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055 シシリーだよ
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「お前たちには何と礼を言えばいいか…」
エルフの隠れ里の外れ、礼拝堂からの帰り道、ミミアは本当に困ったように呟いた。
「気にしないでください!あのくらい私たちにかかれば朝メシ前ですよ!」
歩きながらレミーが胸を張ってそう答えた。
レミーはまあ、割と最後のほうまで寝ていたのだけど寝かせたのは俺だし、そうなったのも俺の防御壁の展開が遅かったせいなので俺は特に何も言わない。
「そう言ってもらえると助かるが…それにしても本当に朝だな」
小道を歩きながらミミアは朝日を浴びて眩しそうにしている。
礼拝堂の深い地下までの階段を降りてダークエルフと戦って、ミミアと司祭が起きるのを待ってまた階段を登って外に出て歩いていたら、すっかり空は白んでいた。
遠くに見える深い森の木々の向こうから朝日が顔を出している。
「確かにおなかが減ったわね」
シェリルが歩きながらおなかに手を当てた。
俺も本当に腹ペコだ。
しかしこういう時に「もうペコペコだよ!」なんて元気よく言いそうなシシリーはまた唇をかみしめてうつむいている。
一体どうしたのだろうか。
…………………………………………
女王の屋敷に到着すると、朝食の前に2階に上がった。
広い女王の寝室、その奥の窓際にある大きなベッドの傍らには、モモとネネ、そしてその母であり女王の娘のララリルもいる。
「み、皆さんっ!」
俺たちを見るなりモモとネネが駆け寄った。
「お、おばあちゃんが…おばあちゃんが、元気になったんです…!ダークエルフを倒してくれたんですね!ありがとうございます!!!」
そう言ったモモは目に涙をいっぱいに溜めている。
ネネはその横で流れる涙を手で拭っている。
「…よかったわね」
そう言ったシェリルの横を、猛スピードでシシリーがすり抜けた。
空中を飛んで女王のベッドへと一直線に向かう。
そのままの勢いで女王のもとへ飛び込むと、シシリーが大声で叫んだ。
「おかあさんっ!!!!!!」
お母さん?
俺たちもシシリーのあとを追って女王のベッドへと駆け出す。
見ると、昨日より明らかに肌つやの良くなった女王が戸惑いながらシシリーを抱きとめている。
「…し、シシリー?あなた、まさか…シシリーなの……?」
シシリーが女王の胸から顔を離した。
その目からはボロボロと大粒の涙がこぼれている。
「そうだよ!アタシだよ!…シシリーだよ!お母さんっ!!!」
女王もその目から一筋の涙を流す。
「せ…1000年以上前にいなくなった私の娘、そ、そのままの姿で……?」
困惑する女王に俺が説明する。
「シシリーは逃げ込んだ迷宮の古代機械に、1000年以上閉じ込められていたんですよ」
それを聞いて女王はシシリーを力いっぱい抱きしめる。
「シシリー!シシリー!!!生きていたのね!!!!!」
シシリーは女王の胸に顔をうずめて大きな泣き声を上げる。
「会いたかった!ずっと会いたかったんだよ!!!お母さんっ!!!!!!」
そう叫んで子供のようにシシリーは泣きじゃくった。
女王は強く、シシリーのエルフとしてはまだ幼い少女の身体をその胸に抱きしめた。
俺は何も言わずに、記憶探知でシシリーの心を少しだけ覗かせてもらった。
シシリーがこの隠れ里に来てから、ずっと押し黙っていた理由はいくつかあったようだ。
エルフの隠れ里に到着して、1000年以上前に生き別れた母もこの里のどこかにいるんだろうか、いるなら早く会いたいという気持ち。
モモとネネの祖母でありエルフの女王だという女性こそが自分の母でもあったと気が付いて驚く気持ち。
せっかく母に会えたものの、病床の母に動揺を与えてしまうんじゃないかと名乗るのをためらう気持ち。
そもそも名乗っても自分が娘だと信じてもらえるだろうか、もうお母さんはアタシのことなんか忘れちゃってるんじゃないだろうかという不安な気持ち。
素直に母に甘えられるモモとネネを羨む気持ち。
そんな自分がイヤになってしまう気持ち。
