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ゲーム:前日譚
24:出立
しおりを挟むちなみに、女同士で交わらなければならない場合はどうするのかとユリナスに尋ねたところ、そのための魔道具があるのだそうだ。淫獣を使う呪具と違い、模倣獣と性属性魔法で作られた張り形で、これも教会で製造して、収入源になっているらしい。全方位に至れり尽くせり…なのだろうか。それにしてもミミック、応用範囲が広いな。
賢女の位を得た私は、ユリナス達同様に、浄化の魔法や解呪の魔法のみならず、封魔の魔法や破魔の魔法も自在に扱えるようになった。ユリナスに訓練だと言われ、村内をくまなく浄化するのに付き合わされている。
そのうち、魔物の討伐にも加えてもらう予定だ。
それにしても、ゲームの進行と現実がずれて、少し肩透かしをくらった感がある。まだこの後に、前日譚最後の鬼畜な儀式が待っているから、油断は禁物だが、ここまでは私に都合良く物事が進んでいるので、まあ良しとしよう。
ゲームでは、賢女の位を(半端に)授かったユーテリアは、王都に上って、魔王討伐のために組織された勇者パーティーに加わる事になっている。なので、王都へ向けて出発するまで一年ちょっとの間、ユリナス達もこの村に滞在して、私にみっちり訓練をつける心積もりだそうだ。
そう、実は授陣の儀式、予想より一年以上早かったのだ。
「ねぇ、ユリナス様。ユリナス様達は聖賢女の器探しで、今まで旅をしていたんだよね。それがどうしてこの村に来たの?」
「何を言っとるんじゃ、器探しはとうの昔に終わっておる。そろそろ頃合じゃと思うたから来たまでじゃ。」
詳しく聞くと、どうやら初めてユリナスと対面した時に、すでに私が聖賢女の器を受け継いでいる事に気付いたそうなのだ。しかもその事はディックにも伝えてあったのだそうだ。
「だから、この十数年、ディックとは村の外で度々会っておったぞ。」
「え、お父さん、やっぱり生きてる!?」
「もちろんじゃ。なんでそんな事を訊くんじゃ?」
そこで早速ユリナスに、ディックの死体だとして運ばれたロドスの死体の話をしたところ、身代わりの事はユリナスも知らなかったらしく、驚いていたが、ユリナス達はすぐに、ロドスを葬るお墓を新たに作って、お父さんのお墓に入っていたロドスの亡骸をそこに移してくれた。混乱を避けるため、お父さんのお墓の墓標はそのまま残しておく事にした。
「まったく。しょうがないのう、ディックの奴は。王都に行けば会えるから、二人でとっちめてやろうかの。」
「賛成。」
そんなこんなで、王都に旅立つ日がやってきた。
継母も行きたがったが、うっかりお父さんと鉢合わせするとややこしくなると思ったので、それは例の従者に頼んで思い止まるよう説得してもらった。偽ロドスはもういないので、継母が魔物と交わる事はもうないだろう。そのうち、村か町でいい人を見付けて新たな所帯を持って欲しい。
…なんて思っていたら、継母はまた身ごもっていた。ユリナスに見てもらったら、やはり魔物の子らしい…。ユリナスももうばからしくなったのか、放っておく事にしたらしい(などと言いつつ、その親のミミックをちゃっかり捕獲する事も忘れていなかった)。
例の従者の女性が、継母についていたいと真剣に訴えるので、ユリナスもそれを許し、この村に残る事になった。村の礼拝所の神職にしてもらえるよう、ユリナスから教会に口添えする事になった。
そして私たち一行は、王都に向かって旅立った。ついに、勇者パーティと合流だ。
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