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04.よっつめ
16.エンドア平原のダンジョン(その16)
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炎の女神は、部屋の支配権が目の前の龍へと変わった所で、さらに纏っていた炎の温度を上げた。
炎は青色へと変化したところで部屋の壁、床、天井に思いもよらぬ変化が現れた。
空中で浮遊している炎の女神の頭上の天井と足下の床が真っ赤になりどろどろと溶けだしたのだ。
さらに、溶けだした天井と床の周りの石がバキバキと音を立ててひび割れ砕け始めた。
炎の女神が纏う炎の温度の急激な上昇により、美しい龍のブレス"氷界"のブレスが徐々に押されていった。
龍といえどもブレスを絶えず吐き続けることはできない。しかし、炎の女神の炎は休むことなく放出していた。
美しい龍は、一瞬だけ"氷界"のブレスを吐くことを止めた。
その瞬間、炎の女神はさらに炎の温度を上げ始めた。
ディオネとレアの目には既に炎の女神の姿は見えず、青く輝く光の珠にしか見えなかった。
部屋の中の温度もとんでもない状態となっていた。
いくら炎に耐性があるディオネとレアであっても、ここまでの超高温は体験したことがなかった。
「ちょ、ちょっと炎の女神。やりすぎよ。そこまでよ。これ以上温度を上げると私の魔力と魔素が尽きてしまうわ。」
「ちょっと、聞こえてる。ねえ、ねえってば。」
ディオネは、炎の女神にこれ以上の超高温状態を維持する事を止めるに指示を出した。
しかし"殺さなければ好きなようにしてよい"というお墨付きを貰った炎の女神は、もうディオネの言葉など聞こえてはいなかった。
「姉さん、姉さんがなんあ事を言うから炎の女神さん歯止めが効かないんだよ。」
「不味いわよ。こんな超高温だと私達も持たないわ。」
「確かに。炎蛇。悪いけど僕達を守って。このままだと僕達も焼け死にそうだよ。」
ディオネとレアの後ろでとぐろを巻いて休んでいた3体の炎蛇達は、レアの言葉を聞くと素直にディオネとレアの周りに移動し、ディオネとレアの周りでとぐろを巻いてふたりを超高温から守り始めた。
「いい加減、あの龍が負けを認めないと、私の魔力と魔素が枯渇してしまうわ。」
ディオネも炎の女神へ供給する魔力も魔素もかなり危険域に達し始めた。
ディオネの顔色が青くなり、もう倒れる寸前の状態となっていた。
そんな状況の中、美しい龍にも変化が現れていた。
美しい龍の体を覆っている白い鱗の表面に小さな亀裂が生じ始め、鱗の表面が薄く剥がれだしたのだ。
(龍の心の声)
「なっ、なんだこの超高温は。これでは私の"氷界"のブレスでは防ぐ事もままならないではないか。」
「私の体の鱗が剥がれ落ちだしたのか。体もそろそろ限界か。」
「そういえば、魔獣を作りだすために既に魔素を使ってしまっていたな。魔素が枯渇したダンジョンで戦うなどどうかしていたということか。」
「しかし、私にもこのダンジョンの管理者としてのプライドがある…プライはあるが、命をかけてまで守りたい訳でもない。そもそもこのダンジョンの管理者にと誘った女神に騙されていた訳だし。」
「この辺りが潮時か。」
美しい龍は、"氷界"のブレスを吐くのを止めると、数歩後ろへと下がり床へ体と頭を付けて服従の姿勢をとった。
そしてディオネに念話での会話を求めると負けを認めた。
「参りました。このダンジョンの管理者として負けを認めます。」
ディオネは、念話で負けを認めた龍の言葉を信じ、炎の女神に戦いを止めるよう命じた。
炎の女神も負けを認めた者への攻撃は行わず、女神の炎の温度も次第に低くなっていった。
部屋の壁、床、天井の損傷は酷く壁や床は、亀裂が入り石材が剥がれ落ちていた。
特に床と天井の一部は、炎の女神が発した超高温により、半球状に溶けて真っ赤な液体と化していた。
