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第14回『深海 転がる 徳』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第14回『深海 転がる 徳』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
むかしむかし、さらにそのむかし、あるところに浦島太郎という男が住んでいました。
その男の趣味は珍しい貝を拾うことで、見たことのない美しい貝を見つけては家に持ち帰り大切に飾っていました。
浦島太郎は今日も朝早くから砂浜を下を向きながら歩き、転がっているものに目をやってはこれは拾ったことのある貝だな、あれは小石だなと独り言をつぶやいていました。
そうして貝を探すことに夢中になりながら歩いていると、突然浦島太郎は何かにつまずいてすってーんと前方に転がってしまいました。
あいたたたと頭をさすりながら転んだところを見てみると、そこには大きなウミガメがいました。
なぜこんなところにウミガメがいるのだろうと思って近づいてみると、ウミガメが弱弱しい声でしゃべり始めました。
「私は折あしく体力が弱っているときにこの砂浜に打ち上げられてしまい、自分の力で海に戻ることができなくなってしまったのです。」
そういうことならと浦島太郎はウミガメをぐいぐいと海に向って押してあげました。
ウミガメは重く、下は砂浜だったのでなかなか進みませんでしたが、浦島太郎がえいと踏ん張るたびに一歩ずつ進み、ウミガメの体は少しずつ波をかぶるようになってきました。
浦島太郎の膝が海に浸かり出したときにもう一度えいと押し出すと、とうとうウミガメの体はふわーと浮き上がり海の中を泳ぎ始めました。
「ありがとうございます。お礼にあなたを深海の世界へと案内してさしあげましょう。」
ウミガメはそう言って浦島太郎を背中に乗せると、そのまま海の中へと潜っていきました。
海の中の世界はエビやタイなどさまざまな魚が優雅に泳ぐとても美しい世界で、浦島太郎は見惚れてしまいました。
さらに潜っていったウミガメは浦島太郎を海底でおろしてあげました。
浦島太郎が地面を見てみると、そこにはたくさんの貝が転がっていました。
しかもどの貝もまだ見たことのないものばかりで、浦島太郎は大喜びしながら拾いました。
再びウミガメの背中に乗り元の砂浜に帰ってきた浦島太郎は、両手いっぱいに持って帰った貝を見ながら早起きは三文の徳だなあと思いました。
それ以降も浦島太郎は朝早く起きて貝を探しに砂浜を歩く日課を続けました。
さてこの話を聞いたある人は考えた。
地味で緩急のないつまらねえ話だな、話ってのはもっと転がさなきゃいけない。
貝を拾う趣味の最中に打ち上げられたウミガメを助けた?
太郎は読者が共感を得やすいように漁師として働いていたことにしよう。
ウミガメもただ助けたじゃなくていじめられていたことにしてしまえ。
貝なんてみんな興味ねえから海底では竜宮城で宴会を開いたことにしよう。
なら土産も貝じゃなくて、そうだな、玉手箱にしよう。
中身は?
早起きが好きなんて年寄りみたいだから、おじいさんになったってことでどうだ。
うん、これでちったあ面白くなっただろう。
むかしむかし、あるところに浦島太郎という男が住んでいました、うん、いい感じだ。
さて問題です。
こうして浦島太郎の話をどんどん脚色して現在伝わっている面白い昔話へと改変したこのある人は徳が高いと言えるでしょうか。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第14回『深海 転がる 徳』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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~・~・~・~・~
むかしむかし、さらにそのむかし、あるところに浦島太郎という男が住んでいました。
その男の趣味は珍しい貝を拾うことで、見たことのない美しい貝を見つけては家に持ち帰り大切に飾っていました。
浦島太郎は今日も朝早くから砂浜を下を向きながら歩き、転がっているものに目をやってはこれは拾ったことのある貝だな、あれは小石だなと独り言をつぶやいていました。
そうして貝を探すことに夢中になりながら歩いていると、突然浦島太郎は何かにつまずいてすってーんと前方に転がってしまいました。
あいたたたと頭をさすりながら転んだところを見てみると、そこには大きなウミガメがいました。
なぜこんなところにウミガメがいるのだろうと思って近づいてみると、ウミガメが弱弱しい声でしゃべり始めました。
「私は折あしく体力が弱っているときにこの砂浜に打ち上げられてしまい、自分の力で海に戻ることができなくなってしまったのです。」
そういうことならと浦島太郎はウミガメをぐいぐいと海に向って押してあげました。
ウミガメは重く、下は砂浜だったのでなかなか進みませんでしたが、浦島太郎がえいと踏ん張るたびに一歩ずつ進み、ウミガメの体は少しずつ波をかぶるようになってきました。
浦島太郎の膝が海に浸かり出したときにもう一度えいと押し出すと、とうとうウミガメの体はふわーと浮き上がり海の中を泳ぎ始めました。
「ありがとうございます。お礼にあなたを深海の世界へと案内してさしあげましょう。」
ウミガメはそう言って浦島太郎を背中に乗せると、そのまま海の中へと潜っていきました。
海の中の世界はエビやタイなどさまざまな魚が優雅に泳ぐとても美しい世界で、浦島太郎は見惚れてしまいました。
さらに潜っていったウミガメは浦島太郎を海底でおろしてあげました。
浦島太郎が地面を見てみると、そこにはたくさんの貝が転がっていました。
しかもどの貝もまだ見たことのないものばかりで、浦島太郎は大喜びしながら拾いました。
再びウミガメの背中に乗り元の砂浜に帰ってきた浦島太郎は、両手いっぱいに持って帰った貝を見ながら早起きは三文の徳だなあと思いました。
それ以降も浦島太郎は朝早く起きて貝を探しに砂浜を歩く日課を続けました。
さてこの話を聞いたある人は考えた。
地味で緩急のないつまらねえ話だな、話ってのはもっと転がさなきゃいけない。
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太郎は読者が共感を得やすいように漁師として働いていたことにしよう。
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うん、これでちったあ面白くなっただろう。
むかしむかし、あるところに浦島太郎という男が住んでいました、うん、いい感じだ。
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こうして浦島太郎の話をどんどん脚色して現在伝わっている面白い昔話へと改変したこのある人は徳が高いと言えるでしょうか。
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