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第二十八話 勉強会の休憩は、ローズヒップティーのハイビスカスブレンドで①
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「うんんんん……この漢字の読みを答えよ……。なんて読むのこれー?」
アリスは休憩時間、店の片隅に設えてあるテーブルで勉強していた。
手始めに国語の過去問を開いてみたのだが、ちんぷんかんぷん。
十五歳以来まともに勉強してこなかったツケが、こんな形で自分に返ってきてしまい、アリスは頭から煙がでそうだった。
「2は政権を掌握するだよ。3は惜別」
「わわ、コウキ! あんたこれ読めるの? 頭いいんだね」
買い物に来ていたコウキが、ひょっこりと顔をのぞかせた。
アリスの横から問題をのぞき込んで、スラスラと読み上げていく。
「読みなんて前後の文から推測でどうにかなるから、この次、同じ漢字を使うものを探せってのをやった方がいいよ。“エンチュウの体積”と同じエンを使うのはどれ」
「わからない。えーと、答えは後ろのページの……」
「一秒くらい考えようよ」
アリスは早々に諦めて回答ページを開こうとする。
コウキは事情があって高校をやめてしまったが、もともと学年で常に三本指に入る成績優秀な生徒だった。
向かいの席について自分もノートを開いた。そこにアリスが飛ばそうとした問題の漢字を書いていく。
「ちょ、それあんたの日記帳でしょ」
「べつにいいよ、鉛筆だから消せるし。その過去問、俺も受験の時使ったから覚えているよ。アリス、問題の答えだけ丸暗記しても意味がない。全く同じ問題が出ることはないから、漢字については漢字ドリルをやった方がいいと思う」
「えええ……」
普段はアリスの方が姉のようなやりとりなのだが、今回はどちらが年上だか分からない状況になっている。
歩は笑いながら、二人にお茶を出す。
ガラスのティーカップで波打つのは、ハイビスカスとローズヒップのブレンドティーだ。
小皿に黒糖クルミをいれて、お茶菓子として添える。
「好きなタイミングで飲んで。ずっと参考書を見ていると疲れるでしょ」
「わ、ありがと店長さん」
「ありがとう、歩さん」
二人はお茶で喉を潤しながら、ひょいと黒糖クルミをつまむ。
お茶を一口飲んで、コウキが目を輝かせる。
「これ甘酸っぱくておいしいね。なんてお茶? 色もすごくきれいだな」
「ハイビスカスとローズヒップをブレンドしたハーブティーよ。ビタミンCが豊富でお肌にも優しいから、礼美さんにも良いのよ~」
「そっか! じゃあ買って帰ろっと」
アリスは休憩時間、店の片隅に設えてあるテーブルで勉強していた。
手始めに国語の過去問を開いてみたのだが、ちんぷんかんぷん。
十五歳以来まともに勉強してこなかったツケが、こんな形で自分に返ってきてしまい、アリスは頭から煙がでそうだった。
「2は政権を掌握するだよ。3は惜別」
「わわ、コウキ! あんたこれ読めるの? 頭いいんだね」
買い物に来ていたコウキが、ひょっこりと顔をのぞかせた。
アリスの横から問題をのぞき込んで、スラスラと読み上げていく。
「読みなんて前後の文から推測でどうにかなるから、この次、同じ漢字を使うものを探せってのをやった方がいいよ。“エンチュウの体積”と同じエンを使うのはどれ」
「わからない。えーと、答えは後ろのページの……」
「一秒くらい考えようよ」
アリスは早々に諦めて回答ページを開こうとする。
コウキは事情があって高校をやめてしまったが、もともと学年で常に三本指に入る成績優秀な生徒だった。
向かいの席について自分もノートを開いた。そこにアリスが飛ばそうとした問題の漢字を書いていく。
「ちょ、それあんたの日記帳でしょ」
「べつにいいよ、鉛筆だから消せるし。その過去問、俺も受験の時使ったから覚えているよ。アリス、問題の答えだけ丸暗記しても意味がない。全く同じ問題が出ることはないから、漢字については漢字ドリルをやった方がいいと思う」
「えええ……」
普段はアリスの方が姉のようなやりとりなのだが、今回はどちらが年上だか分からない状況になっている。
歩は笑いながら、二人にお茶を出す。
ガラスのティーカップで波打つのは、ハイビスカスとローズヒップのブレンドティーだ。
小皿に黒糖クルミをいれて、お茶菓子として添える。
「好きなタイミングで飲んで。ずっと参考書を見ていると疲れるでしょ」
「わ、ありがと店長さん」
「ありがとう、歩さん」
二人はお茶で喉を潤しながら、ひょいと黒糖クルミをつまむ。
お茶を一口飲んで、コウキが目を輝かせる。
「これ甘酸っぱくておいしいね。なんてお茶? 色もすごくきれいだな」
「ハイビスカスとローズヒップをブレンドしたハーブティーよ。ビタミンCが豊富でお肌にも優しいから、礼美さんにも良いのよ~」
「そっか! じゃあ買って帰ろっと」
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