「さすがと言うか神のスキル"炎の女神"には敵いません。」
「あなた、このスキルの事を知っているの。」
「はい、そのスキルの本来の持ち主が現在どうなっているかも存じております。」
「ふーん。昔、何か面倒な事でもあったのかしら。」
「もし、機会がありましたらそ辺りのお話もできるかと思います。」
「じゃあ、こちらとしては戦いに勝ったことだし、先ほどの話の詳細は追で話すわね。」
「ただ、ひとつ問題があります。私は龍族です。龍族はこの部屋に施された封印のため、ここから出ることができません。」
「あら、その件なら大丈夫よ。」
ディオネは、腰にぶら下げたアイテムバックから"どらまたの腕輪"を取り出した。
「この腕輪はね。神器なの。」
「この腕輪を使うと龍族を人化する呪いが発動するの。これで人化すればこの部屋からは出られるわよ。」
「でも問題もあるわ。この人化の呪いの効力は100年間なの。」
「別に100年間、私達と行動を共にしろなんて言わないわ。"神"の前に"邪"の付く存在をどうにか出来れば後は好きにしていいわよ。」
「人族の姿で100年生きるのは、龍族にとって屈辱でしょうけど。私達のお姉さんもこの腕輪で人化させられたの。」
「でもそれが元で、今では龍神になったわ。龍族として生まれてたった200年でよ。すごいでしょ。」
美しい龍は、ディオネの話を信じられずにいた。あまりにも都合が良すぎる話だからだ。
「待ってください。たった200年で龍神などになれる訳がありません。私をからかっているのですか。」
「いいえ、本当の話よ。だからもしかすると、この腕輪で人化すると物事が良い方向に向く可能性があるわ。」
美しい龍はしばし考えた。にわかには信じられない話だ。だが目の前に立つ人族の姿をした火龍が嘘を言っているようには見えなかった。
「信じるか信じないかはあなた次第よ。こんなダンジョンの最下層であと何百年も楽しい龍生を送りたいのならね。」
美しい龍は、それを言われてしまうと返す言葉がなかった。
「分かった。その腕輪で私を人化してください。私は、このダンジョンから出たいのです。」
「分かりました。では、今から人化の呪いをかけます。」
ディオネが念話でそう伝えると、"どらまたの腕輪"を左腕に装着し、腕輪のスキルを唱えようとした。
「ダメです。管理者様。こんなやつらの言葉など信じないでください。」
ディオネと美しい龍との念話に子供の声が割って入った。
ディオネは辺りを見回した。
すると、レアの大きな鞄の中から小さな人族の男の子供が現れた。
男の子は、レアの毛布を身に纏いペタペタと足音を鳴らしながらディオネとレアがいる場所まで歩き出した。
ただし、炎蛇の横を歩いた時は顔色が真っ青で引きつって今にも卒倒しそうな顔をしていた。
「管理者様は、このダンジョンの責任者です。その管理者様がこんなやつらに負けるはずがありません。」
「きっと何かの間違いです。もう一度、もう一度だけ戦ってください。」
「そしてこんなやつらをやっつけてください。」
男の子は、目を輝かせて美しい龍の姿を見つめていた。
「すまない。私はこの者達に負けたのだ。だからその願いを聞き入れる事はできない。」
「そんなあ。管理者様が負けを認めるなんて。」
「時にお主は何者なのだ。私を管理者と呼ぶ人族は、このダンジョンにはいないはずだが。」
「ヒドラです。45層のエリアマスターとして、管理者様の魔素で作っていただいたヒドラです。」
小さなヒドラだった男の子は、目を輝かせながらダンジョンの管理者である美しい龍に話しかけた。
「この子はね。45層で私達に立ち向かった幼生のヒドラなの。」
「おそらくだけど、ダンジョンの魔素が枯渇したために、本来なら成獣のヒドラが誕生するはずが、魔素の枯渇で幼生のヒドラが誕生したんだと思うの。」
