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第十七話 冬瓜つみれスープと、初斗の危険な賭け①

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「はーい、アリスちゃん昨日はお疲れ様。今日は冬瓜を使いましょ」

 七夕祭が終わった翌日。
 ワンダーウォーカーは通常営業をしていた。
 スーパーで特売だった鶏ひき肉と冬瓜とうがんがあるので、本日のまかないは冬瓜スープを作る。

「あたし、冬瓜ってあまり食べたことないです」
「いま冬瓜料理を覚えたら家で作るのにも役立つわよ」
「がんばる」

 アリスに冬瓜とレンコンの皮むきをお願いして、鍋に鶏ガラスープを用意する。
 冬瓜はわたを取り薄いいちょう切りに。レンコンはおろし金ですりおろす。

「レンコン、おろしちゃうんです?」
「ええ。筑前煮や天ぷらのイメージが強いでしょうけれど、すりおろしてもおいしいのよ。ひき肉と併せてこねて、塩と生姜、片栗粉を入れて……」
「もしかして、つみれ?」
「ご明察よ」

 スプーンでつみれのタネをすくい、熱々のスープに落としていく。
 火が通ったら、冬瓜を入れる。冬瓜が透き通ってきたら火を消して、溶き卵を回し入れる。

「さ、これで完成!」
「おいしそう」

 炊きたてご飯といっしょにいただきます。
 アリスはレンゲでつみれをくずしつつ、口に入れる。

「あちちち、夏に熱いスープって意外といいですね。とろみがあっておいし」
「レンコンと片栗粉の効果ね。夏バテと冷え性予防にいいのよ」

 冬瓜を白米に乗せて、一緒に食べる。これがとてもおいしい。
 食後にルイボスティーを飲んでいると、店のベルが鳴った。

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