしてしまった。
「その……俺、やっぱり……いつものクロウの方が……いい……」
「ツカサ……」
意地悪な事を言うクロウよりも……やっぱり、いつもみたいに興奮しすぎで色々と言ってしまう素直なクロウの言葉の方が……いい。
同じような意地悪な言葉でも、やっぱり違うんだよ。だから。
「クロウ……」
弱々しい声で思わず名前を呼んでしまうと、相手は俺の顔を真剣な表情で見つめて――――何かを決心したかのように、鼻息を荒く噴き出しながら、俺の肩をがっしと掴んだ。
「解ったぞ、ツカサ……。オレも、そう言って貰えて嬉しい。だから……これからは部屋で、たっぷりとお前に睦言を囁いてやる」
「え……」
「ずっと……ずっと、ツカサに満足に触れられなかったからな。……オレも丁度、言いたい事が沢山あったんだ。さあ、中に入ろう。さあ早く」
そう言うと、クロウはすぐそばにあった窓を開けて、俺を部屋の中に放り込んだ。
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