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771 責任
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「……色々なことを覚悟してたつもりだったけど……。まさかエルフェリアが水底に沈むのは予想してなかったかなー……」
すっかり静まり返った空間に、リーチェの力無い呟きだけが谺する。
実際にエルフェリア精霊国の全土が水没したわけじゃないんだろうけれど、ここから見渡す限りの全周囲が突如として水に覆われてしまった。
アウラが海の光景をユニに伝えようとして、そのイメージを精霊魔法に載せてユニに伝えたまでは良かったんだけど……。
そこにメタドライブを重ねてしまったことでユニが俺の記憶とイメージを読み取り、異界から流入する無尽の魔力とレインメイカーの知識を用いて周囲一面を瞬く間に水の底に沈めてしまったのだ。
ニーナが花の種を植えた場所を隆起させて水没を防いだり、福音の花園の警備にあたっていたと思われる女性エルフが避難する猶予を残していたりと、ユニ自身の魔力制御は恐らく完璧だと思われる。
だからエルフの生存圏に大きな影響は出ていないと思いたいけど……。
「……あ~っと、リーチェとティムルは直ぐにエルフェリアの居住区画の様子を見に行ってくれる? そしてライオネルさんが居たら連れてきて欲しい」
「そ、そうね……。流石にエルフたちに説明しないわけにはいかないわよね……」
「それともし里に残っている人が居て、その人たちもこの事態に気付いていた場合は、これは新たな世界樹ユニに俺がやらせたことであって危険はないよってだけ伝えて欲しい。詳しい説明はライオネルさんを通してしてもらうけど、まずは里に残っている人たちを安心させなきゃいけない」
誠に不本意ではあるけど俺もユニもエルフからは信仰されているので、俺とユニの意思でやったことだと言えば脅威ではないことは分かってもらえるかもしれない。
もしも何らかの被害が出ていて恨まれるような事になった場合は、誠心誠意頭を下げるしかないだろうなぁ……。
「しょ、正直ぼくらもちゃんと説明する自信ないけどね……。と、とりあえず行ってこようティムル。里からどんな風に見えるのかも確認しなきゃ……!」
「ちょっと待ってリーチェ……! ……ダン。本当に今回の事で貴方は責任を負う気なのね? もしもエルフに犠牲者が出ていたとしても?」
「ユニがそんなヘマをするとは思えないけど、子供のやったことの責任を親が取るなんて当たり前でしょ。ちゃんと俺の意思でやったことだと確実に伝えてね」
「……約束するわ。私もユニのことは信用してるけど、最悪の事態は想定して覚悟を決めておいてね? それじゃ行ってくるわ。行きましょうリーチェ」
やるべき事が明確化したことで少し落ち着いたらしいティムルとリーチェは、エルフェリア精霊国の居住区域に転移していった。
そして2人が転移して言ったと見るや、避難してきた女性エルフが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「こ、これをダン様と世界樹ユニが引き起こしたというのは本当ですか……!? い、いったい何故このような事を……!?」
「ごめん。今回の件は事故に近くてまだ分かってないことも多いんだ。だから説明はライオネルさんが来てからにさせて欲しい。落ち着いてってのは無理かもしれないけど、大人しく待っててもらえると助かるよ」
「どうぞ。こちらにお茶の用意が出来ています。心が安らぎますよ」
「あっ。す、済みませんっ。い、いただきます……???」
ティムルとリーチェに続いて落ち着きを取り戻したエマが、先ほどまで俺達が楽しんでいたお茶を警備のエルフに振舞ってくれる。
落ち着いたエマの様子に安心感を覚えたのか、エルフの女性も少し落ち着きを取り戻し大人しくお茶を飲んでくれている。
エマに続いて少しずつ落ち着きを取り戻し始めた家族の皆も、それぞれ周囲の状況を調査し始めたようだ。
そんな中俺と抱き合っているアウラだけがまだ少し震えていて、落ち着きを取り戻したとは言い難い状態だ。
あえてさっきから俺とユニの責任だと名言していたんだけど、聡明なアウラがその程度で自分の関与を否定することは出来なかったようだ。
「パ、パパぁ……。私、私ひょっとして、エルフの人たちを……!」
「パパは何の被害も出てないと思ってるけど、ティムルとリーチェがちゃんと確認しに行ってくれたから安心してね。大丈夫、何も悪いことは起きてないし、ましてやアウラは何にも悪くないんだよー」
「でもっ……! でも私がユニに海の事を教えたいなんて言わなかったら……!」
「どうやら私が種を蒔いた範囲を正確に隆起させたみたいなのー。ユニったら器用だねー?」
俺の言葉に納得出来ずに震えが止まらないアウラを抱きしめていると、フラッタと手を繋いだニーナがのほほんとした雰囲気で周囲の状況を報告してくれる。
さっすがムードブレイカーのニーナ司令官だ! そこに痺れる憧れるぅ!?
