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437 メーレ王妃誘拐の裏側 1(sideアーク&エレフ&ヴァン)
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※明けましておめでとう御座います。
今年もよろしくお願い致します。
今年一発目はノアのメーレ王妃誘拐発言から実際に攫ってくるまでをノア以外の視点でお送り致します。
「もちろん、コレからメーレ王妃様を攫いに行きます」
和やかな笑顔でそう言い切ったノアに、アーク達が止める手立ては無い。
いやそもそも、番い至上主義の竜人に番いの願いを叶えない選択肢は当然ないし、アーク達もメーレ王妃を気にかけていたので。
そういう訳で古の森でしょぼくれて自主謹慎をしている精霊王を喚びつける。
「エレ《ぅわーんっ!! ごめんなさいノア---ッ!!》・・・煩い」
皆まで言う前にボロ泣きで謝りながら現れたエレフに、ノアは眉間に皺を寄せて一言文句を言う。
《ひいっ! ごごごごめんなさいっ。・・・あの、どういった要件で・・・?》
「---ぶっ・・・」
ぴゃっと涙を引っ込めてシャキッとするエレフだが、ノアに対してめちゃくちゃ腰が低い。
思わずアーク達は失笑した。
ソレには構わず、ノアがメーレ王妃を連れ帰りたいと言うと、エレフはぱあっと顔を綻ばせた。
《もちろん良いよ! ノアに頼られて我は嬉しい!》
「確か獣人国にヴァンもいるんだよね?」
《迎えの連絡が無いからたぶんまだいるねえ》
「じゃあヴァンもついでに引き取ってこようか。・・・で、暫くご飯抜きでヴァン小屋にステイだな」
《・・・・・・》
エレフは自分の身にも降りかかりそうな発言に顔を真っ青にさせていたが、頭を振り思考から追い出すと転移の準備に入る前に確認を取る。
《王妃を攫ったあとはどうするんだい?》
「古の森のエレフの住処の一画にテントを張らせて貰いたい。王妃様用に急いでテントを錬成するから。で、暫く俺とアークもソコにテントを張って一緒に住むからその許可が欲しい」
《そんなのお安い御用だよ! ノアが住んでくれるなんて、嬉しい! 他には?》
「あとはその都度お願いするから、その時はよろしく」
にっこり笑ってノアがそう言うと、うんうんと頷くエレフ。
---コレでエレフは完璧に扱き使われることが決定したな。
・・・でもまあ、エレフも頼まれて喜んでるから良い・・・のか?
アークとウラノスは二人を見て苦笑していた。
そして善は急げとばかりにサッサと行こうとするエレフとノアを宥めて、攫ったあとの事後処理の段取りをウラノスと話し合ってから漸く出発した。
まずは一番大事なメーレ王妃の誘拐。
誘拐ってはっきり言っちゃってる時点で既に色々おかしいが、例え交渉したとしてもあの獅子王が手放すはずが無い。
だから問答無用で攫っていく。
人一人の命がかかっているんだから文句を言われる筋合いは無いだろう。
---事後処理?
そんなの竜王陛下に丸投げだよ。
そういう訳で、獣人国の王妃の間にはヴァルハラ大公家の封蝋付きの手紙を置いてきた。
内容は『ノアが今すぐ隔離治療しないとメーレ王妃は間もなく儚くなるだろうと言うので連れて行きます』というようなモノだ。
もちろん文句があるなら竜王陛下にどうぞ、という文言付きで。
ヴァルハラ大公家の印とウラノスの署名入りである。
まあ、宰相辺りなら冷静に対処してくれるだろう。
---獅子王?
知らん。
ウラノス達からの話で、本当にポンコツだと思ったので放置だ。
愛する番いなら番いのために優先順位を間違えるなと言いたい。
だから今回は頭を冷やせ。
「---ッ!! 何ですか、貴方達はっ?! 誰か、近衛騎士をー!!」
「侵入者だ!!」
「・・・煩いなあ。王妃様を助けに来たの。静かにしなよ。病人の前で騒がしすぎ」
「誰か、陛下に連絡を!!」
「・・・・・・ホイ、これ、ウチから獅子王・・・か、宰相に手紙ね。コレ読んで、苦情は竜王陛下にヨロシク」
「え? はっ?!」
「落ち着いたら連絡する・・・・・・かもしれない」
ノアがポツリと言ったが誰の耳にも入らないようで、まさしく阿鼻叫喚だった。
アークから手紙を受け取った近衛騎士は混乱しながら宰相の元に走り、陛下と宰相が駆け付けたときには既にその姿は無かった。
「---メーレッ!!」
「っ陛下、落ち着いて下さい!」
大声で騒いで暴れる獅子王を押さえつけようとする近衛騎士達。
しかしどうにも抑えきれずにいるところに、宰相が持っていたヴァルハラ大公家の手紙からポンッと種が飛び出して蔓を伸ばしたと思うと、獅子王をぐるぐる囲んで拘束してしまった。
「---は?」
周りがポカンとする中、精霊王の声だけが響いた。
《ソレは対象者の魔力を吸収して無力化する改良型の魔性蔓植物じゃ。獅子王が煩そうなのでな、何時もの半分ほどの力しか出んように拘束させて貰う。何、落ち着けば拘束は解けるから心配いらん。・・・・・・何度でも使えるぞ。再び暴れればまた拘束するから安心せい》
「・・・・・・いや、安心して良いのか?! すっごく助かるけども!!」
なんつー恐ろしいモンを改良するのか。
精霊王コワイ。
ひとまず大人しくなった獅子王にホッとしつつ、急いで竜王陛下に連絡を取らねばと頭をフル回転させる宰相だった。
