異世界をつなぐ契約者

楓和

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第2章・第2話「捕獲」

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大きな岩に囲まれた川沿いを歩いている一行。

 「じゃあお前は両親を知らないのか。」
 「うん。まぁでも、元から居ないから寂しいなんて全然思った事無いよ。」

あっけらかんと言うイオンに、ジュウビとロックは目を合わせる。

 「本当だよ?だって村にはサマおばさんも居たし。寂しさなんて感じたことな……ん?」

その時、イオンはミズリが何かに反応したのを感じた。

 「ミズリ様?」
 《上だ!》

全員がミズリの声に反応し、上空を見上げた。

 「あれは…」

かなりの上空…そこには大きな翼を羽ばたかせ、こちらを見下ろしているのか、金色の鳥がいた。
鋭く尖ったくちばし、長い首。頭部には太い角が二本生えている。
身体の下方には二本、槍の切っ先の様な物が生えていた。
それは足なのか何なのか分からないが、それで串刺しにでもされたら最後、抜く事も出来ずに命を落とす…咄嗟にそう感じる程の威圧感だった。
その金色の鳥…いや、精獣は『戦闘開始』と言わんばかりに大きく咆哮した。

 「レイチだな!」

ジュウビが戦闘態勢に入る。

 《こっちは精獣が大勢居るからな。引き寄せられたのかもしれん》

そう呟いたカウムに、ジュウビが吠える。

 「行くぞカウム!」
 《よかろう》

大きな岩ばかりのここなら、カウムの火炎で山火事が起きる心配はない。ジュウビはカウムと獣甲した。

その直後、レイチの羽から幾つかの光る何かがジュウビ目掛けて飛んでくる。

 「体毛だな。当たるかよ!」

全てかわすジュウビ。

 「うわったっ!」

ロックの足元の岩に、レイチの体毛が刺さる。

 「やべぇぞイオンちゃん!俺達も獣甲しといた方が無難だぜ!」
 「は、はい!」

ロックはネネコと、イオンはミズリと獣甲する。

 「カウム、飛ぶぞ!」
 《それが得策だな》

ジュウビの背に炎の翼が生える。それと同時にジュウビは手を軽く上げ、炎の円盤を作り出した。
軽く地を蹴り、飛び上がるジュウビ。
炎に覆われたチャクラム(円盤型の武器)を握り、レイチに斬りかかる。
レイチは素早くかわし、ジュウビの背後に回り込む。

 「くっ!」

背後を取られ、焦りをみせるジュウビ。だがその時、レイチの背に何かがヒットし、レイチは怯んだ。

 「ジュウビ!」

イオンの手には水で作られた槍があった。そう、レイチの背にヒットしたのは、水の槍から放たれた矢水閃だ。

 「よし!」

振り向き様、炎のチャクラムをレイチに向かって投げるジュウビ。
炎のチャクラムはレイチの首にヒット。
打撃もさることながら、チャクラムを包んでいた炎がレイチの身体に絡み付き、レイチは苦しみもがく。
そして咆哮しながら地上へ落下した。

 「よ、よし、あとは任せろ!」

ロックは口元にある棒の様なものをくわえ、息を吹き込む。
近くに居たイオンの脳天に響く低い音。それは空気が振動しているようだった。

 《頭部の防具で音を防ぐ…そう意識するんだ、イオン》
 「は、はい!」

ミズリに言われた通りに念じると耳元の防具が変形し、耳を包み込む。音が薄らいでいくのが分かった。
そしてレイチは、何度か立ち上がろうとしていたが結局動けず、遂には地面に伏した。

 「お前の力か。」

地上に降りてきたジュウビがロックに聞く。

 「ああ!俺の技で、重停音(じゅうていおん)ってんだ!一度息を吹き込んで発動すれば、そのまましばらく継続できる!凄ぇだろ!」
 《私達の技…ね》
 「う…」

ネネコに言い直されて口ごもるロック。

 「とにかく技が効いてる今のうちにどうにかしないと。」

イオンがそう言うと、ジュウビが前に出る。

 「俺がレイチと契約する。」

その場の全員が驚愕した。

 「ばっ!……かっ!」

次はイオンの大声に全員驚愕。

 「ば、ばっかだってよ。」

ジュウビを見て含み笑いするロック。

 「く…何が馬鹿だ!他にどうする気だったんだよ、お前は!」
 「それは…わ、私が契約する気だったのよ!」
 《ば、馬鹿はお前だ》

焦ったのはミズリ。

 《いくらお前でも、全く見知らぬレイチと契約すれば相当な負担が掛かる》

ミズリはイオンにそんな重荷を背負わせたくない…純粋にそう思った。

 「ミズリ様…」

そんなミズリの思いを感じ取り、シュンとするイオン。

 「おいおい、お前ら。俺の事忘れてねぇか?」

前に出るロック。

 「ジュウビ、お前さんは既に三精獣と契約してる。それ以上は無謀だと言われたんだろーが?もちろんイオンちゃんには危険すぎる。…レイチさんは俺が引き受けた。いや、俺にやらせてくれ。」

真剣な表情のロックに対し、ジュウビはゆっくりと下がった。

 「ジュウビに出来て俺に出来ねーはずがねぇ…」

そう言いながらも、ちょっと恐いロックの心境を感じ取りネネコは…

 《ふぅ》

溜息をついた。

 「ネネコさん?!」
 《だって…相変わらず情けないなーって》
 「う、くっ!…やる!やるったらやる!」

ロックは気持ちに勢いをつけ、レイチとの契約を交わした。
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