「ってアウラ、どうかしたのー? あ、魔力枯渇を起こしてるとか?」
「わっ、私は何もっ……! でもっ、でも私のせいでエルフェリアの人たちが……!」
「ふむ。どうやらアウラは今回の事に強い責任を感じておるようじゃな?」
「あははっ! 自分がやったわけでもない事の責任まで感じちゃうなんて、アウラったらダンそっくりなのーっ!」
震えるアウラを俺ごと抱き締めるニーナと、全く気にしないのもどうかと思うのじゃーとボヤキながら俺に抱き付いてくるフラッタ。
フラッタが言う通り、事が起こったタイミング的にアウラが気にするのは仕方ないよな。
俺は大丈夫だって確信しているけれど、その確信に根拠があるわけじゃないからアウラを安心させるには足りないし。
ここは俺なんか目じゃないくらいに空気を読まないニーナにお任せするとしよう。
「ふふっ。懐かしいの。ダンもよく自分とは全然関係ないことに責任を感じてたりしたのー」
「パパの話は知らないけど、今回私は関係なくないでしょっ!? 明らかに私の精霊魔法が引き金となって、エルフェリアを沈めて……!」
「ん~。ダンはおっぱいさえ吸わせておけば大体納得してくれるんだけど、アウラはそうもいかないねー」
「そこはむしろおっぱいを吸えば大体誤魔化されるダンの方がおかしいと思うがのー。甘えるようにおっぱいを吸ってくるダンは可愛くて仕方ないのじゃー」
アウラの話をしているはずなのに、俺におっぱいおっぱい言うのやめてくれないかなぁっ!?
でも余計な口を挟むなと言わんばかりにフラッタがおっぱいを押し付けてくれるから、お望み通り服越しにちゅぱちゅぱしてあげなきゃいけないじゃないかぁ。ちゅうううう。
「ダンと違って繊細なアウラには1つ1つ納得してもらわなきゃダメだね。それじゃアウラ、ママと一緒に始めから1つ1つ確認してみるのーっ」
「確認も何も、私が発端でこんなことが起こってしまったのはニーナママだって見てたじゃ……」
「アウラの精霊魔法が発端とは言うけどさー。そこでアウラの責任を追及するのは間違ってると思わない?」
「……へ?」
あまりにもあっけらかんと言い放つニーナに、流石のアウラの震えも思考も止まってしまった模様。
ニーナって当然のように断言してくるから、迷いを抱いたままだと太刀打ち出来ないんだよなー。
「アウラが精霊魔法でユニに話しかけてたのって、今までだってずっとやってたでしょー? それで何も起こってなかったんだから、アウラの精霊魔法が発端なんて勘違いに決まってるのー」
「えっ? えっ? 勘違いって、えぇ……?」
「仮にアウラの精霊魔法に問題があったとしても、さっきはダンのメタドライブも一緒に発動してたでしょー? アウラはまだ精霊魔法を練習中なんだから、ダンが制御してあげなきゃいけないでしょ? ……ねーダン?」
ニッコリと微笑みながら俺の責任を追及してくるニーナ。
アウラをビックリさせてるんじゃないよーって? ちゃんと目まで笑ってるけどなんか怖いんだよ? ちゅうちゅう。
「アウラとユニが何かしてしまったんだとしてもさー。ダンも一緒にメタドライブで繋がってたでしょ? なら1番魔力制御に慣れたダンが問題を起こさないようにするのが当たり前だと思わない?」
「で、でもニーナママ……。パパにお願いしたのは私で……」
「うんうん。アウラはパパ想いでいい娘なのっ。でもさ、思い出してアウラ。さっきのダン、異変に気付いておきながらぼへーっとしてなかった?」
くぅ……! 流石ニーナ、あの状況下でも俺のこと良く見てやがるぅ……!
