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第六章 新たな産物と領内改革
6-4 魔境の異変と対策
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ウチの者を砦に引き入れて休息させている内に執事達から通信の携帯魔導具で順次連絡が入った。
エベレット子爵領とクライスラー男爵領にも結構な魔物が侵入してきているらしく、それぞれの領主軍が出張って対峙しているが、戦況は余り宜しくないらしい。
少なくとも領都近辺を防衛するだけで手いっぱいの状態で余力はほとんど無いという状況だった。
こちらからの支援が必要かとの問いに、やや時間がかかったが、出来れば欲しいと要請があったようだ。
放っておくわけにも行かないから、最初に領主軍の人数の少ない男爵領へ向かうことにした。
装甲車二台に、俺と騎士達10名が分乗、残りは嫁sも含めて小砦でお留守番だ。
砦の正面入り口を閉じておけば砦内は安全の筈だ。
勿論留守番部隊には通信の携帯魔導具を渡している。
男爵領に行く途中でも何度か魔物に遭遇した。
付近に人気が無いのを確認した上でファランクスの発砲許可を出した。
勿論、三連射のみでの射撃であり、ターゲット特定ができると自動追尾ができるから、慣れれば必ず当てられる代物だ。
フレンドリー・ファイアーが怖いから、ウチの人員や車両には発砲できないよう安全装置をつけている。
ウチの者には身分証明代わりの魔石付きカード(異世界版IDカード)を持たせているんで、空間認識で区別ができるんだ。
射撃の結果は言わずもがなだな。
象よりも二回り程もでかそうなサイに似た魔物が、一連射でお陀仏だったね。
13匹ほどを殺戮して回収、回収役は俺しかいないっつうのが難点なんだが・・・?
伯爵がそんなことをやっていてはいけませんと、家宰のジャックから叱られそうだが、道路脇に死体を置いておくと他の魔物が集まってくるからな、放置はできん。
こいつはどっかで売れるのかなぁ?
他にも数度そんなことが有って討伐しながらようやく男爵領に辿り着いた。
クライスラー男爵領の領都城壁には数百匹の魔物が押し寄せていた。
未だ、城壁は破られてはいないものの、領軍は苦戦中の模様だ。
他人目に付くから、ここではファランクスは取り敢えず使用禁止。
俺は、またまた液体窒素を使うことにした。
酸素を奪うのもいいのじゃないかと思うんだが、ガタイの大きい魔物は効き始めるのに時間がかかるかもしれないのと、無酸素空間が風で城壁の中に入ると見えないだけにちょっと危ない。
その点液体窒素は霧状になって冷気が目に見えるから危険が城内の者にもわかるだろう。
エステルンド砦の時もそうだったが、簡易結界で居住域へは冷気が侵入できないよう予防線は張っている。
万が一にでも無酸素に近い状態の冷気が居住区に入るとそこにいる者は即死だからね
無論、城壁の近くは標的から外し、風魔法のシールドを張って100mほど離れた場所以遠を目標にする。
一気に1平方キロほどの範囲で液体窒素を降らせる。
さっきよりも範囲は広いが、量は同じで試しに深さを減らしたんだ。
狙い通り、その範囲に居た魔物はほぼ活動を停止し、その周辺の魔物も動きが極端に鈍くなった。
城壁から離れた方向に居た魔物は、急激な気温低下に恐れをなして魔境方向へ逃げ出していた。
取り敢えずの魔物集団の撃退はほぼ終わりに近づいた。
動きの鈍くなった魔物については、城壁の上からバリスタで仕留めていたので、これ以上の応援は不要かもしれない。
執事アーガスに連絡して、男爵家に支援の有無の再確認をとり、城壁内から出て来たアーガスたちの乗る馬無し馬車と共に、今度は子爵領へと移動を始めた。
夕刻に近いが、子爵領でも同様な事態に陥っているらしいので放置するわけにも行かないんだ。
1時間後、子爵領でも夕暮れの中、同様の経過をもって魔物の撃退に成功した。
子爵領に留まるわけにも行かないので、夜間にもかかわらず、装輪装甲車2台と馬無し馬車2台はファンデンダルク小砦に戻ったのである。
居残り組は小砦内の掃除を行い夕食の準備を進めていた。
食糧は、保存していたものを先に使ってもらっていた。
小砦にも温泉があり、温水・冷水が自由に使えるし、水洗トイレも完備しているから王都別邸に比べても居住に不便はないはずだ。