※まだまだ続きますよ。
次はヴァンを回収せねばw。
今年もよろしくお願い致します。
今年一発目はノアのメーレ王妃誘拐発言から実際に攫ってくるまでをノア以外の視点でお送り致します。
「もちろん、コレからメーレ王妃様を攫いに行きます」
和やかな笑顔でそう言い切ったノアに、アーク達が止める手立ては無い。
いやそもそも、番い至上主義の竜人に番いの願いを叶えない選択肢は当然ないし、アーク達もメーレ王妃を気にかけていたので。
そういう訳で古の森でしょぼくれて自主謹慎をしている精霊王を喚びつける。
「エレ《ぅわーんっ!! ごめんなさいノア---ッ!!》・・・煩い」
皆まで言う前にボロ泣きで謝りながら現れたエレフに、ノアは眉間に皺を寄せて一言文句を言う。
《ひいっ! ごごごごめんなさいっ。・・・あの、どういった要件で・・・?》
「---ぶっ・・・」
ぴゃっと涙を引っ込めてシャキッとするエレフだが、ノアに対してめちゃくちゃ腰が低い。
思わずアーク達は失笑した。
ソレには構わず、ノアがメーレ王妃を連れ帰りたいと言うと、エレフはぱあっと顔を綻ばせた。
《もちろん良いよ! ノアに頼られて我は嬉しい!》
「確か獣人国にヴァンもいるんだよね?」
《迎えの連絡が無いからたぶんまだいるねえ》
「じゃあヴァンもついでに引き取ってこようか。・・・で、暫くご飯抜きでヴァン小屋にステイだな」
《・・・・・・》
エレフは自分の身にも降りかかりそうな発言に顔を真っ青にさせていたが、頭を振り思考から追い出すと転移の準備に入る前に確認を取る。
《王妃を攫ったあとはどうするんだい?》
「古の森のエレフの住処の一画にテントを張らせて貰いたい。王妃様用に急いでテントを錬成するから。で、暫く俺とアークもソコにテントを張って一緒に住むからその許可が欲しい」
《そんなのお安い御用だよ! ノアが住んでくれるなんて、嬉しい! 他には?》
「あとはその都度お願いするから、その時はよろしく」
にっこり笑ってノアがそう言うと、うんうんと頷くエレフ。
---コレでエレフは完璧に扱き使われることが決定したな。
・・・でもまあ、エレフも頼まれて喜んでるから良い・・・のか?
アークとウラノスは二人を見て苦笑していた。
そして善は急げとばかりにサッサと行こうとするエレフとノアを宥めて、攫ったあとの事後処理の段取りをウラノスと話し合ってから漸く出発した。
まずは一番大事なメーレ王妃の誘拐。
誘拐ってはっきり言っちゃってる時点で既に色々おかしいが、例え交渉したとしてもあの獅子王が手放すはずが無い。
だから問答無用で攫っていく。
人一人の命がかかっているんだから文句を言われる筋合いは無いだろう。
---事後処理?
そんなの竜王陛下に丸投げだよ。
そういう訳で、獣人国の王妃の間にはヴァルハラ大公家の封蝋付きの手紙を置いてきた。
内容は『ノアが今すぐ隔離治療しないとメーレ王妃は間もなく儚くなるだろうと言うので連れて行きます』というようなモノだ。
もちろん文句があるなら竜王陛下にどうぞ、という文言付きで。
ヴァルハラ大公家の印とウラノスの署名入りである。
まあ、宰相辺りなら冷静に対処してくれるだろう。
---獅子王?
知らん。
ウラノス達からの話で、本当にポンコツだと思ったので放置だ。
愛する番いなら番いのために優先順位を間違えるなと言いたい。
だから今回は頭を冷やせ。
「---ッ!! 何ですか、貴方達はっ?! 誰か、近衛騎士をー!!」
「侵入者だ!!」
「・・・煩いなあ。王妃様を助けに来たの。静かにしなよ。病人の前で騒がしすぎ」
「誰か、陛下に連絡を!!」
「・・・・・・ホイ、これ、ウチから獅子王・・・か、宰相に手紙ね。コレ読んで、苦情は竜王陛下にヨロシク」
「え? はっ?!」
「落ち着いたら連絡する・・・・・・かもしれない」
ノアがポツリと言ったが誰の耳にも入らないようで、まさしく阿鼻叫喚だった。
アークから手紙を受け取った近衛騎士は混乱しながら宰相の元に走り、陛下と宰相が駆け付けたときには既にその姿は無かった。
「---メーレッ!!」
「っ陛下、落ち着いて下さい!」
大声で騒いで暴れる獅子王を押さえつけようとする近衛騎士達。
しかしどうにも抑えきれずにいるところに、宰相が持っていたヴァルハラ大公家の手紙からポンッと種が飛び出して蔓を伸ばしたと思うと、獅子王をぐるぐる囲んで拘束してしまった。
「---は?」
周りがポカンとする中、精霊王の声だけが響いた。
《ソレは対象者の魔力を吸収して無力化する改良型の魔性蔓植物じゃ。獅子王が煩そうなのでな、何時もの半分ほどの力しか出んように拘束させて貰う。何、落ち着けば拘束は解けるから心配いらん。・・・・・・何度でも使えるぞ。再び暴れればまた拘束するから安心せい》
「・・・・・・いや、安心して良いのか?! すっごく助かるけども!!」
なんつー恐ろしいモンを改良するのか。
精霊王コワイ。
ひとまず大人しくなった獅子王にホッとしつつ、急いで竜王陛下に連絡を取らねばと頭をフル回転させる宰相だった。
※まだまだ続きますよ。
次はヴァンを回収せねばw。
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