地面が盛り上がった時に俺と魔力で繋がっていたアウラがそれに気付いてないはずは無いんだけど、エルフェリア精霊国を自分の手で滅ぼしてしまったかもしれないという衝撃で頭がいっぱいになっちゃったのかな。
「え、えと……? ど、どうだったかな……」
「地面が揺れ始めてからも、ダンはずーっとメタドライブを発動してたんだよー? 触心してるのかも? とか暢気に言ってたよねー、ダン?」
た、確かにあの時メタドライブを切ればこんなことにはならなかったのかなー……?
でも娘ユニからの魔力接続を俺から振り払うのも憚られてですね……。
ユニにこんなことが出来るとは流石に想像もしてませんでしたしぃ……?
「ほら見てアウラ。ダンがしどろもどろになりながらフラッタのおっぱい吸ってるでしょ? これはね、ダンが図星を指されて焦ってる証拠なんだよっ。あの時のダンはメタドライブを切ろうと思えば切れたんだーっ」
「そ、それはそうかもしれないけど……。だからって私に何の責任も無いとは言えないんじゃ……?」
「アウラに責任があるって言うなら、あのタイミングで止められたはずのダンに責任が無いわけないのっ」
くぅぅ……! かつては俺の責任を否定してくれたニーナが、今は全責任を俺に放り投げてくるぅぅ……!
危ない危ない……。服越しにフラッタのおっぱいを吸っていなかったら即死だったぜぇ……! はむはむ。
実際あのタイミングでメタドライブを打ち切っていたらこんなことにはならなかったのかなぁ……? ちゅうちゅう。
「そしてダンが止めなかったって事はユニには悪意が無かったってことなの。そしてユニに悪意が無かったのなら被害なんて出るわけないんだよー?」
「ニ、ニーナママ……。それは流石に楽観的過ぎるんじゃ……?」
「自分の責任を放棄されても困るけど、今回の件は止められるのに止めに入らなかったダンが悪いんだよ? 子供の失敗の責任を取るのが親の責任でもあるんだから、アウラはあんまり気にしなくていいのっ」
「ただいまーっ。こっちのほうは変わりないかなー?」
ニーナに激しい追及を受けてフラッタのおっぱいをしゃぶることしか出来ない俺の下に、元気にリーチェが戻ってきた。
リーチェのこの様子だと大事には至っていないっぽいけど、なんでティムルは一緒じゃないのかな。はむはむ。
「ここから見ると里の全土が水没したようにしか見えなかったけど、外から見るとまだまだクレーターには余裕がありそうだったよ。多分ユニはそこまでちゃんと把握して水を産み出したんだろうね」
「被害はあった? それとティムルは一緒じゃないのー?」
「安心しても良さそうだよニーナ。被害はこれから調べてみないとなんとも言えないけど、クレーターの内部にはまず誰もいないはずだそうだから。全てが吹き飛んだばかりのクレーターに、今の忙しいエルフたちが人手を割けるわけないもんね」
「聞いたアウラ? ユニはちゃんと被害が出ないって分かっててやってるし、実際何の被害も出てなさそうだからアウラが気にすることなんて何にも無いのっ」
アウラを抱きしめてよしよしなでなでするニーナは、顔だけを俺に向けて、ただニッコリを微笑みかけてくれる。
……アウラは気にしなくていいけど俺は気にしろって?