まぁ、あくまで仮の砦なので豪華絢爛な内装は省いているけれどね。
ベッドだけは立派なものを人数分以上に今回の遠征前に準備しておいたよ。
で、魔物の侵攻が突然生じた理由については、エステルンド砦の守備隊も、男爵領及び子爵領でもわかっていないそうだ。
俺が翌日に調査を行った上で根本的な対策を立てないと、魔物の群れがより東進する恐れもある。
特にデカい奴が集団で来られると、余程の領主軍でないと防ぎきれない可能性があるしね。
魔物は人のいる場所を本能で知って押し寄せて来るらしいからな。
集落、街、都市が危ないんだ。
砦の中で二人の嫁と同衾はしたが、二人とも妊娠中だからな。
秘め事は無しで、キングサイズよりも大きなベッドに川の字になって寝ただけだ。
翌朝、朝食を摂ってから、ドローンを8機飛ばして魔境の情勢確認を行った。
上空から見た感じでは、エステルンデ砦東方約60キロにかなりの規模の破壊跡があった。
ドローンには単なるカメラしか搭載していないから詳細分析までは難しいのだが、半径数キロにわたりジャングルが円弧状に焼き払われているように見える。
そうした箇所が二か所あるんだが・・・。
或いは竜種か何かのブレスなのか?
これが砦にやってきたらそれこそ大事になるんだが、探さにゃならんのかな?
ドローンの索敵範囲を広げたがそれ以上のことはわからなかった。
で、次は俺の索敵能力によるサーチだ。
ファンデンダルク小砦から半径20ケール(約30Km)ほどまで索敵範囲は広がっている.
その範囲に魔物は多数存在するが、特別に脅威となる存在は無いように思う。
まぁ、ギガントボア程度のモノならば優に百匹はいるだろうな。
そうして俺のマップが進化していて、魔物の魔力が概ね光点の大きさで表示されるようになっていた。
魔物だから当然に真っ赤なんだが、ある意味驚異度の高いものはより大きく表示されるんだ。
で、全体的に俯瞰するとやはり焼け跡らしき方向から徐々に光点が小さくなっているように思えるんだ。
つまりは爆心点のようなものがあって、それを中心に徐々に強い魔物が存在するということか?
或いはその先に特別強大な魔物の存在があってそれから避けるように魔物が逃げていることを示すのかもしれない。
男爵領の領都、子爵領の領都、エステルンド砦の三地点は何とか守られているんだが、その点と点の間は、実のところフリーに近い。
魔物が人の集まりに反応しているから、エステルンドや二つの領都に集中しているが、そうでなければとうに間を抜かれて王国中が大騒ぎになっていただろう。
万が一にでも、三つの拠点のいずれかが潰されたなら、魔物は更に東進する恐れが高い。
その先には俺の領地もあるんだから、これは何とかせずばなるまい。
幸いにして今のところ飛行系の魔物は姿を見せていない。
取り敢えずは地上を動く魔物に焦点を絞って対策を立てることにした。
結果として、俺は壮大な計画を立てた。
エステルンデ砦とファンデンダルク小砦の周囲にある掘割は、湿地帯から浸潤する水で覆われているのだが、この掘割が意外と効いている様な気がする。
ファンデンダルク小砦の周囲はエステルンド砦の掘割の倍以上の幅を持っている。
水棲のワニのような魔物は城壁まで来られるが、それ以外の陸棲の魔物は少なくともファンデンダルク小砦には接近していないのだ。
従って30イード幅の運河が一応の壁になる可能性がある。
無論、水深はかなり深くする必要があると思われるんだが・・・。
今回、エステルンド砦で破られた箇所にも掘割はあったのだが、幅が10イード前後と比較的狭い箇所だったこと、更には風雨の影響なのか流れ込んだ土砂で水深が浅くなり、破られた箇所周辺の水深が極端に浅くなっていたようだ。
それに気づいたから、今日の午後には浚渫を行って水深20イード、30イード幅に広げておいたけれどな。
で、計画としてはファンデンダルク小砦から北西方向の魔境の中に、直径10ケールほどに及ぶ八角形の星形城郭を建設、その周囲を幅50イード、水深20イードの掘割で守り、更にそこから略南南西方向に同じ幅と水深の運河を延々と伸ばすのだ。
少なくともエベレット子爵領の南端までは運河を伸ばすつもりでいる。
同様に星形城郭から北北東に運河を伸ばし、クライスラー男爵領の北端まで届かせる方策だ。
この運河の端を廻ってくる魔物の脅威については別途考えてもらうしかないが、山岳なり川なりで防衛できる部分があるかもしれない。
