転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百四十二話 領境での戦い

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 ガラガラガラ。

 僕達を乗せた馬車が、早足で早朝の街道を進みます。
 僕は領境に行った事がないので、馬車で向かうしかありません。
 スラちゃんも同様みたいで、しまったって表情をしていました。

「衝突も小規模で収まっていれば良いが、あの雰囲気を見る限り難しそうだな……」

 レイクランド辺境伯様が馬車の窓から領境の方角を見ているけど、時々大きな光が見えている。
 間違いなく、魔法使いを含んだ戦いが起きているのだろう。

「怪我人もいっぱいだよね? 何とかしたいなあ……」
「気持ちは分かるけど、焦らないようにね」

 窓の外の光を心配そうに見るリズの頭を、ティナおばあさまが優しく撫でています。
 僕達が出来ることは限られているけど、それでも出来ることを頑張らないと。
 僕もそんな事を思いながら、馬車は戦いが起きているレイクランド辺境伯領とネイバー伯爵領の境に到着しました。

「こりゃ、本格的な紛争だな」
「ここまで酷いのは、私も初めて見たわ」
「小競り合いくらいなら見た事はあったけど……」

 目の前で起きている大規模な紛争に、ジンさん達もかなり驚いています。

「軍務卿、遅くなりました」
「いやいや、来てくれて助かったよ。アレク君とリズちゃんは、治療を手伝ってくれ。ティナ様とレイクランド辺境伯様とジン達は、私達と共に指揮にあたってくれ」
「「「はい!」」」

 役割分担も決まったので、僕とリズはランカーさんと共に後方支援部隊の所に向かいました。
 スラちゃんとプリンは、ティナおばあさまとジンさんと共に指揮兼攻撃を行います。

「こちらです、怪我人が多くて手が足りません」
「「「うう……」」」

 後方支援部隊の簡易ベッドには、多くの怪我をした人が横たわっていました。
 突然の戦闘だったから、怪我人が凄く沢山います。
 更に、どんどんと怪我人が運ばれて来ました。

「リズ、先に合体魔法を使って広範囲回復魔法をやるよ。その後は、手分けして治療しよう!」
「うん! 皆苦しそうだから、早く何とかしないと」

 僕とリズは、互いに手を繋ぎながら魔力を溜め始めました。

 シュイン、シュイン、シュイーン。

「「えーい」」
「相変わらず凄い魔法ですわね、近衛騎士形無しです」

 僕とリズの魔法が、簡易ベッドのあるエリアを一気に包み込みます。
 大規模魔法の威力にランカーさんは呆れていたけど、僕達の魔法が生かせる時は積極的に使わないと。

「な、何という魔法でしょうか……」
「ふう、これで軽度から中度くらいまでの怪我人を治しました。僕が新しく来た怪我人を治療し、リズが重症者を治療します。案内して下さい」
「はっ、はい!」
「よーし、頑張るぞ!」

 ここからは、分担しながらリズと治療を行います。
 回復魔法はリズの方が上手だから、僕が新しく来た怪我人を一手に引き受けます。

「私は、リズ様の警護を行います。あなた達は、アレク様の警護を」
「「はい!」」

 ランカーさんも直ぐに指示を出してくれて、僕の所に兵を二人付けてくれました。

「うう、いたあ……」
「直ぐに治療しますね、えーい」

 僕は、次々に運ばれてくる人の治療を行います。
 でも、前線が頑張ってくれているのか、怪我人の数は少し落ち着いていきました。
 また、軽症で動ける人は、前線に復帰していきます。
 奇襲をかけたネイバー伯爵兵を、レイクランド辺境伯兵と軍が押し返しているみたいですね。

 ひゅーん、バリバリバリ!

「「「ぎゃー!」」」

 ふと、ネイバー伯爵兵のいる辺りに、大規模なエリアスタンが打ち込まれて数多くの悲鳴が聞こえてきました。
 間違いなく、スラちゃんとプリンの合体魔法だね。
 そして大規模エリアスタンを境にして、戦闘が一気に静かになりました。
 どうやらネイバー伯爵兵の集団を、レイクランド辺境伯兵と軍が抑えきったみたいです。

「次の怪我人がやってきます!」
「はい、連れてきて下さい」

 僕は、担架に乗せられてきた怪我人の治療に専念します。
 ティナおばあさまやジンさんもいるし、前線はもう大丈夫だね。

「お兄ちゃん、重症者の治療が終わったからこっちを手伝うよ!」
「リズ、ありがとう。じゃあ、毛布の上に寝かされている人をお願い」
「任せて!」

 暫くは怪我人が運び込まれるけど、前線が落ち着けば運び込まれる怪我人も減るはずだ。
 僕とリズは、暫くの間一生懸命に治療を行いました。
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