でもお話中ずっとフラッタのおっぱい吸ってるのは咎めないんですね? ちゅぱちゅぱ。
「今日はライオネルさんが里に居なかったから、ティムルは中継都市に迎えに行ったんだー。でもポータルでしかここに来れなくなっちゃったから、仕合わせの暴君をアライアンス『エルフェリア精霊国』に参加させるからねー」
「それは勿論構わないけど、パーティリーダーの俺がここにいてもアライアンス参加は可能なの? その辺の仕様がよく分かってないんだけど」
「パーティリーダーに特別な仕様なんてないよ? 今までだってダンが居なくってもそれぞれがパーティを組んだり招待したりしたこともあったじゃない。勿論メンバーの過半数が参加を拒否したら加入できないんだけどねー」
おー。この世界に来て1年も経って、初めてパーティリーダーの無意味さを知ってしまったぞ?
確かに思い返せば、俺が居ない時にもみんなだけでパーティを組み替えていた事はあった気がするなぁ。
逆に今まで良く気づかなかったなぁと思ったけど、パーティのみんなが俺をリーダーとして扱っていてくれたから気付けなかったのかな?
でもよくよく考えればステータスプレートにもリーダー表記とか無いし、気付いてもよかったね俺……。
ちなみにアライアンスの参加は、アライアンスボードさえあればメンバーの誰でも登録が可能らしい。
仲が悪いパーティや、意見が一致しないメンバーでパーティを組むとトラブルが絶えないそうだ。当たり前か。
「さ、それじゃティムルが戻ってくる前にお茶の準備でもしておくの。リーチェはアウラをお願いねー。ダンはフラッタのおっぱい吸ってないで手伝いなさいっ」
「へいへーい……。ありがとねフラッタ。お前のおかげでニーナに怒られても落ち込まずに済んだよ」
「ニーナとて本気で怒っているわけじゃないのだから気にするでない。それとお茶の準備は妾も手伝うのじゃーっ」
どちらにしろ、他の男性がやってくるならフラッタのおっぱいを吸い続けるわけにはいかないからなー。
ここはニーナの言う通り、これから来る皆さんの為にお茶の準備を進めますかー。
アウラとフラッタにキスをして、リーチェにアウラの事をお願いしながらキスをする。
そしてお茶を準備している最中に、ニーナが小さく『悪者にしちゃってごめんね?』と謝りながら、こっそりキスをしてくれたのだった。
すっかり静まり返った空間に、リーチェの力無い呟きだけが谺する。
実際にエルフェリア精霊国の全土が水没したわけじゃないんだろうけれど、ここから見渡す限りの全周囲が突如として水に覆われてしまった。
アウラが海の光景をユニに伝えようとして、そのイメージを精霊魔法に載せてユニに伝えたまでは良かったんだけど……。
そこにメタドライブを重ねてしまったことでユニが俺の記憶とイメージを読み取り、異界から流入する無尽の魔力とレインメイカーの知識を用いて周囲一面を瞬く間に水の底に沈めてしまったのだ。
ニーナが花の種を植えた場所を隆起させて水没を防いだり、福音の花園の警備にあたっていたと思われる女性エルフが避難する猶予を残していたりと、ユニ自身の魔力制御は恐らく完璧だと思われる。
だからエルフの生存圏に大きな影響は出ていないと思いたいけど……。
「……あ~っと、リーチェとティムルは直ぐにエルフェリアの居住区画の様子を見に行ってくれる? そしてライオネルさんが居たら連れてきて欲しい」
「そ、そうね……。流石にエルフたちに説明しないわけにはいかないわよね……」
「それともし里に残っている人が居て、その人たちもこの事態に気付いていた場合は、これは新たな世界樹ユニに俺がやらせたことであって危険はないよってだけ伝えて欲しい。詳しい説明はライオネルさんを通してしてもらうけど、まずは里に残っている人たちを安心させなきゃいけない」
誠に不本意ではあるけど俺もユニもエルフからは信仰されているので、俺とユニの意思でやったことだと言えば脅威ではないことは分かってもらえるかもしれない。
もしも何らかの被害が出ていて恨まれるような事になった場合は、誠心誠意頭を下げるしかないだろうなぁ……。
「しょ、正直ぼくらもちゃんと説明する自信ないけどね……。と、とりあえず行ってこようティムル。里からどんな風に見えるのかも確認しなきゃ……!」