因みに星型城郭は、俺が魔境を攻略するための拠点にするつもりだ。
当初は小砦でも構わないと考えていたんだが、魔物の密度から考えて、開発の中心地には相応の人手と支援部隊が必要な気がするんだ。
直径10ケールに及ぶ城郭都市は、建設状況にもよるがヴォアールランドよりも大きな都市になる可能性がある。
因みに俺自身は、最大で人口10万から15万の都市を想定している。
パソコンの中で図面を起こし、様々に工夫を凝らし、結局は、地球のキプロス国ニコシアの城郭都市を参考にした。
ニコシアの旧城郭は、直径16キロに及ぶ略円形であり、その円周に11個の菱形状の出丸が設けられている独特な形である。
これに更なる三角状の台形地を組み合わせて設ければ、外敵に対する備えが強化されると見込んでいる。
取り敢えずの建設資金はゼロだな。
俺が働いて作り上げるしかない。
人手に任せたら20年経っても出来はしないだろう。
で、嫁sと娘に説明してファンデンダルク小砦三日目にして築城を開始した。
最初に周囲を取り巻く総濠を造るために直径11ケールの円周上に深さ20イード、幅50イードの土砂を亜空間に収納して行った。
その土砂を取り除いた場所がそのまま総濠になる。
何しろ、幅80m、水深30m超、総延長で48キロにも及ぶ大水壕だ。
おそらく地球の1万トン程度の貨物船ならこの水路を周回できるはずだ。
取り除いた土砂を使って円内に高台を造るのだが、足りない分は円外の土砂を削って利用している。
従来の基準面から20イードの高さに盛り上げた台地上の土地に切り込みを入れ水路と菱形の出丸を形作って行く。
出来上がった台地に更に放射状に二重の台地を形成することで、壮大な城郭都市の基盤が出来上がる。
出丸を含めて城郭の外側外壁は30イードの深さで固化して岩板状にしたから余程の事でもなければ破壊は難しいだろう。
その外壁上に高さ10イードの城壁を築きあげて城郭都市の概形を整えた。
大水壕内部に十二角形の城郭を二重に形成し、外縁十二角形の辺に当たる部分に菱形の台形状出丸を造って、取り敢えずの城郭外観は整えた。
星型城砦への通路は、防犯上の問題もあって、当面ファンデンダルク小砦からの地下道のみにしている。
但し、装輪装甲車がすれ違える幅と高さを有したトンネルだ。
折角水路があるから、桟橋を6か所に造って港機能も持たせることにした。
尤も、港湾として使うには水路の中の魔物をある程度排除する必要があるかもしれないな。
何しろワニに似た巨大なデイスクノス(古代ワニ)とでも言うべきレヴァルなる魔物が湿地帯に棲み付いて居り、おそらく20トン未満の小型船なら一噛みで破壊してしまうだろう。
レヴァルは、体長が30m近くもあるデカいワニの化け物だ。
因みに土砂の亜空間収納の際にレヴァル30匹に他の水棲魔物500匹以上も捕獲したけれど、取り敢えずは亜空間内で時間をほぼ1000倍に遅延させて留め置いている。
ペットで買うには大きすぎるし、エサも大変だから、いずれ殺処分して素材に変える予定ではある。
城郭都市の建造は取り敢えずそこまでとし、次には水路の建設を始めた。
水路も幅50イード、深さ20イードの土砂を亜空間に取り込み両岸を固化して行く手法だが、一度に1ケールほどの距離を稼ぐので、総延長246ケールに及ぶ南北の長大な水路が出来上がったのが6日後であった。
まぁ、1日に41ケールほどの工事をするのは俺にとっても結構な負担がかかる仕事ではあった。
で、俺の亜空間には10億㎥もの土砂が溜まっているよ。
この土砂を使って色々なものを創り出せそうではあるけどな。
星型城砦に多重結界を発動して作業は終了だ。
結局、星型城郭都市の建設に三日、水路の建設に延べ六日をかけて一応当面の魔境対策は完了した。
これで魔物が東進するのが防げれば御の字だ。
これでも不足ならば、今持っている土砂を使って水路の内側に万里の長城を築くことも考えている。
尤も、今回の魔物大襲来の原因が他の強大な魔物の存在にあるのであれば、これだけでは済まないことになる。
いずれ、俺の魔境領地開発に合わせて魔物の討伐をしなければならないだろうなとは思っている。
◇◇◇◇
何れにせよ、俺の側室候補三人が王都で待っているから、俺は一旦は王都に戻らにゃならぬ。
今度側室になるのは、マリア・ヘイエルワーズ嬢、ケリー・コーレッド嬢、エリーゼ・ウェイン嬢の三人だ。
いずれも17歳以下だったはずだが、地球で言えば高校二年生?
