隻眼の覇者・伊達政宗転生~殺された歴史教師は伊達政宗に転生し、天下統一を志す~

髙橋朔也

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第五章『奥州の覇者』

伊達政宗、隻眼の覇者は伊達じゃない その肆弐

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 バテレンの服を観察しつつ聖書に似たような本を持っていないか探していると、仁和はバテレンの服以外にも何かを風呂敷ふろしきに包んでいることがわかった。
「仁和、この風呂敷には他にも盗んできたものが入っているんだろ?」
「ええ。バテレンが持っていたものを全て盗んできましたから」
「聖書が入っていると良いが」
 風呂敷の中に入っていたものを全て引っ張り出して、ひとまず畳みに並べてみた。そして俺は地球儀を凝視し、手に取って確かめた。
 この時代でも地球は球体だと認知されていたのか。ということは藤堂の考えに反対的ではない思想を持った人物も存在している可能性は否定出来ない。もしかすると、キリスト教徒の中にそういう奴がいたかもな。家臣の中にいた隠れキリシタンを即刻斬首するんじゃなかったか。
「おお!?」藤堂は風呂敷に入っていた鉄塊を見て息を荒げた。「これは素晴らしい鉄塊です!」
「ん? 鉄塊に素晴らしい、素晴らしくない、なんてことはあるのか?」
 俺の問いに、藤堂は自信満々に応じる。「あります。この世にある鉱物は全て完璧な状態で埋まっているわけではなく、不純物が混じった状態で埋まっています。鉄も例に漏れませんが、それら鉱物の純度を上げるために不純物を取り除くことは僕達のような異端者や鍛冶屋などが得意としています。僕も異端者の端くれですからわかりますが、この鉄塊の純度は非常に高いです」
「鉄塊の純度は見ただけでわかるのか?」
「僕や仁和様なら一見してわかりますよ。主様はまだ見慣れていないのでわからなくて当然でしょう」
「その鉄塊と同じような純度の鉄の精錬はお前にも可能か?」
「仁和様はどうか知りませんが、僕にはここまで純度を上げることは出来ません」
 藤堂に再現不可能な高純度の鉄塊か。鉄は不純物が混じっているほど硬くなるから、刀は低純度の鉄で構わない。ただ高純度の鉄に権次か兼三のどちらかが興味を持ちそうだ。
「藤堂。その高純度の鉄塊はどうやって精錬すれば作れるのか調べてみてくれ」
「が、頑張ってみます」
 その他に蔵書も何冊か入っていたが外国語で書かれていた。漢文なら俺もある程度は読めるが、アルファベットによって形成された外国語となると解読不可能だ。高校生の時の英語のテストが一桁ひとけた台だった俺だからな。
 翻訳は仁和に任せ、俺は聖書と思われるものを発見した。この聖書と十字架をホームズに渡し、俺はポケットから日時計を取り出した。
 開け放たれた窓へ身を乗り出し日時計用いて現在の時刻を確かめると、うまの刻(午前11時~午後1時)だとわかる。まあ日時計は旅人用の時計であって移動中に使うものだから、水時計ほど正確な時刻はわからない。水時計は正確な時刻がわかるが大きすぎて持ち運べん。どちらも不便だ。
 今の時刻がわかると仁和から六分儀ろくぶんぎを受け取って、太陽の角度を測って時刻を元にして緯度経度を割り出して現在地を推定した。
「ふむ。米沢城からかなり離れてしまったな」
 こんな非常時でも六分儀を仁和が持って助かった。用意周到だな、見習わんといかん。俺がかろうじて持ってきたのは旅人用の日時計くらいだし。
 さて。次に藤堂の測量によって作り出された米沢城周辺の正確な地図を開き、現在地から近くのお寺までの距離を調べた。
「おい藤堂」俺は鉄塊の研究を中断させて藤堂を呼んだ「この地図の縮尺しゅくしゃくは?」
「50万分の1です」
「ならば寺までの距離は四里(約16キロメートル)か。いや、藤堂が測量で使ったのは縄だった。縄は鉄鎖てっさと違って水分によって伸び縮みするから、誤差を修正してみるともう少し距離はあるな」
「何で寺に行こうとしているんですか?」
「ああ、まだ仁和にしか話していなかったか。俺はこれから一時的に寺社と協力し合おうと考えている」
 その言葉を聞き、事前に知っていた仁和以外は驚きを隠せていなかった。
「主様! 正気ですか!? 寺社は高利貸しをして好き勝手にお金を巻き上げているのですよ!?」
「確かにそれは否定しない。あの物臭坊主どもは俺も大嫌いだ。ただ寺社の奴らはキリシタン宗を敵視している。キリシタン宗が仏教をコケにしているから尚更だ。だから寺はキリシタン宗を日本から追い出したいと考えている。目的は俺達と同じなら協力して悪いことはないだろ」
「もし寺社が裏切ったら?」
「そしたらこちらも裏切らせてもらおう」
 寺社の僧兵は強いか弱いかで言ったら強い。しかも人数も今の俺達をはるかに上回っている。キリシタン宗に加えて寺社までも敵には回したくはない。ならば寺社と協力して、まずはキリシタン宗を倒せば良いだけのこと。
「私も政宗殿の意見には賛成です。今はどうやってでもキリシタン達を倒すのが最善ですから、寺社との協力は理にかなっています」
 仁和の説得もあって、皆は何とか納得してくれた。寺社と手を合わせればキリシタン宗など敵ではない。だが寺社の奴らに主導権を握られるわけにはいかない。何とか主導権をこちら側が握らないと、キリシタン宗の次は俺達が寝首を掻かれてしまう。
 主導権を握る方法は寺社相手ならば簡単な方だ。弱味を握れば主導権を獲得出来る。寺社の物臭坊主どもは弱味をたくさん持っているからやりやすいのだ。
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