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第九章
9-3 発見、そして救出
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「うぉ、結構広いな…。」
ボス部屋には負けるが、それなりの大きさがある。
向こう側に3匹のバジリスクが見える…。
ん? 何か違う…。普通のバジリスクの大きさでじゃない。
既に3人は走り始めている。
マズい!このまま行くと彼女たちがやられる…、瞬時に感じた。
「マズい、下がれ!」
途中まで行った3人は走るのを止め、すぐさまバックしてくる。
3人が戻るのを確認し、フリーズを前方に放った後、バリアーを張る。
外側は一気に寒くなるが、バリアーの中は徐々にしか温度が下がらない。
寒さも我慢できるくらいになった頃、バリアーを解き前方を見る。
綺麗な3体の彫像が出来上がっていた。
「はぁ、カズ様は加減というものを知らないんですね。」
「すまん…。ここまで威力があるとは思っていなかった…。」
そんなにマナを込めた訳じゃないのだが、かちんこちんに凍っている。
マナの質が良くなったのか、魔力が向上したのか…、というところだろうか。
「で、この凍ったバジリスク・ジャイアントだが、どうする?」
「主殿、叩けば壊れますので、それでおしまいにしましょう。」
「そうか、しかしドロップした肉が凍ってたら困るよね。」
「それは…、壊してから確認しましょう。」
はい。大丈夫でした。
ちゃんとしたバジリスク・ジャイアントの肉でした。
さらに1体からは牙が、もう1体は皮が出ました。
「トーレスさんが喜ぶだろうな…。」
そんな事を言いつつ部屋を抜けようとするが、部屋の一か所だけ土が盛り上がった場所を見つけた。
「ナズナ、あの塚のようなものは何だ?」
「あれは…、さて、何でしょうか?」
とりあえず近寄ってみる。
「中は空洞のようだが…」
「割ってみますか?」
「ただ、バジリスクのちっちゃいやつが出てくるかもしれないから、準備だけはしておいて。
それじゃ、穴掘るぞ、ディグ!」
塚に向かって土魔法で掘っていくが、すぐに塚が崩壊した。
「ありゃ、崩れたね。」
「主殿、中にヒトが!」
中には5人のヒト、と呼ばれるモノが横たわっていた。
「こいつらが捜してたCランクの奴だな…。」
「そうですね。しかし、既に石化しています。」
「うん…。さて、どうするか…。」
「お館様が5人の石化を治癒すれば、確実にマナ不足になりますね。
そうすると、マナポーションを飲むこととなりますが…。」
「ですね…。あれはあれで好きなのですが、この場所では流石に…。」
「ディートリヒさん、何を甘い表情をしておるのですか?
先ずは安全なところに彼らを移動して、そこで治療するのが良いかと思うのですが…。」
「そうですね…。ベリルの言う通りですね。
では、一体ずつ移動しましょうか。」
うん、俺完全にアウェイ。
多分マナ中毒の事を言っているんだと思うけど、意識なかったら…。無罪という事で…。
それにしても5体を4人に運ぶには何度も往復する必要があるよな…。
こういうときアイテムボックスって利用できないものなのかね?
「なぁ、アイテムボックスは使えないのか?」
「お館様、アイテムボックスは基本モノを運ぶためのバッグです。
その中に生きている者を入れることなんてできません。」
「そうなのか?」
俺はナズナを背中につまんでアイテムボックスに入れようとしたが、やはり入らなかった。
「お館様、な、何をしてらっしゃるんですか!」
「いや、入るかなと思って…。」
「そういう実験はアイナでやってください。」
「はい…。すみません。」
アイナならいいんだ…。
「という事は、やはり死んでいる者しか入らないって事だな。
んじゃ、入らなかった者は生きているという事か…。」
俺は申し訳ない気持ち半分、好奇心半分で5体の石化したヒトをバッグに入れる事を試す。
一体目…失敗、生きてます!
二体目…失敗、生きてます!
三体目…成功、ん?てことは死んでいるって事か…。
四体目…失敗、生きてます!