まぁ、こっちの一年は16カ月(480日)だからな。
地球の日数に直せば22歳ぐらいにはなるんだが、どう見てもそうは見えん。
俺の目から見ても高校二年生ぐらいのお嬢さんにしか見えないんだよ。
で、何となく罪悪感があるんだけれど、・・・。
コレット王女を妻としたことで、克服したかなと思っていたんだが、こればっかりは中々慣れんな。。
そうしてその後半年でカナリア・レイズ嬢、更に三年経ったらケイト・バーナード嬢、更にもう半年でリサを嫁に加えることになるんだ。
===========================
次回「魔境対策を含めた色々」を投稿する予定です。
エベレット子爵領とクライスラー男爵領にも結構な魔物が侵入してきているらしく、それぞれの領主軍が出張って対峙しているが、戦況は余り宜しくないらしい。
少なくとも領都近辺を防衛するだけで手いっぱいの状態で余力はほとんど無いという状況だった。
こちらからの支援が必要かとの問いに、やや時間がかかったが、出来れば欲しいと要請があったようだ。
放っておくわけにも行かないから、最初に領主軍の人数の少ない男爵領へ向かうことにした。
装甲車二台に、俺と騎士達10名が分乗、残りは嫁sも含めて小砦でお留守番だ。
砦の正面入り口を閉じておけば砦内は安全の筈だ。
勿論留守番部隊には通信の携帯魔導具を渡している。
男爵領に行く途中でも何度か魔物に遭遇した。
付近に人気が無いのを確認した上でファランクスの発砲許可を出した。
勿論、三連射のみでの射撃であり、ターゲット特定ができると自動追尾ができるから、慣れれば必ず当てられる代物だ。
フレンドリー・ファイアーが怖いから、ウチの人員や車両には発砲できないよう安全装置をつけている。
ウチの者には身分証明代わりの魔石付きカード(異世界版IDカード)を持たせているんで、空間認識で区別ができるんだ。
射撃の結果は言わずもがなだな。
象よりも二回り程もでかそうなサイに似た魔物が、一連射でお陀仏だったね。
13匹ほどを殺戮して回収、回収役は俺しかいないっつうのが難点なんだが・・・?
伯爵がそんなことをやっていてはいけませんと、家宰のジャックから叱られそうだが、道路脇に死体を置いておくと他の魔物が集まってくるからな、放置はできん。
こいつはどっかで売れるのかなぁ?
