2 / 10
第二話 彼女は死ぬしかなったのだ
しおりを挟む
卒業式の混乱の中何が起きたかは、当時の参加者の日記や手記を見ても内容が異なり、正確なことは現在ではわからなくなっている。
しかし、王太子ジャンが婚約者であるロクロア公令嬢マリアと婚約破棄をして、ロクロア公庶子であるリリスとその日のうちに婚約を結び、それが教会に受理された、という事だけは確かである。
そしてこの事実自体が、王国の崩壊の引き金となった。
即日ハーベリア公でありロクロア公令嬢マリアが学園入り口で王国騎士団に討伐されることになる。
後世の創作では王国騎士団団長の暴走であるということが言われることもあるが、最低でも王太子からの指示が、状況から見て国王の指示のもとの行動であるだろうと考えられる血なまぐさいこれは、マリアに同行していた貴族令息令嬢も巻き込む惨事となり、貴族令息令嬢8名が巻き込まれることとなった。
このような凶行に及ぶのは、状況から見ればむしろ必然であると考えられる。
王太子がいくらマリアの悪行を並べ立てようと、状況から見て王太子とリリスの不貞は疑いようがなく、婚約破棄において有責なのは王太子である。
そういう意味ではリリスも責任があるのだが、あくまで庶子でしかなく正式なロクロア公の子ではないリリスはただの平民でしかなくその責任をロクロア公が負うことはない。
そうするとガリア王国側はロクロア公国及びハーベリア公国に多大な賠償責任を負う可能性があったのだ。
当時は融和ムードとはいえもともと反王国気質の強い二つの公国に、そのような状況になれば王国が崩壊しかねない危機感が王国側にあった。
それをうやむやにするためには当事者であるマリアを誅殺する必要があったのだ。
さらに言えば、二つの公国が反乱を起こした場合、その旗頭になるのはマリアの可能性が高かった。
特に公が健在なロクロア公国に比べ、本家の直系がマリアしかいないハーベリア公国は旗頭になれるのがマリアしかいない。
反乱がおきたときの相手の戦力を削るという意味でもマリアの誅殺は必須だった。
切羽詰まった王国側は、最大戦力である王国騎士団を即時対応できる部隊を全部出すという強硬策に出ていた。
一方ロクロア公国側はこれといった動きがない。せいぜいロクロア公国のタウンハウス付近で王国騎士団とロクロア公国騎士が小競り合いをした、という程度の記録しか残っていなかった。
気合が、そして焦り度合いが違うのだ。
結果は火を見るよりも明らかであり、マリアは予定通り誅殺されるのであった。
殺されたマリア側は、学友と雑談しながら学園の正門を出てきた、という事であり、この時のマリアの対応には疑問が多かった。後世の創作ではマリアが泥をすすりながらでも生き残る、といった話が出るぐらい不自然な行動であると言われることもある。
しかし彼女が生き残ることができる可能性があったか、といわれれば、後知恵で見れば不可能であっただろうとは考えられる。
王都とは王家の直轄地であり御ひざ元である。その治安は王家の直轄部隊が維持しており、王都出身者が多い彼らは土地勘も働く。
さらに、学園に急行した部隊以外にも、ロクロア公国のタウンハウスに急行し待ち構えていた部隊、さらに王都から脱出しないように見張る部隊もすべて展開していた。
完全に包囲されている状況であり、マリアが無事脱出できる可能性はなかった。
つまり
第二話 彼女は死ぬしかなったのだ
彼女がどうして正門から、学友と雑談しながら出てきたのか、については様々な考察がある。
学友をだまし道連れにすることで、さらに王国の混乱を助長しようとする意図があった、という分析がされることもある。
さすがにうがちすぎな考えにも思えるが、この時マリアとともに亡くなった貴族令息令嬢が、この後更なる混乱を王国にもたらすのだから、そのように考えることも致し方無い話だと思われる。
なんにしろマリアは誅殺された。
実行犯は王家直属の王国騎士団であった。