五体目…成功、お亡くなりになっております。
「すまん…、今残っている3つの石像を運び出そう。
後は残念だけど、もう亡くなっている…。」
「そうですか…、仕方ありませんね。
では、一番安全な場所となると、上の階のモンスターボックスの次の部屋ですね。」
「そこまで石像を運ぶのは正直キツいかも。」
「いえ、そんな事はありません。石化といっても、石化は表面と内部だけで、肉とかはそのままですから…。」
「え、そうなの?」
「そうでないと、バジリスクの雛の餌にはなりません。」
「え、バジリスクって石化したヒトを食うの?」
「お館様、魔物はヒトを食べますよ。アラクネであれば麻痺させてヒトの体の中に卵を産み、卵からかえった幼体は麻痺したヒトの内臓を食べて大きくなります。
バジリスクはヒトを外と中を石化して肉を食べるという事になりますね。」
「ごめん…、吐きそう…。」
でも、そう言う事なんだよな。
ヒトだって魔物を食う訳だから、魔物だってヒトを食うんだ。それが肉なのか内臓なのか、マナなのかは分からないけど、生きる死ぬって事はそういう事だ。
俺も重要な事を忘れていた。
「ごめん。大切な事を思い出させてくれてありがとう。
それじゃ、みんなで運ぼう。」
・
・
・
おっさんには重労働でした。
確かに石よりは軽いのだが、何せ灰色っぽい石?カルシウム?
石化というのは、腎臓にできる石と一緒なのかもしれない…。でも重い…。
19階層のモンスターボックスも3人の連携で危なげなく倒すことができた。
これが一番の成果だな。
俺はバリアーを張り安全地帯を確保し、一息つきながら3体の石化したヒトを見る。
男と女性1名は死んだか…。
ここに残っている3名は女性ばかりか…。
「さて、石化を治癒していくんだが…。」
「それより、カズ様、テントを2張お願いします。
3名を1張に置き、出てこれないように結界をかけてください。とは言ってもあれだけの石化ですから、一晩は動けないと思いますが…。
もう一つの方はカズ様と私たちのテントですが…、あの…、音の遮断をお願いします。それと、お風呂の準備も…。」
「ごめんな。ディートリヒ、そんなに凄いのか…?」
「それはもう…、ふふ。それに久しぶりですので。」
「主殿、何があるのか?」
「あ、マナポーションを飲みすぎると、俺が豹変するんだって。」
「はい。それは甘美なモノを通り越し、凄いに尽きます!」
「そうなんだ…、みんなごめんな…。」
「いえ、カズ様、謝らないでください。
そうしてもらいたいのも私たちなのですからね。」
「はい…。善処します。
っと、それじゃ治癒魔法をかけていくよ。」
一人ずつ石化解除をイメージした“スーパーヒール”をかけていく。
うお!一人目で半分以上マナが抜けた気がする。
一本マナポーションを飲む…、美味しくない…。
ふと、飲むのをやめる。
「なぁ、何でこの女性裸なんだ?」
「お館様、衣服の石化は解くと粉々になります。」
「んじゃ、何故内臓は粉々にならないんだ?」
「それは内臓を直接見ている訳ではありませんが、お館様の“スーパーヒール”のお力かと…。」
つまりは、あれです。
衣服とかはどんな素材なのか分からないから石化しても復元できない、でも内臓は中身を知っているから、石化しても再生できるとう事ですか?
完全なチートじゃん。それにラッキース〇ベな状態ではないですか!
「でも、エルフの郷ではそんな事なかったぞ。」
「あの時は石化したヒトの上に毛布がかけられていましたよ。」
「あ、そうだっけ?」
完全に忘れていた…。
「でも、彼女たちの装備とか無くなったら、一文無しになるんじゃないのか?
お金がなければ奴隷にでもなるのか?」
「そこはカズ様が御雇いになれば良い事です。」
何故ディートリヒがふんすかする?
それに、もうお腹いっぱいですよ。
「あのな…、俺はディートリヒやナズナ、ベリルにスピネル、そしてメリアさんで十分なんだけど。」
「それだけでは足りません。カズ様の偉業は私たちのような女性を救うことです!