他にも数度そんなことが有って討伐しながらようやく男爵領に辿り着いた。
クライスラー男爵領の領都城壁には数百匹の魔物が押し寄せていた。
未だ、城壁は破られてはいないものの、領軍は苦戦中の模様だ。
他人目に付くから、ここではファランクスは取り敢えず使用禁止。
俺は、またまた液体窒素を使うことにした。
酸素を奪うのもいいのじゃないかと思うんだが、ガタイの大きい魔物は効き始めるのに時間がかかるかもしれないのと、無酸素空間が風で城壁の中に入ると見えないだけにちょっと危ない。
その点液体窒素は霧状になって冷気が目に見えるから危険が城内の者にもわかるだろう。
エステルンド砦の時もそうだったが、簡易結界で居住域へは冷気が侵入できないよう予防線は張っている。
万が一にでも無酸素に近い状態の冷気が居住区に入るとそこにいる者は即死だからね
無論、城壁の近くは標的から外し、風魔法のシールドを張って100mほど離れた場所以遠を目標にする。
一気に1平方キロほどの範囲で液体窒素を降らせる。
さっきよりも範囲は広いが、量は同じで試しに深さを減らしたんだ。
狙い通り、その範囲に居た魔物はほぼ活動を停止し、その周辺の魔物も動きが極端に鈍くなった。
城壁から離れた方向に居た魔物は、急激な気温低下に恐れをなして魔境方向へ逃げ出していた。
取り敢えずの魔物集団の撃退はほぼ終わりに近づいた。
動きの鈍くなった魔物については、城壁の上からバリスタで仕留めていたので、これ以上の応援は不要かもしれない。
執事アーガスに連絡して、男爵家に支援の有無の再確認をとり、城壁内から出て来たアーガスたちの乗る馬無し馬車と共に、今度は子爵領へと移動を始めた。
夕刻に近いが、子爵領でも同様な事態に陥っているらしいので放置するわけにも行かないんだ。
1時間後、子爵領でも夕暮れの中、同様の経過をもって魔物の撃退に成功した。
子爵領に留まるわけにも行かないので、夜間にもかかわらず、装輪装甲車2台と馬無し馬車2台はファンデンダルク小砦に戻ったのである。
居残り組は小砦内の掃除を行い夕食の準備を進めていた。
食糧は、保存していたものを先に使ってもらっていた。
小砦にも温泉があり、温水・冷水が自由に使えるし、水洗トイレも完備しているから王都別邸に比べても居住に不便はないはずだ。
まぁ、あくまで仮の砦なので豪華絢爛な内装は省いているけれどね。
ベッドだけは立派なものを人数分以上に今回の遠征前に準備しておいたよ。
で、魔物の侵攻が突然生じた理由については、エステルンド砦の守備隊も、男爵領及び子爵領でもわかっていないそうだ。
俺が翌日に調査を行った上で根本的な対策を立てないと、魔物の群れがより東進する恐れもある。
特にデカい奴が集団で来られると、余程の領主軍でないと防ぎきれない可能性があるしね。
魔物は人のいる場所を本能で知って押し寄せて来るらしいからな。
集落、街、都市が危ないんだ。
砦の中で二人の嫁と同衾はしたが、二人とも妊娠中だからな。
秘め事は無しで、キングサイズよりも大きなベッドに川の字になって寝ただけだ。
翌朝、朝食を摂ってから、ドローンを8機飛ばして魔境の情勢確認を行った。
上空から見た感じでは、エステルンデ砦東方約60キロにかなりの規模の破壊跡があった。
ドローンには単なるカメラしか搭載していないから詳細分析までは難しいのだが、半径数キロにわたりジャングルが円弧状に焼き払われているように見える。
そうした箇所が二か所あるんだが・・・。
或いは竜種か何かのブレスなのか?
これが砦にやってきたらそれこそ大事になるんだが、探さにゃならんのかな?
ドローンの索敵範囲を広げたがそれ以上のことはわからなかった。
で、次は俺の索敵能力によるサーチだ。
ファンデンダルク小砦から半径20ケール(約30Km)ほどまで索敵範囲は広がっている.
その範囲に魔物は多数存在するが、特別に脅威となる存在は無いように思う。
まぁ、ギガントボア程度のモノならば優に百匹はいるだろうな。
そうして俺のマップが進化していて、魔物の魔力が概ね光点の大きさで表示されるようになっていた。
魔物だから当然に真っ赤なんだが、ある意味驚異度の高いものはより大きく表示されるんだ。
で、全体的に俯瞰するとやはり焼け跡らしき方向から徐々に光点が小さくなっているように思えるんだ。
つまりは爆心点のようなものがあって、それを中心に徐々に強い魔物が存在するということか?
