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第三章
3-11 密会②
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「国が亡びるだと…、そんな大げさな。」
クーパーさんがワナワナと震えている。
「些細なことから信用というものは無くなります。
自分の住んでいた村には、このような話が伝っています。」
イ〇ップ物語の「狼と少年」の話をした。
いつも嘘ばかりついている子供が、いざ本当の事を言っても誰も信じてくれない。結果、自分の飼っていたヒツジが全部狼に食べられてしまった。
暗に今の冒険者ギルドを揶揄している。
君たちが隠そうとしてきた事が多ければ多いほど嘘をついているという罪悪感が麻痺してしまう。
麻痺により大事を乗り越えようとする力に対しても嘘をつき続ける…。
これが、今の冒険者ギルドだ。
運ばれてきたハーブティーを一口飲むと、クーパー氏を見る。
クーパー氏は俯いたまま、何も言わない。
「なぁ、ニノマエさんよ…。」
こんな雰囲気は嫌いなんだろう。たまらず、ミレアさんがクーパーさんへの助け舟を出す。
「確かにギルドはどうか、って言われれば、居心地は悪い。でも、それはどの組織でも同じであり、別に俺たちは困っていないぞ。」
「確かにそうですね。今のミレアさんのような高ランクなヒトにはギルドもおいそれと何かをするような事はいたしませんよ。」
「んじゃ、誰がギルドを信じていないんだ?」
「低ランクと呼ばれる自分たちを含めた“この街の人々”ですよ。」
「そ、それは本当なのか?」
クーパーさんが声を上げる。
「ええ。本当です。おそらく街の人たちはそう思っているでしょう。その証拠に、この街を訪れた新参者の私には多くのヒトから、『ギルドには気をつけろ』と助言していただけましたよ。」
「だ、誰がそんな事を言ったんだ!」
「クーパーさん、良いですか?
あなたがここで聞いたことを口実に犯人捜しをしようとすれば、それは“権力という衣を利用した威圧”ですよ。
強い立場に居る人が弱い立場の人、つまり『ギルドには気をつけろ』と言った人を探して弾圧する。って事になります。それがまかり通るのが、このシェルフールだと言う事になります。」
「くっ…。」
的を得ているため、ぐうの音も出ないのだろう。
クーパーさんが出した言葉は「く」なのだが…。
「ミレアさん、すみません。話がそれました。
すべてとは言いません。世の中のヒトは、高ランク冒険者は強い、強いから逆らうと怖い、怖いから何も言わない、何も言えない。と考えます。ミレアさんたちが低ランク冒険者であった頃、高ランクの方々との接した経験を思い出してください。」
「あぁ、そういう事か。確かに私たちも弱かった頃は強いランクのヒトに従っていたな。口答えもできず、黙々と依頼をこなしていた。」
「そして、『強くなったら、俺たちもああいう立場になるんだ!』って、皆さんと約束し、努力されてきたんじゃないですか?」
「まさしく、その通りだ。」
「それも正解です。もしそうでなければ謝りますが、みなさんの思いは過去に嫌な事をされたという反動で強くなったとも考えられます。そして強くなった今、低ランクの奴らに嫌な事をしてやる、という意味にも聞こえてしまいます。
要は、過去のヒトたちがしてきた嫌な事を前例に同じ事をみなさんがしてはいけないという事です。皆さんには皆さんの信念があると思います。その信念に嘘を付かず生きてください。そうすれば、自分を含め低ランクのヒトはあなた達を“憧れという目標”にし、その目標に向かって努力すると思います。そういった下に居る人たちの道しるべになってあげることも必要なんです。」
「信念…か…。」
ミレアさんも黙りこんでしまった。
やっちゃったか?いつもこうなんだよ…、一言多いんだよね…。
これも言葉の威圧なんだろうな…と反省する。
「ミレアさん、皆さん。皆さんの信念は何ですか?例えば、お金を貯め良い家に住んで一生遊んで暮らしたいとか、美味しい酒や食事を毎日食べたいとか、国随一の剣士になるとか…。」
「おう!あたしは一生遊んで暮らしたいな。」
「俺は酒だ」
「俺は世界中を旅したい」
「好きな人と一緒に暮らしたい…」
「酒浸りの生活を…」
「おい!(こら!)」
全員が最後に言った言葉の主に向かって反論する。
でも、みな笑顔になっている。
「そうなんです。皆信念があるんです。その信念に向かい進んでいく姿を、下に居る人は見ているんですよ。その信念が何であれ、嘘偽りのない姿を皆が見ているんです。」
皆真剣な表情に戻る。
「ニノマエさん、いろいろとすまなかったな…。ほんとはあんたに引導を渡す場であったんだが、あんたがギルドで話してくれた言葉が心から離れられなくてな…。もう一度あんたと会って話をして助けてやろうと思ったんだが、逆にあたいたちが助けられてしまったな。」
「さすが生きてる年数が違うというか、年の功だな。」
「うちのリーダーに一目置かれる存在になるとは、末恐ろしいのう。」
めいめい言いたいことを言ってるが、大分分かってくれたかな?
