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36 最期の場所
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午後3時を少し過ぎた頃。
浦坂実の目撃情報があった為、渋谷区の片隅にある安アパートにやってきた。
その部屋は、違法薬物の売買を手掛けている浦坂が活動拠点にしている場所だった。
しかしそれは過去のことで、現在は手放されて空き部屋になっている。
現地に赴いて確認できたのはそれぐらいだった。
捜査の為に出向いた康介と祐子は肩を落とした。
「収穫なし、か」
「すみません、藤咲さん。わざわざ休暇中に出てきてもらったのに」
「いや、仕方ないさ。目撃情報自体はあったんだ。
近辺になんらかの痕跡を残してるかもしれないから、近隣住民への聞き込みを……」
言葉の途中で康介の携帯端末から電話の音が鳴った。
相手の名前が意外な人物だったので、思わず目を見開く。
『北條蒼真』と表示された電話の着信に、康介はすぐに応じた。
その顔はたちまち険しくなる。
祐子の目の前で、康介は血相を変えて目を吊り上がらせた。
やがて乱暴に通話を切ると、急いで車に乗り込んだ。
「悪いがここの捜査は後だ。自宅に戻る!」
「どうしたんですか?」
「楓の身に何かあった。……多分、襲われた」
「それって、まさか浦坂が?」
「断言はできないが、その可能性が高い」
「わ、私も行きます!」
祐子も助手席に乗り込むと、康介は思い切りアクセルを踏み込んだ。
午後3時40分頃。
大急ぎで自宅マンションに戻ってきた康介は、玄関の床に広がる血を見て青褪めた
110番通報を受けて現場保全の為に駆け付けた制服警官が辺りを右往左往している。
その中から楓と同じ高校の制服を着た茶髪の少年を見つけ、康介は真っ先に声を掛けた。
「北條君!」
「あ、親父さん」
大量の血を目の当たりにしたからか、蒼真も酷く狼狽えている。
康介は険しい顔つきのまま、蒼真に詰め寄った。
「繰り返しになると思うが、状況の説明を頼む」
「はい。楓にノートを届けようと思ってここに来たんです。
でも、インターホンを鳴らしても出なくて。
それで試しにドアノブを押してみたら鍵が空いてて、玄関に血が広がってたんです」
「それは何時ぐらいのことだ?」
「3時ぐらいです。2時半ぐらいに楓に電話して、その時は何ともなかったんです」
「じゃあ、その30分の間に何かがあったってわけか」
眉間の皺をより深くさせて、康介は玄関に飛び散った血を見る。
辺りに、砕けた花瓶の欠片が散らばっていた。
季節の花を飾る為に下駄箱の上にいつも置いていた花瓶だった。
おそらく、件の30分の間に“誰か”と楓がここで揉み合ったのだろう。
(浦坂か? それとも突発的な強盗か何かか?
クソ、よりにもよって俺が居ない時に……!)
握り締めた拳を更に震わせる。
その迫力に圧されながら、蒼真は言いづらそうに問いかけた。
「その血って、やっぱり楓のものなんですか?」
「断言はできない。正式に鑑定したわけじゃないから。だが、その可能性は高い」
「……! じゃあ、楓は血まみれの状態でどこかに連れて行かれたってことですか?」
「そう考えるのが妥当だろうな」
「もしかして……」
「何か心当たりがあるのか?」
更に詰め寄ってくる康介に困惑しながら、蒼真は記憶にある心当たりについて話し始めた。
「実は、マンションの入り口に着いた時、配送業者みたいな男を見たんです」
「配送業者みたいな男?」
「その時はあんまり気にしてなくて、
近くにトラックも無いけどどこの会社だろう?