或いはその先に特別強大な魔物の存在があってそれから避けるように魔物が逃げていることを示すのかもしれない。
男爵領の領都、子爵領の領都、エステルンド砦の三地点は何とか守られているんだが、その点と点の間は、実のところフリーに近い。
魔物が人の集まりに反応しているから、エステルンドや二つの領都に集中しているが、そうでなければとうに間を抜かれて王国中が大騒ぎになっていただろう。
万が一にでも、三つの拠点のいずれかが潰されたなら、魔物は更に東進する恐れが高い。
その先には俺の領地もあるんだから、これは何とかせずばなるまい。
幸いにして今のところ飛行系の魔物は姿を見せていない。
取り敢えずは地上を動く魔物に焦点を絞って対策を立てることにした。
結果として、俺は壮大な計画を立てた。
エステルンデ砦とファンデンダルク小砦の周囲にある掘割は、湿地帯から浸潤する水で覆われているのだが、この掘割が意外と効いている様な気がする。
ファンデンダルク小砦の周囲はエステルンド砦の掘割の倍以上の幅を持っている。
水棲のワニのような魔物は城壁まで来られるが、それ以外の陸棲の魔物は少なくともファンデンダルク小砦には接近していないのだ。
従って30イード幅の運河が一応の壁になる可能性がある。
無論、水深はかなり深くする必要があると思われるんだが・・・。
今回、エステルンド砦で破られた箇所にも掘割はあったのだが、幅が10イード前後と比較的狭い箇所だったこと、更には風雨の影響なのか流れ込んだ土砂で水深が浅くなり、破られた箇所周辺の水深が極端に浅くなっていたようだ。
それに気づいたから、今日の午後には浚渫を行って水深20イード、30イード幅に広げておいたけれどな。
で、計画としてはファンデンダルク小砦から北西方向の魔境の中に、直径10ケールほどに及ぶ八角形の星形城郭を建設、その周囲を幅50イード、水深20イードの掘割で守り、更にそこから略南南西方向に同じ幅と水深の運河を延々と伸ばすのだ。
少なくともエベレット子爵領の南端までは運河を伸ばすつもりでいる。
同様に星形城郭から北北東に運河を伸ばし、クライスラー男爵領の北端まで届かせる方策だ。
この運河の端を廻ってくる魔物の脅威については別途考えてもらうしかないが、山岳なり川なりで防衛できる部分があるかもしれない。
因みに星型城郭は、俺が魔境を攻略するための拠点にするつもりだ。
当初は小砦でも構わないと考えていたんだが、魔物の密度から考えて、開発の中心地には相応の人手と支援部隊が必要な気がするんだ。
直径10ケールに及ぶ城郭都市は、建設状況にもよるがヴォアールランドよりも大きな都市になる可能性がある。
因みに俺自身は、最大で人口10万から15万の都市を想定している。
パソコンの中で図面を起こし、様々に工夫を凝らし、結局は、地球のキプロス国ニコシアの城郭都市を参考にした。
ニコシアの旧城郭は、直径16キロに及ぶ略円形であり、その円周に11個の菱形状の出丸が設けられている独特な形である。
これに更なる三角状の台形地を組み合わせて設ければ、外敵に対する備えが強化されると見込んでいる。
取り敢えずの建設資金はゼロだな。
俺が働いて作り上げるしかない。
人手に任せたら20年経っても出来はしないだろう。
で、嫁sと娘に説明してファンデンダルク小砦三日目にして築城を開始した。
最初に周囲を取り巻く総濠を造るために直径11ケールの円周上に深さ20イード、幅50イードの土砂を亜空間に収納して行った。
その土砂を取り除いた場所がそのまま総濠になる。
何しろ、幅80m、水深30m超、総延長で48キロにも及ぶ大水壕だ。
おそらく地球の1万トン程度の貨物船ならこの水路を周回できるはずだ。
取り除いた土砂を使って円内に高台を造るのだが、足りない分は円外の土砂を削って利用している。
従来の基準面から20イードの高さに盛り上げた台地上の土地に切り込みを入れ水路と菱形の出丸を形作って行く。
出来上がった台地に更に放射状に二重の台地を形成することで、壮大な城郭都市の基盤が出来上がる。
出丸を含めて城郭の外側外壁は30イードの深さで固化して岩板状にしたから余程の事でもなければ破壊は難しいだろう。
その外壁上に高さ10イードの城壁を築きあげて城郭都市の概形を整えた。
大水壕内部に十二角形の城郭を二重に形成し、外縁十二角形の辺に当たる部分に菱形の台形状出丸を造って、取り敢えずの城郭外観は整えた。
星型城砦への通路は、防犯上の問題もあって、当面ファンデンダルク小砦からの地下道のみにしている。
但し、装輪装甲車がすれ違える幅と高さを有したトンネルだ。
折角水路があるから、桟橋を6か所に造って港機能も持たせることにした。
尤も、港湾として使うには水路の中の魔物をある程度排除する必要があるかもしれないな。
何しろワニに似た巨大なデイスクノス(古代ワニ)とでも言うべきレヴァルなる魔物が湿地帯に棲み付いて居り、おそらく20トン未満の小型船なら一噛みで破壊してしまうだろう。
レヴァルは、体長が30m近くもあるデカいワニの化け物だ。
因みに土砂の亜空間収納の際にレヴァル30匹に他の水棲魔物500匹以上も捕獲したけれど、取り敢えずは亜空間内で時間をほぼ1000倍に遅延させて留め置いている。