別の世界にいる母に会うことができないレミーに遠慮する気持ち。
それでもやっぱり「お母さん」と呼んで思いきり甘えたいという気持ち。
その前に母の生命をむしばむダークエルフを、まずは一刻も早く倒さなくちゃという気持ち。
そしてその母が元気になったと聞き、居ても立っても居られなくなって爆発した感情。
それらをすべてぶつけて、シシリーは泣いていた。
「お母さん…っ!…アタシ、がんばったよ…!」
「うん…わかってる……ありがとう…ありがとうね、シシリー…!」
女王は胸に抱きしめるシシリーの頭を何度も優しく撫でた。
俺の横でシェリルも頬を伝う涙を拭い、バーグルーラも神妙な面持ちで目を細め、レミーはその唇を震わせていた。
…………………………………………
女王の屋敷にはもう一晩やっかいになり、次の日の朝、俺たちは出発することになった。
モモとネネはここに残るという。
マリアたちによろしく、と二人は言った。
しかしシシリーは俺たちと一緒に行くのだそうだ。
女王は1000年以上ぶりに会えた娘との再びの別れを惜しみ、そして俺たちへの感謝を丁寧に伝えてくれて、玄関の先の庭園の終わりまで俺たちを見送ってくれた。
「シシリーは本当にここに残らなくていいの?」
シェリルのその質問に、シシリーは明るく笑って答えた。
「うん!お母さんにはまた会いにくればいいよ!エルフの寿命は長いんだから!それに、みんなアタシがいなかったら困るでしょっ!?」
そう言ってくるんと空中を一回転するシシリーは、すっかり元通りの元気なシシリーだった。
ミミアは隠れ里の外れまで、俺たちを見送ってくれるということで、里の小道を一緒に歩いている。
「それにしても、人間は恐ろしいものだと思っていたのだがな」
ミミアは俺たちのほうを向いてそう言った。
俺はその言葉に、なぜかダークエルフの最後の言葉を思い返した。
『こんな狭い里に閉じこもって監視しあって何もかも疑って…』
俺はミミアの目を見て答えた。
「もしかすると、あのダークエルフはエルフの皆さんの心の闇の部分、ストレスとか何かそういうものの集合体だったんじゃないですかね」
その言葉にミミアはうつむく。
「だとしたら、いくら平和とはいえ、ずっとこの隠れ里に閉じこもっているのも良くないのかもしれんな…」
それを聞いてレミーがパッと顔を輝かせた。
「それなら、何人かずつ交代でいいので、私たちの仕事を手伝いに来てもらえませんか!?」
ミミアがきょとんとしたような表情をする。
「あ…ああ、お前たちには恩を返さなくてはならんし、もしそうできればそうしたいのだが…」
そう言ってからミミアは再び顔を伏せる。
「この隠れ里には特別な結界を張っているため、そう簡単には出入りできんのだ…」
シシリーが宙を舞って「なぁんだ!そんなことなら」と明るく言い放った。
「アタシはもうこの里の結界の仕組みわかっちゃったから、アタシの空間魔術なら簡単に出入りできるよ!ほら!」
そう言ってシシリーがクルクルと円を描くように舞い飛ぶと、そこに大きな光の輪が生まれた。
それを見てミミアは目を丸くしている。
「なんと…!」
ミミアの前で、えっへん、と言わんばかりにシシリーは胸を張っている。
「だってアタシは昔の大人たちが大勢でやってた消滅を一人でできちゃった天才エルフ、シシリーだよ?」
レミーが嬉しそうに飛び跳ねる。
「すごい!シシリーさん!じゃあシシリーさんもいつでもお母さんに会えるし、エルフの皆さんもいつでもカーライルに来てもらえるってことですね!」
シシリーが空中でスピンしてレミーに向き直る。
「そうだよ!これから100人でも200人でもカーライルにエルフが来てくれるよ!ね!ミミア!」
話を向けられたミミアは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を輝かせた。
「あ、ああ!もちろんだ!何人でも派遣しよう!」
シシリーとレミーは手を取り合って楽しそうにグルグル回っている。
「ティモシーさん!これでスマホ製造も可能性が見えてきましたよ!」