「彼、勇敢に戦ったのよ。でもね、炎蛇に食べられかけたの。だから私の小間使いにしようと思って生かしておいたのよ。」
ディオネは、男の子が何者なのかを詳しく語り始めた。これから仲間?になるふたりが何者であるかを知ってもらうためにも多少の説明が必要だと判断したからだ。
「管理者様が戦わないなら、代わりに僕が戦う!」
「おい、お前。僕ともう一度戦え!」
男の子は、いきなりな言葉を発した。
しかし、男の子は真剣だった。ただし無知であった。
一度負けた相手と再戦して勝てる力量など無いことは分かっているはずだった。
「そお。そんなに戦いたいのならいいわよ。でも戦うのは、私じゃないわよ。」
そう言うとディオネは、部屋の入り口でとぐろを巻いて寝ている3体の炎蛇を指さした。
男の子は、その意味するところを瞬時に察した。
「ひっ、卑怯者。あんな大きな蛇じゃなくて、おまえが戦え!」
男の子の顔は引きつっていた。しかし、元々はヒドラである。
闘争心は他の魔獣よりも強いがゆえになかなか引き下がろうとはしなかった。
ディオネもせっかく助けたヒドラと再戦する気などなく、面倒事は後々にしたかった。
「じゃあこうしましょう。あなたがもっと強くなったら戦ってあげる。」
「あなたみたいな小さなヒドラと戦っても面白くないのよ。」
ディオネは、それらしい言葉を並べて男の子の反応を伺った。
「分かった。絶対僕と戦ってよ。約束だからね。」
単純!バカなくらい単純なヒドラ。でも単純な方が御しやすくて楽でいい。ディオネはそう考えると口元がにやりとほほ笑んでしまった。
「そうね。それまでは、その管理者さんのお世話と私達の雑用係でもしてもらおうかしら。」
「働かない者には、何も食べさせないわよ。でも働いたらちゃんとお腹いっぱい食べさせてあげるわ。」
ディオネは、"どらまた腕輪"でこのダンジョンの管理者である美しい龍を人化する事ができた。
そして4人でダンジョン50層の最奥の部屋から無事に出る事ができた。
さて、このダンジョンを創造した女神様は、ダンジョンの管理者である龍をディオネに盗られてどう動くやら。
炎は青色へと変化したところで部屋の壁、床、天井に思いもよらぬ変化が現れた。
空中で浮遊している炎の女神の頭上の天井と足下の床が真っ赤になりどろどろと溶けだしたのだ。
さらに、溶けだした天井と床の周りの石がバキバキと音を立ててひび割れ砕け始めた。
炎の女神が纏う炎の温度の急激な上昇により、美しい龍のブレス"氷界"のブレスが徐々に押されていった。
龍といえどもブレスを絶えず吐き続けることはできない。しかし、炎の女神の炎は休むことなく放出していた。
美しい龍は、一瞬だけ"氷界"のブレスを吐くことを止めた。
その瞬間、炎の女神はさらに炎の温度を上げ始めた。
ディオネとレアの目には既に炎の女神の姿は見えず、青く輝く光の珠にしか見えなかった。
部屋の中の温度もとんでもない状態となっていた。
いくら炎に耐性があるディオネとレアであっても、ここまでの超高温は体験したことがなかった。
「ちょ、ちょっと炎の女神。やりすぎよ。そこまでよ。これ以上温度を上げると私の魔力と魔素が尽きてしまうわ。」
「ちょっと、聞こえてる。ねえ、ねえってば。」
ディオネは、炎の女神にこれ以上の超高温状態を維持する事を止めるに指示を出した。
しかし"殺さなければ好きなようにしてよい"というお墨付きを貰った炎の女神は、もうディオネの言葉など聞こえてはいなかった。
「姉さん、姉さんがなんあ事を言うから炎の女神さん歯止めが効かないんだよ。」
「不味いわよ。こんな超高温だと私達も持たないわ。」
「確かに。炎蛇。悪いけど僕達を守って。このままだと僕達も焼け死にそうだよ。」
ディオネとレアの後ろでとぐろを巻いて休んでいた3体の炎蛇達は、レアの言葉を聞くと素直にディオネとレアの周りに移動し、ディオネとレアの周りでとぐろを巻いてふたりを超高温から守り始めた。
