第4回ライト文芸大賞

第4回ライト文芸大賞

選考概要

前回に続き、多くのエントリーがあった第4回ライト文芸大賞。心温まる家族の愛を描いたお話や、人との交流の在り方をテーマとしたもの、青春の瑞々しさと命の尊さを描いた物語など、幅広い題材の作品が集まった。

多数の応募の中から、編集部内で大賞候補作としたのは、「先生は、かわいくない」「よくできた"妻"でして」「【完結】社会不適合者の言い分」「僕らは出会う、青く輝く月明かりの下で。」「嗚呼、青春のホリゾントライト!」「嘘の私が本物の君についたウソ」「女ふたり、となり暮らし。」「間宮先生、今日はどこへ行きますか?」「今日から君の代わりに未練を解消します。」「ふみちゃんは戦争にいった」「夜勤が明けたら何食べよう」「僕と彼女の、繰り返される夏」「傍に、藍」「心の落とし物」の14作品。

これらの候補作の中で、編集部内で最も支持を集めた「女ふたり、となり暮らし。」を大賞に選出。さらに、テーマ別賞として、「僕らは出会う、青く輝く月明かりの下で。」を命の輝き賞、「【完結】社会不適合者の言い分」を家族愛賞、「よくできた”妻”でして」を優秀短編賞とした。また最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「女ふたり、となり暮らし。」は、マンションの隣同士に住むOLと問題を抱えた女子高生の日常的な交流を描いた作品。食卓をともにしながら二人が打ち解けていく様子が、軽妙な文章で微笑ましく表現されていた。

「僕らは出会う、青く輝く月明かりの下で。」は、四週間後に自殺する女子高生が幽霊の男の子と出会うことで成長していくお話。自殺志願者を救っていく設定が秀逸で、若い世代の選考員を中心に高く評価された。

「【完結】社会不適合者の言い分」は、引きこもりの兄と、彼を外に出そうとする妹の攻防をコミカルかつシリアスに描いたストーリー。兄と妹の掛け合いが絶妙で、互いを思い合う兄妹愛に心が温まった。

「よくできた”妻”でして」は、亡くなった妻が遺した機械仕掛けの”妻”とともに、仕事一筋だった夫が余生を送る物語。数々の仕掛けが時を経るごとに使えなくなる描写が切なく、読み手の涙を誘った。

なお、エントリー作の一つである「後宮の下賜姫様」は、同賞の定義する「ライト文芸」とはジャンルが異なることから選外としたが、キャラクターや設定が魅力的で商業性の高い作品だと評価する声が多かった。

開催概要はこちら
応募総数 1,013作品 開催期間 2021年05月01日〜末日

編集部より

女子高生とOLという属性の違う二人の女性が料理を介して、互いの共通点や人生を知っていくのが素敵な作品でした。登場する料理描写もひとつひとつが美味しそうで、実際に作ってみたくなります。ラストでは伏線が見事に回収され、ぐっと物語が引き締まったように感じました。全体的に完成度の高い作品でした。

前略、山暮らしを始めました。

浅葱
1位 / 1,013件

編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。ご近所さんとの心温まる交流をはじめ、山暮らしならではの結びつきが生き生きと描かれていました。強くて喋れるちょっぴりおかしなニワトリモドキや、クールだけど飼い主には従順な大蛇など、個性豊かなキャラクターに多くの読者が引きつけられたのだと思います。


編集部より

四週間後に自殺する予定の女子高生が自殺志願者を救うという設定はオリジナリティがあり、読者が共感しやすい要素が詰め込まれているところも大変魅力的でした。二葉が様々な人と出会い、変化していく様子が繊細に描かれていて、多くの人が感動できる作品だと感じました。


編集部より

引きこもりの兄と、彼を外に連れ出したい妹の掛け合いがとても軽快に描かれた作品でした。お互いのことを思い合う兄妹の姿は微笑ましく、読み進めるにつれて温かな気持ちがあふれてきます。辛い出来事を乗り越えた二人が新しい一歩を踏み出すシーンには、ぐっときました。


編集部より

夫を思って機械の分身を遺していった妻の偉大さ、そして妻をいつまでも大事にし続ける夫の愛情が心に沁み入りました。特に、機械の妻が老朽化し、ついに止まってしまった場面では、胸が締め付けられます。短編ながらも二人の過ごした時間の重みが伝わってくる魅力的な作品でした。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

投票ユーザ当選者

投票総数 4,060票 当選 10名