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2nd ステージ
016 話をさせてくれないかな
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彼が宰相だと分かったのは、鑑定したからだ。
『クイント・フレッツリー』
驚いたのは、見た目二十代後半くらいにしか見えないのに、四十二歳だったこと。それもキラキラな美中年。
頭を抱えて泣き出した息子など気にせず、彼はリンディエールへ頭を下げた。
「私はクイント・フレッツリーと申します。愚息が失礼しました。こちらの本をお探しだったようですね。どうぞ」
少年が取り落とした本を拾い上げ、リンディエールに差し出した。
「どうも」
受け取ってすぐに中身の確認をはじめた。さっさと確認して返す気なのだ。しかし、ジッと見つめられていては、さすがに集中できない。本から目を離さずに尋ねた。
「何か?」
「ふふ。いえ、お気になさらず」
「……そんな見られとったら気になるわ……何や? 何か言いたいことあるんやろ?」
本を閉じ、そのどこまでも青い瞳を見つめた。思わず感嘆の声が出る。
「……金髪には、やっぱ青い目が似合うなあ」
「おや。これは褒めていただけたのでしょうか?」
「褒めとるで? 兄さん、女をよおさん泣かせたやろ」
「貴女のお眼鏡にも適ったかな」
「残念やけど、ウチは中身重視やねん。可愛らしさも兼ね備えた最高の男を知っとるさかい、難しいで」
こう言われても、クイントは嬉しそうに微笑んでいた。
「お姉さん。あったか?」
お姉さんが驚きながらも検索を終えたようだったので、声をかけた。
「あ、はいっ。も、申し訳ありません。お尋ねの本はございませんでした……」
「ない? おっかしいな……アレはコレと対のはずやで?」
「そう……なのですか?」
「まあええわ。ありがとうな」
「は、はい」
ざっと目を通したが、これは特に間違ってはいない。とはいえ、スペルが違うものがあるので、正確ともいえないということがわかった。不完全な写本なのだろう。それに、本来は一冊だが、これは上下巻に分かれているようだ。リンディエールの持ってきた訳された物も内容が半ばで終わっていた。
おかしいなと考えながらまた手にしている本を開くと、クイントが話しかけてくる。
「聞いても良いかな」
「何や?」
リンディエールの目線はまだ本へ向いている。
「貴女は、それが読めるのかい?」
「読めるで」
「ウソだ!!」
少年が復活した。顔を上げると睨んでくるが、クイントも目を向けないのでリンディエールも構わず続けた。今度はクイントを見る。
「聞きたいんはそれだけか?」
「そうだね。今聞きたいのはそれだけ、だけど……できれば少し話をさせてくれないかな。その代わり、禁書庫に入るための推薦状をプレゼントするよ」
「……ここの程度を見れば、禁書庫も期待できんが……そうやっ。暴虐竜についての資料を見たいねん。ここの禁書庫にあるか?」
絵本にあるのは分かった。だが、創作物に興味はない。リンディエールが見たいのは、伝えられた史実だ。どこまでどう伝わっているかが知りたい。正確なものが望ましい。
「暴虐竜ですか……王宮の書庫にありますよ。さすがに持ち出しも出来ませんから……我が家にないか調べてみましょう。あったような気がします。もしなければ、王宮にあるものの写しを用意します」
「ええのんか?」
「構いませんよ。それよりも、貴女と話をする方が、何倍も価値がありそうです。もう一度会う約束にもなりますしね」
「……抜け目ないなあ……」
「お褒めの言葉と受け取らせていただきます」
とっても楽しそうに目を輝かせているクイントを見て、リンディエールは考える。これも何かの縁だ。
「話か。ちょい頼みたいこともあるねん。丁度ええわ」
「お前! 父上にっ」
「お前はいい加減黙りなさい。次に彼女との会話に割り込んだら勘当しますよ」
「か、感動?」
「親子の縁を切って、家を追い出すという意味です」
ため息をつきながら、ギロリと少年を睨む。美中年が怒る顔はとても怖かった。
「っ、追い出す……って……っ」
震える少年から視線を外し、リンディエールへ笑顔を向ける。一瞬で雰囲気が変わるのはさすがだ。貴族らしい変わり身だった。
「行きましょうか。上に個室があるのです。そこでお話ししましょう。鍵をいただけますか。それと確認を」
クイントがカードを見せる。これは、貴族の当主が持つ身分証。ギルドカードのように、本人が魔力を流せば貴族章が浮かび上がる。少年の身分は親が保証するということで、貴族の子息達は当主とならばそのまま身分証の提示もいらないらしい。
「は、はひっ。か、確認いたしました! 鍵をお持ちください」
お姉さんは慌てて鍵を渡した。
「どうぞ、こちらへ」
カードを懐にしまい、クイントはとても自然に受け取った鍵を持つ手とは逆の手を差し出し、リンディエールをエスコートする。リンディエールも一応は貴族の令嬢だ。いずれそういう振る舞いが必要になる日が来るだろうとヒストリアに言われ、勉強の一環として教えてもらっていた。
ただし、ダンスの相手も、エスコートの相手も、ヒストリアが創り出した人型ゴーレムだ。味気ないと何度文句を言ったかしれない。足を踏んでも罪悪感がないので、良かったといえば良かった。
それらが、しっかりと身には付いていたらしい。今日は出かけるつもりだったので、目立たないように町娘仕様の服装だが、令嬢仕様の服装だったならば、クイントの娘にしか見えなかっただろう。
「ふふ」
「何か?」
「いえ、やはり、きちんとした教育を受けておられるようですね。普通の冒険者ならば、これほど自然に手を取れませんから」
「っ……はあ……うっかりしとったわ……身に付けるっちゅうのも考えもんやね……しゃあないわ。部屋に着いたら名乗らしてもらおか」
「はい。楽しみです」
階段を半ば上った辺りで、呆然としていた少年が我に返ったらしい。慌てて追ってきていた。
それに一切振り返ることなく、部屋に案内される。後ろにいる少年は、泣いているらしい。えぐえぐと抑えきれない声が聞こえていた。
部屋には入れもらえた少年は、部屋に入ってすぐに立ち止まってしまう。リンディエールは椅子に着くまでクイントにエスコートされていたのだ。この場はソファと低い机だったので、難なく座れたのはよかった。
クイントが向かいに座っても、所在無げに立ち尽くす少年。涙は止まらないらしい。
「はあ……座らしたったらどうや。反省はしたやろう」
「優しいのですね。貴女が言うのなら……レング来なさい。今後、彼女に無礼は許しません」
「っ、は、はい……っ、うっ、うっ」
声を出したらまた怒られると思ったのだろう。我慢しながらクイントから少し離れて座った。
「何か飲まれますか?」
「ここ、飲食いいんか?」
「ええ。それが許されるのが、貴族です」
「なるほどな……いや、ウチはいいわ。それより、そっちの子にやりい」
「ここにはこの子が飲めるような甘いものはありませんから」
「あんた、ウチに勧めたやん……」
「紅茶、砂糖入れる派ですか?」
「……入れんな……なんで分かるん」
「勘です」
「勘か……」
それはどうなんだと思いながらも、嫌いじゃないなとも思った。
「ほんなら、これ飲みい」
リンディエールはマジックバックから出しているように見せながら、手作りしたステンレスっぽいの水筒と木で作ったコップを出す。中身はこの世界ではルッピーという桃とアルプというリンゴを使ったミックスジュースだ。
「ルッピーとアルプの果汁や。薬草も多少入っとるけど気にならんはずや。冷たあなっとるで、一気に飲むなや?」
「っ……ん……あり……ありがと……」
「ええて。何か飲めば、泣き止めるでな」
実は素直な子なのだろう。普通、貴族の者ならば、毒を疑う。それだけ毒殺は多いのだ。だが、匂いにつられるように、ゆっくりと一口飲んだ。
「っ、美味しい!」
「そりゃそうや。自生のルッピーとアルプは特に美味しい上に、ウチのオリジナルブレンドやでな」
帰ったらヒストリアにも飲ませてやろうと思った。食事が出来るならもっと早く言えとも言ってやろう。
これまで、自分だけで楽しむしかなかったのだ。誰かに食べてもらうというのをすっかり忘れていたらしい。
「ほお……よかったら私にももらえないかな」
「ええで。ほれ」
コップを出してジュースを入れて差し出せば、クイントまでなんの躊躇もなく飲んだ。いいんだろうかと少し呆然とした。
「これは! 本当に美味しい! ん? 回復……万能薬……?」
「気付いたか。オリジナルブレンドやゆうたやろ。これは、初級万能薬に近い効果を持たせたもんや。レシピは秘密やで?」
「そんなことが……っ」
初級も初級。効果を抑えた仕様のため、スポーツドリンク感覚で飲んでも問題ない。せっかくだからとリンディエールも飲むことにし、落ち着いたところで話を始めた。
「約束やったな。ウチはリンディエール・デリエスタ。父親はデリエスタ辺境伯や」
「っ、辺境伯の……娘……っ? 冒険者じゃ……ない?」
これは少年、レングの言葉だ。コップを置いて目を見開いていた。
「冒険者なのは本当やで。まあ、今朝ばあちゃんに突然言われてなった成り立てやけどな」
「まさか、言われたのは先代の奥方ですか? あの『染血の参謀』の?」
「ばあちゃんって、ホンマにそんな物騒な名あで呼ばれるん? じいちゃんは英雄やったで?」
鮮血ではなく染血。怖すぎる。
「そうですねえ。ヘルナ様が指揮を執った戦いでは、戦場が……大地が本当に血で染まったそうですよ? それも、味方の血はほとんど流さずにね」
「……その光景が見えるようやわ……」
祖母は絶対に敵に回さないようにしようとこの時、心に誓った。
************
読んでくださりありがとうございます◎
また明日!
よろしくお願いします◎
『クイント・フレッツリー』
驚いたのは、見た目二十代後半くらいにしか見えないのに、四十二歳だったこと。それもキラキラな美中年。
頭を抱えて泣き出した息子など気にせず、彼はリンディエールへ頭を下げた。
「私はクイント・フレッツリーと申します。愚息が失礼しました。こちらの本をお探しだったようですね。どうぞ」
少年が取り落とした本を拾い上げ、リンディエールに差し出した。
「どうも」
受け取ってすぐに中身の確認をはじめた。さっさと確認して返す気なのだ。しかし、ジッと見つめられていては、さすがに集中できない。本から目を離さずに尋ねた。
「何か?」
「ふふ。いえ、お気になさらず」
「……そんな見られとったら気になるわ……何や? 何か言いたいことあるんやろ?」
本を閉じ、そのどこまでも青い瞳を見つめた。思わず感嘆の声が出る。
「……金髪には、やっぱ青い目が似合うなあ」
「おや。これは褒めていただけたのでしょうか?」
「褒めとるで? 兄さん、女をよおさん泣かせたやろ」
「貴女のお眼鏡にも適ったかな」
「残念やけど、ウチは中身重視やねん。可愛らしさも兼ね備えた最高の男を知っとるさかい、難しいで」
こう言われても、クイントは嬉しそうに微笑んでいた。
「お姉さん。あったか?」
お姉さんが驚きながらも検索を終えたようだったので、声をかけた。
「あ、はいっ。も、申し訳ありません。お尋ねの本はございませんでした……」
「ない? おっかしいな……アレはコレと対のはずやで?」
「そう……なのですか?」
「まあええわ。ありがとうな」
「は、はい」
ざっと目を通したが、これは特に間違ってはいない。とはいえ、スペルが違うものがあるので、正確ともいえないということがわかった。不完全な写本なのだろう。それに、本来は一冊だが、これは上下巻に分かれているようだ。リンディエールの持ってきた訳された物も内容が半ばで終わっていた。
おかしいなと考えながらまた手にしている本を開くと、クイントが話しかけてくる。
「聞いても良いかな」
「何や?」
リンディエールの目線はまだ本へ向いている。
「貴女は、それが読めるのかい?」
「読めるで」
「ウソだ!!」
少年が復活した。顔を上げると睨んでくるが、クイントも目を向けないのでリンディエールも構わず続けた。今度はクイントを見る。
「聞きたいんはそれだけか?」
「そうだね。今聞きたいのはそれだけ、だけど……できれば少し話をさせてくれないかな。その代わり、禁書庫に入るための推薦状をプレゼントするよ」
「……ここの程度を見れば、禁書庫も期待できんが……そうやっ。暴虐竜についての資料を見たいねん。ここの禁書庫にあるか?」
絵本にあるのは分かった。だが、創作物に興味はない。リンディエールが見たいのは、伝えられた史実だ。どこまでどう伝わっているかが知りたい。正確なものが望ましい。
「暴虐竜ですか……王宮の書庫にありますよ。さすがに持ち出しも出来ませんから……我が家にないか調べてみましょう。あったような気がします。もしなければ、王宮にあるものの写しを用意します」
「ええのんか?」
「構いませんよ。それよりも、貴女と話をする方が、何倍も価値がありそうです。もう一度会う約束にもなりますしね」
「……抜け目ないなあ……」
「お褒めの言葉と受け取らせていただきます」
とっても楽しそうに目を輝かせているクイントを見て、リンディエールは考える。これも何かの縁だ。
「話か。ちょい頼みたいこともあるねん。丁度ええわ」
「お前! 父上にっ」
「お前はいい加減黙りなさい。次に彼女との会話に割り込んだら勘当しますよ」
「か、感動?」
「親子の縁を切って、家を追い出すという意味です」
ため息をつきながら、ギロリと少年を睨む。美中年が怒る顔はとても怖かった。
「っ、追い出す……って……っ」
震える少年から視線を外し、リンディエールへ笑顔を向ける。一瞬で雰囲気が変わるのはさすがだ。貴族らしい変わり身だった。
「行きましょうか。上に個室があるのです。そこでお話ししましょう。鍵をいただけますか。それと確認を」
クイントがカードを見せる。これは、貴族の当主が持つ身分証。ギルドカードのように、本人が魔力を流せば貴族章が浮かび上がる。少年の身分は親が保証するということで、貴族の子息達は当主とならばそのまま身分証の提示もいらないらしい。
「は、はひっ。か、確認いたしました! 鍵をお持ちください」
お姉さんは慌てて鍵を渡した。
「どうぞ、こちらへ」
カードを懐にしまい、クイントはとても自然に受け取った鍵を持つ手とは逆の手を差し出し、リンディエールをエスコートする。リンディエールも一応は貴族の令嬢だ。いずれそういう振る舞いが必要になる日が来るだろうとヒストリアに言われ、勉強の一環として教えてもらっていた。
ただし、ダンスの相手も、エスコートの相手も、ヒストリアが創り出した人型ゴーレムだ。味気ないと何度文句を言ったかしれない。足を踏んでも罪悪感がないので、良かったといえば良かった。
それらが、しっかりと身には付いていたらしい。今日は出かけるつもりだったので、目立たないように町娘仕様の服装だが、令嬢仕様の服装だったならば、クイントの娘にしか見えなかっただろう。
「ふふ」
「何か?」
「いえ、やはり、きちんとした教育を受けておられるようですね。普通の冒険者ならば、これほど自然に手を取れませんから」
「っ……はあ……うっかりしとったわ……身に付けるっちゅうのも考えもんやね……しゃあないわ。部屋に着いたら名乗らしてもらおか」
「はい。楽しみです」
階段を半ば上った辺りで、呆然としていた少年が我に返ったらしい。慌てて追ってきていた。
それに一切振り返ることなく、部屋に案内される。後ろにいる少年は、泣いているらしい。えぐえぐと抑えきれない声が聞こえていた。
部屋には入れもらえた少年は、部屋に入ってすぐに立ち止まってしまう。リンディエールは椅子に着くまでクイントにエスコートされていたのだ。この場はソファと低い机だったので、難なく座れたのはよかった。
クイントが向かいに座っても、所在無げに立ち尽くす少年。涙は止まらないらしい。
「はあ……座らしたったらどうや。反省はしたやろう」
「優しいのですね。貴女が言うのなら……レング来なさい。今後、彼女に無礼は許しません」
「っ、は、はい……っ、うっ、うっ」
声を出したらまた怒られると思ったのだろう。我慢しながらクイントから少し離れて座った。
「何か飲まれますか?」
「ここ、飲食いいんか?」
「ええ。それが許されるのが、貴族です」
「なるほどな……いや、ウチはいいわ。それより、そっちの子にやりい」
「ここにはこの子が飲めるような甘いものはありませんから」
「あんた、ウチに勧めたやん……」
「紅茶、砂糖入れる派ですか?」
「……入れんな……なんで分かるん」
「勘です」
「勘か……」
それはどうなんだと思いながらも、嫌いじゃないなとも思った。
「ほんなら、これ飲みい」
リンディエールはマジックバックから出しているように見せながら、手作りしたステンレスっぽいの水筒と木で作ったコップを出す。中身はこの世界ではルッピーという桃とアルプというリンゴを使ったミックスジュースだ。
「ルッピーとアルプの果汁や。薬草も多少入っとるけど気にならんはずや。冷たあなっとるで、一気に飲むなや?」
「っ……ん……あり……ありがと……」
「ええて。何か飲めば、泣き止めるでな」
実は素直な子なのだろう。普通、貴族の者ならば、毒を疑う。それだけ毒殺は多いのだ。だが、匂いにつられるように、ゆっくりと一口飲んだ。
「っ、美味しい!」
「そりゃそうや。自生のルッピーとアルプは特に美味しい上に、ウチのオリジナルブレンドやでな」
帰ったらヒストリアにも飲ませてやろうと思った。食事が出来るならもっと早く言えとも言ってやろう。
これまで、自分だけで楽しむしかなかったのだ。誰かに食べてもらうというのをすっかり忘れていたらしい。
「ほお……よかったら私にももらえないかな」
「ええで。ほれ」
コップを出してジュースを入れて差し出せば、クイントまでなんの躊躇もなく飲んだ。いいんだろうかと少し呆然とした。
「これは! 本当に美味しい! ん? 回復……万能薬……?」
「気付いたか。オリジナルブレンドやゆうたやろ。これは、初級万能薬に近い効果を持たせたもんや。レシピは秘密やで?」
「そんなことが……っ」
初級も初級。効果を抑えた仕様のため、スポーツドリンク感覚で飲んでも問題ない。せっかくだからとリンディエールも飲むことにし、落ち着いたところで話を始めた。
「約束やったな。ウチはリンディエール・デリエスタ。父親はデリエスタ辺境伯や」
「っ、辺境伯の……娘……っ? 冒険者じゃ……ない?」
これは少年、レングの言葉だ。コップを置いて目を見開いていた。
「冒険者なのは本当やで。まあ、今朝ばあちゃんに突然言われてなった成り立てやけどな」
「まさか、言われたのは先代の奥方ですか? あの『染血の参謀』の?」
「ばあちゃんって、ホンマにそんな物騒な名あで呼ばれるん? じいちゃんは英雄やったで?」
鮮血ではなく染血。怖すぎる。
「そうですねえ。ヘルナ様が指揮を執った戦いでは、戦場が……大地が本当に血で染まったそうですよ? それも、味方の血はほとんど流さずにね」
「……その光景が見えるようやわ……」
祖母は絶対に敵に回さないようにしようとこの時、心に誓った。
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