「いい加減、あの龍が負けを認めないと、私の魔力と魔素が枯渇してしまうわ。」
ディオネも炎の女神へ供給する魔力も魔素もかなり危険域に達し始めた。
ディオネの顔色が青くなり、もう倒れる寸前の状態となっていた。
そんな状況の中、美しい龍にも変化が現れていた。
美しい龍の体を覆っている白い鱗の表面に小さな亀裂が生じ始め、鱗の表面が薄く剥がれだしたのだ。
(龍の心の声)
「なっ、なんだこの超高温は。これでは私の"氷界"のブレスでは防ぐ事もままならないではないか。」
「私の体の鱗が剥がれ落ちだしたのか。体もそろそろ限界か。」
「そういえば、魔獣を作りだすために既に魔素を使ってしまっていたな。魔素が枯渇したダンジョンで戦うなどどうかしていたということか。」
「しかし、私にもこのダンジョンの管理者としてのプライドがある…プライはあるが、命をかけてまで守りたい訳でもない。そもそもこのダンジョンの管理者にと誘った女神に騙されていた訳だし。」
「この辺りが潮時か。」
美しい龍は、"氷界"のブレスを吐くのを止めると、数歩後ろへと下がり床へ体と頭を付けて服従の姿勢をとった。
そしてディオネに念話での会話を求めると負けを認めた。
「参りました。このダンジョンの管理者として負けを認めます。」
ディオネは、念話で負けを認めた龍の言葉を信じ、炎の女神に戦いを止めるよう命じた。
炎の女神も負けを認めた者への攻撃は行わず、女神の炎の温度も次第に低くなっていった。
部屋の壁、床、天井の損傷は酷く壁や床は、亀裂が入り石材が剥がれ落ちていた。
特に床と天井の一部は、炎の女神が発した超高温により、半球状に溶けて真っ赤な液体と化していた。
「さすがと言うか神のスキル"炎の女神"には敵いません。」
「あなた、このスキルの事を知っているの。」
「はい、そのスキルの本来の持ち主が現在どうなっているかも存じております。」
「ふーん。昔、何か面倒な事でもあったのかしら。」
「もし、機会がありましたらそ辺りのお話もできるかと思います。」
「じゃあ、こちらとしては戦いに勝ったことだし、先ほどの話の詳細は追で話すわね。」
「ただ、ひとつ問題があります。私は龍族です。龍族はこの部屋に施された封印のため、ここから出ることができません。」
「あら、その件なら大丈夫よ。」
ディオネは、腰にぶら下げたアイテムバックから"どらまたの腕輪"を取り出した。
「この腕輪はね。神器なの。」
「この腕輪を使うと龍族を人化する呪いが発動するの。これで人化すればこの部屋からは出られるわよ。」
「でも問題もあるわ。この人化の呪いの効力は100年間なの。」
「別に100年間、私達と行動を共にしろなんて言わないわ。"神"の前に"邪"の付く存在をどうにか出来れば後は好きにしていいわよ。」
「人族の姿で100年生きるのは、龍族にとって屈辱でしょうけど。私達のお姉さんもこの腕輪で人化させられたの。」
「でもそれが元で、今では龍神になったわ。龍族として生まれてたった200年でよ。すごいでしょ。」
美しい龍は、ディオネの話を信じられずにいた。あまりにも都合が良すぎる話だからだ。
「待ってください。たった200年で龍神などになれる訳がありません。私をからかっているのですか。」
「いいえ、本当の話よ。だからもしかすると、この腕輪で人化すると物事が良い方向に向く可能性があるわ。」
美しい龍はしばし考えた。にわかには信じられない話だ。だが目の前に立つ人族の姿をした火龍が嘘を言っているようには見えなかった。
「信じるか信じないかはあなた次第よ。こんなダンジョンの最下層であと何百年も楽しい龍生を送りたいのならね。」
美しい龍は、それを言われてしまうと返す言葉がなかった。
「分かった。その腕輪で私を人化してください。私は、このダンジョンから出たいのです。」
「分かりました。では、今から人化の呪いをかけます。」