それに、5人中3人生き残っても、彼女たちはもう冒険者をやめることとなるでしょう…。
2人死んだのですから…。」
「そんなものなのか…。」
「はい。心が折れてしまえば冒険者、即ち“危険を冒す者”ではなくなります。」
言い得て妙だ。ストンと落ちた。
「分かった。まぁ、後のことは彼女たちに任せるとし、あと2人魔法をかけていくから、後はたのんだよ。」
「はい。お任せください。楽しみにしております。」
残り2人にマナポーションをがぶ飲みし、“スーパーヒール”をかける。
そして、案の定、意識が飛んだ…。
ボス部屋には負けるが、それなりの大きさがある。
向こう側に3匹のバジリスクが見える…。
ん? 何か違う…。普通のバジリスクの大きさでじゃない。
既に3人は走り始めている。
マズい!このまま行くと彼女たちがやられる…、瞬時に感じた。
「マズい、下がれ!」
途中まで行った3人は走るのを止め、すぐさまバックしてくる。
3人が戻るのを確認し、フリーズを前方に放った後、バリアーを張る。
外側は一気に寒くなるが、バリアーの中は徐々にしか温度が下がらない。
寒さも我慢できるくらいになった頃、バリアーを解き前方を見る。
綺麗な3体の彫像が出来上がっていた。
「はぁ、カズ様は加減というものを知らないんですね。」
「すまん…。ここまで威力があるとは思っていなかった…。」
そんなにマナを込めた訳じゃないのだが、かちんこちんに凍っている。
マナの質が良くなったのか、魔力が向上したのか…、というところだろうか。
「で、この凍ったバジリスク・ジャイアントだが、どうする?」
「主殿、叩けば壊れますので、それでおしまいにしましょう。」
「そうか、しかしドロップした肉が凍ってたら困るよね。」
「それは…、壊してから確認しましょう。」
はい。大丈夫でした。
ちゃんとしたバジリスク・ジャイアントの肉でした。
さらに1体からは牙が、もう1体は皮が出ました。
「トーレスさんが喜ぶだろうな…。」
そんな事を言いつつ部屋を抜けようとするが、部屋の一か所だけ土が盛り上がった場所を見つけた。
「ナズナ、あの塚のようなものは何だ?」
「あれは…、さて、何でしょうか?」
とりあえず近寄ってみる。
「中は空洞のようだが…」
「割ってみますか?」
「ただ、バジリスクのちっちゃいやつが出てくるかもしれないから、準備だけはしておいて。
それじゃ、穴掘るぞ、ディグ!」
塚に向かって土魔法で掘っていくが、すぐに塚が崩壊した。
「ありゃ、崩れたね。」
「主殿、中にヒトが!」
中には5人のヒト、と呼ばれるモノが横たわっていた。
「こいつらが捜してたCランクの奴だな…。」
「そうですね。しかし、既に石化しています。」
「うん…。さて、どうするか…。」
「お館様が5人の石化を治癒すれば、確実にマナ不足になりますね。
そうすると、マナポーションを飲むこととなりますが…。」
「ですね…。あれはあれで好きなのですが、この場所では流石に…。」
「ディートリヒさん、何を甘い表情をしておるのですか?
先ずは安全なところに彼らを移動して、そこで治療するのが良いかと思うのですが…。」
「そうですね…。ベリルの言う通りですね。
では、一体ずつ移動しましょうか。」
うん、俺完全にアウェイ。
多分マナ中毒の事を言っているんだと思うけど、意識なかったら…。無罪という事で…。
それにしても5体を4人に運ぶには何度も往復する必要があるよな…。
こういうときアイテムボックスって利用できないものなのかね?
「なぁ、アイテムボックスは使えないのか?」
「お館様、アイテムボックスは基本モノを運ぶためのバッグです。
その中に生きている者を入れることなんてできません。」
「そうなのか?」
俺はナズナを背中につまんでアイテムボックスに入れようとしたが、やはり入らなかった。
「お館様、な、何をしてらっしゃるんですか!」
「いや、入るかなと思って…。」
「そういう実験はアイナでやってください。」
「はい…。すみません。」
アイナならいいんだ…。
「という事は、やはり死んでいる者しか入らないって事だな。
んじゃ、入らなかった者は生きているという事か…。」
俺は申し訳ない気持ち半分、好奇心半分で5体の石化したヒトをバッグに入れる事を試す。
一体目…失敗、生きてます!
二体目…失敗、生きてます!
三体目…成功、ん?てことは死んでいるって事か…。
四体目…失敗、生きてます!