「ちょっと待ってリーチェ……! ……ダン。本当に今回の事で貴方は責任を負う気なのね? もしもエルフに犠牲者が出ていたとしても?」
「ユニがそんなヘマをするとは思えないけど、子供のやったことの責任を親が取るなんて当たり前でしょ。ちゃんと俺の意思でやったことだと確実に伝えてね」
「……約束するわ。私もユニのことは信用してるけど、最悪の事態は想定して覚悟を決めておいてね? それじゃ行ってくるわ。行きましょうリーチェ」
やるべき事が明確化したことで少し落ち着いたらしいティムルとリーチェは、エルフェリア精霊国の居住区域に転移していった。
そして2人が転移して言ったと見るや、避難してきた女性エルフが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「こ、これをダン様と世界樹ユニが引き起こしたというのは本当ですか……!? い、いったい何故このような事を……!?」
「ごめん。今回の件は事故に近くてまだ分かってないことも多いんだ。だから説明はライオネルさんが来てからにさせて欲しい。落ち着いてってのは無理かもしれないけど、大人しく待っててもらえると助かるよ」
「どうぞ。こちらにお茶の用意が出来ています。心が安らぎますよ」
「あっ。す、済みませんっ。い、いただきます……???」
ティムルとリーチェに続いて落ち着きを取り戻したエマが、先ほどまで俺達が楽しんでいたお茶を警備のエルフに振舞ってくれる。
落ち着いたエマの様子に安心感を覚えたのか、エルフの女性も少し落ち着きを取り戻し大人しくお茶を飲んでくれている。
エマに続いて少しずつ落ち着きを取り戻し始めた家族の皆も、それぞれ周囲の状況を調査し始めたようだ。
そんな中俺と抱き合っているアウラだけがまだ少し震えていて、落ち着きを取り戻したとは言い難い状態だ。
あえてさっきから俺とユニの責任だと名言していたんだけど、聡明なアウラがその程度で自分の関与を否定することは出来なかったようだ。
「パ、パパぁ……。私、私ひょっとして、エルフの人たちを……!」
「パパは何の被害も出てないと思ってるけど、ティムルとリーチェがちゃんと確認しに行ってくれたから安心してね。大丈夫、何も悪いことは起きてないし、ましてやアウラは何にも悪くないんだよー」
「でもっ……! でも私がユニに海の事を教えたいなんて言わなかったら……!」
「どうやら私が種を蒔いた範囲を正確に隆起させたみたいなのー。ユニったら器用だねー?」
俺の言葉に納得出来ずに震えが止まらないアウラを抱きしめていると、フラッタと手を繋いだニーナがのほほんとした雰囲気で周囲の状況を報告してくれる。
さっすがムードブレイカーのニーナ司令官だ! そこに痺れる憧れるぅ!?
「ってアウラ、どうかしたのー? あ、魔力枯渇を起こしてるとか?」
「わっ、私は何もっ……! でもっ、でも私のせいでエルフェリアの人たちが……!」
「ふむ。どうやらアウラは今回の事に強い責任を感じておるようじゃな?」
「あははっ! 自分がやったわけでもない事の責任まで感じちゃうなんて、アウラったらダンそっくりなのーっ!」
震えるアウラを俺ごと抱き締めるニーナと、全く気にしないのもどうかと思うのじゃーとボヤキながら俺に抱き付いてくるフラッタ。
フラッタが言う通り、事が起こったタイミング的にアウラが気にするのは仕方ないよな。
俺は大丈夫だって確信しているけれど、その確信に根拠があるわけじゃないからアウラを安心させるには足りないし。
ここは俺なんか目じゃないくらいに空気を読まないニーナにお任せするとしよう。
「ふふっ。懐かしいの。ダンもよく自分とは全然関係ないことに責任を感じてたりしたのー」
「パパの話は知らないけど、今回私は関係なくないでしょっ!? 明らかに私の精霊魔法が引き金となって、エルフェリアを沈めて……!」
「ん~。ダンはおっぱいさえ吸わせておけば大体納得してくれるんだけど、アウラはそうもいかないねー」
「そこはむしろおっぱいを吸えば大体誤魔化されるダンの方がおかしいと思うがのー。甘えるようにおっぱいを吸ってくるダンは可愛くて仕方ないのじゃー」
アウラの話をしているはずなのに、俺におっぱいおっぱい言うのやめてくれないかなぁっ!?