ペットで買うには大きすぎるし、エサも大変だから、いずれ殺処分して素材に変える予定ではある。
城郭都市の建造は取り敢えずそこまでとし、次には水路の建設を始めた。
水路も幅50イード、深さ20イードの土砂を亜空間に取り込み両岸を固化して行く手法だが、一度に1ケールほどの距離を稼ぐので、総延長246ケールに及ぶ南北の長大な水路が出来上がったのが6日後であった。
まぁ、1日に41ケールほどの工事をするのは俺にとっても結構な負担がかかる仕事ではあった。
で、俺の亜空間には10億㎥もの土砂が溜まっているよ。
この土砂を使って色々なものを創り出せそうではあるけどな。
星型城砦に多重結界を発動して作業は終了だ。
結局、星型城郭都市の建設に三日、水路の建設に延べ六日をかけて一応当面の魔境対策は完了した。
これで魔物が東進するのが防げれば御の字だ。
これでも不足ならば、今持っている土砂を使って水路の内側に万里の長城を築くことも考えている。
尤も、今回の魔物大襲来の原因が他の強大な魔物の存在にあるのであれば、これだけでは済まないことになる。
いずれ、俺の魔境領地開発に合わせて魔物の討伐をしなければならないだろうなとは思っている。
◇◇◇◇
何れにせよ、俺の側室候補三人が王都で待っているから、俺は一旦は王都に戻らにゃならぬ。
今度側室になるのは、マリア・ヘイエルワーズ嬢、ケリー・コーレッド嬢、エリーゼ・ウェイン嬢の三人だ。
いずれも17歳以下だったはずだが、地球で言えば高校二年生?
まぁ、こっちの一年は16カ月(480日)だからな。
地球の日数に直せば22歳ぐらいにはなるんだが、どう見てもそうは見えん。
俺の目から見ても高校二年生ぐらいのお嬢さんにしか見えないんだよ。
で、何となく罪悪感があるんだけれど、・・・。
コレット王女を妻としたことで、克服したかなと思っていたんだが、こればっかりは中々慣れんな。。
そうしてその後半年でカナリア・レイズ嬢、更に三年経ったらケイト・バーナード嬢、更にもう半年でリサを嫁に加えることになるんだ。
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次回「魔境対策を含めた色々」を投稿する予定です。
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勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
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転生貴族のスローライフ
マツユキ
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現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~
夢幻の翼
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典型的な社畜・ブラックバイトに翻弄される人生を送っていたラノベ好きの男が銀行強盗から女性行員を庇って撃たれた。
男は夢にまで見た異世界転生を果たしたが、ラノベのテンプレである神様からのお告げも貰えない状態に戸惑う。
それでも気を取り直して強く生きようと決めた矢先の事、国の方針により『ステータスプレート』を作成した際に数値異常となり改ざん容疑で捕縛され奴隷へ落とされる事になる。運の悪い男だったがチート能力により移送中に脱走し隣国へと逃れた。
一時は途方にくれた少年だったが神父に言われた『冒険者はステータスに関係なく出来る唯一の職業である』を胸に冒険者を目指す事にした。
持ち前の運の悪さもチート能力で回避し、自分の思う生き方を実現させる社畜転生者と自らも助けられ、少年に思いを寄せる美少女との恋愛、襲い来る盗賊の殲滅、新たな商売の開拓と現実では出来なかった夢を異世界で実現させる自由気ままな異世界生活が始まります。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
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台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
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女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
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そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
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