レミアさんが続けて話をする。
「で、ニノマエさんよ。」
「はい。」
「この現状をどう考えるんだ?」
「現状と言いますと、自分の事ですか?それともスタンピードの事ですか?」
「その両方だ。」
少し考えた振りをする。
考えはまとまっているんだが、肝心のクーパーさんがまだ下を向いたままなのだ。
彼にも奮起してもらわなければ、万が一に備えられない。
皆、俺のほうを見ている。
「先ずは、自分の事からです。謹んでその処置に従います。30日の資格停止で結構です。甘んじて受けましょう。」
「受けるって言うのか?」
「はい。30日資格を無くしても薬草は採取できますし。蓄えたお金で何とか生きていきます。」
「す、すまん…。」
お、クーパーさん、ようやく眼が覚めたかな?
「別に依頼を受けなくても採取したものを卸す伝手はありますから。」
すみません…、嘘つきました…。そんな伝手ありません…と思いながらも、今度、レルヌさんとトーレスさんに聞いてみようと考えた。
「次に、スタンピードの事です。」
皆、一斉にこちらを見る。
あ、本題はこれだったんだね。
「森の中にある麓と別の場所に行く分かれ道は皆さんご存じですか?」
「あぁ、知っている。」
皆が頷く。
「麓に行く道とは反対の道を30分ほど行ったところに、ゴブリンの巣がありました。」
「え…。」
「本当か?」
一同が驚く。
「本当です。そうだ。ディートリヒ、何か巣があったと分かってもらえるような素材はあるかい?」
「そうですね。では、これは如何でしょうか?」
ディートリヒは、ゴブリン・キングの宝剣とゴブリン・ロードの盾をアイテムボックスから出す。
皆、アイテムに集中しアイテムボックスには驚いていない。流石上級ランクだ。
「これは?」
「その巣を掃討した際にドロップした素材です。もう一度言いますが、ドロップした素材です。」
「ダンジョンのゴブリンしかドロップしないアイテムだな…。」
皆納得してくれたようだ。
「巣には64体のゴブリンが生息していました。」
「で、巣は?」
「掃討したとご報告させていただきます。」
「ニノマエさん、一人でか?」
「いえ、ここにいるディートリヒと2人です。」
炎戟のメンバーはびっくりしているが、風の砦のメンバーはそんなにびっくりもしていない。
まぁ、彼らの武具を鑑定してあげたスキルを見せたって事で少しアドバンテージ(免疫)がついたんだろうか。
「まさか…」
「あの場所からだと、街まで3時間ってところか?」
「ヤバいな…。」
うん…皆さん、ギルドと同じ会話になっていますけど…。
では、逆質問をしてみましょうかね。
「それで、みなさんはどうしますか?」
クーパーさんがワナワナと震えている。
「些細なことから信用というものは無くなります。
自分の住んでいた村には、このような話が伝っています。」
イ〇ップ物語の「狼と少年」の話をした。
いつも嘘ばかりついている子供が、いざ本当の事を言っても誰も信じてくれない。結果、自分の飼っていたヒツジが全部狼に食べられてしまった。
暗に今の冒険者ギルドを揶揄している。
君たちが隠そうとしてきた事が多ければ多いほど嘘をついているという罪悪感が麻痺してしまう。
麻痺により大事を乗り越えようとする力に対しても嘘をつき続ける…。
これが、今の冒険者ギルドだ。
運ばれてきたハーブティーを一口飲むと、クーパー氏を見る。
クーパー氏は俯いたまま、何も言わない。
「なぁ、ニノマエさんよ…。」
こんな雰囲気は嫌いなんだろう。たまらず、ミレアさんがクーパーさんへの助け舟を出す。
「確かにギルドはどうか、って言われれば、居心地は悪い。でも、それはどの組織でも同じであり、別に俺たちは困っていないぞ。」
「確かにそうですね。今のミレアさんのような高ランクなヒトにはギルドもおいそれと何かをするような事はいたしませんよ。」
「んじゃ、誰がギルドを信じていないんだ?」
「低ランクと呼ばれる自分たちを含めた“この街の人々”ですよ。」
「そ、それは本当なのか?」
クーパーさんが声を上げる。
「ええ。本当です。おそらく街の人たちはそう思っているでしょう。その証拠に、この街を訪れた新参者の私には多くのヒトから、『ギルドには気をつけろ』と助言していただけましたよ。」
「だ、誰がそんな事を言ったんだ!」
「クーパーさん、良いですか?
