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日向荘にて(第23話)
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「・・・あのお方・・・?」
憤ドラゴラの言葉に、今度は杏里が興味を示したー。
「へえ、口ぶりからすると、なんだか偉い人なんだろうね・・・?」
早苗が、口元に笑みを浮かべつつ目を細めながら、憤ドラゴラの方へ一歩踏み出した。
「でも、なんでそんなに偉い人が、君にそんな力を与えたのかな・・・?」
「ふ・・・扇女のあまりな仕打ちに、あのお方も心を痛められてあっしに力を貸してくれたんでやんす」
「ほほう・・・」
早苗にとっては、自分が憤ドラゴラに対して行ってきた仕打ち云々はどうでもいいことだったが、気になるのは、なぜ憤ドラゴラにこのような力を授けたのかー今、憤ドラゴラから発せられている気は、害蟲の波動も混ざっていたのだった。
つまりは、ニャンドラゴラを害蟲化しようとした者が、この付近に(しかもついさっきまで)いたということになる。
これは・・・害蟲駆除を専門としているチーム《ユグドラシル》にとっては、非常に由々しき事態でもあった。何せ、敵に自分たちの懐付近まで侵入されたのだ。少なくとも、泉姉弟がこの場にいたら、絶対にありえない事態だった。
「うーん、これは思ったよりも深刻かもしれないねぇ・・・」
早苗が独り言ちる。
「早苗さん・・・」
そこに、杏里が不安そうに声をかけた。
「ええと、今の憤ドラゴラさんの話が本当だとすれば・・・私たちが休憩してちょっと目を離している間に、ここまで入ってきて憤ドラゴラさんをパワーアップさせた人がいるってことですよね?」
「うん、これはかなりまずいかもよ、杏里ちゃん・・・もしかしたら、訓練どころか、本格的なバトルが始まる可能性もあるかも」
「・・・え・・・?」
「多分、そいつはかなりの使い手・・・相手を意図的に害蟲化するなんて、相当高度な魔法を扱えるはずだよ」
「・・・やはり、そうなりますよね」
「ここからは、気を引き締めてかからないと・・・と、まずその前に」
早苗は、再び憤ドラゴラに対して目を向けたー。
「まずは、憤ドラゴラ君を倒すのが先だね」
憤ドラゴラの言葉に、今度は杏里が興味を示したー。
「へえ、口ぶりからすると、なんだか偉い人なんだろうね・・・?」
早苗が、口元に笑みを浮かべつつ目を細めながら、憤ドラゴラの方へ一歩踏み出した。
「でも、なんでそんなに偉い人が、君にそんな力を与えたのかな・・・?」
「ふ・・・扇女のあまりな仕打ちに、あのお方も心を痛められてあっしに力を貸してくれたんでやんす」
「ほほう・・・」
早苗にとっては、自分が憤ドラゴラに対して行ってきた仕打ち云々はどうでもいいことだったが、気になるのは、なぜ憤ドラゴラにこのような力を授けたのかー今、憤ドラゴラから発せられている気は、害蟲の波動も混ざっていたのだった。
つまりは、ニャンドラゴラを害蟲化しようとした者が、この付近に(しかもついさっきまで)いたということになる。
これは・・・害蟲駆除を専門としているチーム《ユグドラシル》にとっては、非常に由々しき事態でもあった。何せ、敵に自分たちの懐付近まで侵入されたのだ。少なくとも、泉姉弟がこの場にいたら、絶対にありえない事態だった。
「うーん、これは思ったよりも深刻かもしれないねぇ・・・」
早苗が独り言ちる。
「早苗さん・・・」
そこに、杏里が不安そうに声をかけた。
「ええと、今の憤ドラゴラさんの話が本当だとすれば・・・私たちが休憩してちょっと目を離している間に、ここまで入ってきて憤ドラゴラさんをパワーアップさせた人がいるってことですよね?」
「うん、これはかなりまずいかもよ、杏里ちゃん・・・もしかしたら、訓練どころか、本格的なバトルが始まる可能性もあるかも」
「・・・え・・・?」
「多分、そいつはかなりの使い手・・・相手を意図的に害蟲化するなんて、相当高度な魔法を扱えるはずだよ」
「・・・やはり、そうなりますよね」
「ここからは、気を引き締めてかからないと・・・と、まずその前に」
早苗は、再び憤ドラゴラに対して目を向けたー。
「まずは、憤ドラゴラ君を倒すのが先だね」
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