でも余計な口を挟むなと言わんばかりにフラッタがおっぱいを押し付けてくれるから、お望み通り服越しにちゅぱちゅぱしてあげなきゃいけないじゃないかぁ。ちゅうううう。
「ダンと違って繊細なアウラには1つ1つ納得してもらわなきゃダメだね。それじゃアウラ、ママと一緒に始めから1つ1つ確認してみるのーっ」
「確認も何も、私が発端でこんなことが起こってしまったのはニーナママだって見てたじゃ……」
「アウラの精霊魔法が発端とは言うけどさー。そこでアウラの責任を追及するのは間違ってると思わない?」
「……へ?」
あまりにもあっけらかんと言い放つニーナに、流石のアウラの震えも思考も止まってしまった模様。
ニーナって当然のように断言してくるから、迷いを抱いたままだと太刀打ち出来ないんだよなー。
「アウラが精霊魔法でユニに話しかけてたのって、今までだってずっとやってたでしょー? それで何も起こってなかったんだから、アウラの精霊魔法が発端なんて勘違いに決まってるのー」
「えっ? えっ? 勘違いって、えぇ……?」
「仮にアウラの精霊魔法に問題があったとしても、さっきはダンのメタドライブも一緒に発動してたでしょー? アウラはまだ精霊魔法を練習中なんだから、ダンが制御してあげなきゃいけないでしょ? ……ねーダン?」
ニッコリと微笑みながら俺の責任を追及してくるニーナ。
アウラをビックリさせてるんじゃないよーって? ちゃんと目まで笑ってるけどなんか怖いんだよ? ちゅうちゅう。
「アウラとユニが何かしてしまったんだとしてもさー。ダンも一緒にメタドライブで繋がってたでしょ? なら1番魔力制御に慣れたダンが問題を起こさないようにするのが当たり前だと思わない?」
「で、でもニーナママ……。パパにお願いしたのは私で……」
「うんうん。アウラはパパ想いでいい娘なのっ。でもさ、思い出してアウラ。さっきのダン、異変に気付いておきながらぼへーっとしてなかった?」
くぅ……! 流石ニーナ、あの状況下でも俺のこと良く見てやがるぅ……!
地面が盛り上がった時に俺と魔力で繋がっていたアウラがそれに気付いてないはずは無いんだけど、エルフェリア精霊国を自分の手で滅ぼしてしまったかもしれないという衝撃で頭がいっぱいになっちゃったのかな。
「え、えと……? ど、どうだったかな……」
「地面が揺れ始めてからも、ダンはずーっとメタドライブを発動してたんだよー? 触心してるのかも? とか暢気に言ってたよねー、ダン?」
た、確かにあの時メタドライブを切ればこんなことにはならなかったのかなー……?
でも娘ユニからの魔力接続を俺から振り払うのも憚られてですね……。
ユニにこんなことが出来るとは流石に想像もしてませんでしたしぃ……?
「ほら見てアウラ。ダンがしどろもどろになりながらフラッタのおっぱい吸ってるでしょ? これはね、ダンが図星を指されて焦ってる証拠なんだよっ。あの時のダンはメタドライブを切ろうと思えば切れたんだーっ」
「そ、それはそうかもしれないけど……。だからって私に何の責任も無いとは言えないんじゃ……?」
「アウラに責任があるって言うなら、あのタイミングで止められたはずのダンに責任が無いわけないのっ」
くぅぅ……! かつては俺の責任を否定してくれたニーナが、今は全責任を俺に放り投げてくるぅぅ……!