五体目…成功、お亡くなりになっております。
「すまん…、今残っている3つの石像を運び出そう。
後は残念だけど、もう亡くなっている…。」
「そうですか…、仕方ありませんね。
では、一番安全な場所となると、上の階のモンスターボックスの次の部屋ですね。」
「そこまで石像を運ぶのは正直キツいかも。」
「いえ、そんな事はありません。石化といっても、石化は表面と内部だけで、肉とかはそのままですから…。」
「え、そうなの?」
「そうでないと、バジリスクの雛の餌にはなりません。」
「え、バジリスクって石化したヒトを食うの?」
「お館様、魔物はヒトを食べますよ。アラクネであれば麻痺させてヒトの体の中に卵を産み、卵からかえった幼体は麻痺したヒトの内臓を食べて大きくなります。
バジリスクはヒトを外と中を石化して肉を食べるという事になりますね。」
「ごめん…、吐きそう…。」
でも、そう言う事なんだよな。
ヒトだって魔物を食う訳だから、魔物だってヒトを食うんだ。それが肉なのか内臓なのか、マナなのかは分からないけど、生きる死ぬって事はそういう事だ。
俺も重要な事を忘れていた。
「ごめん。大切な事を思い出させてくれてありがとう。
それじゃ、みんなで運ぼう。」
・
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おっさんには重労働でした。
確かに石よりは軽いのだが、何せ灰色っぽい石?カルシウム?
石化というのは、腎臓にできる石と一緒なのかもしれない…。でも重い…。
19階層のモンスターボックスも3人の連携で危なげなく倒すことができた。
これが一番の成果だな。
俺はバリアーを張り安全地帯を確保し、一息つきながら3体の石化したヒトを見る。
男と女性1名は死んだか…。
ここに残っている3名は女性ばかりか…。
「さて、石化を治癒していくんだが…。」
「それより、カズ様、テントを2張お願いします。
3名を1張に置き、出てこれないように結界をかけてください。とは言ってもあれだけの石化ですから、一晩は動けないと思いますが…。
もう一つの方はカズ様と私たちのテントですが…、あの…、音の遮断をお願いします。それと、お風呂の準備も…。」
「ごめんな。ディートリヒ、そんなに凄いのか…?」
「それはもう…、ふふ。それに久しぶりですので。」
「主殿、何があるのか?」
「あ、マナポーションを飲みすぎると、俺が豹変するんだって。」
「はい。それは甘美なモノを通り越し、凄いに尽きます!」
「そうなんだ…、みんなごめんな…。」
「いえ、カズ様、謝らないでください。
そうしてもらいたいのも私たちなのですからね。」
「はい…。善処します。
っと、それじゃ治癒魔法をかけていくよ。」
一人ずつ石化解除をイメージした“スーパーヒール”をかけていく。
うお!一人目で半分以上マナが抜けた気がする。
一本マナポーションを飲む…、美味しくない…。
ふと、飲むのをやめる。
「なぁ、何でこの女性裸なんだ?」
「お館様、衣服の石化は解くと粉々になります。」
「んじゃ、何故内臓は粉々にならないんだ?」
「それは内臓を直接見ている訳ではありませんが、お館様の“スーパーヒール”のお力かと…。」
つまりは、あれです。
衣服とかはどんな素材なのか分からないから石化しても復元できない、でも内臓は中身を知っているから、石化しても再生できるとう事ですか?
完全なチートじゃん。それにラッキース〇ベな状態ではないですか!
「でも、エルフの郷ではそんな事なかったぞ。」
「あの時は石化したヒトの上に毛布がかけられていましたよ。」
「あ、そうだっけ?」
完全に忘れていた…。
「でも、彼女たちの装備とか無くなったら、一文無しになるんじゃないのか?
お金がなければ奴隷にでもなるのか?」
「そこはカズ様が御雇いになれば良い事です。」
何故ディートリヒがふんすかする?
それに、もうお腹いっぱいですよ。
「あのな…、俺はディートリヒやナズナ、ベリルにスピネル、そしてメリアさんで十分なんだけど。」
「それだけでは足りません。カズ様の偉業は私たちのような女性を救うことです!
それに、5人中3人生き残っても、彼女たちはもう冒険者をやめることとなるでしょう…。
2人死んだのですから…。」
「そんなものなのか…。」
「はい。心が折れてしまえば冒険者、即ち“危険を冒す者”ではなくなります。」
言い得て妙だ。ストンと落ちた。
「分かった。まぁ、後のことは彼女たちに任せるとし、あと2人魔法をかけていくから、後はたのんだよ。」
「はい。お任せください。楽しみにしております。」
残り2人にマナポーションをがぶ飲みし、“スーパーヒール”をかける。
そして、案の定、意識が飛んだ…。
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