これにより数百年の歴史を有するハーベリア公国の本家直系は滅亡し、ロクロア公国の本家直系も現在のロクロア公だけという風前の灯火といわれる状況になってしまうのであった。
これで終わればめでたい、とは言えないがただの政争の一部でしかないだろう。
だが、ここまで強硬な行動をして何も反動がないわけがないのであった。
しかし、王太子ジャンが婚約者であるロクロア公令嬢マリアと婚約破棄をして、ロクロア公庶子であるリリスとその日のうちに婚約を結び、それが教会に受理された、という事だけは確かである。
そしてこの事実自体が、王国の崩壊の引き金となった。
即日ハーベリア公でありロクロア公令嬢マリアが学園入り口で王国騎士団に討伐されることになる。
後世の創作では王国騎士団団長の暴走であるということが言われることもあるが、最低でも王太子からの指示が、状況から見て国王の指示のもとの行動であるだろうと考えられる血なまぐさいこれは、マリアに同行していた貴族令息令嬢も巻き込む惨事となり、貴族令息令嬢8名が巻き込まれることとなった。
このような凶行に及ぶのは、状況から見ればむしろ必然であると考えられる。
王太子がいくらマリアの悪行を並べ立てようと、状況から見て王太子とリリスの不貞は疑いようがなく、婚約破棄において有責なのは王太子である。
そういう意味ではリリスも責任があるのだが、あくまで庶子でしかなく正式なロクロア公の子ではないリリスはただの平民でしかなくその責任をロクロア公が負うことはない。
そうするとガリア王国側はロクロア公国及びハーベリア公国に多大な賠償責任を負う可能性があったのだ。
当時は融和ムードとはいえもともと反王国気質の強い二つの公国に、そのような状況になれば王国が崩壊しかねない危機感が王国側にあった。
それをうやむやにするためには当事者であるマリアを誅殺する必要があったのだ。
さらに言えば、二つの公国が反乱を起こした場合、その旗頭になるのはマリアの可能性が高かった。
特に公が健在なロクロア公国に比べ、本家の直系がマリアしかいないハーベリア公国は旗頭になれるのがマリアしかいない。
反乱がおきたときの相手の戦力を削るという意味でもマリアの誅殺は必須だった。
切羽詰まった王国側は、最大戦力である王国騎士団を即時対応できる部隊を全部出すという強硬策に出ていた。
一方ロクロア公国側はこれといった動きがない。せいぜいロクロア公国のタウンハウス付近で王国騎士団とロクロア公国騎士が小競り合いをした、という程度の記録しか残っていなかった。
気合が、そして焦り度合いが違うのだ。
結果は火を見るよりも明らかであり、マリアは予定通り誅殺されるのであった。
殺されたマリア側は、学友と雑談しながら学園の正門を出てきた、という事であり、この時のマリアの対応には疑問が多かった。後世の創作ではマリアが泥をすすりながらでも生き残る、といった話が出るぐらい不自然な行動であると言われることもある。
しかし彼女が生き残ることができる可能性があったか、といわれれば、後知恵で見れば不可能であっただろうとは考えられる。
王都とは王家の直轄地であり御ひざ元である。その治安は王家の直轄部隊が維持しており、王都出身者が多い彼らは土地勘も働く。
さらに、学園に急行した部隊以外にも、ロクロア公国のタウンハウスに急行し待ち構えていた部隊、さらに王都から脱出しないように見張る部隊もすべて展開していた。
完全に包囲されている状況であり、マリアが無事脱出できる可能性はなかった。
つまり
第二話 彼女は死ぬしかなったのだ
彼女がどうして正門から、学友と雑談しながら出てきたのか、については様々な考察がある。
学友をだまし道連れにすることで、さらに王国の混乱を助長しようとする意図があった、という分析がされることもある。
さすがにうがちすぎな考えにも思えるが、この時マリアとともに亡くなった貴族令息令嬢が、この後更なる混乱を王国にもたらすのだから、そのように考えることも致し方無い話だと思われる。