ぐらいにしか思ってなかったんです」
「トラック以外には何か無かったか?」
「白いワゴン車ならありました。
そういう小回りの効くタイプの配送業なんだろうなって思って」
「白いワゴン車……」
「でも、よく考えたらおかしいんです。
配送業者なら荷物を届ける為にここに来たはずなのに、
その男は荷物を台車に乗せたまま、ワゴン車の方に向かってたんです」
記憶をたどりながら、蒼真は自分の中に湧いた嫌な予感をどんどん膨らませる。
「あのダンボール箱、結構大きくて……人も入れそうだった。
もしかしたら、あの中に楓が居たのかも」
「北條君、落ち着いてくれ。その男の顔は? どんな奴だった?」
「すみません、後ろ姿しか見てなくて。体格は大柄だったと思うんですけど」
「そうか。分かった。協力ありがとう」
苦々しい顔のまま、康介は蒼真の肩にポンと手を置いた。
「楓は……楓は生きてるんですよね?」
「…………」
蒼真の問いかけに、康介は目を伏せる。
そして、強い眼差しを向けて答えた。
「そう信じて、祈ってやってくれ」
刑事として、父親として、これが精一杯の言葉だった。
そうして康介は祐子に指示を出した。
木野井係長に今の状況を報告することと、
管理人に頼んで防犯カメラのチェックをすることを。
配送業者の格好をした男が浦坂であったなら、同僚たちと合流することになる。
「浦坂が配送業者に扮して楓君を拉致したと思ってるんですか?」
「ああ。奴はこの間、白衣を着て医者のフリをして病院に紛れ込んでいた。
今回も、同じようにコスプレして紛れ込んでいてもおかしくない。
そうすれば、周囲の人間に怪しまれる可能性がぐっと減るからな」
「分かりました。管理人に要請してきます」
「ああ、頼む」
その時、突如として携帯端末から電話の着信音が鳴った。
「なっ……!」
康介が手に取った画面には『楓』と表示されていた。
驚き慌てて電話に出る。
「楓⁉︎ 無事なのか?」
『よお、藤咲刑事』
「お前……浦坂か」
「えっ⁉︎」
康介の反応を見た祐子がギョッとして目を見開く。
それを無視するように、浦坂の声は続いた。
『そうだ。お前ら、ずっと俺のことを捜してるみたいだが、一体どこを捜してるんだ?
天下の警察が聞いて呆れるな』
「そんなことはどうでもいい。何でお前が楓の電話を使ってる?」
『坊やから借りたんだよ。別に良いだろ? 坊やの方は喋れる状態じゃねえんだから』
「喋れる状態じゃないって、どういうことだ⁉︎」
『素直に言うことを聞かないから、ちょっと躾けさせてもらっただけだ。へへっ』
「テメェ……」
『そうカリカリするなよ。大人しくさせる為にちょっと頭を殴っただけだからよ。
それに、飛び降りたら全部ぐちゃぐちゃになるんだから』
「飛び降りる? おい、今どこにいる⁉︎」
『当ててみろよ。30分だけ待ってやる。
時間内にここに辿り着けたら特等席で見せてやるよ。
お前の息子がめちゃくちゃになって死ぬ瞬間をな!』
「待て、浦坂! おい!!」
康介は必死に怒鳴りつけたが、通話の切れた端末にはもはや何も響かなかった。
「藤咲さん、浦坂は何て?」
「…………」
祐子の声を無視して康介は必死で考えた。浦坂が今居る場所を。
(飛び降りる……ビルかマンションか、高い場所には間違いない。しかし、どこだ?)
単純に楓を殺すだけなら、この部屋でも良かったはずだ。
だが、浦坂はわざわざ楓を動けなくした上で連れ出した。
ならば、連れ出した場所は、浦坂にとって重要な意味があるはずだ。
(あいつは、俺に見せつけたいんだ。楓が死ぬ様を。
俺に最も印象付ける為に効果的な場所はどこだ?)
その時、ふと康介は思い出した。
浦坂は亡くなった息子に対して非常に強い思い入れがあった。
だから、息子の翔太が命を落とすきっかけを作った二人を恨みに恨んだ。
河戸正憲への復讐として彼の娘の晴子を狙い、康介への復讐として息子の楓を狙った。
復讐を果たした先に、浦坂に生きる希望があるとは思えない。
ならば、最後に……否、最期に辿り着く場所は──
「ねえ、藤咲さん」
「横井!」
「え? 何ですか?」
「お前、浦坂が昔住んでいたマンション周辺の聞き込みに行ったことがあるよな?」