あなたがここで聞いたことを口実に犯人捜しをしようとすれば、それは“権力という衣を利用した威圧”ですよ。
強い立場に居る人が弱い立場の人、つまり『ギルドには気をつけろ』と言った人を探して弾圧する。って事になります。それがまかり通るのが、このシェルフールだと言う事になります。」
「くっ…。」
的を得ているため、ぐうの音も出ないのだろう。
クーパーさんが出した言葉は「く」なのだが…。
「ミレアさん、すみません。話がそれました。
すべてとは言いません。世の中のヒトは、高ランク冒険者は強い、強いから逆らうと怖い、怖いから何も言わない、何も言えない。と考えます。ミレアさんたちが低ランク冒険者であった頃、高ランクの方々との接した経験を思い出してください。」
「あぁ、そういう事か。確かに私たちも弱かった頃は強いランクのヒトに従っていたな。口答えもできず、黙々と依頼をこなしていた。」
「そして、『強くなったら、俺たちもああいう立場になるんだ!』って、皆さんと約束し、努力されてきたんじゃないですか?」
「まさしく、その通りだ。」
「それも正解です。もしそうでなければ謝りますが、みなさんの思いは過去に嫌な事をされたという反動で強くなったとも考えられます。そして強くなった今、低ランクの奴らに嫌な事をしてやる、という意味にも聞こえてしまいます。
要は、過去のヒトたちがしてきた嫌な事を前例に同じ事をみなさんがしてはいけないという事です。皆さんには皆さんの信念があると思います。その信念に嘘を付かず生きてください。そうすれば、自分を含め低ランクのヒトはあなた達を“憧れという目標”にし、その目標に向かって努力すると思います。そういった下に居る人たちの道しるべになってあげることも必要なんです。」
「信念…か…。」
ミレアさんも黙りこんでしまった。
やっちゃったか?いつもこうなんだよ…、一言多いんだよね…。
これも言葉の威圧なんだろうな…と反省する。
「ミレアさん、皆さん。皆さんの信念は何ですか?例えば、お金を貯め良い家に住んで一生遊んで暮らしたいとか、美味しい酒や食事を毎日食べたいとか、国随一の剣士になるとか…。」
「おう!あたしは一生遊んで暮らしたいな。」
「俺は酒だ」
「俺は世界中を旅したい」
「好きな人と一緒に暮らしたい…」
「酒浸りの生活を…」
「おい!(こら!)」
全員が最後に言った言葉の主に向かって反論する。
でも、みな笑顔になっている。
「そうなんです。皆信念があるんです。その信念に向かい進んでいく姿を、下に居る人は見ているんですよ。その信念が何であれ、嘘偽りのない姿を皆が見ているんです。」
皆真剣な表情に戻る。
「ニノマエさん、いろいろとすまなかったな…。ほんとはあんたに引導を渡す場であったんだが、あんたがギルドで話してくれた言葉が心から離れられなくてな…。もう一度あんたと会って話をして助けてやろうと思ったんだが、逆にあたいたちが助けられてしまったな。」
「さすが生きてる年数が違うというか、年の功だな。」
「うちのリーダーに一目置かれる存在になるとは、末恐ろしいのう。」
めいめい言いたいことを言ってるが、大分分かってくれたかな?
レミアさんが続けて話をする。
「で、ニノマエさんよ。」
「はい。」
「この現状をどう考えるんだ?」
「現状と言いますと、自分の事ですか?それともスタンピードの事ですか?」
「その両方だ。」
少し考えた振りをする。
考えはまとまっているんだが、肝心のクーパーさんがまだ下を向いたままなのだ。
彼にも奮起してもらわなければ、万が一に備えられない。
皆、俺のほうを見ている。
「先ずは、自分の事からです。謹んでその処置に従います。30日の資格停止で結構です。甘んじて受けましょう。」
「受けるって言うのか?」
「はい。30日資格を無くしても薬草は採取できますし。蓄えたお金で何とか生きていきます。」
「す、すまん…。」
お、クーパーさん、ようやく眼が覚めたかな?
「別に依頼を受けなくても採取したものを卸す伝手はありますから。」
すみません…、嘘つきました…。そんな伝手ありません…と思いながらも、今度、レルヌさんとトーレスさんに聞いてみようと考えた。
「次に、スタンピードの事です。」
皆、一斉にこちらを見る。
あ、本題はこれだったんだね。
「森の中にある麓と別の場所に行く分かれ道は皆さんご存じですか?」
「あぁ、知っている。」
皆が頷く。
「麓に行く道とは反対の道を30分ほど行ったところに、ゴブリンの巣がありました。」
「え…。」
「本当か?」
一同が驚く。
「本当です。そうだ。ディートリヒ、何か巣があったと分かってもらえるような素材はあるかい?」
「そうですね。では、これは如何でしょうか?」
ディートリヒは、ゴブリン・キングの宝剣とゴブリン・ロードの盾をアイテムボックスから出す。
皆、アイテムに集中しアイテムボックスには驚いていない。流石上級ランクだ。
「これは?」
「その巣を掃討した際にドロップした素材です。もう一度言いますが、ドロップした素材です。」
「ダンジョンのゴブリンしかドロップしないアイテムだな…。」
皆納得してくれたようだ。
「巣には64体のゴブリンが生息していました。」
「で、巣は?」
「掃討したとご報告させていただきます。」
「ニノマエさん、一人でか?」
「いえ、ここにいるディートリヒと2人です。」
炎戟のメンバーはびっくりしているが、風の砦のメンバーはそんなにびっくりもしていない。
まぁ、彼らの武具を鑑定してあげたスキルを見せたって事で少しアドバンテージ(免疫)がついたんだろうか。
「まさか…」
「あの場所からだと、街まで3時間ってところか?」
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