上 下
258 / 369

パルドデア国へ。ラジオ局へ行くぞ!

しおりを挟む
位置的にはボードウェンもパルドデアもヨーロッパ。でも、国のイメージはアメリカ。何とも不思議な位置関係。

距離は飛行船で5時間程度と結構近いが王子以外は行ったことが無いそうだ。



「グレンさんは行ったことあるんですか?」

飛行船へ向かう車の中で聞いてみた。



「俺はあるよ。アメリカっぽい。」



「やっぱそうかー。親父、交渉頑張ってくれよー!」

「めっちゃラジオ高いですからね!!」

グレンさんは任せとけ!と自信満々。脅したりしないか心配だ。



空港へ到着。1泊2日の弾丸ツアーだ。

朝、7時出発。



王様とお后様に御挨拶して飛行船へ乗り込む。



珍しくカインが早く来ていた。何時もは嫌がって最後に来るのに。

「お願いです!ルイスのお父さん!!」

カインはグレンさんの手を握り隣に座って下さいと言い出した。

最近の私達は面白がって役に立ってないらしい。



「あー。あれね?」

グレンさんは笑いながら良いよ。とカインの隣に座った。



「あれ?カイン今日はルイスのお父さんの横なんだね?」

クライスがルイスのお父さんも強くて凄いよねーと言いながら会長の隣へ座った。

グレンさんは最終兵器みたいなもんだよな。



全員揃い出発!

「いーやーだーーーーーー!」

カインが定番の叫びを上げる。

「おら!うるせーぞ!」

そうグレンさんの声が聞こえたかと思うとカインの叫びがピタッと止まった。グレンさんの顔が見たい。



「凄い!流石、ルイスのお父さんだ。」

王子が感心している。

「はぁ。飛行船怖いけど。ルイスのお父さんの方が怖い。」

カイン・・・。その通りだ。

ルイスと私は後ろで温かく見守る。





歌ったり話したりすると5時間はあっという間でパルドデア国には無事に到着。

「しかし、カインは面白いな。」

グレンさんは非常に楽しそうだった。



パルドデア空港はうちの国と規模は同じくらいで栄えていた。

空港にはボードウェン大使館の方のお迎え。

王子は嬉しそうに手を振る。

「ジェファーソン様。お久しぶりです!」

「ようこそいらっしゃいました。」

深々と王子にお辞儀している。国交がある国は楽だな。



「ジェファーソン王子!ようこそ!今回案内させて頂きます。デイビス・パルドデアと申します。パルドデア国第3王子です!」

握手を求めてきた人はパルドデア国の王子の様だ。年は20代半ばかな?結構パルドデア国の王子は皆、年上なんだな。



「先ずラジオ局で宜しいでしょうか?城へは夜に晩餐会を設けますので。」

やはり晩餐会なのかー。でも、王子が居ると必然的にそうなる。



「ありがとうございます。では、ラジオ局お願いします。」

王子は笑顔。



空港を出た外の雰囲気はうちの国と変わらない。やっぱりヨーロッパっぽい感じだ。

綺麗なバスが停められており乗り込む様に勧められる。



首都市内は発展しており少し近代的。うちの国よりビルの数が多い。

「発展してますね。流石、パルドデア。」

王子がそう言うとデイビス王子は嬉しそうだった。



「着きました。」

街の少し外れに電波塔と共に建てられた近代的な建物。

鉄筋ビル3階建て。



皆、顔がワクワクしている。



「先ずこの電波塔が基地局です。」

デイビス王子が説明する。



では、中へとガラス張りのドアを開ける。本当にラジオ局と言った感じで玄関ホールの様に作ってある。受付もあり受付嬢の後ろにはラジオ案内のポスター。ちょっとした大手企業の様な感じだ。

受付嬢はデイビス王子と私達にお辞儀をし見送ってくれたし何か夏目さんや光国さんやプラゲ国の人が言っていたイメージと違う。

「1階は事務所になっています。2階へ上がりますね。」

デイビス王子に着いて2階へ。

階段を上がると会議室、会議室2と書いてある部屋がありその奥へ案内された。



扉は2つ並んでおり1つはラジオブース、もう1つは音響部屋の様だ。

ラジオ放送をする現場は前世の記憶で言うと学校の放送室と言った感じだった。

パルドデア国では主に1日3回ニュースを流しているそうだ。

「このマイクから話した声がラジオから聞こえるんですね?」

王子の問にデイビス王子は頷く。



「実際に聞いてみないと想像つかないですよね?」

「そうなんですよね。」

デイビス王子は実は私もそうでした。と笑いながら機材のある音響部屋へ案内する。

「何か凄いね!」

クライスもカインも部屋をぐるっと見渡していた。

館内放送の機械の何倍も複雑そうな音響機器。迂闊に触ったら何か壊しそう。



「この設備でいくらぐらいかかりますか?」

グレンさんはデイビス王子に質問していた。

なかなかの投資が必要となりそう。



そんな話をグレンさんと王子とデイビス王子がやり取りしているとラジオ局の人らしき方が入って来た。

「デイビス王子、失礼します。今から放送を行えば良いのですよね?」

ラジオ局の人はデイビス王子に確認し音響機器の前へ座った。



「もう隣はスタンバイしておりますので会議室へどうぞ。」

ラジオ局の人が笑顔でそう言った。



デイビス王子は今からラジオを聞いて見ましょう!と言って私達を会議室へ案内する。



会議室の机の上にはドーンとラジオが乗っていた。

やはりちょっと大きい。小型テレビくらいある。



「これがラジオか。」

皆、真剣そのもので機械を見ている。



「スイッチを入れます。そしてこのダイヤルを回して周波数を合わせる様になっています。」

とデイビス王子が説明する。



ガガガッとラジオから音がしてザッ言う音がした瞬間声が聞こえた。



『パルドデア国ニュースのお時間です。』



おお!!!皆は声を上げて驚く。



「さっきの部屋で話しているんですね?」

王子が確認するとデイビス王子は笑顔で頷いた。



『今日、昼頃パルドファド市において落雷の被害があり火災が発生・・・』



「凄い。新聞より明らかに早いニュースだ。」

「音も良いですね。」

うんうん。不思議そうに皆、感心している。



「これは、買いですね!」

王子は改めて納得した様に頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます

葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。 しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。 お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。 二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。 「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」 アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。 「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」 「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」 「どんな約束でも守るわ」 「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」 これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。 ※タイトル通りのご都合主義なお話です。 ※他サイトにも投稿しています。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?

tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」 「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」 子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

もう彼女でいいじゃないですか

キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。 常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。 幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。 だからわたしは行動する。 わたしから婚約者を自由にするために。 わたしが自由を手にするために。 残酷な表現はありませんが、 性的なワードが幾つが出てきます。 苦手な方は回れ右をお願いします。 小説家になろうさんの方では ifストーリーを投稿しております。

裏切りの代償

志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。 家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。 連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。 しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。 他サイトでも掲載しています。 R15を保険で追加しました。 表紙は写真AC様よりダウンロードしました。

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。 貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。 そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい? あんまり内容覚えてないけど… 悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった! さぁ、お嬢様。 私のゴットハンドを堪能してくださいませ? ******************** 初投稿です。 転生侍女シリーズ第一弾。 短編全4話で、投稿予約済みです。

処理中です...