こうして俺たちはエルフの「約束の地」への旅を終え、レミーによると世界を変えるらしい「スマホ」という魔導具を作り始めることになったのだった。
エルフの隠れ里の外れ、礼拝堂からの帰り道、ミミアは本当に困ったように呟いた。
「気にしないでください!あのくらい私たちにかかれば朝メシ前ですよ!」
歩きながらレミーが胸を張ってそう答えた。
レミーはまあ、割と最後のほうまで寝ていたのだけど寝かせたのは俺だし、そうなったのも俺の防御壁の展開が遅かったせいなので俺は特に何も言わない。
「そう言ってもらえると助かるが…それにしても本当に朝だな」
小道を歩きながらミミアは朝日を浴びて眩しそうにしている。
礼拝堂の深い地下までの階段を降りてダークエルフと戦って、ミミアと司祭が起きるのを待ってまた階段を登って外に出て歩いていたら、すっかり空は白んでいた。
遠くに見える深い森の木々の向こうから朝日が顔を出している。
「確かにおなかが減ったわね」
シェリルが歩きながらおなかに手を当てた。
俺も本当に腹ペコだ。
しかしこういう時に「もうペコペコだよ!」なんて元気よく言いそうなシシリーはまた唇をかみしめてうつむいている。
一体どうしたのだろうか。
…………………………………………
女王の屋敷に到着すると、朝食の前に2階に上がった。
広い女王の寝室、その奥の窓際にある大きなベッドの傍らには、モモとネネ、そしてその母であり女王の娘のララリルもいる。
「み、皆さんっ!」
俺たちを見るなりモモとネネが駆け寄った。
「お、おばあちゃんが…おばあちゃんが、元気になったんです…!ダークエルフを倒してくれたんですね!ありがとうございます!!!」
そう言ったモモは目に涙をいっぱいに溜めている。
ネネはその横で流れる涙を手で拭っている。
「…よかったわね」
そう言ったシェリルの横を、猛スピードでシシリーがすり抜けた。
空中を飛んで女王のベッドへと一直線に向かう。
そのままの勢いで女王のもとへ飛び込むと、シシリーが大声で叫んだ。
「おかあさんっ!!!!!!」
お母さん?
俺たちもシシリーのあとを追って女王のベッドへと駆け出す。
見ると、昨日より明らかに肌つやの良くなった女王が戸惑いながらシシリーを抱きとめている。
「…し、シシリー?あなた、まさか…シシリーなの……?」
シシリーが女王の胸から顔を離した。
その目からはボロボロと大粒の涙がこぼれている。
「そうだよ!アタシだよ!…シシリーだよ!お母さんっ!!!」
女王もその目から一筋の涙を流す。
「せ…1000年以上前にいなくなった私の娘、そ、そのままの姿で……?」
困惑する女王に俺が説明する。
「シシリーは逃げ込んだ迷宮の古代機械に、1000年以上閉じ込められていたんですよ」
それを聞いて女王はシシリーを力いっぱい抱きしめる。
「シシリー!シシリー!!!生きていたのね!!!!!」
シシリーは女王の胸に顔をうずめて大きな泣き声を上げる。
「会いたかった!ずっと会いたかったんだよ!!!お母さんっ!!!!!!」
そう叫んで子供のようにシシリーは泣きじゃくった。
女王は強く、シシリーのエルフとしてはまだ幼い少女の身体をその胸に抱きしめた。
俺は何も言わずに、記憶探知でシシリーの心を少しだけ覗かせてもらった。
シシリーがこの隠れ里に来てから、ずっと押し黙っていた理由はいくつかあったようだ。
エルフの隠れ里に到着して、1000年以上前に生き別れた母もこの里のどこかにいるんだろうか、いるなら早く会いたいという気持ち。
モモとネネの祖母でありエルフの女王だという女性こそが自分の母でもあったと気が付いて驚く気持ち。
せっかく母に会えたものの、病床の母に動揺を与えてしまうんじゃないかと名乗るのをためらう気持ち。
そもそも名乗っても自分が娘だと信じてもらえるだろうか、もうお母さんはアタシのことなんか忘れちゃってるんじゃないだろうかという不安な気持ち。
素直に母に甘えられるモモとネネを羨む気持ち。
そんな自分がイヤになってしまう気持ち。
別の世界にいる母に会うことができないレミーに遠慮する気持ち。
それでもやっぱり「お母さん」と呼んで思いきり甘えたいという気持ち。