「はい。空振りでしたけど」
「それはどこだ? 場所を教えてくれ」
「え? どういうことですか?」
「説明してる暇はない。頼む!」
「…………」
「頼む」
訳が分からないといった顔で戸惑う祐子に、康介はひたすら頭を下げた。
ただならない様子に圧されて、祐子は戸惑いながら答えた。
「練馬区にある『エリカハイツ』というマンションです」
「そうか。ありがとう」
「でも、浦坂が家族とそこで暮らしていたのは10年も前のことで、今は……」
「横井、悪いが後のことは頼む」
「え? ちょっと、藤咲さん⁉︎」
祐子の制止を振り切って康介は駆け出した。
『エリカハイツ』に向かう為に。
10年前、浦坂の妻が息子を連れて飛び降りた、その場所に。
浦坂実の目撃情報があった為、渋谷区の片隅にある安アパートにやってきた。
その部屋は、違法薬物の売買を手掛けている浦坂が活動拠点にしている場所だった。
しかしそれは過去のことで、現在は手放されて空き部屋になっている。
現地に赴いて確認できたのはそれぐらいだった。
捜査の為に出向いた康介と祐子は肩を落とした。
「収穫なし、か」
「すみません、藤咲さん。わざわざ休暇中に出てきてもらったのに」
「いや、仕方ないさ。目撃情報自体はあったんだ。
近辺になんらかの痕跡を残してるかもしれないから、近隣住民への聞き込みを……」
言葉の途中で康介の携帯端末から電話の音が鳴った。
相手の名前が意外な人物だったので、思わず目を見開く。
『北條蒼真』と表示された電話の着信に、康介はすぐに応じた。
その顔はたちまち険しくなる。
祐子の目の前で、康介は血相を変えて目を吊り上がらせた。
やがて乱暴に通話を切ると、急いで車に乗り込んだ。
「悪いがここの捜査は後だ。自宅に戻る!」
「どうしたんですか?」
「楓の身に何かあった。……多分、襲われた」
「それって、まさか浦坂が?」
「断言はできないが、その可能性が高い」
「わ、私も行きます!」
祐子も助手席に乗り込むと、康介は思い切りアクセルを踏み込んだ。
午後3時40分頃。
大急ぎで自宅マンションに戻ってきた康介は、玄関の床に広がる血を見て青褪めた
110番通報を受けて現場保全の為に駆け付けた制服警官が辺りを右往左往している。
その中から楓と同じ高校の制服を着た茶髪の少年を見つけ、康介は真っ先に声を掛けた。
「北條君!」
「あ、親父さん」
大量の血を目の当たりにしたからか、蒼真も酷く狼狽えている。
康介は険しい顔つきのまま、蒼真に詰め寄った。
「繰り返しになると思うが、状況の説明を頼む」
「はい。楓にノートを届けようと思ってここに来たんです。
でも、インターホンを鳴らしても出なくて。
それで試しにドアノブを押してみたら鍵が空いてて、玄関に血が広がってたんです」
「それは何時ぐらいのことだ?」
「3時ぐらいです。2時半ぐらいに楓に電話して、その時は何ともなかったんです」
「じゃあ、その30分の間に何かがあったってわけか」
眉間の皺をより深くさせて、康介は玄関に飛び散った血を見る。
辺りに、砕けた花瓶の欠片が散らばっていた。
季節の花を飾る為に下駄箱の上にいつも置いていた花瓶だった。
おそらく、件の30分の間に“誰か”と楓がここで揉み合ったのだろう。
(浦坂か? それとも突発的な強盗か何かか?
クソ、よりにもよって俺が居ない時に……!)
握り締めた拳を更に震わせる。
その迫力に圧されながら、蒼真は言いづらそうに問いかけた。
「その血って、やっぱり楓のものなんですか?」
「断言はできない。正式に鑑定したわけじゃないから。だが、その可能性は高い」
「……! じゃあ、楓は血まみれの状態でどこかに連れて行かれたってことですか?」
「そう考えるのが妥当だろうな」
「もしかして……」
「何か心当たりがあるのか?」
更に詰め寄ってくる康介に困惑しながら、蒼真は記憶にある心当たりについて話し始めた。
「実は、マンションの入り口に着いた時、配送業者みたいな男を見たんです」
「配送業者みたいな男?」
「その時はあんまり気にしてなくて、
近くにトラックも無いけどどこの会社だろう?
