悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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逆鱗。

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「ビウェル様、ナルト様。娼館て、なんですか? 」
立食会が終わった次の日、セルビィは二人に問い掛けた。
「なんだ!? 急に。」
セルビィとナルトは、何時もの様に生徒会室の隣の部屋でお茶を啜りながら寛いでいた。既に、当たり前の様になっている。
「昨日 姉様達に、脂肪が言いました。」
「脂肪? 」
「チャイニ国の脂肪侯爵です。」
「既に、物か!! 」
ナルトは、突っ込んだ。
会場に入れなかった、ナルトは『何か有った。』という事は分かっていた。
が、よりにも寄って 令嬢達になんて事を言うんだと頭を抱える。其れも、セルビィの前で。
ふと、ビウェルを見ると、彼は冷や汗を流し青ざめている。彼は、その事を知っていた。事後報告であったが、内容を聞いて絶句したのは昨日の事だ。
「ナルト様、ビウェル様。娼館て、なんですか?」
微笑んで、聞いてくる。
「何で? 」
「姉様達に、聞いたら。『ナルト様に、聞きなさい。』て、言われました。」
「丸投げか!! 」
(セルビア、やっぱりお前も、セラム様の子だな。)
心の中で、突っ込んむ。
「ナルト様。」
「ああ、その なんだ。男の欲望を吐き出すと、いうか。いや、女性の為の場所もあるぞ。」
「欲望? 」
「そうだ、ビウェル。」
ナルトはビウェルに、助けを求めた。無垢に首を傾げるセルビィに、真実を伝えるのは辛かった。
「女性を、買うところだ。」
ビウェルは、ずばり 言った。
「女性を、買う。」
セルビィは、微笑んだ。
「つまり、そう言う事ですか。」
「ん、そう言う事だ。」
ナルトは、目を反らしながら頷いた。
「姉様達を、奴隷扱いしたと言う事ですか。」
「ん、うん。そうだ。」
ナルトはビウェルを見る、彼は目を見張っていた。
赤ん坊は、コウノトリが運んで来ると信じてるセルビィに女性を買うの意味は通じなかった。
「チャイニ国は、多くの豪の者を奴隷として買ってますから。そう言う事ですか  ふふ。」
セルビィは笑った。
「謝らせるだけでは、許せません ふふふ。」
セルビィの笑い声は、ナルトとビウェルを凍らせた。


「今、なんと言いました? ドービル侯爵。」
セルビィは、微笑んで聞いた。
「娼館の様だと。」
セルビィの奇麗な笑顔に、侯爵は気を良くして言う。
「其れは、どう言う意味ですか? 」
「褒め言葉ですよ。」
腹を揺らして、笑う。
「褒め言葉ですか。では、チャイニ国に招待された時は 王妃様や王女様に『娼館の様だと』褒めれば宜しいのですね。」
「なっ!! そ、其れは!! 」
「勿論、ドービル侯爵の教えだと 一言をおつけ致します。」
セルビィは、微笑みを称えた。侯爵は焦った、自分の教えで 高位の方々にそんな事を言われる訳にはいかなかった。
「其れは、困ります。」
「何故ですか、褒め言葉なのでしょう。」
セルビィは、益々微笑む。
「其れは、高位の方々に言う言葉では無いので 」
侯爵は、焦って言葉にする。セルビィは、冷たい声で言った。
「では、何故 姉様達に言ったのですか。」
「そ、其れは。」
一回り以上年の違う子供に責められる屈辱に、侯爵は唇を噛み締めた。
「申し訳ない。」
侯爵は、セルビィに謝った。
「誰に、謝っているのです。謝る相手が違うでしょう。」
セルビィは、冷たく見る。
「済まなかった。」
侯爵は令嬢達に向かって、謝りの言葉を掛けた。
令嬢達は おずおず と、顔を上げる。
「声が、小さいようです。もう一度。」
「なっ!! 」
侯爵は驚きの顔を、セルビィに向ける。
「如何しました? 姉様達は、聞こえて無い様です。」
冷たく見据える。
「申し訳ない。」
唇を噛み締めながら、言う。
「心が、こもってません。もう一度。」
セルビィは、冷たく言う。
「も、申し訳ない。」
「誠意が、感じられません。もう一度。」
「いい加減に、」
「なんです、謝るときには頭を下げるべきでしょう。」
何度も親程の年上の者を謝らせるセルビィに、周りの者は声も出せずに見詰めていた。中央のざわめきとは違い、この場は異様な空気が流れていた。

