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第8章:部活にクレーム
16話
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「こんな状況になっても、俺の両親は弟に謝ろうとしていないんです。俺がぶん殴って両親に言うことを聞かせても、多分弟には響かない……どうやって謝らせればいいかわからないんだ。弟は俺の言葉は聞いてくれるけれど、とても弟に先に謝らせる雰囲気じゃない。っていうか、謝らせたくないんだ……どう考えても悪いのは両親だ。弟がやらかした財布を盗むことは悪いことだけれど、親が先にぬいぐるみやグッズを捨てなきゃ、そもそもそんなことはしなかった……俺も兄として、弟には説教するべきだって考えてます。でもそれは、親が謝った後からです……その順序だけは、俺も譲れない」
「そりゃ、弟がやったのは間違いなく悪いことだが、だからと言って先に謝るのは違うよな。絶対に両親が先に謝らなきゃだめだ。先に手を出したのは親なんだからな……しかし、もう、諦めていいんじゃないのか? 武力で支配しちまえばいいんじゃ? お前の親はどう考えてもまともじゃない。弟に対してさ、言葉が通じても話が通じない。分かり合えない相手がいるんだって教育するにはいい機会だろ。世の中には理屈や道理が通じない相手もいる。お前の母親がまさにそれだったし」
「弟はまだ小学生なんだ……そんな現実、突きつけたくない……いや、もう突き付けているようなもんか」
「そりゃ、そうかもだけれど……」
アキラの言葉に裕也はこれ以上の案に困る。
「俺は、親が糞でも、一人でも味方がいてくれれば、弟は生きていけると思うぜ?」
「そうなんですか?」
「俺も親が糞、というか……父親は誰かすらもわからなくて、母親が糞だった。でも、俺を助けてくれた人がいて……そいつがいてくれたから、俺はまともに育ったんだ。いや、一般人から見て、俺がまともかどうかは知らんけれどさ。
だから、弟のことはお前が育てろ。お前が弟に背中を見せてやれ……子供は親の背中を見て育つっていうけれど、別にそれは文字通りの親である必要はないって、俺は思うぜ。俺は、実の親の背中は糞の中の糞だが、まともな大人の背中を見て育ったからな。
お前はもう、父親も母親も、ただのATMと思え、両親は殴って言うことを聞かせよう。お前のほうがまともだし、俺はそれでいいと思うぞ? 父親がお前の言った通りの人物であるならば、だけれど」
裕也に言われ、アキラは目からうろこが落ちたような気分になる。
「そりゃ、弟がやったのは間違いなく悪いことだが、だからと言って先に謝るのは違うよな。絶対に両親が先に謝らなきゃだめだ。先に手を出したのは親なんだからな……しかし、もう、諦めていいんじゃないのか? 武力で支配しちまえばいいんじゃ? お前の親はどう考えてもまともじゃない。弟に対してさ、言葉が通じても話が通じない。分かり合えない相手がいるんだって教育するにはいい機会だろ。世の中には理屈や道理が通じない相手もいる。お前の母親がまさにそれだったし」
「弟はまだ小学生なんだ……そんな現実、突きつけたくない……いや、もう突き付けているようなもんか」
「そりゃ、そうかもだけれど……」
アキラの言葉に裕也はこれ以上の案に困る。
「俺は、親が糞でも、一人でも味方がいてくれれば、弟は生きていけると思うぜ?」
「そうなんですか?」
「俺も親が糞、というか……父親は誰かすらもわからなくて、母親が糞だった。でも、俺を助けてくれた人がいて……そいつがいてくれたから、俺はまともに育ったんだ。いや、一般人から見て、俺がまともかどうかは知らんけれどさ。
だから、弟のことはお前が育てろ。お前が弟に背中を見せてやれ……子供は親の背中を見て育つっていうけれど、別にそれは文字通りの親である必要はないって、俺は思うぜ。俺は、実の親の背中は糞の中の糞だが、まともな大人の背中を見て育ったからな。
お前はもう、父親も母親も、ただのATMと思え、両親は殴って言うことを聞かせよう。お前のほうがまともだし、俺はそれでいいと思うぞ? 父親がお前の言った通りの人物であるならば、だけれど」
裕也に言われ、アキラは目からうろこが落ちたような気分になる。
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