当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福

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打倒、物語の強制力

わー、閑散としてるー(棒読み)

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そして、誰もいなくなった。



訳じゃないけど、だいぶ閑散とした。


紹介状を渡す際、私は封蝋するだけで、少々手持ち無沙汰もあったので、
使用人の皆さんに、
「今までお疲れさまでした」
と、にっこり笑って声掛けしましたわ。
スマイル、プライスレスですもの。
印象良くしておこうという下心ですわ。

何人かは「辞めるの止めようかな」とか言ってましたが、シラヌイ様に睨まれて離れて行きましたわ。

3時間ぐらいかしら。
ようやく最後の1人に紹介状を渡し終えました。

「あとは、残ってる人間との契約かぁ。
まずは一旦休憩しよう」

セリにお茶の用意をして貰い、軽くおやつをつまみ、今後の話をします。

「洗濯や掃除のメイドは残ってくれた人もいるけど、侍女系は全滅だね。
料理人も見習いだけかな?フットマンとか、従者系も居ないねぇ。
先は長いなぁ。
セリに負担が増えるかもしれないけど、ディを最優先でいいからね。
出来る範囲で無理しないで」
お兄様がため息混じりに言います。

「まぁ、わしやシラヌイ、ワサビも、基本、自分の事は自分でやりますからな。
洗濯してくれるのはありがたい」

「実は、ヒサギ様より、使用人総入替えを命じられてたので、逆に良かったです。
午後からセンバ商会から人がきますよ!私も残ります。
いっくらでも使って下さい」
シチミさんがにっこり笑って提案してくださいました。

「正直、助かります。
何から何までセンバにお世話になってて申し訳ない。
王都に向かったサンショウに、帰って来るとき、
こっちに来たい人間がいたら連れてきて欲しいと言ってあります。
何人かでも来てくれると良いんですが」

「家族との折り合いがついた者は、来るでしょうねぇ」
「…アンさんが血の涙を流してそうです」
「「ああー」」私と先生が遠い目をします。
「悪いことしたなぁ、でも、アン意外、信用しきれなかったんだよなぁ」
お兄様がポリポリと頬を掻きます。

「葬儀も終わった事でしょう。セバスさんの報告も来るのではないですか?」
先生の問いかけに、シチミさんが「あ、思い出した」と答えます。

「本当なら、ヒサギ様がこちらに向かう予定だったんですが、葬儀を偵察してくると言って、こっちに来るの遅れているんです。センバの支部に行く前に、ここに突撃してくると思います」

「げ」シラヌイ様がものすごぉく嫌そうな顔をしています。




お昼から残ってくれた人に〝侯爵家で見聞きしたことは話せない〞という魔法契約を結んでもらいました。
「話せないという魔法契約をしている、ということは話せるよ。
今回は残って貰った事と、魔法契約してくれた事に対しての謝礼だ」
チップを渡す事にしたのです。
まぁ、好意を育てるのに一番有効な手段ですわ。
案の定、大喜びされましたもの。

あら、昨日、勇気を出してお給料の事を聞いてきた子が居ますわ。

「お兄様、昨日、お給料のこと聞いてきた子が居ますわ。
何か、事情があるのかもしれないです。話をしてみません?」
「ディがしたいことして良いよ」
「ご一緒してくださる?」
「もちろん」

「そこの貴女、そう、昨日、お給料について聞いてきた貴女。
お話よろしくて?」
「ヒィッ!お、お許し下さい!」
「ええー、許すもなにも、まだ何もしゃべってませんわぁ」
「お、お怒りを買ったわけではないので?」
「「え?なんの?」」
「ぐふっ、双子の声が揃ってる。
って、いや、あの、昨日、生意気にも質問を直接してしまったので」
「え?だって、君はちゃんと発言の許可を取ってからしゃべったし、僕も許す、って言ったよ?何で怒るの?」
「「ねぇ?」」
お兄様と二人、コテンと首をかしげて、その子を見ました。

彼女は口を押さえてプルプル震えています。

あちこちから「ぐふっ」「なんと」「残って良かった」膝をついて祈ってる人もいます。なんなのかしら?

「お二人とも、自分達の顔の良さを自覚しなされ」
「「えっ??」」
先生に言われて周りを見ると、ほんのり顔を赤くした大人達。
お兄様の顔を見るとニヤっと悪巧みの顔をしています。
ええ、ノリますわ!

お兄様と二人、手をつないで笑顔で周りに手を振って見ました。

胸を押さえて膝をつく使用人達。
え?シチミさんも?
心臓、大丈夫ですの?
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