「これは、いったい。何が、有ったんだ? 」
声と共に現れたのはチャイニ国の第二王子ポカリス。護衛の二人と共に現れた。
「ポカリス様、お助け下さい。」
ドービルは、王子に助けを求めた。
「これは、どう言う事です ランドール殿。我が国の物者が、何か。」
ポカリスは、年下のセルビィを見下ろす。
「これは、ポカリス王太子様。ご機嫌宜しく。」
セルビィは、微笑んで迎えた。
「私は、謝りました。其れなのに、何度も難癖を付けて私を謝らせるのです。」
「其れは本当か、ランドール殿。高位をかざして、我が国の者を辱めているのか。国際問題に、なるぞ。」
ポカリスが、圧力を掛けてくる。ドービルは、頼もしい味方を得たとセルビィを見下した。
「国際問題ですか。確かに、そうなるでしょう。」
セルビィは、微笑んだ。
「高位の令嬢達に『娼館の様だ』などと、言葉を掛ければ。」
「なっ!! 」
ポカリスは、ドービルを見た。ドービルは慌てて。
「しかし、私は謝りました。」
「そう、謝罪だけで不問にしょうとする 僕の心遣いが分かって貰えないようです。」
セルビィは、哀しそうに目を伏せた。
「若輩だと侮り、口先だけの謝罪になんの意味があるでしょう。」
セルビィは、ポカリスはを見上げる。
「やはり国際問題とし、他国方々に どちらが正しいか判断して貰う方が いいのでしょうか。」
「其れは。ドービル侯爵、謝罪をしろ。」
セルビィの言葉に、ポカリスはドービルに謝罪を迫った。
「しかし、私は謝罪しました。」
ドービルは、声を上げる。
「セ、セルビィ。私達は、もう。」
セルビアが、オロオロと弟に声を掛け立ち上がる。
「姉様。僕は納得がいかないのです。口先だけの謝罪など。」
優しい表情と声で、姉様達に微笑む。立ち上がっているセルビアの肩を押さえて、そっと座らせる。
「姉様達は、王太子の公爵息子の婚約者です。将来、この国の王妃と公爵となる高位の女性が辱めを承けたと成れば 国に対する屈辱でもあります。」
セルビィは、ポカリス王子を見る。
「ポカリス様は、御自分の婚約者を辱められても 平気なのですか。」
ポカリスは、拳を握り締めた。侯爵を睨んだ。
「侯爵、謝罪を。」
ポカリスは、ドービルに告げる。
「しかし、」
ドービルは自分は何度も謝罪をしたと、これ以上は矜持が許さなかった。

「それに、この婚姻は 豪の民とオースト国の民との平穏の為 神が決めた婚姻。その女性を辱める事は、神を侮辱すると同じ。この国の信者達は、チャイニ国をどう思うでしょう。」
「ドービル侯爵、謝罪をするのだ。」
信仰に、訴えてくるセルビィにポカリスは唇を噛む。
信仰が絡むと、厄介に事に成るのは明らかだった。
それでも、ドービルはこれ以上は若輩のセルビィに頭を下げるのは嫌だった。
「僕が、納得がいかないのですから 父様も納得するはずは無いでしょう。」
チャイニ国の者を見る。その目は、蔑む様な冷たい目であった。
「父様が聞けば。姉様を辱められたと聞けば、きっと 剣を取りドービル侯爵の首を貰いに参るでしょう。」
ドービルに向け、微笑む。
「ひぃ!! 」
ドービルは首を押さえた。
「国際問題? そんなもの、姉様の辱められた事に比べれば 椎名事です。」
セルビィは、ポカリス王子を見詰めた。
「侯爵様を庇うのなら、どうぞ。チャイニ国に攻め入り、豪の民の屈辱共々晴らして見せましょう。」
「待て、ランドール殿。其れは、」
王子は、慌てる。チャイニ国は、多くの豪の者を奴隷としている。
「父様、セラム・ランドール。『漆黒の獅子』は、屈辱を晴らすために命をかけるでしょう。」
少し声が、大きくなる。
「無論。『紺青の鷹』『深緑の狼』『黒紫の虎』の異名を持つも姉様方の父様方も、愛娘の屈辱を晴らす為なら命をかけるでしょう。」
セルビィは、名だたる英雄の名を上げる。
「それは良い。なら、俺はセラム公の後で 棚ぼたを 狙うか ロレンス。」
「英雄達の通った後なら、無傷で王都まで行けるでしょう リオル様。」
傍観していた、リオル達が口を挟んだ。

名だたる英雄四人が、怒りと共に王都にでも現れれば王都はひとたまりも無いであろう。それに、王都には多くの豪の奴隷がいる。
豪の英雄が現れれば、反乱を起こすかもしれない。
「侯爵!! 頭を垂れて、謝罪しろ!! 」
ポカリスは声を、荒げた。
「も、申し訳 御座いません!! 」
此所に来て、現状を知ったドービルは頭を下げて謝罪をする。
その姿を、セルビィは見ていた。その目は、無機質で感情が見えない。周りの者達も、いつの間にか静かに状況を窺っている。
チャイニ国の王子とドービル 王子の二人の護衛はセルビィの言葉を神託の授かる気持ちで待っていた。
セルビィは、静かに微笑んだ。

「誰に、謝っているのです。謝る相手が、違うでしょう。」
冷たい声が、響いた。
「侯爵!! 」
「お許し下さい!! 御令嬢様!! このとうり このとうり!! 」
令嬢達に頭を向け、膝を折り頭を床に擦り付ける。
セルビィは、それを感情も見せずに見下ろす。
「セ、セルビィ。もう、いいわ。もう、許して上げて お願い。」
「姉様。」
セルビアは、困惑した表情で弟に縋り付く。
セルビィは ちらり と、ロレンスを見る。
「リオル様。ポカリス王子に、お口添えを。」
「ん、ああ。セルビィ殿、俺の顔を立てて此処までにしてくれ。」
気づいた様に、声を掛ける。
「仕方が有りません。姉様の、リオル様の顔を立てて此処までにしましょう。」
セルビィは、ポカリス王子に目を向ける。
「以後、お気を付けて下さい。」
「肝に銘じよう。」
セルビィは、周りを見回し
「この事は、この場は限りに。」
人差し指を口元にあて、セルビィは微笑んだ。その微笑みに、周りの野次馬達は恐怖の余り静かに頷いた。
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