ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1532話 建前って重要だよね

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「確認しておきたいんだけど、学校ってどうなってるの?」

「シュウ様の収めている街には、1つ以上は学校があります。主に、ある程度お金のある家庭の子どもたちが通っています」

「ん? じゃぁ、お金のない家庭の子供は?」

「お金がない家庭の子どもは、家計の足しになるように家業を手伝っているのが現状です」

「可能な限り全員に受けさせるようにって言ったけど、それはできてないのか」

「そうですね。義務教育という形にして、初等学校は学費の負担はないのですが、学校に行かせられないような家庭も多くあります。こちらとしては通ってもらいたいですが、無理やり通わせることによって、借金などによって家族全員が離散してしまう……ということもありますからね」

 どうやら、学費を免除するだけでは、子どもたちを全員学校に通わせることは難しいようだ。

「ん~家計の問題か。難しい問題だよな。結局知識がない、戦闘技術もない、家業のことしかわからないとなると、職業選択の幅がな。それに、そういう家って子どもが多かったりしないか?」

「そうですね、多い傾向はみられると思います」

「そうなると、家業を継げる長男や嫁げる女の子はまだいいかもしれないけど、次男以降が苦労するんだったよな? 街の外に作る村とかに行くか、冒険者になるか……そのくらいしか選択しないよな?」

「そうですね。特に、農家の次男以降が冒険者になった場合、1年以内に半数は死んでしまいますね。他の街では、ちょうどいい人口の間引きになりますが、シュウ様の収める街ではただの損失ですからね。何かしらの対策は打ち出したいのですが、いい案がなく困っております」

「街が大きくなってもいずれ、限界が来るので増えすぎるのも問題なんですよね」

 グリエルの発言の後に、ガリアが追加で問題点をあげた。

「それなんだけどさ。増えすぎるのは気にしなくてもいいと思うぞ。環境がよくなれば、人口は増えていくけど、裕福になると出生率が下がる傾向にあるんだ。だから、ある程度裕福になれば人口の増加は落ち着くよ。だけどそのあとの問題で、子どもと大人のバランスが悪くなってしまうんだよね」

 簡単に少子高齢化の問題について説明してみた。

「そういうものなんですね。ですがそれなら、気にしなくてもいいかもしれないですね。長く生きている人でも、認知症ですか? そういった症状は見られていないですからね。魔法が影響しているのかもしれないですね」

 グリエルに言われて、年を取った人たちの中に、認知症っぽい人は全くいなかったな。80代の人たちもそこそこ見てきたのだが、みんな元気に生活している人ばかりだったな。この世界特有の何かがあるのかな?

 特に商会のある街は、治療院があるおかげか老人たちも、元気に仕事をしている割合が高いと調査結果が出ていた。

 認知症は脳細胞がうんたらみたいな感じだったっけ? この世界の人たちは、地球の人たちとは脳のつくりが違うのだろうか?

 そもそも、日常行動に支障をきたすようになった認知症になったら、長いこと生きられないだけかもしれないけどな。

 気になったので、そこら辺を確認してもらったが、他の街ではわからないが俺の街ではそうでないことが分かった。ドワーフやエルフの血がわずかにでも、流れてたりするのかな? それで、平気だったり?

 ポーションや回復魔法による、脳内細胞の再生の可能性もあり得るか? 高ランクのポーションなら、亡くなった手足を生やすことだってできるんだから、脳細胞を活性化させたりすることができてもおかしくない気がする。

 元気に働ける期間の長い人間が多いなら、少子化は大きな問題にはならないか?

 でも少子化すれば、いずれ人口が減っていき問題になるか? ん~難しい問題だな。

「とりあえず、お金のない家限定で援助を出すには無理があるか?」

「納税額の大きい人たちは良い顔をしないのではないかと思います。シュウ様のおかげで儲ける額が大きくなっているとはいえ、多額の納税しているのに額の少ない家庭を支援するとなれば、抗議が起きるかもしれないですね。ディストピア以外だと」

 そういえば、ディストピアは安い人頭税以外ないから文句言う人はいないのか。

「じゃぁ、商会で無駄に溜まっている俺の金を使って、基金を立ち上げよう」

「ききんとは、何でしょうか?」

「おっと、この世界には基金っていう概念がないのか。簡単に言えば、ある目的のために準備するお金ってことなんだ」

「ある目的とは?」

「今回の話でいうなら、教育を受けられていない子どもたちの中にも、絶対に優秀な子たちがいると思うんだ。それを建前にして、学校へ通わせられない家庭に対して、援助金を出すことで子どもが働かなくても、何とかなる状況を作り出せないかな?」

「シュウ様の資金をもってすれば、支援はたやすいものだと思いますが……建前ですか?」

「そそ、建前だよ。優秀でなくても、教育がしっかりしていれば、ある程度の知識は蓄えることができるよね? そうすれば、特に次男以降の子たちの生活に役に立つよね? 子供たちも、次男以降であれば継げないことはわかっているから、必死に勉強すると思うしどうかな?」

 グリエルとガリアは、なるほど……と言って考え込んだ。

 ゼニスとゼパイルも話し合っている。こっちは、何を話し合っているかわからないが、何やら真剣な表情だ。

 先に話し出したのは、ゼニスだった。

「シュウ様、基金についてなのですが、商会の援助で行う形にして、ある程度優秀な人材に育てば商会で働いてもらう……といった取り込みは問題ないですか?」

「ちょっと待った! 商会にも優秀な人材が欲しいのはわかりますが、人手不足で困っているのは商会だけではないのです! きちんとした建前があって、シュウ様の商会と共同という形であれば、問題にはならないはずです」

 ゼニスとグリエルが、話をまとめ始めた。どうやら、共同で優秀な人材確保という名目を建前に、どうにかできないか話し合うようだ。

「待て待て、商会からの資金に関しては、絶対に俺の金から出せよ? ただでさえ使うことがないんだから、ためておいてもいいことなんてないだろ? 後は、商会からの寄付金ということで、その寄付金を基金にあてられないか?」

 俺の一言で形式的には、商会と行政府がお金を半分ずつ出す形になるが、実質俺への配当金で賄うことになった。

「ですが、お子様のためにお金とか貯めておかなくてよろしいのですか?」

「お金はないと困るけど、貯める必要なんてないだろ?」

「シュウ様への配当金の8割は、基金の資金になると思いますが……」

「正直な話、俺と妻たちだけなら、生活するのにお金は必要ないし、子どもたちだって巣立てば自分で仕事をするさ。援助はするだろうけど、俺たちは高ランクの冒険者でもあるんだぜ。それにDPでお金だって生み出せるしな」

 俺がそういうと、グリエルたちが思い出したような顔をして、手をポンとたたいた。

 それにさ、俺の収入はなかったとしても、妻たちは個々で働いているからな、お金なら溜まっているんだよね。完全にヒモの発言だな。

 そんなことを思っていたが、シュウの収入源は別に存在していた。従魔たちも個々に活動をしており、その時に稼いだお金の大半を、ギルドなどに預けている。

 従魔から見れば、シルキーたちの作ってくれる食事の代金を稼いで俺の口座に入れている。預かっているギルドから見ると、従魔の稼いだお金は主人の物である。

 このため、シュウの知らないところでもお金が増えているのであった。
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