危ない危ない……。服越しにフラッタのおっぱいを吸っていなかったら即死だったぜぇ……! はむはむ。
実際あのタイミングでメタドライブを打ち切っていたらこんなことにはならなかったのかなぁ……? ちゅうちゅう。
「そしてダンが止めなかったって事はユニには悪意が無かったってことなの。そしてユニに悪意が無かったのなら被害なんて出るわけないんだよー?」
「ニ、ニーナママ……。それは流石に楽観的過ぎるんじゃ……?」
「自分の責任を放棄されても困るけど、今回の件は止められるのに止めに入らなかったダンが悪いんだよ? 子供の失敗の責任を取るのが親の責任でもあるんだから、アウラはあんまり気にしなくていいのっ」
「ただいまーっ。こっちのほうは変わりないかなー?」
ニーナに激しい追及を受けてフラッタのおっぱいをしゃぶることしか出来ない俺の下に、元気にリーチェが戻ってきた。
リーチェのこの様子だと大事には至っていないっぽいけど、なんでティムルは一緒じゃないのかな。はむはむ。
「ここから見ると里の全土が水没したようにしか見えなかったけど、外から見るとまだまだクレーターには余裕がありそうだったよ。多分ユニはそこまでちゃんと把握して水を産み出したんだろうね」
「被害はあった? それとティムルは一緒じゃないのー?」
「安心しても良さそうだよニーナ。被害はこれから調べてみないとなんとも言えないけど、クレーターの内部にはまず誰もいないはずだそうだから。全てが吹き飛んだばかりのクレーターに、今の忙しいエルフたちが人手を割けるわけないもんね」
「聞いたアウラ? ユニはちゃんと被害が出ないって分かっててやってるし、実際何の被害も出てなさそうだからアウラが気にすることなんて何にも無いのっ」
アウラを抱きしめてよしよしなでなでするニーナは、顔だけを俺に向けて、ただニッコリを微笑みかけてくれる。
……アウラは気にしなくていいけど俺は気にしろって?
でもお話中ずっとフラッタのおっぱい吸ってるのは咎めないんですね? ちゅぱちゅぱ。
「今日はライオネルさんが里に居なかったから、ティムルは中継都市に迎えに行ったんだー。でもポータルでしかここに来れなくなっちゃったから、仕合わせの暴君をアライアンス『エルフェリア精霊国』に参加させるからねー」
「それは勿論構わないけど、パーティリーダーの俺がここにいてもアライアンス参加は可能なの? その辺の仕様がよく分かってないんだけど」
「パーティリーダーに特別な仕様なんてないよ? 今までだってダンが居なくってもそれぞれがパーティを組んだり招待したりしたこともあったじゃない。勿論メンバーの過半数が参加を拒否したら加入できないんだけどねー」
おー。この世界に来て1年も経って、初めてパーティリーダーの無意味さを知ってしまったぞ?
確かに思い返せば、俺が居ない時にもみんなだけでパーティを組み替えていた事はあった気がするなぁ。
逆に今まで良く気づかなかったなぁと思ったけど、パーティのみんなが俺をリーダーとして扱っていてくれたから気付けなかったのかな?
でもよくよく考えればステータスプレートにもリーダー表記とか無いし、気付いてもよかったね俺……。
ちなみにアライアンスの参加は、アライアンスボードさえあればメンバーの誰でも登録が可能らしい。
仲が悪いパーティや、意見が一致しないメンバーでパーティを組むとトラブルが絶えないそうだ。当たり前か。
「さ、それじゃティムルが戻ってくる前にお茶の準備でもしておくの。リーチェはアウラをお願いねー。ダンはフラッタのおっぱい吸ってないで手伝いなさいっ」
「へいへーい……。ありがとねフラッタ。お前のおかげでニーナに怒られても落ち込まずに済んだよ」
「ニーナとて本気で怒っているわけじゃないのだから気にするでない。それとお茶の準備は妾も手伝うのじゃーっ」
どちらにしろ、他の男性がやってくるならフラッタのおっぱいを吸い続けるわけにはいかないからなー。
ここはニーナの言う通り、これから来る皆さんの為にお茶の準備を進めますかー。
アウラとフラッタにキスをして、リーチェにアウラの事をお願いしながらキスをする。
そしてお茶を準備している最中に、ニーナが小さく『悪者にしちゃってごめんね?』と謝りながら、こっそりキスをしてくれたのだった。
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しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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