その前に母の生命をむしばむダークエルフを、まずは一刻も早く倒さなくちゃという気持ち。
そしてその母が元気になったと聞き、居ても立っても居られなくなって爆発した感情。
それらをすべてぶつけて、シシリーは泣いていた。
「お母さん…っ!…アタシ、がんばったよ…!」
「うん…わかってる……ありがとう…ありがとうね、シシリー…!」
女王は胸に抱きしめるシシリーの頭を何度も優しく撫でた。
俺の横でシェリルも頬を伝う涙を拭い、バーグルーラも神妙な面持ちで目を細め、レミーはその唇を震わせていた。
…………………………………………
女王の屋敷にはもう一晩やっかいになり、次の日の朝、俺たちは出発することになった。
モモとネネはここに残るという。
マリアたちによろしく、と二人は言った。
しかしシシリーは俺たちと一緒に行くのだそうだ。
女王は1000年以上ぶりに会えた娘との再びの別れを惜しみ、そして俺たちへの感謝を丁寧に伝えてくれて、玄関の先の庭園の終わりまで俺たちを見送ってくれた。
「シシリーは本当にここに残らなくていいの?」
シェリルのその質問に、シシリーは明るく笑って答えた。
「うん!お母さんにはまた会いにくればいいよ!エルフの寿命は長いんだから!それに、みんなアタシがいなかったら困るでしょっ!?」
そう言ってくるんと空中を一回転するシシリーは、すっかり元通りの元気なシシリーだった。
ミミアは隠れ里の外れまで、俺たちを見送ってくれるということで、里の小道を一緒に歩いている。
「それにしても、人間は恐ろしいものだと思っていたのだがな」
ミミアは俺たちのほうを向いてそう言った。
俺はその言葉に、なぜかダークエルフの最後の言葉を思い返した。
『こんな狭い里に閉じこもって監視しあって何もかも疑って…』
俺はミミアの目を見て答えた。
「もしかすると、あのダークエルフはエルフの皆さんの心の闇の部分、ストレスとか何かそういうものの集合体だったんじゃないですかね」
その言葉にミミアはうつむく。
「だとしたら、いくら平和とはいえ、ずっとこの隠れ里に閉じこもっているのも良くないのかもしれんな…」
それを聞いてレミーがパッと顔を輝かせた。
「それなら、何人かずつ交代でいいので、私たちの仕事を手伝いに来てもらえませんか!?」
ミミアがきょとんとしたような表情をする。
「あ…ああ、お前たちには恩を返さなくてはならんし、もしそうできればそうしたいのだが…」
そう言ってからミミアは再び顔を伏せる。
「この隠れ里には特別な結界を張っているため、そう簡単には出入りできんのだ…」
シシリーが宙を舞って「なぁんだ!そんなことなら」と明るく言い放った。
「アタシはもうこの里の結界の仕組みわかっちゃったから、アタシの空間魔術なら簡単に出入りできるよ!ほら!」
そう言ってシシリーがクルクルと円を描くように舞い飛ぶと、そこに大きな光の輪が生まれた。
それを見てミミアは目を丸くしている。
「なんと…!」
ミミアの前で、えっへん、と言わんばかりにシシリーは胸を張っている。
「だってアタシは昔の大人たちが大勢でやってた消滅を一人でできちゃった天才エルフ、シシリーだよ?」
レミーが嬉しそうに飛び跳ねる。
「すごい!シシリーさん!じゃあシシリーさんもいつでもお母さんに会えるし、エルフの皆さんもいつでもカーライルに来てもらえるってことですね!」
シシリーが空中でスピンしてレミーに向き直る。
「そうだよ!これから100人でも200人でもカーライルにエルフが来てくれるよ!ね!ミミア!」
話を向けられたミミアは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を輝かせた。
「あ、ああ!もちろんだ!何人でも派遣しよう!」
シシリーとレミーは手を取り合って楽しそうにグルグル回っている。
「ティモシーさん!これでスマホ製造も可能性が見えてきましたよ!」
こうして俺たちはエルフの「約束の地」への旅を終え、レミーによると世界を変えるらしい「スマホ」という魔導具を作り始めることになったのだった。
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