なんにしろマリアは誅殺された。
実行犯は王家直属の王国騎士団であった。
これにより数百年の歴史を有するハーベリア公国の本家直系は滅亡し、ロクロア公国の本家直系も現在のロクロア公だけという風前の灯火といわれる状況になってしまうのであった。
これで終わればめでたい、とは言えないがただの政争の一部でしかないだろう。
だが、ここまで強硬な行動をして何も反動がないわけがないのであった。
21
あなたにおすすめの小説
きちんと別れ話ができなかった結果。
下菊みこと
恋愛
久々のヤンデレ。二人ともお互いにスーパーハイパー自業自得なお話。でも可哀想。
スーパーハイパーバッドエンド。とても可哀想。誰も幸せにならない。
ヤンデレかつバッドエンドで二人ともだいぶ自分勝手なので嫌な予感のする方は閲覧注意。
小説家になろう様でも投稿しています。
公爵令嬢は結婚前日に親友を捨てた男を許せない
有川カナデ
恋愛
シェーラ国公爵令嬢であるエルヴィーラは、隣国の親友であるフェリシアナの結婚式にやってきた。だけれどエルヴィーラが見たのは、恋人に捨てられ酷く傷ついた友の姿で。彼女を捨てたという恋人の話を聞き、エルヴィーラの脳裏にある出来事の思い出が浮かぶ。
魅了魔法は、かけた側だけでなくかけられた側にも責任があった。
「お兄様がお義姉様との婚約を破棄しようとしたのでぶっ飛ばそうとしたらそもそもお兄様はお義姉様にべた惚れでした。」に出てくるエルヴィーラのお話。
わたくし、悪女呼ばわりされているのですが……全力で反省しておりますの。
月白ヤトヒコ
恋愛
本日、なんの集まりかはわかりませんが、王城へ召集されておりますの。
まあ、わたくしこれでも現王太子の婚約者なので、その関連だと思うのですが……
「父上! 僕は、こんな傲慢で鼻持ちならない冷酷非道な悪女と結婚なんかしたくありません! この女は、こともあろうに権力を使って彼女を脅し、相思相愛な僕と彼女を引き離そうとしたんですよっ!? 王妃になるなら、側妃や愛妾くらいで煩く言うのは間違っているでしょうっ!?」
と、王太子が宣いました。
「どうやら、わたくし悪女にされているようですわね。でも、わたくしも反省しておりますわ」
「ハッ! やっぱりな! お前は僕のことを愛してるからな!」
「ああ、人語を解するからと人並の知性と理性を豚に求めたわたくしが悪かったのです。ごめんなさいね? もっと早く、わたくしが決断を下していれば……豚は豚同士で娶うことができたというのに」
設定はふわっと。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
【完結】義父を亡くし、屋敷を追い出された私に残されたもの
しきど
恋愛
フォーカス・リルフォード男爵が──。
──お義父様が、亡くなりました。
突然の出来事に頭が真っ白になってしまった私でしたが、二人の義姉はその遺産をどう分配するかで醜く言い争ってしまいます。
しかし、執事がお義父様の遺言書を持ってきました。そこには私達三姉妹へ分割される遺産の内容がはっきりと記されていたのです。
長女には領地と屋敷を。次女には子爵の婚約者を。そして三女、私には……犬のイルを与える?
遺産分配と呼ぶにはあまりに不平等な内訳に、二人の義姉は大笑い。私は何も主張できませんでした。
言われた通り、イルと一緒に屋敷を出ていきます。これからは私がイルを護らないと。幼い頃からずっと友達の彼と一緒なら、心細くはありません。
婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?
綴
恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢
この婚約破棄はどうなる?
ザッ思いつき作品
恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる