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番外編 西支部

アニメショップへ

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「あの映像は、

嘘か真か入り混じって拡散されたので、

さすがに黒地の人間も、

今は何もできないと思いますよ」

トラントが向井と並んで歩きながら話した。

「血まみれの子供を見たものは、

さすがに恐ろしさを感じたのか、

政府を信じないと言いだす者も出てきたみたいよ」

「そうはいってもあれを見てもまだ、

大臣を擁護する者もいるから、

何とも言えないけどね」

ヴェンティとティンも黒地を見ながら言った。

「どっちにしても、

多くの省庁で大臣達が、

どんな言い訳で国民を言いくるめるのか、

その方が気になりますね」

そんな話をしていると目的地の店に到着した。

ビルの前で『おぉ~』と見上げて楽しそうなチビ達を見て、

ヴェンティも笑顔になった。

「ここは大きいでしょう。

黒地でもこれだけのショップはないから、

ここに入れる人達は貴重よ」

この国は大震災によって、

街から人だけじゃなく多くのものを失っている。

昔を知る者には今のこの風景も、

想像できないほどに変容していた。

「このビルも元々あった五階建てを、

アニメ専門ショップに作り替えたの。

イベントスペースもあるから、

アニメ化やドラマ化となると、

サイン会も開催されてる。

今はAIが主だけど、

原作者は人間の方がまだ多いからね」

「じゃあ、松田先生もサイン会やるのかな~」

安達がニコニコしながらヴェンティを見た。

「松田先生も来てたわよ。

海外でもあのコミックは話題になってるから、

サイン会の時は混雑してたもの。

そうそう、その時はトリアも来てたよね」

ヴィンティが振り返った。

「あぁ、そうね。

丁度映画化もあったから忙しかったな~」

「考えたら凄いよね。

そんな先生の仕事してるんだからさ」

ティンがトリアを見て言った。

「まぁ私がというより、山川だけどね」

トリアが笑った。

「さて、君達は何が欲しいのかな? 」

向井がチビ達に言うと、

お店に入った。

ハクは向井に抱っこされたまま、

店内をキョロキョロしていた。

「あっ、先生のサインだ」

安達が書籍スペースで松田の色紙を見つけ、

嬉しそうに見ていた。

「えっ? 恐竜王国の原作者も来たの? 」

安達がサイン色紙を、

羨まし気に見つめた。

「問題ない人は入れるから、

ここにサインがある作家は、

今捨て地に住んでるわよ」

「そうなんだ」

ヴェンティの説明に、

早紀も壁のサインを見ながら歩いた。

「今日はイベントはないみたいだね。

あれば見られたのにね」

トラントもそういうと、安達を見た。

「どこから見ますか? 

君らが欲しいのはカードとグッズなんですよね。

だと………三階か」

向井が案内映像を見てると、

「ガチャがあるよ。

やりたい」

こんが向井の手を引っ張った。

「えっ? ガチャ? 」

安達と牧野も案内を振り返った。

地下がガチャスペースのようだ。

「じゃあ最後にね。

まずは忘れないうちに冥王のお土産を買わなくては」

向井の言葉にトレントとヴェンティが、

驚いて振り返った。

「冥王もアニメグッズ集めてるの? 」

「アニオタ閻魔だもん」

トリアが言った。

「俺とカード交換するの」

笑顔の安達に、

「あははは」

トレントが笑った。
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