選ばれたのはケモナーでした

竹端景

文字の大きさ
134 / 229
第四章 学園に行くケモナー

呼び出し

しおりを挟む
 ハルハレにアシュくんを連れて行ったら、ミルデイとまったく同じ顔をされた。
 申し訳なく思いつつ、気が抜けたアシュ君と少し仲良くなれた気がする。

「ケルン。俺たちは本当に同じ年齢か?」
「そうだと思…俺?」
「あ…い、今のは聞かなかったことにしてくれ!」

 素のアシュ君を知ってしまったってのもあるけどな。脅迫はしていないけど、仲良くしてくれるように頼んだ。

 そんな風に良い気分になっていたのに、ノイズにも似た音が頭に流れた。

『ケルン君?サーシャルです。杖のことで話があるので、研究室まで来てください』

『コール』か。サーシャル先生って、杖の授業の時に、杖作りが上手くいかなかったら、すぐに相談するようにって、いってくれた先生だよな?
 お昼過ぎても来ないから、向こうから連絡してきたのか?
 猶予は一日あるはずなのだが…たぶん、一日経ってもできないと、判断したんだろう。

「びっくりしたねー…なんか耳の奥がかゆい感じがする」
 慣れてないからな。とりあえず、部屋に戻って、杖を持ってから行こうか。
「そうする!あ、アシュ君。ごめんね。ちょっと僕、呼ばれちゃった」
「またか。今度は何をしたんだ?」

 アシュ君に断りを入れてから、行こうと思ったらそんな言葉を返される。

 いや、確かに、入学式当日に、停学になりかけたけど、毎回、何か問題を起こしているみたいに思わなくてもいいじゃないか。
 あと、その、眼鏡カチャってしながら、聞くのはやめて欲しいな。キャスを思い出して、謝りそうになる。

「大丈夫!ちょっとした確認かな?あ、ミルデイ!」
「はい、坊っちゃま」

 ミルデイに声をかけると、ミルデイは、コーザさんの元からすぐにこちらにきた。
 何か話していたようだけど、気のせいかコーザさんの周りに料理が置かれてないか?ハンクが作ったみたいな料理が目立っているが…コーザさんも同郷だからか。

 せっかく楽しそうに話していたみたいだし、ミルデイはお留守番してもらうか。休ませたいしな。
「そうだね!ちょっと先生の所に行ってくるから!」
「わかりました。お供を」
「一人で大丈夫!」

 一人で行って、帰ってくる。その間は、ミルデイも、自由行動にしてもらおう!我ながら良い案だと思う。

「そうはまいりません!お一人では、何かあるかもしれませんよ!」
「もー…ミルデイは心配症なんだから…学園内だから、平気だってー」

 学園内で、わざわざ、ケルンを狙うような人なんて、いないだろうに。

 ミルデイは、本当に心配症なんだな。カルドの影響…いや、エセニアだな。いつまでも、小さな子供じゃないんだからな!

 背だって、昨日よりも高くなってるはずだ!…数ミリぐらい。

 どんな風にミルデイを説得しようかと、思考を加速する直前に、アシュ君の淡々とした言葉が耳を打った。

「ケルン…君はもう少し、現状把握能力を鍛えた方がいいぞ」

 状況把握?
 いや、だから、ケルンを狙って…いた。リンメギンの人とか。特に王女様とか。ケルンというより、エフデを狙っている人が、まだいるかもしれない。

 エフデを狙ってお前を狙うかもしれないからな。
「お兄ちゃんが危ないの?…うん…気を付けます!」
 いや、お前が危ないんだからな?

 誘拐とかない!なんていい切れたら良かったのだけど、簡単に連れ去られると思う。

 非力。軽い。小さい。

 お手軽な物件です!みたいな三単語が、ケルンにピタッと当てはまってるからな。
 大人になったら、きっと、二の腕には、力瘤がドーンとあって、筋肉質かつ、大きな身長になっている!かもしれないが、今は…子供だから!

 不安なことをいわれたからか、ケルンの中でもどうしようかという感情が浮かんでは、消えていく。
 ミルデイと一緒に行くのが嫌なのではなくて、ミルデイも成長をしているから、自分も成長をしているところを、見せたいといことと、少しでも、楽にさせてあげたいということを考えている。

「研究室には、ご一緒できませんが…途中まででも構いません!お供をさせてください!」

 うっ…目を潤ませるなんて、高等テクニックを使うなんて…目の保護の為に、簡単に目が潤うとは聞いていたが、ミルデイにそんな顔をされると、悪いことしているようじゃないか。
 ぱっと見、女の子かと思うようなミルデイだぞ?仕方ないか。

「じゃあ…お願いするね!…アシュ君、ごめん。また時間があったら、お話しようね?」
「いつでも構わないから、そんなに落ち込まなくていい」

 こちらから、話をしたいと思って誘っておいて、こちらの都合でお開きにするなんて、失礼にもほどがある。なのに、アシュ君は、本当に気にしていないというような口ぶりだった。
 まるで、年下の弟の我が儘を聞く兄のような姿だ。
 なんだか、ケルンに対してお兄ちゃんっぽいな。今度、年下の兄弟いるか聞いてみよう。

 部屋に戻って、仕上げがまだな杖をポケットにしまう。
 サーシャル先生の研究室がある中央棟の十五階まで、駆け足で上がってきた。
 エレベーターを付けてほしい。まだ、どこにもないんだけどな。
 息切れが半端ない。ミルデイは、まったく息切れしていないし、何より、五階から、ケルンを背負って階段を上ってきたのにだ。

 申し訳ないが、ミルデイタクシーを利用する方が早くて、人前に出る姿じゃなくならなくて済むので、使ったのだ。

 運動不足なのかもしれないな…体力つけないといけないかもな。しかし、先生達はここまで、毎日どうやって…ああ、移動系の魔法があるから、それで来ているんだろうな。
 507号室はっと…あった。銀のプレートが多い中で、金色のプレートで、部屋の番号が書いてある。何かの階級かな?講師と、準講師みたいなものか?

「ここだ!ミルデイ、行ってくるねー!」
「はい、坊っちゃま。いってらっしゃいませ。終わりましたら、『コール』をお願いします」
「うん!ミルデイも行ってらっしゃーい!」

 手をふると、ミルデイは一礼して、廊下を歩いていく。
 正直なところ、部屋の外で待っているのかと思ったんだが、ミルデイは少しだけ名残惜しそうにして、ケルンから離れていく。
 自由行動をしてもらうのだけど、どこに行くんだろうな?新しい遊び場を見つけたのなら、是非、今度はミケ君達も呼んでみんなで行きたいものだ。

 しかし…結局、何だかんだ思いつつ、ミルデイタクシーを利用して送ってもらったな。
「僕ね、大きくなったらミルデイをおんぶしてあげる!」
 そのためには筋肉がいるな。ムキムキにならないと。
「ティルカみたいに?石を手でぱきんってできるようにならないとだめ?」
 あそこまでならなくていいから。

 ティルカの筋肉というか、石を砕く握力はケルンには無理だろ。



・・・・・・・・・・・・・・・・
感想でご指摘がありましたが、自分の更新速度が遅くて混乱させてしまったようです。
対処としては、矛盾のないところまで早めに上げるしかないと思います。

年末ですので、家のことでばたばたとしていたり、まとまった執筆時間をとれなかったのもあります。
今日はあと何度か更新しますが、明日と元旦は休むかもしれません。
それから、来年からは予約投稿にしたいと思います。

夜は人形作りの勉強をしようと思いますので、予約しないといけないなと思いまして。
投稿時間帯についてはまたお知らせします・
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

処理中です...