ディオネが念話でそう伝えると、"どらまたの腕輪"を左腕に装着し、腕輪のスキルを唱えようとした。
「ダメです。管理者様。こんなやつらの言葉など信じないでください。」
ディオネと美しい龍との念話に子供の声が割って入った。
ディオネは辺りを見回した。
すると、レアの大きな鞄の中から小さな人族の男の子供が現れた。
男の子は、レアの毛布を身に纏いペタペタと足音を鳴らしながらディオネとレアがいる場所まで歩き出した。
ただし、炎蛇の横を歩いた時は顔色が真っ青で引きつって今にも卒倒しそうな顔をしていた。
「管理者様は、このダンジョンの責任者です。その管理者様がこんなやつらに負けるはずがありません。」
「きっと何かの間違いです。もう一度、もう一度だけ戦ってください。」
「そしてこんなやつらをやっつけてください。」
男の子は、目を輝かせて美しい龍の姿を見つめていた。
「すまない。私はこの者達に負けたのだ。だからその願いを聞き入れる事はできない。」
「そんなあ。管理者様が負けを認めるなんて。」
「時にお主は何者なのだ。私を管理者と呼ぶ人族は、このダンジョンにはいないはずだが。」
「ヒドラです。45層のエリアマスターとして、管理者様の魔素で作っていただいたヒドラです。」
小さなヒドラだった男の子は、目を輝かせながらダンジョンの管理者である美しい龍に話しかけた。
「この子はね。45層で私達に立ち向かった幼生のヒドラなの。」
「おそらくだけど、ダンジョンの魔素が枯渇したために、本来なら成獣のヒドラが誕生するはずが、魔素の枯渇で幼生のヒドラが誕生したんだと思うの。」
「彼、勇敢に戦ったのよ。でもね、炎蛇に食べられかけたの。だから私の小間使いにしようと思って生かしておいたのよ。」
ディオネは、男の子が何者なのかを詳しく語り始めた。これから仲間?になるふたりが何者であるかを知ってもらうためにも多少の説明が必要だと判断したからだ。
「管理者様が戦わないなら、代わりに僕が戦う!」
「おい、お前。僕ともう一度戦え!」
男の子は、いきなりな言葉を発した。
しかし、男の子は真剣だった。ただし無知であった。
一度負けた相手と再戦して勝てる力量など無いことは分かっているはずだった。
「そお。そんなに戦いたいのならいいわよ。でも戦うのは、私じゃないわよ。」
そう言うとディオネは、部屋の入り口でとぐろを巻いて寝ている3体の炎蛇を指さした。
男の子は、その意味するところを瞬時に察した。
「ひっ、卑怯者。あんな大きな蛇じゃなくて、おまえが戦え!」
男の子の顔は引きつっていた。しかし、元々はヒドラである。
闘争心は他の魔獣よりも強いがゆえになかなか引き下がろうとはしなかった。
ディオネもせっかく助けたヒドラと再戦する気などなく、面倒事は後々にしたかった。
「じゃあこうしましょう。あなたがもっと強くなったら戦ってあげる。」
「あなたみたいな小さなヒドラと戦っても面白くないのよ。」
ディオネは、それらしい言葉を並べて男の子の反応を伺った。
「分かった。絶対僕と戦ってよ。約束だからね。」
単純!バカなくらい単純なヒドラ。でも単純な方が御しやすくて楽でいい。ディオネはそう考えると口元がにやりとほほ笑んでしまった。
「そうね。それまでは、その管理者さんのお世話と私達の雑用係でもしてもらおうかしら。」
「働かない者には、何も食べさせないわよ。でも働いたらちゃんとお腹いっぱい食べさせてあげるわ。」
ディオネは、"どらまた腕輪"でこのダンジョンの管理者である美しい龍を人化する事ができた。
そして4人でダンジョン50層の最奥の部屋から無事に出る事ができた。
さて、このダンジョンを創造した女神様は、ダンジョンの管理者である龍をディオネに盗られてどう動くやら。
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