ぐらいにしか思ってなかったんです」
「トラック以外には何か無かったか?」
「白いワゴン車ならありました。
そういう小回りの効くタイプの配送業なんだろうなって思って」
「白いワゴン車……」
「でも、よく考えたらおかしいんです。
配送業者なら荷物を届ける為にここに来たはずなのに、
その男は荷物を台車に乗せたまま、ワゴン車の方に向かってたんです」
記憶をたどりながら、蒼真は自分の中に湧いた嫌な予感をどんどん膨らませる。
「あのダンボール箱、結構大きくて……人も入れそうだった。
もしかしたら、あの中に楓が居たのかも」
「北條君、落ち着いてくれ。その男の顔は? どんな奴だった?」
「すみません、後ろ姿しか見てなくて。体格は大柄だったと思うんですけど」
「そうか。分かった。協力ありがとう」
苦々しい顔のまま、康介は蒼真の肩にポンと手を置いた。
「楓は……楓は生きてるんですよね?」
「…………」
蒼真の問いかけに、康介は目を伏せる。
そして、強い眼差しを向けて答えた。
「そう信じて、祈ってやってくれ」
刑事として、父親として、これが精一杯の言葉だった。
そうして康介は祐子に指示を出した。
木野井係長に今の状況を報告することと、
管理人に頼んで防犯カメラのチェックをすることを。
配送業者の格好をした男が浦坂であったなら、同僚たちと合流することになる。
「浦坂が配送業者に扮して楓君を拉致したと思ってるんですか?」
「ああ。奴はこの間、白衣を着て医者のフリをして病院に紛れ込んでいた。
今回も、同じようにコスプレして紛れ込んでいてもおかしくない。
そうすれば、周囲の人間に怪しまれる可能性がぐっと減るからな」
「分かりました。管理人に要請してきます」
「ああ、頼む」
その時、突如として携帯端末から電話の着信音が鳴った。
「なっ……!」
康介が手に取った画面には『楓』と表示されていた。
驚き慌てて電話に出る。
「楓⁉︎ 無事なのか?」
『よお、藤咲刑事』
「お前……浦坂か」
「えっ⁉︎」
康介の反応を見た祐子がギョッとして目を見開く。
それを無視するように、浦坂の声は続いた。
『そうだ。お前ら、ずっと俺のことを捜してるみたいだが、一体どこを捜してるんだ?
天下の警察が聞いて呆れるな』
「そんなことはどうでもいい。何でお前が楓の電話を使ってる?」
『坊やから借りたんだよ。別に良いだろ? 坊やの方は喋れる状態じゃねえんだから』
「喋れる状態じゃないって、どういうことだ⁉︎」
『素直に言うことを聞かないから、ちょっと躾けさせてもらっただけだ。へへっ』
「テメェ……」
『そうカリカリするなよ。大人しくさせる為にちょっと頭を殴っただけだからよ。
それに、飛び降りたら全部ぐちゃぐちゃになるんだから』
「飛び降りる? おい、今どこにいる⁉︎」
『当ててみろよ。30分だけ待ってやる。
時間内にここに辿り着けたら特等席で見せてやるよ。
お前の息子がめちゃくちゃになって死ぬ瞬間をな!』
「待て、浦坂! おい!!」
康介は必死に怒鳴りつけたが、通話の切れた端末にはもはや何も響かなかった。
「藤咲さん、浦坂は何て?」
「…………」
祐子の声を無視して康介は必死で考えた。浦坂が今居る場所を。
(飛び降りる……ビルかマンションか、高い場所には間違いない。しかし、どこだ?)
単純に楓を殺すだけなら、この部屋でも良かったはずだ。
だが、浦坂はわざわざ楓を動けなくした上で連れ出した。
ならば、連れ出した場所は、浦坂にとって重要な意味があるはずだ。
(あいつは、俺に見せつけたいんだ。楓が死ぬ様を。
俺に最も印象付ける為に効果的な場所はどこだ?)
その時、ふと康介は思い出した。
浦坂は亡くなった息子に対して非常に強い思い入れがあった。
だから、息子の翔太が命を落とすきっかけを作った二人を恨みに恨んだ。
河戸正憲への復讐として彼の娘の晴子を狙い、康介への復讐として息子の楓を狙った。
復讐を果たした先に、浦坂に生きる希望があるとは思えない。
ならば、最後に……否、最期に辿り着く場所は──
「ねえ、藤咲さん」
「横井!」
「え? 何ですか?」
「お前、浦坂が昔住んでいたマンション周辺の聞き込みに行ったことがあるよな?」
「はい。空振りでしたけど」
「それはどこだ? 場所を教えてくれ」
「え? どういうことですか?」
「説明してる暇はない。頼む!」
「…………」
「頼む」
訳が分からないといった顔で戸惑う祐子に、康介はひたすら頭を下げた。
ただならない様子に圧されて、祐子は戸惑いながら答えた。
「練馬区にある『エリカハイツ』というマンションです」
「そうか。ありがとう」
「でも、浦坂が家族とそこで暮らしていたのは10年も前のことで、今は……」
「横井、悪いが後のことは頼む」
「え? ちょっと、藤咲さん⁉︎」
祐子の制止を振り切って康介は駆け出した。
『エリカハイツ』に向かう為に。
10年前、浦坂の妻が息子を連れて飛び降りた、その場所に。
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